ベネズエラ原油の供給不安、最大輸入国・中国の影響は当面限定

中国上海のガソリンスタンドで2017年11月に撮影(2025年 ロイター/Aly Song)
[シンガポール 15日 ロイター] - トランプ米政権によるタンカー拿捕や制裁でベネズエラの原油輸出が急減している。同国産原油の最大の輸入国は中国だが、目先の影響は限られると専門家はみている。
専門家は、とりあえず中国への影響は小さいとみている。中国は原油の総輸入に占めるベネズエラ産の割合が4%程度にすぎない。また中国の原油備蓄は豊富な上に国内の需要が弱い。
タンカー拿捕前に大量のベネズエラ産原油が中国へ向かっており、今月と来月の輸入は大幅に増えるとトレーダーやアナリストは指摘する。
調査会社ボルテクサの分析によると、輸出されるベネズエラ産原油の主力油種であるメレイ原油は12月の中国の輸入が日量60万バレルを超える見込み。調査会社ケプラーも、修正の可能性はあるとしつつ、12月の中国のメレイ原油輸入が日量66万4000バレルに達して過去最高を更新すると推計している。
一方、アジアの浮体式原油貯蔵施設は、西側から制裁を受けているロシアやイランからの供給が増えている上にベネズエラ産の供給が加わって原油貯蔵量が増加。ケプラーのデータによると先週は7100万バレルに達した。10月末は5300万バレル、9月初旬は3300万バレル程度だった。
また、上海先物取引所で最も取引量の多いビチューメン先物は10月下旬以降、価格が下落基調にある。こうした中、メレイ原油に対する中国の需要は季節的に低迷している。
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