NTT Comと千葉大病院、秘密計算ディープラーニングなどによる臨床データ分析を研究
NO BUDGET
2021-02-10 09:39
千葉大学病院とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した臨床データ分析の共同研究を開始した。
秘密計算ディープラーニングは、秘匿(とく)化した情報をそのまま人工知能(AI)に学習させて診療補助などを行うことを可能にする技術。NTTが世界で初めて、標準的なディープラーニングの学習処理を秘密計算(データを複数に分割し秘匿化したまま統計分析を行い、その結果のみを出力する技術)に適用させた。
千葉大学病院は、高度な医療の提供、技術の開発および研修を実施する能力などを備えた病院として、厚生労働省から特定機能病院・臨床研究中核病院に指定されている。臨床研究に用いるデータは、機密性の高い診療情報を含むため、データの収集、保管、分析などにおける高レベルな情報セキュリティの実装が必要となる。多様化、深刻化するセキュリティリスクへ対応しつつ、複数の施設との臨床研究実施など、より柔軟なデータ利活用のニーズを両立させる新たな手法の確立が求められてきた。
今回はNTT Comのクラウドサービスやネットワークサービスに加え、秘密計算ディープラーニングなどの技術「秘密計算システム」「秘密計算ディープラーニング」を用いてこれらの課題解決に取り組む。
共同研究でのシステム構成イメージ
「秘密計算ディープラーニング」の概要
共同研究では秘密計算システムを利用し、複数の施設から収集した臨床研究データが、施設間で相互に秘匿された状態で分析可能か検証する。これにより、千葉大学病院の各診療科は、複数施設の臨床研究データを用いて臨床研究に必要な横断研究や縦断研究を実施する可能性が広がる。横断研究は分析的観察研究の1つで、ある地点で対象者の要因と結果を測定し、その関連性について評価する。縦断研究は、同一の対象者を一定期間継続的に追跡し、幾つかの時点で測定を行って変化を検討する研究になる。
また、秘密計算ディープラーニングは、複数施設から収集した臨床研究データを秘匿した状態のままでAIモデルの作成が可能にする。これを利用して、従来手法では時間を要していた疾患の診断時間短縮の実現を目指す。加えて、処方する薬剤の選定を補助するAIモデルを作成し、患者の状態に応じた最適な薬剤を処方することにより病状の進行を抑える研究につなげる。
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