
IIJ社長が語る「クラウド事業が好調な理由」
松岡功
2019-11-29 10:14
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、IIJの勝栄二郎 代表取締役社長と、ソースネクストの松田憲幸 代表取締役社長の発言を紹介する。
「企業のマルチクラウド需要がここにきて一段と高まっている」
(IIJ 勝栄二郎 代表取締役社長)

IIJの勝栄二郎 代表取締役社長
インターネットイニシアティブ(IIJ)が先頃、2019年度第2四半期(2019年4〜9月)の決算を発表した。勝氏の冒頭の発言は、その発表会見の質疑応答で、クラウド事業の最近の状況について聞いた筆者の質問に答えたものである。
IIJの2019年度第2四半期の連結業績は、売上高が前年度比8.8%増の992億2000万円、営業利益は同45.7%増の33億5000万円となった。中でも売上高の84.0%を占めるストックビジネスが着実に積み上がり、強固な財務基盤を築いている。
同社のストックビジネスは、創業以来のインターネット接続サービスが中心だが、ここ数年はクラウド事業などにも注力。同事業の2019年度第2四半期の売上高は111億6000万円で、前年度比14.4%増を記録。勝氏によると、「複数のクラウドを一括運用するマルチクラウド戦略を推進したのが好調の要因」だという。
現状では、クラウド事業の全売上高に占める割合は1割超といったところだが、同社では成長事業の1つと位置付けている。2019年度通期の同事業の売上高は前年度比12%増の225億円を目標としている。
同社のクラウド事業の主力サービスは、2015年11月に提供開始した「IIJ GIOインフラストラクチャーP2(IIJ GIO P2)」。これは、パブリッククラウドとプライベートクラウドのメリットを融合させた形の「ホステッドプライベートクラウドサービス」である。
同社のクラウド事業に関する実績を表すキーになる数字や動きについては、図の下段に示されている。その右側には顧客数の推移や顧客の月額規模別の社数まで記されている。

下段に記されているクラウド事業の実績
クラウド事業が好調な要因として「マルチクラウド戦略の推進」を挙げていたので、それを含めて、最近のクラウド市場の動きについて会見の質疑応答で聞いてみた。すると、勝氏は次のように答えた。
「ここにきて顕著な動きになってきたのはマルチクラウド化だ。多くの企業が1つのクラウドサービスだけでなく、必要に応じて複数のクラウドサービスを採用するようになってきた。当社はIIJ GIO P2を運営する一方、例えばMicrosoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)といったパブリッククラウドサービスとの連携にも注力している」
IIJのマルチクラウドへの対応については、本サイトで2019年5月30日に掲載した筆者コラム「注目度高まる『マルチクラウド』の課題にも目を向けよ」を参照していただきたい。同社のマルチクラウド戦略は引き続き、注目していきたい。
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