太陽系の中でもとりわけ目を引く「土星の輪」が見えなくなる瞬間がやってくる。ただし、完全に消えてしまうわけではなく、数週間ほどで再び戻る。
この現象は、土星と地球それぞれの自転軸の傾きの関係で起きる。土星はおよそ26.73度、地球は約23.5度傾いているが、両惑星が一直線上に位置するとき、視点の関係で土星の輪がほとんど見えなくなるように感じられるのだ。
つまり、今週末に夜空を観測すると、土星のリングが消えたように思えるかもしれない。ただし、高性能の望遠鏡を使用すれば、土星の中央を横切る細い線としてかろうじて見えるはずだ。
土星の輪が見えなくなる最大の理由は、土星と地球の自転軸の傾きによるものだ。たとえるなら、一枚の紙を正面から見ると大きく見えるが、横から見るとほとんど見えなくなるのと同じ理屈である。実際、土星のリングは想像以上に薄い。
「土星のリングは驚くほど薄く、最も厚い部分でも1km程度と推測されている。土星の直径(11万6000km以上)からすれば、驚異的なほどの薄さだ」と、ミシガン州立大学エイブラムス・プラネタリウム館長のシャノン・シュモル博士は説明する。
さらにNASAの最新の研究によれば、リングの厚さは10m程度という報告もある。そのリングを150万kmも離れた地球から見ると、まさに薄い紙を横から見ているようなものだ。
それでもリングが完全に消えてしまうわけではない。高性能の望遠鏡なら土星を横切る細い線として認められるかもしれないが、倍率の低い望遠鏡の場合はその線すら見分けられず、リングがない土星のように映る可能性がある。
この「リングが消えかかる」状態のピークは週末前後に迎える。実際にはすでに1〜2週間ほど前からその傾向が続いており、4月頃までは見えづらい状態が続く。4月に入ると土星の公転に伴ってリングが少しずつ傾き始め、1〜2か月かけてゆっくりと元の見え方に戻っていく。
「厳密に言うと、リング面がちょうど真横になるタイミングは一瞬に過ぎない。ただし、大きな望遠鏡を使えば、すぐにリングが見え始める。逆に家庭用の一般的な望遠鏡だと、はっきりと輪として認識できるようになるまで数か月は待たなければならないだろうね」とシュモル博士は話す。
NASAの情報によると、このような現象はおおよそ13〜15年ごとに起こる。ただし厳密な周期があるわけではなく、1980年、1995年、2009年に発生した記録が残っている。
「土星が太陽を1周するのにかかる時間は約30年。その軌道の中でリングの角度がちょうど合うタイミングが2回ある。しかし、土星が太陽の向こう側に位置しているときは、太陽の光によって観測しづらくなることもあるんだ」とシュモル博士は説明した。
次にリングが真横になる予測は2038年か2039年頃とされている。そのときは今回よりもさらに観測しやすくなるだろうともいわれている。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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