本作の表題曲「winter fall」は、管楽器や弦楽器が大々的にフィーチャーされたウィンターソングとなっている。なお、この曲にはyukihiroが手掛けたブレイクビーツが採り入れられている[3]。yukihiroは後年に受けたインタビューで、この曲のリズムアプローチについて「ちょうどエヴリシング・バット・ザ・ガールとかがちょっとドラムンベースっぽいアプローチしてて、"ああ、こういうふうにアプローチしたらハマるかな"と思ってやったのが"winter fall"なんですよ[4]」と述べている。ちなみに「winter fall」というタイトルは、作詞者のhydeが考えた造語で、「winter(冬)」と「curtain fall(閉幕)」を組み合わせた、「冬の終わり」を意味するワードとなっている[5]。そのため歌詞は、冬から春にかけての時期が舞台となっている。また、歌詞は、曲名の「冬の終わり」と「恋の終わり」がリンクしたシアトリカルなリリックに仕上げられており、ひとつの恋が冬とともに終わりを迎え、新しい季節を前に、主人公の心だけが冬に取り残されてしまうストーリーになっている。ちなみにこの曲は、前作「虹」や次作「DIVE TO BLUE」と合わせ、本作発売前の1997年に東京ドームで開催したライヴ「1997 REINCARNATION」で先行演奏されている[注 1]。なお、この曲のプロデュースおよびアレンジには岡野ハジメ(ex.PINK)が参加している。岡野は『True』に収録された楽曲「Caress of Venus」と「"good-morning Hide"」で共同プロデュースおよび共同アレンジを担当しているが、L'Arc〜en〜Cielのシングル作品に関わるのは本作が初となった。そして本作以降、岡野は長きに渡りL'Arc〜en〜Cielの作品の制作に関わることとなり、hydeが岡野を指して「ラルクのもう1人のメンバー[6]」と表現するほど、バンドに欠かせないプロデューサーになっている。(詳細は楽曲解説の項目を参照)
また、表題曲は後年に発表した「snow drop」とならび、L'Arc〜en〜Cielの楽曲の中で知名度の高いウィンターソングとなっており、本作発売から約12年後となる2010年12月24日にはテレビ朝日系列で放送された音楽番組『ミュージックステーション スーパーライブ 2010』において久々にテレビで披露されている。さらに、2021年12月24日にも同番組でこの曲を披露している。ちなみに、L'Arc〜en〜Cielが主催するライヴでは、ヒット作ということもあってか開催季節に関わらず頻繁に演奏されている。余談だが、2024年2月4日に放送されたTOKYO FM系ラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』において、パーソナリティーの草野マサムネ(スピッツ)が「冬の歌」という選曲テーマの中で「winter fall」を選曲している[7]。草野は同番組において、「winter fall」を選んだ理由について「個人的に日本のロックの冬ソングで、パッってこう浮かんだ曲というのが、ラルクの「winter fall」という曲なんですけども。これ聴いてるとねなんか、90年代の冬の空気がね、蘇りますよね。なんかハイテクスニーカー履いた若者がちょっとこう、冬の街を歩いてるような光景が蘇るというかね[7]」と述べている。また、草野はL'Arc〜en〜Cielというバンドについて「ラルクは曲も歌唱もとても魅力的なんですけども、サウンドがねぇ、すごいタイトでカッコいいので、当時あの、レコーディングのときに参考にしていました。なんかこう、サウンドを参考にするアーティストっていうのは、ほぼ洋楽のアーティストっていうか、洋楽のバンドがほとんどだった中で、ラルクはそんな中で数少ない"音がカッコいいなぁ"って思ったバンドでしたね、邦楽のね[7]」と語っている。ちなみに、tetsuyaとTAKURO(GLAY)が2004年にTOKYO FM系ラジオ番組『やまだひさしのラジアンリミテッドDX』で対談した際、TAKUROが「L'Arc〜en〜Cielの楽曲の中で好きな曲」として、「winter fall」と、インディーズ時代に発表した楽曲「As if in a dream」「予感」の3曲をあげたというエピソードもある[8]。
また、カップリング曲には、新曲として「metropolis」が収められている。さらに、前々作「Lies and Truth」以来2作ぶりに、表題曲からhydeのボーカルトラックを抜き取ったインストバージョン「hydeless version」が収録されている。
このミュージック・ビデオは、1998年4月22日に発表したMV・ライヴ映像集『A PIECE OF REINCARNATION』に初収録されている。また、2019年12月11日には公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて、YouTube Music Premium限定で映像の有料公開が開始されている。前述のYouTubeチャンネルでの有料公開開始から約2年4ヶ月後となる2022年4月8日からは、映像の無料公開が開始されている。
コーラスワークが印象深い幻想的なウィンターソングとなっており[10]、ストリングスやブラスのサウンドを導入し華やかなアレンジを施した楽曲となっている。作曲を担当したken曰く、この曲を作り始めた時期が冬だったこともあり、「冬の海[11]」「砂浜に打ち寄せる波、そんな雰囲気をイメージして書いた[11]」という。ただ、曲の原型を作った後、デモ音源を録ることになったタイミングがたまたま"夏"の時期であったことから、kenの中で曲のイメージが「海の家のスピーカーから鳴ってるような感じ[5]」に変わったといい、作詞を手掛ける前のhydeに「夏の雰囲気を感じる曲」とイメージを伝えたという。ただ、デモ音源を聴いたhydeの印象は「スキー場でかかってるイメージだった[5]」といい、結果的にhydeの意向により"冬"や"雪"を題材にした歌詞が書かれることとなった。ちなみに、この曲の原型はコンサートツアー「CONCERT TOUR '96〜'97 Carnival of True」を終えた直後に作られたため[11]、kenは「構成だったり楽器の組み合わせの作り方は、『True』の名残がより出てる[12]」と、この曲の印象について述べている。
本作発売翌年となる1999年にはyukihiroが手掛けたリミックスバージョン「metropolis -android goes to sleep mix-」が発表されており、その音源は15thシングル「HEAVEN'S DRIVE」のカップリングとして収録されている。このリミックスは、yukihiro曰く「スロウなハウスを意識した」といい[21]、音源のイメージについて「ダウナーな、朝方かかるような。踊り疲れたあとにどうぞっていう感じ[22]」と語っている。また、エロティックなイメージで原曲の歌詞が手掛けられていることもあってか、yukihiroは「もうちょっとエッチな感じにしたかった[21]」といい、原曲からテンポを落とし気怠い印象のある音源にリミックスされている[21]。ちなみにyukihiroは、このリミックスをリリースしたタイミングで受けた音楽誌のインタビューで「今まででやったリミックスの中でこれが一番気に入ってます[21]」とコメントしている。2000年にはリミックスアルバム『ectomorphed works』にシングル収録版とは別バージョンのリミックス音源「metropolis [android goes to be a deep sleep mix]」が収録されている。リミックスアルバムに収録されたバージョンでは、シングル収録版よりも爽やかなイメージのあるミックスにするため、あえて音数を減らしている[23]。ちなみに、yukihiroが2014年8月21日にacid android名義で企画・開催したDJ&ライヴイベント「acid android in an alcove vol.7」において、DJとして出演したyukihiroはリミックスアルバムに収録されたバージョンをフロアでかけている[24]。
さらに、2011年にはパートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELとして、tetsuyaのディレクションのもとリアレンジしたうえで、この曲をセルフカバーしている。このセルフカバーは、37thシングル「GOOD LUCK MY WAY」に「metropolis –2011–」として収録されている。このセルフカバーでは、tetsuyaの意向によりサイモン&ガーファンクル風にアレンジされており、同アーティストの代表曲のひとつである「冬の散歩道」を彷彿とさせるギターリフのループが印象的なカバーに仕上げられている。
^「winter fall」の初披露の場は、L'Arc〜en〜Ciel名義での開催公演としてはライヴ「1997 REINCARNATION」となっている。ただ、同ライヴの1週間前にL'Arc〜en〜Cielは、変名バンドthe Zombiesとして、ライヴ「Live Tour NIGHTMARE BEFORE CHRISTMAS EVE」を開催しており、この公演で「winter fall」の初披露が行われている。