Windows Mobileは、最初のバージョンであるWindows Mobile 2003が発表されるまでPocket PCと呼ばれていたモバイルOSである。Windows CEをベースにしたモバイルOSで、主にエンタープライズやビジネス向けと位置づけられていた。Windows APIを使用して開発された基本的なアプリケーション群が特徴である。サードパーティーが開発するソフトウェアが利用可能。「Windows Marketplace for Mobile」を通して有料のソフトウェアを購入することも可能であったが、2012年5月22日をもってサービスは終了した[3]。
Windows CE .NET 4.2ベース。2003年6月23日発表。コードネーム「Ozone」。略称は「PPC2003」。
このバージョンから初めて「Windows Mobile」という正式名称が使われるようになったが、Pocket PCという名称が浸透した後の名称変更だった為、Pocket PC 2002の後継バージョンということで「Pocket PC 2003」という呼称の方が一般的に使われていた。入力方式が新しくなったほか、無線LANやBluetoothの機能が強化された。新たに画像ビューワ「Pictures」等が標準搭載。Pocket PC 2002に引き続いてWindows XPに準じたインターフェイスとなっている。
エディションは「Windows Mobile 2003 for Pocket PC Premium Edition」「Windows Mobile 2003 for Pocket PC Professional Edition」「Windows Mobile 2003 for Smartphone」「Windows Mobile 2003 for Pocket PC Phone Edition」の4つ。
Windows CE 5.0ベース。2005年5月9日発表。コードネーム「Magneto」。略称は「WM5.0」。
2005年にラスベガスで開催されたMicrosoft's Mobile and Embedded Developers Conference 2005で発表された。不揮発性メモリーをサポートするようになり、バッテリが切れてもメモリ内容が保護されるようになった。全体的なインターフェイスや各ソフトウェアがバージョンアップされたほか、Office互換アプリの名称が「Word Mobile」、「Excel Mobile」、「Internet Explorer Mobile」と改称され、新たに「PowerPoint Mobile」が標準搭載された[10]。サポートは、メインストリームサポートが2010年10月12日、延長サポートが2015年10月13日となっている。
エディションは、タッチパネル搭載のスマートフォン「Windows Mobile 5.0 for Pocket PC Premium Phone Edition」タッチパネル非搭載のスマートフォン「Windows Mobile 5.0 for Smartphone Edition」、電話機能なしのPDA「Windows Mobile 5.0 for Pocket PC Edition」の3つ。
Windows CE 5.2ベース。2007年2月12日発表。コードネーム「Crossbow」。略称は「WM6.0」。
2007年に開催された3GSM World Congress 2007で発表。デザインがWindows Vista に準じたインターフェイスとなり、Internet Explorer Mobileでは新たにJavaScriptやDHTML,XHTMLがサポートされた。Outlook MobileではHTMLメールの表示が可能になったほか、Windows Liveを標準搭載し、Windows Live Messengerなどの一部のPC向けサービスが利用できるようになった。その他さまざまな機能が加えられている。
エディションは、タッチパネル搭載のスマートフォン「Windows Mobile 6.0 for Professional Edition」タッチパネル非搭載のスマートフォン「Windows Mobile 6.0 for Standard Edition」、電話機能なしのPDA「Windows Mobile 6.0 for Classic Edition」の3つ[11]。エディション名の違いから、5.0に比べてよりスマートフォン向けのOSとなっていることがわかる。
Windows CE 5.2ベース。2008年4月1日発表(日本語版は2008年6月18日発表)。略称は「WM6.1」。
SCMDM(Microsoft System Center Mobile Device Manager)と同時に記者発表され、同ソフトを用いることにより複数の端末機のセキュリティ・ポリシー管理を一括して行えるようになった。また、Internet Explorer Mobileでページのズーム機能が使えるようになるなどの機能拡張が行われている[12]。パフォーマンスが大きく向上しており、バッテリー使用率も大幅に改善された。
ホーム画面(従来のToday画面)のデザインが大幅に変更され、要素をハニカム状に配置したものとなるなど、スタイラスではなく指先によるタッチ操作を強く意識したUI変更が行われた。[13]。機能面ではアプリケーションをダウンロードできるポータルサービスである「Windows Marketplace for Mobile」アプリが標準搭載となったが、わずか3年後の2012年5月17日にサービスを終了した[14])。(6.0や6.1でも同アプリケーションのインストールは可能である)またインターネット上のWindows Liveサービスのアドレス帳やスケジュールがWindows Mobile上のカレンダーや電話帳と同期がとれる「Microsoft My Phone」も利用可能となった(2011年10月18日サービス終了[15])。日本では2009年12月に提供が開始された。WM6.1を搭載し基準を満たした一部の端末ではWM6.5へアップデートすることができ、NTTドコモのT-01Aでは、2009年12月17日よりWindows Mobile 6.1から6.5へ無償アップデートの提供も開始されている[16]。
「Windows Mobile Classic デバイス」とはWindows Mobileを用いた電話機能を有しない携帯情報端末 (PDA) で、Pocket PCと呼称された時期もある。Pocket PCはWindows Mobile OSが本来想定していたプラットフォームであり、電話機能搭載、未搭載の仕様がある。Windows Mobile 6.5ではこのエディションは発表されなかった。 ※例外的に、WILLCOMのスマートフォンはClassicバージョンと独自の電話アプリケーションを搭載する。