C/C++処理系のマイクロソフト実装であり、コンパイラやライブラリ、その他の開発ツールを含んだものである。独自の言語拡張にもいくつか対応しており、Visual C++ .NET (2002) からC++マネージ拡張に、Visual C++ 2005からC++/CLIに、またVisual C++ 2012からC++/CX(英語版)およびC++ AMPに対応する。主にネイティブWin32/Win64アプリケーションやCOMの開発で利用されており、Microsoft Foundation ClassなどのVisual C++専用ライブラリ/フレームワークが存在する。コンパイラとして、Windows用バイナリを生成するMSVCのほか、他プラットフォーム用バイナリを生成するClangもサポートする。
J#言語の処理系。Visual Studio .NET 2002で登場し、Visual Studio 2005まで含まれていたが、Visual Studio 2008から開発言語として対応を終了した。Visual Studio 2005 Express Editionでは日本語圏での利用者が少数であるという理由のため日本語版パッケージが存在しない。
開発中のソフトウェアのソース コードの管理を行うサーバー製品である。Visual SourceSafe 2005を最後に新しいVisual Studioの製品群には含まれていない。同様の機能はTeam Foundation Serverに移行した。VSSのプラグインはVisual Studio 2013でもサポートされている。
Visual Studio Shell
Visual Studio Shellは新たな開発環境を独自に作成するための基盤となるものである[7]。Visual Studio 2008で導入された[8]。既存の Visual Studio と一体になる統合モード (Integrated Mode) と、独立して動作する分離モード (Isolated Mode) が存在し、ランタイム・SDK共に無料で公開されているが、Visual Studio 2017以降ではサポートされていない[9][10]。
Visual Studio ProfessionalエディションはVisual Studioの主要開発機能やVisual Studio Standardには含まれていないネイティブ アプリケーション開発の追加機能が含まれている。
Microsoft OfficeのWordドキュメントやExcelワークブックを利用したOfficeアプリケーション開発用にVisual Studio Tools for Officeエディションが提供されている。
有料のMSDN特典とサポートがセットとして含まれる製品としてVisual Studio Professional with MSDN Professional Subscriptionが存在するが、通常のVisual Studio Professionalエディションとは別の製品として提供されている。
Visual Studio Expressエディションはアドオンなど一部の機能を制限した統合開発環境を無償提供する製品で、Visual Studio 2005以降から提供されている。かつてはプログラミング言語ごとに提供されていたが、2012以降はプラットフォームごとの統合製品のみが提供されている。Expressエディションは2013を最後に廃止予定だったが、その後撤回され2017まで提供された。
Visual Studio PremiumエディションはVisual Studio 2010 - 2013で提供されていた製品で、Professional エディションの全ての機能に加えて、プロファイリングや分析、テストのための機能が含まれている。PremiumエディションにはMSDN Subscriptionが付属する。Visual Studio 2015以降はEnterpriseとなった[† 3]。
Visual Studio StandardエディションはVisual Studio .NET 2003まではプログラミング言語毎に提供された単体の製品であったが、Visual Studio 2005ではVisual Studioの主要機能を含む内容に変更された。以前までのプログラミング言語毎の製品はExpressエディションとしてVisual Studio 2005で新設された。
全てのプログラミング言語の対応、Visual SourceSafeとの統合、Visual Studio Shell コントロールの対応、リファクタリング、クラス デザイナなどの機能が含まれる。
StandardエディションはVisual Studio 2008まで提供されていたが、Visual Studio 2010より廃止された。Visual Studio 2010ではVisual Studio 2005/2008 StandardエディションからVisual Studio 2010 Professionalエディションへの移行アップグレードが提供された。
Visual Studio Test SuiteエディションはVisual Studio 2005で途中から追加された。Visual Studio 2010で廃止され、Ultimateエディションに引き継がれた。大規模な開発チームにおいて、それぞれの異なる開発者の担当分野に沿う機能をそれぞれ特化した製品である。
Visual Studio UltimateエディションはVisual Studio 2010 - 2013で提供されていた製品で、Visual Studioの全ての機能が含まれている。UltimateエディションにはMSDN Subscriptionが付属する。Visual Studio 2015以降はEnterpriseとなった[† 3]。
Visual Studio 97は、複数のプログラミング言語を単独の開発環境に統合しようというマイクロソフト初の試みであり、実際Visual J++、InterDevとMSDNライブラリはDeveloper Studio と呼ばれる同一の環境を使用した。しかしVisual BasicとVisual C++、Visual FoxProは統合されなかった。
Visual Studio 97にはVisual Basic 5.0とVisual C++ 5.0、Visual J++ 1.1、Visual FoxPro 5.0、Visual InterDev、そしてMSDNライブラリが含まれていた。
Visual Studio 97にはProfessional EditionとEnterprise Editionの2つの製品が存在した。
Visual Studio 2005の日本語版は2006年2月1日に発売された。前のバージョンまで製品名につけられていた".NET"が削除された。
Visual Studio 2005はジェネリクスなど.NET Framework 2.0で追加された新仕様に対応する。ネイティブとマネージドの 64 ビット アプリケーション開発に対応した。一方、Windows 2000で利用可能な最後のバージョンとなり、Windows 98、Windows Me、Windows NT 4.0を対象とするC++アプリケーションを作成できる最後のバージョンとなった[† 17][† 18]。また、内部バージョン番号は8.0だが、ファイル形式のバージョンは9.0となっている[17]。
Visual Studio 2005ではコード スニペットやスマート タグ、リファクタリング機能[† 19]などのコード入力支援機能が追加された。Windows フォーム部品のレイアウト支援が強化され、自動的な間隔調整と部品のドッキング操作が追加された。その他の新機能として、実装前にアプリケーション設計を検証できる「Deployment Designer」、ASP.NET 2.0と統合されたウェブパブリッシングの改善された環境、アプリケーションのパフォーマンスを様々な種類のユーザー負荷の下で確認するための負荷テストを含んでいる。
Visual Studio 2005のエディションは、Express、Standard、Professional、Tools for Office、Team Systemの5つの製品がある。Tools for OfficeはProfessionalエディションにMicrosoft Officeの拡張を作成するためコンポーネントが追加された製品である。そのうち、Team Systemには計5つの製品が存在する(Team Edition for Database Professionalsは発売当初は存在せず、後から追加された)。
ソフトウェアのデザイン、設計機能を重視したTeam Edition for Software Architects
高品質なソフトウェアを開発するための機能を重視したTeam Edition for Software Developers
ウェブアプリケーションを対象とした高度なテスト機能を搭載したTeam Edition for Software Testers
データベースを用いたソフトウェアの設計、開発、テストに特化した機能を搭載したTeam Edition for Database Professionals
以上 4 つの全ての機能を持つTeam Suite
また、Team Edition for Software Testersを補完するVisual Studio 2005 Team Test Load Agent、大規模チームでの開発をサポートするVisual Studio 2005Team Foundation Server (TFS) も存在する。TFSには機能の一つとしてソースコード管理があるが、TFSを使う程ではない中小規模チーム、または個人用にソースコード管理機能だけを持つソフトウェアとしてVisual SourceSafe 2005がある。Academic EditionはStandard Edition相当の機能になっている。TFS 2005は2006年2月のVisual Studio 2005本体より少し遅れて2006年6月に発表された[18]。
.NET Framework 4.5に対応しており、従来のバージョンにも切り替え可能。エディション構成は変更ないものの、Express エディションの構成は大きく変更された。前バージョンの Visual Studio 2010 Express エディションでは、デスクトップアプリケーション開発向けのエディションは「Visual C# 2010 Express」「Visual Basic 2010 Express」「Visual C++ 2010 Express」として言語別に提供されていたが、本バージョンでは「Visual Studio Express 2012 for Desktop」に統合されることになった。また「Visual Studio Express 2012 for Web」と、Windows 8用のアプリケーション(Windowsストアアプリ)が開発可能な「Visual Studio Express 2012 for Windows 8」が提供された。開発環境としての対応オペレーティングシステムがWindows 7とWindows 8のみとなり、Windows Vista以前のオペレーティングシステムでは最新のコア機能が存在しないため対応されない。「Visual Studio Express 2012 for Windows Phone」は10月30日に公開された。Windows Phone SDK 8.0の一部として含まれるExpressエディション以外のVisual Studio 2012がインストールされている場合にはアドオンとして機能するが、インストールされていない場合には単体の開発環境として機能する。
Visual Studio 2005とVisual Studio 2008では、Microsoft Visual Studio Team System(VSTS)と呼ばれていたが、2009年10月、Team SystemはVisual Studio 2010からVisual Studio ALMに名称変更された[† 73][† 74][29]。
Visual Studio Lab Managementは、ソフトウェアテスターが仮想環境を作成および管理するために、マイクロソフトによって開発されたソフトウェア開発ツールである。ラボ管理は、既存のVisual Studio Application Lifecycle Managementプラットフォームを拡張して、統合されたHyper-Vベースのテストラボを可能する。Visual Studio 2012以降に含まれ、Azure DevOpsとSCVMMが統合された後にセットアップする[† 75]。
2019年11月4日に発表された、長期の開発プロジェクトや新機能の高速なプロトタイピング、あるいはプルリクエストのレビューのような短期のタスクに使用できる、マネージド型のオンデマンド開発環境。Visual Studio Code、Visual Studio、またはブラウザーベースのエディターを使用して利用できる[† 81][30]。
^ライセンス条項の原文には"エンタープライズ"の定義として、「An “enterprise” is any organization and its affiliates who collectively have either (a) more than 250 PCs or users or (b) more than one million US dollars (or the equivalent in other currencies) in annual revenues」と記載されている。一方、日本語版のマイクロソフト公式サイトではエンタープライズの定義は記載されておらず、単に「中小規模の企業や団体」の説明として「PC 台数 250 台未満 かつ 年商 1 億円未満の企業」と記載されている。
^「マイクロソフトがVisual Studio 6.0用SP2を配布,修正版Java VMも添付」『日経ソフトウエア(1999年4月号)』第2巻第4号、日経BP、1999年3月24日、10頁。「マイクロソフトは2月3日,Visual Studio(VS) 6.0 Service Pack(SP) 2 の配布を開始した。」