
AD(エーディー、アコースティック・ダイナミック、Acoustic Dynamic)はかつてTDK(1983年〈昭和58年〉2月28日以前は東京電気化学工業名義)が製造・販売、および東京芝浦電気(現・東芝)がAurexブランドでそのOEMとして販売していたコンパクトカセットの商標である。
また、本項では便宜上、以下の製品についても記述する。
1969年(昭和44年)3月[1]から1977年(昭和52年)2月まで発売されていた事実上の先代商品にあたる音楽録音専用ノーマルポジション用コンパクトカセットテープであるSD(エスディー、Super Dynamic)の後継商品として1976年(昭和51年)10月22日から27日にかけて東京・晴海にて開催された「第25回全日本オーディオフェア」にて公式発表され、1977年(昭和52年)3月1日に発売開始。同社を代表するカセットシリーズ「AD」における初代の製品である。1979年(昭和54年)と1981年(昭和56年)、1984年(昭和59年)、1986年(昭和61年)、1988年(昭和63年)、1989年(平成元年)、1990年(平成2年)、1992年(平成4年)、1993年(平成5年)に数回に渡って改良が行われ、磁性体も変化している。本製品の登場以降、「AD」は音楽用カセットのスタンダード、またはリファレンスという位置付けで製品展開されていくことになる。

1995年(平成7年)4月にハイポジション版のAD Type2(後にAD2に改称)が発売されたのに伴い、商品名をAD Type1に改称した(こちらも後にAD1に改称)。改称後も1996年(平成8年)と1997年(平成9年)に渡ってAD2と共にリニューアルが実施され、これと同時に国内生産から国外生産(日本製 →タイ製)へ切り替えられ、カセットハーフの固定がこれまでのネジ止め式に代わり、2ピース構造の半透明のハーフを用いた超音波溶着に変更され大幅なコストダウンが図られた。1990年代後半から録音メディアの主流がMDやDAT、CD-R/RW等のデジタルオーディオ系記録メディアに移行し、コンパクトカセットテープの需要が低迷したことを理由に、2001年(平成13年)末までに同社のメタルポジション用コンパクトカセットテープのMA-EXと共にADシリーズは生産・出荷終了、これと同時にADの商標もシリーズ通算13代・24年の歴史に幕を下ろす事となった。なお、ADシリーズが廃止後のTDKの音楽録音専用コンパクトカセットテープは格下のCDing1・CDing2がそのポジションを担うこととなった。

OD(オーディー、オプティマム・ダイナミック、Optimum Dynamic)はかつてTDKが製造・販売していたコンパクトカセットの商標で2代目、および3代目ADの上位クラスに位置づけられていた製品で1979年(昭和54年)9月1日に発売。磁性体には1973年から1979年まで発売されていた事実上の先代製品となるEDはマグネタイト磁性体が用いられていたのに対し、ODは従来のガンマヘマタイトを基に超微粒子化し、針状比・配向性を向上させた新開発のオプティマフェリック磁性体が用いられ、新バインダシステムにより高分散・高密度充填することにより従来のガンマヘマタイト系カセットテープを凌駕する特性を実現した。高域特性はADと同等だが感度・MOLに関してはADを上回っている。1981年(昭和56年)9月1日の全面改良の際に既存の3代目ADと同様のパッケージデザイン・カセットハーフが用いられたものの、翌1982年(昭和57年)3月1日には既存の3代目ADの上位製品にあたる初代AD-Xが発売されたことでODの存在意義が曖昧になり、最終的に1984年(昭和59年)6月1日に発売を開始した初代ARに跡を託す形で初代AD-Xと共にそのまま販売終了となった。
この項目は、工業製品に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:技術と産業)。 |