SDガンダム(エスディーガンダム、Super Deformed Gundam)は、アニメ作品『機動戦士ガンダム』に端を発するガンダムシリーズに登場したメカや人物などを、頭が大きく手足が短い低頭身で表現したキャラクター、およびそれを用いた作品群の総称である。
1985年6月にガシャポンで売られる塩化ビニール製の人形として最初の「SD(スーパー・ディフォルメ)ガンダム」と称した商品が発売。2頭身で表現されたキャラクターの可愛らしさ、豊富な種類によるコレクション性も手伝って、ガンダムシリーズの主なファンである少年、青年以外の層にまでその人気は広がり、年少者には複雑でわかりにくいガンダムシリーズへの導入のきっかけとなった。
当初はガンダムシリーズのキャラクターをそのままディフォルメ化した作品だった。後に架空の戦国時代を舞台とした「SD戦国伝(武者ガンダム)」や、当時一般化していたロールプレイングゲーム風のファンタジー世界が舞台となった「SDガンダム外伝(騎士ガンダム)」など、元のガンダムの世界を飛び越えた作品が現れる。商品媒体も最初のガシャポン(スーパー・ディフォルメ・ガンダム・ワールド)からカードダス、プラモデル、ゲームなど多岐にわたっている。牽引力となっていたのは講談社発行のコミックボンボンの各企画や連載漫画で、なかでも『超戦士ガンダム野郎』では武者ガンダムとレッドウォーリアが同時登場した。
多くの作品において、低頭身化されたモビルスーツ・モビルアーマーは擬人化され、同様にディフォルメされたキャラクター達と同様に人格のある存在として描かれる。なかにはこれらモビルスーツ由来のキャラクターのみが登場し、登場人物由来のキャラクターは登場しない作品もある。ただし、ゲーム『SDガンダム GGENERATIONシリーズ』や初期の『スーパーロボット大戦シリーズ』のように、出典であるガンダムシリーズと同様のパイロットを要する人型メカとして描かれる場合もある。なかにはSDガンダム外伝における「機兵」など擬人化され人格のあるモビルスーツ由来のキャラクターが擬人化されず、人格のないモビルスーツ用のメカに乗り込む作品もある。
英語のDeformedには「奇形の」という意味がありアメリカでは不適切なためテレビシリーズ「SDガンダムフォース」も含め「SD」を、「Superior Defender」の略としている[1]。
同じように2~3頭身で描かれたメカやキャラクターを「SD体型」などと称する場合もある。
旧来、低年齢層をターゲットとして主に誌面などに掲載されていたディフォルメキャラは、1980年代になると商品用デザインとして定着していった。自動車をディフォルメしたタカラの「チョロQ」などが代表的な商品であるが、その流れは次第にアニメキャラクターにも広がっていく。
一方、カプセルを中心に発売されていた塩ビ人形は、1970年代後半のスーパーカーブームによって大きく広がり、続く怪獣、キン肉マン(通称キンケシ)の流れで、低年齢層に流行を生み出す商品としての地位を固めた。特に1983年から販売されたキンケシは約4頭身とアニメよりも頭身を縮めて頭部を大きくすることでキャラクターの認識度が高くなっていた。
この2つの流れを受けて、バンダイはカプセル商品としてプラキット「ディフォルメエルガイム」「ディフォルメΖガンダム」を発売、1985年に当時高校生であった横井孝二をデザイナーに抜擢し転機となる塩ビ人形「スーパーディフォルメガンダムワールド」を発売した。
この商品はおおよそ2頭身という従来なかったほどの極端なディフォルメであり、当時のガシャポン塩ビ人形のサイズではモビルスーツの細かなデザインを再現できないため、頭部を大きくしてキャラクターの顔をよりはっきりと認識させるようにと意図した商品であった。この極端なディフォルメは当時のバンダイ自販機課の担当者である佐々野雅哉の発案によるものであった。その新鮮なビジュアルをこれまでのディフォルメモデルと区別するため、「スーパーディフォルメ」と名付けられ、その略称として「SD」という言葉が生まれた。
このシリーズは『ガシャポン戦士』と呼ばれ、全国の小中学生の間で大ブームになった。高まる人気に呼応してバンダイから「SDガンダム」を冠したな商品が多数登場し、「SD」はバンダイを超えてディフォルメキャラの一般的な呼称として定着してゆく。また人気の高まりにより武者、騎士、コマンドなど世界観も拡大。「SDガンダムワールド」の発売を前に玩具一部へ異動となった佐々野も、組み立て式玩具「元祖SDガンダム」を立ち上げている。
これらのキャラクター情報や世界観背景はコミックボンボンの「元祖!SDガンダム」をはじめとする漫画や記事をプラットホームにして訴求された。折からのファミコンブームも、限られたスペックでキャラクターを表現可能な「SD」に追い風となった。と同時に、そのデザイナーである横井の人気も爆発。横井の入社したレイアップでは、所属するクリエイターたちが各商品企画を担当し、横井をバックアップすることで拡大するイラストや商品企画に対応した。当時のレイアップのクリエイターはSD絵師軍団等と呼ばれ、お互いに影響を与え合いながらSD人気の盛り上げに貢献している。
SD誕生において、横井は漫画家成井紀郎、江口寿史、鳥山明からキャラクターをディフィルメする事を強く認識したことを語っている[要出典]。特に鳥山明と同じ愛知県出身の横井は、初期にはペンネームを「鳥山劣」として鳥山明をリスペクトしていた。
『クラッシャージョウ』などのアニメパロディを商業誌上で展開し、ディフォルメキャラクターのデザインを得意としていたアニメーターのさとうげん(佐藤元) は『巨神ゴーグ』のディフォルメパロディ版「Qロボゴーグ」の製品化にも関わり、ディフォルメされたガンダムのアムロや『ボトムズ』のキリコなどのサンライズキャラクターが取り扱いメーカーの壁を越えて活躍するパロディ漫画『ロボロボカンパニー』を講談社「コミックボンボン」誌上で連載したほか、後にSDガンダムそのものに も漫画(爆笑戦士SDガンダム)やOVAで関わることとなる。
『ガシャポン戦士』のラインナップはガンダムシリーズの当時までの映像作品に登場するMSはもとより、『モビルスーツバリエーション (MSV)』や『MS-X』『Ζ-MSV』『ΖΖ-MSV』までも網羅し、さらには『MSV』で文字設定のみであったジムキャノン試作型や陸戦用ザク改修型までも立体化するに至る(このほか、当時は『機甲戦記ドラグナー』『重戦機エルガイム』『聖戦士ダンバイン』『機動警察パトレイバー』のメカも取り入れている)。このような「ネタ切れ」とも言える状況の中、1988-1989年にSDガンダムにおける『MSV』的な企画として『SDV(スーパー・ディフォルメ・バリエーション、Super Deform Variation)』(『元祖SDV』とも呼ばれる)が『コミックボンボン』誌上で展開された[2]。
引き続き横井がデザインおよび設定を担当。第1弾としてCガンダム(コマンドガンダム)、騎士ガンダム、忍者ガンダム(百鬼丸)、にせガンダムチーム、ガンダイバーが発表されており、一部にはSDではないガンダムシリーズと関連する設定も創作された[2]。このうち、Cガンダムが間もなく『元祖SDガンダム』として商品化された。
その後はとき田洸一デザインの殿様ガンダムや、読者がデザインしたSDVを立体化するなどの展開を見せるが[3]、大きく盛り上がることもなく終息する。しかし、第1弾の機体(キャラクター)のほとんどは同時期または直後に複数企画されたSDガンダムの外伝に流用されており、これら外伝作品が展開するきっかけとなっている。
名称は暫定のもの。他の作品群で定番となっている「SD化したガンダム・モビルスーツ」が登場せず、『機動戦士SDガンダム』で描かれた「パロディ化された本編の登場人物」と作中歌のみをフィーチャーして制作されている(クリスチーナ・マッケンジーとハサウェイ・ノアが探偵事務所を営む『こちらマッケンジー探偵社▽』等)
一部ユタカの作品以外は全てバンダイナムコゲームス(旧バンダイレーベルとバンダイネットワークス)の発売.配信である。
これらの他にもクラッシャージョウ、アリオン、ゲゲゲの鬼太郎、SLAM DUNK等もディフォルメキャラで商品化されている。
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