この項目では、ソフトウェアについて説明しています。その他の事物については「ブレンダー 」をご覧ください。
Blender (ブレンダー)はオープンソース の統合型3DCG製作 、2Dアニメーション製作 、VFX 向けデジタル合成 、動画編集ソフトウェア である。
Blenderにはそれぞれの用途に特化したファイルテンプレートが用意されており、3DCG[ 注 2] では3Dモデリング、モーショングラフィックス、アニメーション 、シミュレーション、レンダリング 、ポストエフェクト(コンポジット内)などの、2Dアニメーション[ 注 3] ではベクターペイント や中割り [ 6] や撮影処理などの、VFX向けデジタル合成[ 注 4] ではキーイング やロトスコープ (マスキング画面)やマッチムーブ などの、動画編集[ 注 5] ではプロキシ編集などの作業が可能となっている。
Blenderは一般的な3DCGソフトウェアと比較すると軽量かつ多機能ながらライセンス料が無料なことから、アマチュア層にも普及している[ 7] 。
操作面ではバージョン2.7x系までは「オブジェクト(個々の3Dモデル)は右クリックで選択」が基本という、他の大半のソフトウェアと異なる点が特徴の一つであったが、バージョン2.8x以降は「左クリックで選択・右クリックでサブメニュー」という、一般的なソフトウェアの操作が標準になっている[ 注 6] 。
元々ネットワークドライブを使ったファイルの共有は可能となっていた(例えばWindows 版ではUNC パス(「\\コンピュータ名\共有フォルダ名」)に対応[ 8] )。
その後、3.0でアセットブラウザ機能が搭載されアセットの共有が容易となり[ 9] 、3.1でアセットの索引付けが行われるようになってアセット一覧の読み込みが高速化された[ 10] [ 11] 。
また、マルチユーザー同時操作が可能なMultiuser アドオンもある[ 12] [ 注 7]
BlenderはWindows 64ビット版(Windows 8.1 以降)、macOS Ventura 以降、Linux (glibc 2.28以上) など複数のOS 環境上で動作する (クロスプラットフォーム )[ 15] 。ダウンロード可能なバイナリにはポータブル版 (Windowsでは.zip 、Linuxでは.tar.xz ) 、インストーラー 版、各ストア版(Microsoft Store /Snap Store/Steam )が用意されている。
Blenderは一般向けのPCでも動かすことができるが、できればビデオカード があることが望ましい。動作には10年未満の新しいハードウェアが推奨されている (下記の最小動作環境参照)[ 15] 。
BlenderのUIは3ボタンマウス及びペンタブレットに最適化されている。2ボタンマウスやトラックパッドでは内蔵の3ボタンエミュレーション機能を使う必要がある[ 16] [ 17] 。またBlenderは3Dマウス (NDOFデバイス) にも対応している[ 17] 。
Windows 及び Linux の動作環境 部品 最小動作環境[ 15] 推奨動作環境[ 15] CPU 64ビット 4コア(SSE4.2対応) 64ビット 8コア DRAM 8 GB 32 GB GPU VRAM 2GB、OpenGL 4.3以上またはVulkan 1.3以上VRAM 8GB ディスプレイ Full HD (1920px×1080px)以上ポインティングデバイス マウス、トラックパッド又はペンタブレット 3ボタンマウス又はペンタブレット
Blenderは旧来の狭色域SDRディスプレイに加えて、広色域ディスプレイやハイダイナミックレンジ (高輝度幅、HDR) ディスプレイにも対応している(HDRディスプレイ対応は5.0以降[ 18] )。
SDRディスプレイ向けの表示色空間では狭色域のRec. 709 、Rec. 1886 (英語版 ) (Rec. 709 ガンマ2.4)および広色域のDisplay P3 、Rec. 2020 を、HDRディスプレイ向けの表示色空間ではRec. 2100 PQ /HLG を使うことが可能となっている[ 19] 。
なお広色域の色を表示するためには作業色空間[ 注 8] を ACEScg ないし Linear Rec.2020 にする必要がある[ 19] 。またmacOS以外で広色域/HDRの色を表示するためには Vulkan バックエンドへの切り替えやデスクトップ環境の設定の変更なども必要となる[ 19] 。
Blenderにおけるカラーパイプラインの例 パイプライン 白色点 作業色空間 色域圧縮 出力色空間 非写実 (NPR) パイプラインD65 Rec. 709 Linear Standard[ 19] Rec. 709 SDR写実 パイプライン D65 Rec. 709 Linear Filmic AgX Rec. 709 HDR写実 パイプライン D65 Rec. 2020 Linear AgX HDR Rec. 2100 PQ Rec. 2100 HLG ACES パイプライン D60 ACEScg ACES 1.3 ACES 2.0 ACES2065-1
広い作業色空間から狭い表示色空間への変換には色域圧縮が必要となるが、Blenderには色域圧縮の方式として以下が搭載されている[ 19] :
SDR出力専用Standard - リニアで変換 Khronos PBR Neutral - 特定値までリニアでハイライト部分だけ圧縮[ 20] Filmic -フィルム を模したもの。「Notorious 6」(高露光で6色に偏り)の問題があり[ 21] [ 22] 非推奨[ 19] 。復数のコントラスト設定が選択可能。 SDR出力/HDR出力両対応AgX - Filmicを改良して実カメラのように高露光で白へと推移するようにしたもの[ 23] 。デフォルト。復数のコントラスト設定が選択可能。 ACES (英語版 ) 1.3 - 映画向け。Filmicと同様に高露光で色相が偏る問題がある。ACES 2.0 - 上記の問題が解決されている[ 24] だけでなく、ACES 1.xとは見た目が異なっている[ 24] 。 VR Oculus Tram Station 2.83以降にはVR表示に対応するVR Scene Inspectionアドオンが搭載されている[ 25] 。この機能にはOpenXR 対応のヘッドマウントディスプレイ (HMD) デバイス (OpenXR#対応ハードウェア 参照) が必要となる[ 26] 。
3.0以降は入力デバイスによるナビゲーションにも対応したものの、2021年12月現在、オブジェクト操作にはxr-controller-supportブランチが必要となる。
アドオン / テーマ / エクステンション[ 編集 ] Blenderに機能を追加するパッケージは「アドオン」と呼ばれており、UIの配色などを追加するパッケージは「テーマ」と呼ばれている。またアドオンやテーマは併せて「エクステンション」(拡張)と呼ばれている[ 27] 。
Blender 4.1以前は多くの公式アドオンや公式テーマがBlender本体に付属していたが、Blender 4.2以降はアドオンやテーマをオンラインで提供するための公式レポジトリ「Blender Extensions」が用意され、そちらでの提供が中心となっている。Blender ExtensionsはBlenderの設定からもアクセス可能。
また公式レポジトリに無いオープンソースのアドオンや有料アドオンなども存在している。
3DCG業界やアニメ 業界ではMaya や3ds Max などプロ向けのソフトが標準となっているが[ 28] 、近年では機能が強化されたことで利用する動きもある[ 29] 。
アニメ制作会社・カラー と、その子会社であるプロジェクトスタジオQは、従来使用してきた3ds Max からBlenderへの移行を進めており、2021年7月に公開終了(終映)した『シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 』においてもBlenderの「実地検証」を実施している[ 30] 。また、両社はBlender財団への賛同と開発資金の提供を発表した[ 31] [ 32] 。 2020年、白組 がBlenderで制作した作品『はれるんウェザーアドベンチャー』を発表した[ 33] 。 2018年公開のネクスト ロボ ではBlenderが全面的に使用された[ 34] [ 35] 。 Goodbye Kansa Studioは、Unity の Adam デモ、Walking dead season 8などでblenderを採用した[ 36] 。 Ubisoft Animation Studio は2020年より社内の3Dソフトウェアを全面的にblenderに移行することを表明した[ 37] 。 下書き、ストーリーボード及び手描きアニメーション[ 編集 ] Grease pencilの例。キャラクターはGrease pencilオブジェクトと板ポリゴン、自転車は3Dモデルで作成されている。 Blenderは2D/3Dベクター ペイント及びアニメーションのためのGrease Pencil(グリースペンシル) 機能を有している。この機能は直接3D空間内に手描きすることが出来、それに対し3D空間での移動・変形やライティング等を含めた撮影が可能となっている[ 38] 。この機能は3Dモデリングのための下書き、ストーリーボード[ 39] [ 40] 、手描きアニメーション などに利用できる。またストロークはリギングできるため、カットアウトアニメーションを作ることも可能となっている[ 41] 。
2Dアニメーションに向けて、「2Dアニメーション」テンプレートが付属している。またボックス変形、キャンバス回転、ブラシパックのインポートなどに対応するGrease Pencil Toolsアドオンも用意されている。
また5.0以降はストーリーボード作成に向けて、「Storyboarding」テンプレートも搭載されている[ 注 9] 。
BlenderはPNG形式 などのラスタ画像(ビットマップ画像 )の入力に対応しており[ 43] 、Grease Pencilはそのラスタ画像をベクター化する画像トレス機能を有している[ 44] (Potrace (英語版 ) ベース)。ただし可能なのはアウトライン(輪郭線)化のみであり、線画トレスで使われるセンターライン(中心線)のベクトル化には未対応となっている。
また、2.93以降のGrease Pencilはベクター画像 のSVG 形式の入力や、3Dからのライン抽出(LineArt機能)にも対応している。3.3以降はLineArt機能が影のラインにも対応している。
ベクタ自体の生成はドローモードで、生成後の編集はエディットモード・スカルプトモードでおこなわれる[ 45] 。2Dレイヤー機能を持っており、下描きレイヤーで下描きした後、線画レイヤーで線画作業することも可能となっている。
Grease Pencilマテリアルはストローク(線)とフィル(面)にテクスチャを指定することができ、それによってアナログ画材風にすることができる。またストロークとフィルの色は単一色だけでなく頂点カラーで指定することもできる。頂点カラーで指定する場合はシーン内に大量のマテリアルを作成する必要性が低くなる。
Grease Pencilは前後の参照フレームを表示するためのOnion Skinning機能を有している。また、フレーム補間 (interpolation)機能も有しており、セルアニメ における中割り(動画 工程)を自動で行うことが可能となっている[ 6] 。
Grease Pencil オブジェクトはメッシュやライトなどのように単独のオブジェクトであるため、3D空間に配置され移動や撮影が可能である。また視覚エフェクト(Visual Effect)機能も有しており、透過光(グロー)などの撮影処理がリアルタイムに可能となっている。
Blender 2.93以降のGrease Pencilはベクター画像のSVG形式およびPDF形式での出力に対応している。出力した画像または動画はAcrobat Reader 、Inkscape 、Krita 、Adobe Illustrator 、Photoshop 、Toon Boom Harmony など様々なソフトウェアで取り扱うことが可能となっている[ 46] 。
Blenderは3Dモデリング 機能を提供している。様々な形状表現をサポートしており(⇒#形状表現 )、それぞれに対応した高機能のウィジェット(モード)が提供されている。
Blender2.90でのモデリングツール 名称 効果 押し出し フリー、または軸に沿って面や点などを押し出す。 面を差し込む 選択した面に新しい面を挿入する。 ベベル 選択物を一定の角度でカットし、斜面や溝を作成する。 ループカット オブジェクトに一周辺を入れる。 ナイフ メッシュに切り込みを入れる。 ポリビルド 頂点の編集や面の作成などができる。 スピン 円を描くように選択した頂点を押し出す。 スムーズ 選択した頂点の角度を滑らかにする。 辺をスライド 辺をスライドする。 縮小/膨張 選択した点を法線に沿って拡大縮小する。 せん断 画面の水平方向に選択物をせん断する。 領域リップ ポリゴンを引き裂き、移動する。
Blenderは以下の形状(ジオメトリ)表現をサポートしている[ 47] :
Curves で はベジェ曲線 とNURBS をサポートしている[ 48] 。Surfaces ではNURBSのみをサポートしている[ 49] 。
スカルプトモードが搭載されており、形状をスカルプトして有機的な形状を作成できる。タブレット入力に対応しており、筆圧に応じたスカルプトが可能となる(傾きにも4.5以降対応[ 50] )。スカルプトモデリング用のテンプレートも搭載されている。
直感的に布の物理演算を行うことができるSculpt Cloth機能もある[ 26] 。2.91でプラスチックのような可塑性に対応した。
スカルプトしたジオメトリをアニメーションで使いやすくするリトポロジでは、手動リトポロジに必要なメッシュ編集機能(ポリビルドなど)とオートリトポロジ機能が搭載されている。
高度な手動リトポロジにはRetopoflowアドオンなどが必要となる。2022年現在、Blenderでは専用のリトポロジモードが開発中となっている (D14035)。
Blenderはモディファイア機能によりプロシージャルモデリング に対応している。
モディファイア (英 :modifiers )はオブジェクトのジオメトリに対する変形指令である。モディファイアをオブジェクトに付与することで非破壊的にオブジェクトを変形できる、すなわち元オブジェクトのデータを保持したまま見た目を変えられる[ 51] 。1つのモディファイアはジオメトリを受取り変形し出力するため、複数のモディファイアを直列に繋ぐことができる。このモディファイアのセットはモディファイアスタック (英 :modifier stack )と呼ばれる[ 52] 。
Blenderはビルトインで様々なモディファイアを定義している。その中の一つ Geometry Nodes モディファイアはノードベースのプロシージャルモデリングを行うことが可能である。プロシージャルモデリングに特化したGeometry Nodesワークスペースが搭載されており、SpreadsheetによるGeometry Nodesのデバッグが可能となっている。またGeometry Nodesによる破壊的な編集ツールの作成も可能となっている (Node-based Tools)。
またモディファイアは Geometry Nodes を使って追加することが可能であり、Geometry Nodes の Gizmo(操作ウィジェット)ノード群を使って様々なジオメトリ操作をUIで行うことが可能となっている。
外部アドオンにはノードベースでプロシージャルモデリング/アニメーションが可能なSverchokアドオン、Animation Nodesアドオンもある[ 注 10] 。
blenderのヘアーツール 3.3以降、ヘアはCurvesオブジェクトとして実装されている。Curvesオブジェクトは編集モード及びスカルプトモードによって破壊編集が、Geometry Nodesによって非破壊編集が可能となっている。3.5以降はヘア向けに様々なノードアセットが付属している。
また旧来のヘアパーティクルも実装されており、そちらはパーティクルシステムモディファイアの入ったオブジェクトのパーティクル編集モードによって編集が可能となっている。
ヘアのリアルタイムレンダリング(ビューポート表示)にも対応しているが、リアルタイムのEEVEEはまだヘアシェーダ未対応となっている[ 53] 。
UDIMを使用したモンスター。4Kの法線マップ を5枚使用している。 UV編集では自動展開、ライブ展開、UVスカルプトなどに対応している。また単一UVマップだけでなく、マルチタイルUVマップ(UDIM )の編集にも対応している。3.3以降はGeometry NodesからもUV展開が可能となっている (UV Unwrap Node)[ 54] 。
UVの機能を強化するアドオンのMagic UVが用意されている。
リアルタイムレンダラーのEEVEEやインタラクティブレンダリング可能なパストレースレンダラーのCyclesが搭載されており高速なルックデブが可能となっている。
シェーダーでは各種物理ベースシェーダー のほか、ノードベースでのシェーダー作成や、Open Shading Language によるテキストベースのシェーダー作成も可能となっている。
基本的な3Dペイント機能が搭載されているほか、レイヤーペイントにはUcupaintアドオンが存在する。
2022年現在、高度なテクスチャリング機能の開発が計画されている[ 55] 。
Blender には独自のファイルブラウザ及び各種インポーター/エクスポーターが搭載されている。Blender 3.0以降はアセットシステム及びアセットブラウザも搭載されている。アセットブラウザではアセットのドラッグ&ドロップが可能。
Blenderのネイティブ形式は独自の.blend 形式となっている。.blend 形式ではバージョンによって細かな仕様が異なっているものの、変換などによりなるべくバージョン間の互換性が確保されるようになっている。3.0で標準圧縮方式がgzip からZstandard (Zstd)へと変更され、それ以前のBlenderとの後方互換にはファイルの解凍が必要となった[ 56] 。5.0で膨大なデータに対応するためにファイル形式の改変が行われ、後方互換にはBlender 4.5 LTSを通すことが必要となった[ 57] 。
.blend 形式にはUIの状態、各種データブロック(シーンやオブジェクトやマテリアルなど)、埋め込みファイル(テキストやテクスチャなど)の情報を含んでいる。また3.0以降は任意のデータブロックをアセット化して説明やタグ付けすることが可能となっている。なお.blend 形式では単独シーンだけでなく複数のシーンを含むことができる。
Blenderでは外部 .blend ファイルに含まれている任意のデータブロックを個別に追加またはリンクすることが可能となっている。ライブラリオーバーライドにも対応しており[ 58] 、リンクしたデータブロックの任意のパラメータの上書きが可能となっている。
ファイルのインポート及びエクスポートではオートデスク のFBX 形式、クロノス・グループ のCOLLADA (.dae) 形式およびglTF 形式(4.1以降gltfpackによる後処理に対応)、PixarのUniversal Scene Description (USD) 形式などの代表的な3Dシーン及びモデル形式、OBJ形式 やSTL形式 やPLY形式 などの昔ながらの3Dオブジェクト形式、ジオメトリキャッシュのAlembic 形式(.abc)の読み込み及び書き出しが可能となっている。一部の形式はPythonで実装されているため低速となっており、高速化のためにネイティブでの再実装が進行中となっている[ 注 11] 。また一部の形式では複数ファイルの同時インポートにも対応している[ 注 12] 。4.2以降はコレクション単位でのエクスポートに、4.5以降はGeometry Nodesのノードによるインポートにも対応した[ 50] 。
CAD ファイルのインポートではDXF 形式を入出力するためのAutoCAD DXFアドオンが、化学ファイル形式 (英語版 ) のインポートではPDB形式 (英語版 ) やXYZ形式 (英語版 ) を読み込むためのAtomic BlenderアドオンやMolecular Nodesアドオンが用意されている。
建物情報モデル (BIM )で使われるIFC 形式の入出力ではBonsaiアドオン(旧BlenderBIM)が用意されている。また外部アドオンでは地理情報システム (GIS)で使われるGeoTIFF 形式などを読み込むためのBlenderGISアドオン、写真測量 で使われる形式を読み込むためのblender-photogrammetryアドオン[ 60] やBlender-Addon-Photogrammetry-Importerアドオン[ 61] もある。
テクスチャ画像ではOpenEXR 形式、DDS 形式、Photoshop PSD形式を始めとする様々な画像形式の読み込みに対応している。
また動画や音声ではFFmpeg のライブラリを使用しているため、様々なフォーマットやコーデックの動画や音声の読み込みが可能となっている。
Blenderではヘアパーティクル機能を使うことでオブジェクトのスキャッタリングが可能となっている[ 62] 。また2.92以降はGeometry Nodesが搭載され、それによってノードベースのオブジェクトのスキャッタリングも可能となった[ 63] 。
2022年現在ライティングワークスペースは搭載されていないものの、実写合成向けでは階層化可能なオブジェクトのコレクションでレンダリングの制御が可能となっており[ 注 13] 、アウトライナー上で可視性、マスキング(ホールドアウト)、直接光除去(間接光のみ)の制御が可能となっている。
3.2以降、オブジェクトとそれを照らすライトを紐付けるLight Groupsに対応し、4.0以降、Light Linking及びShadow Linkingに対応した。
単純なアニメーション、Python式を使った連動アニメーション (ドライバー[ 注 14] )、スケルタルアニメーション (ボーンアニメーション)などに対応している。
スケルタルアニメーションではフォワード・キネマティクス (英語版 ) (FK・順運動学)、インバース・キネマティクス (英語版 ) (IK・逆運動学)の両方に対応している。IKソルバーにはBlender独自のものとiTaSCベースのもの[ 64] が搭載されている。ジョイント・コンストレイント (英語版 ) を含む様々な拘束が可能。
3.0以降、ジオメトリノードに文字列操作ノードや、文字列からカーブへの変換ノードが用意されている。
流体シミュレーション シミュレーションにはBullet ベースの剛体シミュレーション[ 65] 、独自の布・軟体・ヘアシミュレーション、Mantaflowベースの流体シミュレーション (液体・気体)[ 66] などが搭載されている。
パーティクルは旧来の固定機能のパーティクルシステムが搭載されている。このパーティクルシステムは流体パーティクルや群行動パーティクルにも対応している。
またGeometry NodesのSimulationノードを使えばカスタムパーティクルシステムを作ることも可能となっている[ 67]
レンダリングエンジンの項 で詳述
ノードベースのコンポジット機能を搭載しており、様々な画像処理が可能となっている。ディープコンポジティングには対応していないが、Cryptomatte には対応している。GPUでの高速なコンポジットにも対応しており、ビューポートでもコンポジット込みの表示が可能となっている。
また、2D/3Dモーショントラッキング、ロトスコープなどのVFXに必要となる機能及びVFXテンプレートも搭載されている。
スクリプトエディター画面 BlenderはPython スクリプトを使用してエディタやオペレーターを拡張することができる。標準ワークスペースにはPythonスクリプトを編集するためのScriptingワークスペースが用意されている[ 68] 。
Scriptingワークスペースには構文強調 や閉じ括弧補完(3.1以降)に対応したテキストエディタ、Pythonコンソール 、操作ログなどが用意されている。
コードの自動補完 には標準で未対応であり、Intellisense for Blender Text Editorアドオンなどを入れる必要がある。
PyCharm やEclipse /PyDev (英語版 ) などの外部エディタを使ってPythonスクリプトを編集することも可能となっている。この場合、コードの自動補完にはfake-bpy-moduleなどの外部モジュールを使う必要がある[ 69] 。またリモートデバッグにはremote_debugger.pyなどが必要となる[ 70] 。
なお、Blenderは7割前後のコードがC言語で書かれており2割前後のコードがC++で書かれている[ 71] ものの、C言語やC++でアドオンを作成するため機構やSDKは用意されていない。PythonからC/C++で書かれたダイナミックライブラリを呼び出し、as_pointer()メンバ関数で主要構造体のポインターを取得しダイナミックライブラリ側へと渡すことは可能[ 72] なものの、構造体の定義などは自前で行う必要がある。
動画編集用の Video Sequence Editor (VSE) 機能およびVideo Editingテンプレートが搭載されている。プロキシ編集に対応している。また3.0以降はタイムラインの動画サムネイル表示や変形ツールが搭載されている。5.0以降は動画編集においてもコンポジットを使うことが可能となっている(コンポジターモディファイア)[ 18] 。
動画編集を強化するアドオンのPower Sequencerも用意されている。様々なタイムライン形式を読み込むためにはオープンソースのVSE IOアドオンが必要となる[ 73] 。
3Dプリント に向けて編集モードにメッシュ解析のためのMesh Analysisオーバーレイが搭載されている[ 74] ほか、クリーンアップ機能を含む3D Print Toolboxアドオンも用意されている[ 75] 。ただし直接3D印刷を行うことは出来ない。
cyclesをビューポートで利用 Workbenchはビューポート向けの作業用レンダラーであり、Eeveeは高度なリアルタイムレンダラーとなっている。CyclesはGPU(及びそれに搭載するレイトレーシングアクセラレータ (英語版 ) )対応のパストレーシングレンダラーであり、オフラインレンダリング向けとなっている。これらレンダラーはビューポート上のプレビュー表示でも使うことが出来る。
CyclesとEeveeの間にはレンダリング手法が異なることもあり、マテリアルなどの非互換性が多少存在する[ 76] [ 53] [ 77] 。
なお、過去のレンダラーにはスキャンライン /レイトレーシング ハイブリッドレンダラーのBlender Internalが存在した。Blender Internalはバージョン2.8で削除された。
Blender 2.61以降に付属しているオープンソースのパストレーシングレンダリングエンジン。3.0でCycles Xが統合され高速化されている。Blender本体から半独立しており、Blender以外のソフトウェアにも使われるようになっている:
レンダリングアルゴリズムは単方向パストレーシングに対応している[ 注 24] 。テクスチャベイクも可能となっている。
GPUレンダリングではCPUメモリの使用 (英語版 ) が可能であり、速度の低下はあるもののGPUのVRAM 容量を越える大きなシーンのレンダリングが可能となっている[ 83] 。
レンダーファームを作成することも可能だが、ネットワークレンダリングや分散レンダリング(Distributed Rendering)には標準で未対応となっている。
リアルタイムPBRレンダラー。バージョン2.8から付属。
ビューポート用のレンダリングエンジン
2.7xまではゲームエンジン機能を内蔵しており、ロジックノードやPython スクリプト を利用することでインタラクティブなコンテンツ を制作することが可能であった。またゲームエンジンを動かしてその動きをキーフレームへと焼き付けることも可能であった(Record Animation機能)。
2.8ではゲームエンジン機能が一旦削除されたものの、外部プロジェクトとして旧来のゲームエンジンを維持した派生版のUPBGE が開発され続けている。UPBGEではEEVEEレンダラーやGPUコンポジットなどの新しいBlenderの機能を使うことが可能となっている。
また、本家でも今後インタラクティブモードが再度追加される予定となっている。
BlenderのCyclesレンダラー用のベンチマーク ツールとしてBlender Benchmarkが用意されており、これによりシーンのレンダリングにかかる時間を計測することができる。計測データのアップロードにも対応しており、アップロードされたデータはBlender公式のOpen Dataサイトで閲覧可能となっている[ 95] 。
3.0時点でベンチマークに使われる標準シーンは以下の3つとなっている[ 97] :
Classroom(教室) Junkshop(ジャンク屋) Monster(モンスター) Blenderには独立したPython環境が搭載されており、Python言語を使用して独自のスクリプトや拡張アドオンを作成することが可能となっている。
BlenderのPython環境には標準で数学モジュールのNumPy [ 98] /mathutils/bl_mathや、低レイヤーグラフィクスモジュールのgpu/gpu_extras(及び非推奨のbgl)、アプリケーションモジュールのbpyなどが搭載されている[ 99] 。それ以外の拡張モジュールを使うためにはpip などを使って外部パッケージをBlenderのPython環境にインストールする必要がある。
BlenderのPython APIではアプリケーション情報にbpy.app経由でアクセスする[ 100] 。
import bpy print ( bpy . app . version_string ) # Blenderのバージョンを表示 開いているファイルの全データにはbpy.data経由でアクセスし、操作中のデータにはbpy.context経由でアクセスする。データの変更はbpy.msgbusで受け取ることが可能。
import bpy print ( bpy . data . objects [ 'Cube' ] . location ) # 'Cube'オブジェクトの位置を表示 print ( bpy . context . active_object . rotation_euler ) # 選択中のオブジェクトのオイラー角を表示 オペレータの実行はbpy.ops経由で行う。
import bpy bpy . ops . transform . resize ( value = ( 2 , 2 , 2 )) # 選択中のオブジェクトを二倍に拡大 オペレータは自前で追加することも可能である。
import bpy class SimpleOperator ( bpy . types . Operator ): """ツール tip""" bl_idname = "object.simple_operator" # オペレータ識別子 bl_label = "Simple Object Operator" # オペレータ名 @classmethod def poll ( cls , context ): return context . active_object is not None # アクティブオブジェクトがある時のみ有効 def execute ( self , context ): for ob in context . scene . objects : # 現在のシーンのオブジェクトを辿って print ( ob ) # それぞれの情報を表示する return { 'FINISHED' } def register (): bpy . utils . register_class ( SimpleOperator ) # オペレータクラスを登録 def unregister (): bpy . utils . unregister_class ( SimpleOperator ) # オペレータクラスの登録を解除 if __name__ == "__main__" : register () # test call bpy . ops . object . simple_operator () Blenderを用いたスクリプトをUI無しで使うことも可能となっている[ 104] 。この場合は以下のコマンドを使う必要がある[ 104] :
blender[ ファイル名.blend] --background --python スクリプト名.pyまたBlenderのAPIを通常のPython環境で使うためのBlender as a Python Module も存在し[ 105] 、pip経由でのインストール(コマンド:pip install bpy )が可能となっている(3.4で公式化)。このモジュールを使う場合は以下のように通常のPythonからの実行が可能となる:
一からシーンを構築してレンダリングするスクリプトの例:
import bpy bpy . ops . wm . read_factory_settings ( use_empty = True ) # 真っ新な環境にする bpy . ops . wm . obj_import ( filepath = "./test.obj" ) # OBJファイルインポート bpy . ops . object . light_add ( type = 'POINT' , radius = 1 , location = ( 0 , 0 , 2 )) # ライト1追加 bpy . ops . object . light_add ( type = 'POINT' , radius = 1 , location = ( - 2 , 0 , 0 )) # ライト2追加 bpy . ops . object . light_add ( type = 'POINT' , radius = 1 , location = ( 2 , 0 , 0 )) # ライト3追加 bpy . ops . object . camera_add ( location = ( 0 , - 10 , 0 ), rotation = ( 1.6 , 0 , 0 )) # カメラ追加 bpy . context . scene . camera = bpy . context . active_object # シーンカメラ設定 bpy . ops . render . render () # レンダリング bpy . data . images [ 'Render Result' ] . save_render ( "./test.png" ) # 保存 また、Blenderを使わずにBlender形式の中身を読み取るためのPythonモジュール「Blender Asset Tracer (BAT ) 」も存在する。 この BAT は Blender Asset Manager 及び blender-file モジュールの後継に当たる[ 106] 。この BAT も pip からのインストールが可能となっている (pip install blender-asset-tracer )。
Blenderはメジャーあるいはマイナーのバージョン更新を年に数回おこなっており、バグ修正が Corrective Release として適宜リリースされている。また約1年ごとに2年サポートのLTS 版をリリースしている。以下の表は近年のBlenderのバージョン履歴表である。
凡例
サポート終了
サポート中
現行バージョン
最新プレビュー版
将来のリリース
表. Blenderバージョン履歴 (2025-8-22時点) バージョン リリース日 種類 リンク 最新プレビュー版: 5.02025-06-04 alpha (~2025-10) [1] 現行バージョン: 4.5 2025-07-25 LTS (~2027-07) [2] サポート終了: 4.42025-03-18 [3] サポート終了: 4.32024-11-19 [4] サポート中: 4.22024-07-16 LTS (~2026-07) [5] サポート終了: 4.12024-03-26 [6] サポート終了: 4.02023-11-14 [7] ... サポート終了: 3.62023-06-27 LTS (~2025-06) [8] ... サポート終了: 2.932021-06-02 LTS (~2023-06) [9] ... サポート終了: 2.832020-06-03 LTS (~2022-06) [10]
バージョン2.5系列ではほぼ全機能の近代化改修、ブラッシュアップが行われ、2011年4月に初の安定版2.5.7がリリースされた[ 107] 。
バージョン2.6系列では、2.61においてカメラトラッキング等、他のハイエンドツールにも匹敵する機能を追加した
2.4x以前のUI 2.4x以前はAmiga の面影を残した略語多用のインターフェースとなっていたが、開発版の2.5xでUIが一新されて近代化されていき、安定版の2.6で一応の完成を見たものの、ショートカット主体の操作などはそのままとなっていた。
その後、2.8でウィジェットやワークスペースが導入されたほか左クリックでの選択が標準となり、2.81で円形メニューが導入された。
Blender 2.10でPython APIが導入され[ 108] 、Blender 2.5xでPython 3系へと移行して新たなPython API「bpy」が導入され[ 109] [ 110] 、Blender 2.62でPython APIの行列が行優先から列優先 (英語版 ) へと変更された[ 111] 。
2.63でメッシュ 構造が多角形ポリゴン (Ngon) に対応するBMeshへと移行された[ 108] 。2.80でほぼ全ての操作が複数オブジェクトの同時編集 (Multi-Object Editing) に対応した[ 112] 。また2.80でリグなどが循環依存しにくくなる再設計された依存グラフが導入され[ 113] 、2.81で汎用的な外部データのオーバーライド編集のためのLibrary Overridesが導入され、3.0でLibrary Overridesがキャラクターアニメーション限定だった旧来のプロキシを完全に置き換えた[ 58] [ 114] 。
3.xで内部メッシュ形式が大きく変更され、頂点・エッジ・ポリゴンの各種属性が配列構造体 (Structure of arrays) (英語版 ) 形式のジェネリックアトリビュート(Mesh.attributes)へと移された。
Blenderの内部ラスタライズレンダラーはもともとBlender Internalと呼ばれていたが、2.32でそれがオーバーホールされ[ 108] レイトレーシングにも対応するようになった[ 115] 。また内蔵ビューポートは2.48でGLSLシェーダー用いたレンダリングに対応した[ 108] 。
レイトレーシング+環境遮蔽 (AO) のレンダラー YafaRay を使ってレンダリングした3DCG画像 また2.32では外部レイトレーシングレンダラーYafRay (英語版 ) (後のYafaray)の統合のベータ版が提供され[ 115] 、2.34でそれが安定版となった[ 108] 。その後もBlenderと共に使う外部レンダラーではYafrayが人気となっていた[ 116] が、Blender 2.61では新たなパストレーシングレンダラーのCyclesが搭載され[ 108] 、Yafrayに代わってCyclesが人気となっていった。
その後、2.79でCyclesに物理ベースシェーダーが導入され[ 108] 、次いで2.80にはリアルタイム物理レンダラーのEEVEE[ 108] 及び作業用ビューポートレンダラーのWorkbenchが導入され、旧来の非物理ベースのBlender Internal及びGLSLビューポートは廃止された。
3.0ではCyclesの次世代版として高速なCyclesXが導入された。4.0ではWorkbenchの次世代版であるWorkbench nextが導入予定となっている。また同4.0ではUSD のHydraレンダーデリゲート経由でのレンダリングに対応し、USDのリアルタイムレンダラーであるHydra Storm用のアドオンも搭載された。
4.2ではEEVEEの次世代版であるEEVEE Nextが導入された。
Blenderでは2.5の開発中において簡易的な色管理が導入された[ 117] ものの、その対応色空間は長らくリニアRec. 709 とsRGBのみに留まっていた[ 118] [ 119] 。2012年、2.64で色管理ライブラリのOpenColorIO が統合される[ 120] [ 118] と、各種色空間との変換も可能となり[ 118] 、また専用設定ファイルを用いることで映画向けのACES色空間の広い色域を使うことも可能となった[ 119] 。
しかしながらACESには色相シフトの問題があり[ 21] 、2017年の2.79では映画向け独自トーンマッピングシステムとしてFilmicが搭載され[ 121] 、2023年の4.0ではその改良版[ 注 25] のAgXが搭載された[ 21] [ 22] 。
2024年の4.2では電子商取引 向けに彩度を落ちにくくしたKhronos PBR Neutral[ 122] が搭載された[ 123] 。
2025年の5.0ではハイダイナミックレンジ (HDR) な色空間への対応が強化され、HDR対応の色空間ではACES 1.3、ACES 2.0、AgX HDR、Rec. 2100 PQ /HLG に対応した[ 18] 。
2004年の2.33より、物理ライブラリのライセンス問題でオープンソース化後に取り外されていたゲームエンジンが再統合された。2.8ではゲームエンジン機能が一旦削除され、その機能は外部プロジェクトのUPBGEが維持することとなった(#ゲームエンジン (UPBGE) 参照)。
Blenderでは長らく国際化の不十分な内蔵フォント[ 注 26] が搭載されていた(外部フォントは使用可能だった)が、2.60以降は非西洋言語にも対応するインターナショナルフォント[ 注 27] が搭載されている[ 125] 。その後、3.3でフォントフォールバック (英語版 ) に対応し[ 54] 、3.4でより包括的なフォント「Noto Sans」が導入された。
また、日本語環境は2.49aより前までは貧弱だったが、2.49bにて2ちゃんねる のBlenderスレッドの有志が制作・配布した詳細な日本語翻訳テーブルが公式採用された事で強化された。その後、バージョン2.5系列で国際化 がなくなり日本語環境での使用はできなくなっていたが、GSoC2011にて国際化され、平行して有志により再び日本語対応が行われ、バージョン2.60にて公式に日本語環境が復活した。
翻訳作業は公式が配布するi18nアドオンで行う[ 126] 。
Ton Roosendaal 2018 (ZkKPXn6QBx8) Blenderの前身であるTraces は、オランダのCG スタジオ、NEOGEO社の共同創設者の一人であるトン・ローセンダール (Ton Roosendaal) によって、AmigaOS 向けのレイトレーシングレンダラーとして開発され、後にSGIIRIX へと移植された。その後、Tracesのソースコードは書き直されて、Blenderとなった。
1998年 、トン・ローセンダールはインハウス・ツールとして使用されてきたBlenderの開発・外販を行う為にNot a Number Technologies (NaN) 社を設立した。Windows版も用意され、ラジオシティ 機能などを実装した有料版と無料版の二種を展開した。
2001年、NaN社は、Web3Dに向けて、Blender Webプラグインのベータ版をリリースした[ 127] が、セキュリティの問題から頓挫した。2002年 、インターネット・バブル の崩壊と共にNaN社は倒産 し、Blenderのソースコード は債権者の手に渡ってしまう。しかし開発途上にあったBlenderを手放すことができなかったトン・ローセンダールはBlender Foundation を設立するため、"ソースコード解放"を合言葉に大々的な募金 キャンペーンを行い半年で10万ユーロ を世界中から集結させ、ソースコードを再びその手に取り戻した。
そして現在までBlenderは、GPLの下にオープンソースウェアとして開発・無償配布されている。ソースコードのコメントがオランダ語 で書かれていた上に、プログラム自体が定石から外れた組み方をしていたため、開発を引き次いだ有志は他OS への移植などで苦戦したという。
2002年5月、Blender Foundation がアムステルダム に設立された。
2006年3月、Blender Foundation は最初の映画である、Elephants Dream を公開した。Elephants Dreamの成功を受け、以降のコンテンツ作成プロジェクトを制作するBlender Instituteが開設された。
2008年、UI一新などを目的とするBlender 2.5の開発が開始された。バージョン2.4系は2009年のBlender2.49をもって開発終了し、2011年に2.5系の初の安定版となるバージョン2.57がリリースされた。
2011年、Blender Foundation は開発基金の Development Fund を立ち上げ[ 128] 、その開発基金は同2011年にコンポジットのOpenCL対応、パーティクルノード、スカルプティングモデリング改善への支援を行った[ 129] (パーティクルノードは2022年現在未マージ)。また2011年には新たにカメラトラッキング機能を搭載したBlender 2.61がリリースされ、翌2012年には Blender Institute が実写合成を用いたオープンVFX映画「Tears of Steel (英語版 ) 」の制作を行った。
2014年末、Blender Foundation Development Fund 及び Blender Institute は18個の開発プロジェクトを公表し[ 130] 、後のバージョンに搭載されることとなる大きな機能の実装が開始された。
2015年、Blender 2.73 で注釈機能であった Grease Pencil 機能が強化されて2Dアニメーションが可能となり[ 131] 、その後も Grease Pencil V2 が登場するなど2Dアニメーション機能が強化されていった。2018年には Blender Institute がオープン映画として3D技術を用いた 2Dアニメの「HERO」を制作した[ 132] 。
一方、2018年6月にはYoutubeによってBlenderの使用方法を解説する動画がブロックされ、広告付きでの公開を要求された。これをBlender Foundationが拒否したところ、次々と他のBlenderチャンネルの動画がブロックされる事態となった。ローセンダールは抗議動画をYoutubeにアップロードし、それまでの動画をBlender cloudに移行することとした。[ 133]
また、バージョン2.5系は2018年6月リリースの2.79bをもって開発終了とし、2019年7月にリアルタイムレンダラ「Eevee」や物理ベースレンダリング(PBR)などに対応する2.8系の初の安定版となるバージョン2.80がリリースされた。高機能化に伴って企業ユーザーが増加し、特定の版における機能の凍結と長期サポート(Long-term support、LTS)を求める企業ユーザーからの要望により、2.8系は2020年5月リリースの2.83においてLTS版として機能が凍結され、今後の開発はバグの修正のみとなった。新機能の実装はバージョン2.9系としてなされることになり、2020年9月にバージョン2.90がリリースされた。
2.9系では Everything Nodes の嚆矢となるジオメトリノード[ 63] 、リンクしたアセットのオーバーライド編集のためのライブラリオーバーライド、リアルタイムなエッジレンダリング (LineArt) などの機能が搭載された。その後、バージョン2.9系は2021年リリースのバージョン2.93をもって凍結された。
2021年12月にはバージョン3.0がリリースされてアセット管理システムやレンダラーの高速化 (Cycles X)などが搭載された。また2023年リリースの3.5ではリアルタイム3Dのバックエンドとして既存のOpenGL APIに加えてAppleのMetal API にも対応している[ 134] 。2025年リリースのバージョン4.5ではVulkan への対応が正式版となった。
Blender財団の主な収入源は寄付であり、一般ユーザーでも6ドルから寄付できる[ 135] 。
2019年7月、Unreal Engine の開発元のEpic Gamesが epic mega grant において、120万ドルを支援することを発表した[ 136] 。
2020年8月、Unity 開発元の Unity Technologiesは、Patronメンバーとして支援を表明した。
2020年11月、Spark AR を擁するFacebook は、Patronメンバーとして基金への参加を表明した[ 137] 。
2020年12月、Amazon Web Services のThe Creative Team ジェネラルマネージャーであるKyle Rocheは、AWSがPatronメンバーとして今後最低3年間支援していくことを表明した。発表では特にキャラクターアニメーションを強化する前提での支援である旨が強調されている[ 138] [ 139] 。
企業メンバーはblenderチームの戦略会議に出席したり、ロードマップ、優先度の決定に参画することができる[ 140] 。
プラン メンバーシップ 費用(ユーロ) 特典 Bronze 6,000 開発者1人月 Silver 12,000 開発者2人月 Gold 30,000 開発者6人月 Patron 120,000 開発者12人月以上
Patron Corporate Gold Corporate Silver
Blender CloudはBlender Institute が運営する有料ウェブサービスである[ 141] 。Blender Cloudアドオンも公開されており、Blender内から機能の一部を利用できる。月額の利用料は9.9ユーロ。
2020年12月から2021年の10月まで継続してBlender Cloudに加入すると、Blender Studioの新作オープンプロジェクトである、Sprite Fright のエンドロールに名前がクレジットされるキャンペーンが行われている[ 142]
以下のサービスが利用できる
トレーニング動画の閲覧 オープンプロジェクトの制作風景の映像や資料の閲覧 オープンプロジェクトで使用されたアセット、.blendファイルの入手 HDR画像、パブリックドメインのテクスチャー素材のダウンロード Private Projects (10GBのストレージ) Blender Sync (Blenderの設定のクラウド上での同期、無料) Attract (映像、ゲーム製作用のプロジェクト管理ソフト) Flamenco (レンダーファームの管理ソフト) BforartistsはUIの改良に焦点を当てたBlenderの派生版である[ 143] 。多数のアイコンの追加などが行われている[ 143] 。
非写実的レンダリング (NPR) 向けのフォーク[ 144] 。
Blender Studio Tools は Blender Studio のオープンムービー製作のために作られたツール群であり、Blender 及び共同製作プラットフォーム Kitsu を使ったパイプラインを含むものとなっている。Blender Studio Tools には様々なアドオンが含まれている。
Blender Studio Tools を使って作られたムービーには以下がある:
Blender Studio Toolsに含まれるアドオンのうち、Blender Extensionsプラットフォームからのインストールも可能なものには以下がある:
CloudRig - リグ生成アドオンの一つ[ 145] [ 146] Brushstroke Tools - Geometry Nodes を使った3Dブラシ線のアドオン[ 147] [ 148] Easy Weight - ウェイトペイント補助アドオン[ 149] [ 150] GeoNode Shape Keys - リンクされオーバーライドされたメッシュをスカルプト変形できるようにするアドオン[ 151] Lattice Magic - 部分的ラティス変形およびカメラ投影ラティス変形アドオン[ 152] Pose Shape Keys - 補正シェイプキーアドオン[ 153] [ 154] またその他の含有アドオンとして以下が含まれている
以下のアドオンは開発停止中となっている:
Cache Manager - Alembicキャッシュ向けアドオン[ 160] 。 またBlenderを動画や画像などの表示向けにするための Media Viewer テンプレートも搭載されている[ 161] 。
AttractはWebベースのプロダクション/タスク管理ツールである[ 162] [ 163] 。元々Tears of Steel (英語版 ) のために作られ、その後も改良が続いていた[ 163] 。
Blender Cloudに統合されており、Blender Cloudアドオンから使用することが出来た[ 164] 。
Attractを使って作られたムービーには以下がある:
しかしながら Sprite Fright 以降のオープンムービーは Attract の代わりに Kitsu が使われており[ 166] 、Attract は開発停止中となっている(Kitsuを使ったパイプラインツールについては#Blender Studio Tools を参照)。
Flamenco は小規模チームに向けたWebベースのレンダーファーム管理ツールである[ 163] [ 168] 。Blender向けのジョブ投入用アドオンも用意されている。
以前は複数拠点レンダリングに対応していた[ 163] 。3.0で1から書き直され[ 168] 、単純化されたためオフラインでも動作するようになった[ 168] 。
BEER (Blender Extended Expressive Renderer) 及びそのバックエンドの Malt は BNPR(Blender NPRコミュニティ)によって開発されたBlender用の非写実的レンダラー の一つである[ 169] 。Malt はGLSL 言語の表現に近いビジュアルプログラミングを採用している。どちらもオープンソースで実装されている。
^ GPLv2+とApache License 2.0の組み合わせ ^ Generalテンプレート ^ 2D Animationテンプレート ^ VFXテンプレート ^ Video Editingテンプレート ^ 選択に用いる際のマウスボタンクリックの右と左を入れ替える事は昔から可能。 ^ 過去には同様のUbisoft Mixerアドオンも存在した[ 13] [ 14] 。 ^ 浮動小数点数 と共に使われる演算の容易な線形(リニア)色空間^ 過去にはStorypencilアドオンや外部アドオンのUbisoft Shot Manager[ 42] もあった。 ^ 過去には外部アドオンとしてSorcarアドオンもあった。 ^ ネイティブ実装されている形式にはCOLADDA形式、USD形式、Alembic形式、OBJ形式(エクスポータは3.1以降[ 59] 、インポータは3.2以降)、STL形式(インポータは3.3以降[ 54] 、エクスポータは4.1以降)、PLY形式(3.6以降)、FBX形式(インポータのみ、4.5以降)などがある。なお2025年現在glTF形式とFBX形式のエクスポータはPython実装のみとなっている。 ^ STL形式では以前より、OBJ形式では3.4以降。 ^ コレクションの無い頃はレンダーレイヤで制御していた。 ^ 2.4x以前はIpo Driver ^ GPUが無い場合はソフトウェアレンダリングにも対応している(Mesa 3D 経由など)。 ^ OpenCL対応は3.0で削除された。 ^ MacにおけるOpenGL対応は3.6まで。 ^ レイトレーシングアクセラレータはNvidia RTX (英語版 ) 搭載のNVIDIA GPU及びAMDRDNA 2 以降のAMD GPU、Intel Arc GPUなどに搭載されている。 ^a b 「Screen Space Indirect Lighting with Visibility Bitmask」を元にしている[ 80] 。 ^ 3.0より前は分岐パストレーシングにも対応していた。 ^ 5.0より前は実験的機能として実装されていた[ 18] 。 ^ Apple Metalのシェーダ(C++ベース)を含む。 ^ 3.0未満はOpenCL も使われていた。 ^ 3.0より前は分岐パストレーシングにも対応していた。 ^ 「Notorious 6」の問題が解消された。 ^ bfontとして知られている。Bitstream Vera Sans→DejaVu Sans 派生フォント[ 124] 。 ^ Droid Sans ^ “Blender’s 25th birthday! ”. blender.org (2019年1月2日). 2019年8月1日閲覧。 ^a b “Release: Bump to 4.5.4 release ” (2025年10月27日). 2025年11月3日閲覧。 ^ “Release: Bump to 4.2.15 release ” (2025年10月27日). 2025年11月3日閲覧。 ^ “Release: Bump to 5.0.1 ” (2025年12月16日). 2026年2月9日閲覧。 ^ “License - blender.org ”. 2019年11月23日閲覧。 ^a b Grease Pencil » Grease Pencil Animation » Interpolation Blender Foundation ^ 初めての3DCGから本格ゲーム開発まで予算10万円台"Blender"向けPCを MUGENUPが検証! - CGWORLD.jp^ Basic support for UNC paths on Windows Bkender Foundation 2014年4月21日^ Asset Browser Project Update Blender Foundation 2021年6月11日^ Introduction Blender Foundation^ Blender 3.1 Release Blender Foundation 2022年3月9日^ Multiuser Blender Foundation^ Ubisoft releases free Blender collaboration tool Mixer 1.0 CG Channel 2021年5月10日^ 「Blender」でリアルタイム共同編集 ~Ubisoftが「Mixer」アドオンを正式公開 窓の杜 2021年5月13日^a b c d Requirements Blender Foundation ^ Using 2 Button Mouse in Blender KatsBits^a b 周辺機器の構成 Blender Foundation ^a b c d 5.0 — Blender Blender Foundation ^a b c d e f Displays and Views Blender Foundation ^ Khronos PBR Neutral Tone Mapper Released for True-to-Life Color Rendering of 3D Products Khronos Group 2024年5月16日^a b c Filmic's Successor: New AGX View Transform in Blender 4.0 BlenderNation 2023年9月5日 ^a b Blender 4.0 Released: Check Out The New Features Of Blender's New Era Blender Nation 2023年11月14日 ^ Blender 4.0: Color Management Blender Foundation^a b ACES 2 Rendering Transform 映画芸術科学アカデミー ^ “Reference/Release Notes/2.83/Virtual Reality - Blender Developer Wiki ”. wiki.blender.org . 2020年11月4日閲覧。 ^a b Blender Foundation releases Blender 2.83 LTS CG Channel 2020年6月4日 ^ Extensions Platform Beta Release Blender Foundation 2024年5月15日^ “[SIGGRAPH2010]Vol.06 今年で20周年を迎える3ds Max関係者に独占インタビュー ”. 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