トップレベルドメイン (TLD : top-level domain)は、インターネット の階層型Domain Name System の最上位レベルのドメイン名 である[ 10] 。トップレベルドメインは名前空間のDNSルートゾーン にインストールされる。これより下位のレベルの全てのドメインでは、トップレベルドメインはドメイン名の最後の部分、すなわち、つまり完全修飾ドメイン名 の最後の部分である。例えば、ドメイン名www.example.com では、トップレベルドメインはcomである。ほとんどのトップレベルドメインの管理に対する責任は、Internet Assigned Numbers Authority (IANA)を運営するInternet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN)によって特定の組織に委任されており、DNSルートゾーンの維持を担当している。
IANAでは現在、トップレベルドメインを以下のグループに分類している[ 11] 。
元々、トップレベルドメインは、Countries (国)、Categories (カテゴリ)、Multiorganizations (マルチ組織)の3つの主要グループに編成されていた[ 12] 。それに加えて、arpa のみからなるtemporary (一時利用)グループがあり[ 13] 、DNSの安定化のための過渡的な目的のために使用された。
2015年現在、IANAはトップレベルドメインを以下のグループに分類している[ 14] 。
国は、2文字のISO国名コード によって指定されている[ 15] が、.uk などの例外もある。そのため、このドメイングループは一般に「国別コード」トップレベルドメイン(ccTLD)と呼ばれている。 2009年以降、ラテン文字以外の文字を使用している国では、国際化国別コードトップレベルドメイン が申請できるようになった。これは、エンドユーザのアプリケーションには言語固有の文字で表示されるが、DNS内部ではPunycode によりASCIIコードに変換した形で登録されている。
ジェネリックトップレベルドメイン は、当初は.gov 、.edu 、.com 、.mil 、.org 、.net から構成されていた。後に、.info などの他のgTLDが追加された。
ルートゾーンに現在存在するTLDの正式なリスト は、IANAのWebサイト(https://www.iana.org/domains/root/db/ )に公開されている。
国際化国別コードトップレベルドメイン (IDN ccTLD)は、Webブラウザ などのエンドユーザアプリケーションに、その言語固有の文字(アラビア文字 、漢字 など)で表示されるように特別に符号化されたトップレベルドメインである。IDN ccTLDは、それぞれの国また地域に割り当てられたトップレベルドメインに、国際化ドメイン名 (IDN)を適用したものである。
ICANNは2009年11月にIDN ccTLDの申請の受付を開始し[ 16] 、2010年5月に最初のIDN ccTLDのをDNSにインストールした。最初のIDN ccTLDは、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に対するアラビア語での名前だった。2010年5月までに、21の国がICANNに申請書を提出した[ 17] 。
ドメイン.arpa は最初のトップレベルドメインの一つである。これは一時的な使用を意図しており、従来のARPANET のホスト名からドメイン名への移行のために使用されていた。しかし、DNSの逆引き に使用されるようになり、廃止するのは実用的ではないと考えられ、現在はIPv4 用のin-addr.arpa、IPv6 逆引きDNS解決用のip6.arpa、動的委任発見システム 用のuri.arpaとurn.arpa、NAPTR (英語版 ) に基づく電話番号マッピング 用のe164.arpaなど、様々なインターネットインフラ用に使用されている。歴史的な理由から、.arpa はジェネリックトップレベルドメインと見なされることがある。
RFC 6761 では、混乱や競合を避けるために、次の4つのトップレベルドメインを予約している[ 18] 。
RFC 6762 では、マルチキャストDNS名前解決プロトコルを介して解決できるリンクローカルホスト名に.local (英語版 ) の使用を予約している[ 19] 。
RFC 7686 では、Tor のHidden Serviceの自己認証名のために.onion の使用を予約している。ユーザの匿名性を保護するためにオニオンルーティング を使用しているため、この名前はTorクライアントによってしか解決できない[ 20] 。
1980年代後半に、InterNIC はNATO 用に.nato ドメインを作成した。当時存在していたどのTLDも、NATOの国際機関としての地位を十分に反映しているとみなせなかったからである。しかし、この追加後まもなく、InterNICは一般的な国際機関で使用するための.int TLDを作成し、NATOにセカンドレベルドメインnato.intを使用するよう説得した。.natoは1996年7月に削除された。
チェコスロバキア の.cs (現在はチェコ の.cz とスロバキア の.sk )、東ドイツ の.dd (ドイツ再統一 後は.de を使用)、ユーゴスラビア の.yu (現在はボスニア・ヘルツェゴビナ の.ba 、クロアチア の.hr 、モンテネグロ の.me 、北マケドニア の.mk 、セルビア の.rs 、スロベニア の.si )、ザイール の.zr (現在はコンゴ民主共和国 の.cd )も、国の消滅、改称等により現在は使用されていない。これらとは対照的に、.su はソビエト連邦 が崩壊したにもかかわらず、今なお管理されており、使用されている。
2000年代後半にICANN が.aero 、.biz 、.coop 、.info 、.museum 、.name 、.pro の導入について議論し、それを導入した[ 21] 頃、サイト所有者は、成人向けおよびポルノ用のWebサイトでも同様のTLDを利用可能にすべきだと主張した。xxx、sex、adultなどのいくつかの選択肢が提案され[ 22] 、.xxx ドメインが2011年に稼働した。
2008年にパリで開催された第32回国際公開ICANN会議で、ICANNは「新しいジェネリックトップレベルドメインの導入を大きく前進させる」ための新しいTLD命名ポリシーのプロセスを開始した[ 23] 。2012年6月13日、ICANNは約2000の新しいトップレベルドメインを発表し、2013年中にインストールを開始した[ 24] [ 25] 。ドーナツ社 (英語版 ) は5700万ドルを投資して300以上のドメインを取得した[ 26] [ 27] 。
新しいジェネリックトップレベルドメインの作成におけるICANNの進歩の遅れ、およびTLDに関連する高い導入コストから、異なるトップレベルドメインのセットを持つオルタネートルート が作られるようになった。オルタネートルートに登録されたドメインは、代替または追加のDNSサーバまたはWebブラウザ用のプラグインモジュールを使用してコンピュータを設定することによってアクセスできる。ブラウザプラグインはオルタネートルートのドメイン要求を検出し、そのような要求に対してオルタネートルートDNSサーバにアクセスする。
かつて、BITNET 、CSNET 、UUCP など、コンピュータの専門家や学術ユーザーの間で広く使用されているネットワークがいくつかあったが、それらはインターネットと直接相互接続できず、特別な電子メールゲートウェイを介してしかインターネットとメールを交換できなかった。ゲートウェイでの中継を目的として、これらのネットワークに関連付けられたメッセージには、.bitnet 、.oz 、.csnet 、.uucp などのサフィックスが付いていたが、これらのドメインはインターネットのDNSにトップレベルドメインとして存在していなかった。
匿名ネットワークTor は、以前はTorのHidden Serviceにトップレベルの疑似ドメイン.onion を使用していたが、この疑似ドメインは2015年10月に正式に予約された。i2p は同様の隠し疑似ドメイン、.i2p を使用する。
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