カーボンブラックは、広義には炭素からなる黒色顔料の総称として使われ、後述のランプブラックやボーンブラックを含む。黒色顔料の名称としてカーボンブラックと呼ぶ場合、チャンネルブラックやファーネスブラックなどの極微細カーボンブラックを指す。チャンネルブラックは著しい漆黒度と着色力を持ち、粒子の直径は僅か10nmである。ファーネスブラックは、表面が不活性で、通常カーボンブラックとして取引されているもののほとんどはファーネスブラックである。Colour Index Generic NameはPigment Black 7である[7]。
植物黒は植物原料を炭化させたもので、使用材料によって「葡萄蔓黒・葡萄蔓炭、バインブラック (Vine Black)」、「桃核黒・桃核炭、ピーチブラック (Peach Black)」などと命名されるが慣用名になっており、例えば「ピーチブラック」を冠する製品は存在するものの広く一般に入手可能な製品に桃核黒・桃核炭を使用した製品は存在しない。一部製品のラベルには植物性黒の使用が記されているが、顔料は既に払底しており、実情と異なる。真正の桃核黒・桃核炭を望むならば、例えば火鉢や鞴などの簡便な道具を用いて自作するほかない。この時なるべく高温で焼成すると植物性黒らしい青味の強い黒色顔料を作ることが可能である。ただし当然ながら火には注意しなければならない。植物黒のColour Index Generic NameはPigment Black 8である[7]。
獣骨を焼成して製造した黒色顔料。主成分は燐酸カルシウムで、発色成分である炭素は10%前後に過ぎない。この値は原料骨によって左右される。象牙は有機物含有量が高いために、象牙黒炭素を多く含有する着色力が強い黒色顔料を作ることができる。しばしば黴の温床となる、扱いに注意を要する顔料である。油絵具などに見られる「アイボリーブラック」のアイボリー(象牙)は名前ばかりで、実際には牛などの骨による骨炭が使用されている。しかし2007年新たに発売された国産ブランド油絵具「油一」の「アイボリーブラック」には真正の象牙による骨炭が贅沢に使用されており、一部で話題となった。2年後の2009年、ホルベイン工業は顔料において、このほかの16種の顔料と同時に真正象牙黒を製品化した[8]。骨炭のColour Index Generic NameはPigment Black 9である[7]。
黒鉛は平面状の分子がきちんと層状に積み重なったもので、炭素の原子が蜂の巣状(六角形が二次元的に繰り返された構造)に共役結合した平面分子である。現在、グラファイトは顔料の形で購入可能であり、鉛筆から手作りした鉛筆の粉とは性質が異なる。Colour Index Generic NameはPigment Black 10である[7]。
鉄の酸化物(マグネタイト型四酸化三鉄)や、銅とクロムの複合酸化物、銅、クロム、亜鉛の複合酸化物なども、有用な黒色顔料である。炭素系黒色顔料とは性状が大きく異なる。Colour Index Generic Nameは四酸化三鉄がPigment Black 11で[7]、銅・クロムの複合酸化物がPigment Black 28である[7]。