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遠江

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
曖昧さ回避この項目では、現在の遠州地方について説明しています。令制国時代の遠江地方については「遠江国」をご覧ください。
駿河地方焼津上空から御前崎方面を望む。画面中央が大井川河口で、上半分が遠江。

遠江(とおとうみ)は、かつての令制国遠江国およびその後の浜松県、そしてその領域にほぼ相当する現在の静岡県西部地方を指す時の呼称。遠州(えんしゅう)とも呼ばれる。この記事では現在の静岡県遠州地方について述べる。令制国時代の遠江地方に関しては遠江国の記事を参照。

京都から見て近い湖である琵琶湖近江、遠い湖である浜名湖を遠江と言う。

概要

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遠州地方のデータ
日本
地方中部地方東海地方
面積2,544.10km2
推計人口1,441,926
(2025年11月1日)
榛原郡の内、大井川鉄道井川線の沿線を除く。

太平洋遠州灘)に面し、遠州地方と呼ばれる。

方言は遠州弁が使われ、静岡弁との共通点より三河弁(特に東三河)との共通点の方が多いという特徴を持つ。

範囲

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遠州地方の定義は東限の区切りによって複数種類あり、狭い順に

  • 静岡県西部地方(旧遠江国のうち、静岡県中部地方に区分される旧榛原郡[注 1]を除いたエリア)
  • 大井川(現代の流路)以西(旧遠江国のうち、流路変更を理由として榛原郡から志太郡[注 2]へ移管[1]された向榛原地域を除くエリア)
  • 大井川の旧流路である栃山川以西(旧遠江国全域)

のいずれかを指す。いずれが使われるかは場面により異なる。

自治体

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自治体郡制施行時の郡域地域県の地方区分遠州弁方言区画県総合庁舎都市雇用圏広域圏

広域都市圏
遠州の範囲備考
名称範囲広義中間狭義
湖西市全域浜名郡西遠西部湖西方言浜松浜松三遠南信広義の西遠方言に含まれる。
浜松市中央区全域浜松方言政令指定都市郡制施行時点では後の旧北区[注 3]を含む中央区全域が浜名郡域。
浜名区全域郡制施行時点では後の旧浜北区域のうち旧浜名町北浜村赤佐村中瀬村域が浜名郡域。
引佐郡郡制施行時点では後の旧北区域[注 4]の全域と旧浜北区域のうち旧麁玉村域が引佐郡域。
天竜区全域周智郡北遠北遠方言北遠郡制施行時点では後の旧春野町水窪町城西村域が周智郡域。
磐田郡郡制施行時点では後の旧二俣町浦川町佐久間村山香村龍山村域が磐田郡域。
磐田市全域中遠中遠(磐周)方言中遠
袋井市全域郡制施行時点において後の旧袋井町久努村今井村三川村浅羽町の全域と旧田原村の一部が該当。
小笠郡郡制施行時点での旧笠原村の一部が該当。
周智郡郡制施行時点では後の旧山梨町久努西村域が周智郡域。
周智郡森町全域郡制施行時点では後の旧三倉村森町域が周智郡域。
小笠郡郡制施行時点での旧原泉村の一部が該当。
御前崎市全域榛原郡南遠東遠(小笠)方言掛川(旧御前崎町域)* : 合併前の県地方区分は中部であった。
△ : 狭義の遠州には含まない場合がある。
小笠郡西部(旧浜岡町域)
掛川市全域東遠
菊川市全域
牧之原市全域榛原郡中部榛原方言藤枝しずおか中部連携中枢都市圏
榛原郡吉田町全域
川根本町[注 5]一部大井川以西のエリア[注 6]のみが該当。合併前は全域が榛原郡で、大井川以東の合併相手は全域が志太郡[注 2]であった。
島田市[注 7]一部島田大井川以西のエリア[注 8]のみが該当。
焼津市[注 9]一部向榛原[注 10][2][3]静岡弁 志太方言)静岡栃山川以西のエリア[注 13]のみが該当。※ : 大井川の流路変更後(郡制施行前)に榛原郡から志太郡[注 2]へ移管された。
藤枝市[注 14]一部栃山川以西のエリア[注 15]のみが該当。
  • 浜松市 (政令指定都市)
    浜松市
    (政令指定都市)
  • 磐田市
    磐田市
  • 袋井市
    袋井市
  • 掛川市
    掛川市

地区

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郡名は郡制施行時のもので表記[注 16][注 17]

旧、浜名郡引佐郡
  • 西遠(せいえん)
天竜川以西。浜松市(天竜区以外)と湖西市
工業地区。
旧、磐田郡周智郡
北部。浜松市天竜区
西遠に含まれる場合もある。
全体的に観光名所や森林が多い。
天竜川以東の中部地区。磐周とも呼ばれる。磐田市袋井市・周智郡森町
中遠と東遠を合わせて中東遠(ちゅうとうえん)と呼ぶ場合もある。
旧、小笠郡榛原郡
東部。掛川市菊川市牧之原市・榛原郡吉田町・榛原郡川根本町[注 5]大井川以西[注 6]島田市[注 7]大井川以西[注 8]
島田市のうち旧・下川根村エリアと榛原郡川根本町大井川以西[注 6]は北遠に含む場合がある。
狭義の遠州の定義(静岡県西部)には旧・榛原郡域が含まれないため、その場合には上記のうち前者二市のみとなる。
  • 南遠(なんえん)
南東部の遠州灘沿い。御前崎市。掛川市のうち旧・大東町大須賀町エリアを含むこともある。
東遠に含まれる場合もある。
狭義の遠州の定義(静岡県西部)では御前崎市のうち旧・榛原郡に属していた旧・御前崎町エリアは含まれない。
榛南地域と共に「榛南・南遠広域」として発展してきた歴史がある。
御前崎灯台などが立地する。
  • 向榛原(むこうはいばら)[注 10]
広義の遠州の定義(旧・遠江国全域)でのみ含まれる、大井川以東・栃山川以西[注 18]の旧・榛原郡から旧・志太郡[注 2]に移管されたエリア。
遠州の向榛原地区とは扱わずに駿河の志太地区に含むことが多い。
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自然

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天竜川に沿って中央構造線が走っており、中央構造線の沿線に山々が列んでいる。気候では、からっ風が吹く地方としても知られる。

産業

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牧之原の茶畑
農業(代表的農産物)
工業
浜松市は、楽器バイクの生産で有名である。ただし、ヤマハ発動機は、当初は旧浜北市[注 20]に本社を置いていたが、後に磐田市に本社を移転した。
繊維

祭事

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掛川で使用される二輪屋台
  • 遠州では、山車のことを屋台と呼ぶ(掛川市横須賀地区では祢里と呼ぶ)。屋台には花屋台御殿屋台があるが、御殿屋台の方が遠州全域に広まっており、花屋台は少数派である。
  • 屋台の文化が発展している反面、神輿の文化は殆どなく、屋台引き回しと平行で小規模に行うところ、神輿自体出さない(或いは無い)ところが殆どである。
  • 遠州には、初子祝いで初凧を揚げる文化があるが、浜松市を除き衰退してしまっている。浜松市の浜松まつりは現在でも初凧の文化を継承している。
  • 西遠地区を中心に練りという文化があるが、それは浜松まつりの影響を受けている。詳細は、浜松まつり#練りを参照。
  • 浜松市内各所では祭事の際にラッパ隊という老若男女がラッパを演奏する。こちらも浜松まつりの影響を受けている。詳細は、ラッパを参照。
  • 西遠地区の一部(主に浜名湖岸)では手筒花火の文化が存在する。
  • 花火の一環として地割れ花火の文化も佐久間町中部をはじめとして遠州各地に点在する。

現在の交通網

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静岡空港牧之原市
浜松駅浜松市中央区
三ヶ日JCT浜松市浜名区
御前崎港御前崎市
鉄道
東海旅客鉄道(JR東海)
日本貨物鉄道(JR貨物)
  • 東海道本線
遠州鉄道(遠鉄)
天竜浜名湖鉄道(THR)
主なバス会社(わずかな乗り入れ、高速バス等は除く)
主な道路
高速道路
国道
重要港湾
空港

メディア

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県紙の静岡新聞の影響力がやや強いが、西遠地区を中心として、浜松市で編集発行されている中日新聞東海本社の影響も強い。

名古屋系の夕刊紙も販売されているが、全国紙では読売新聞社毎日新聞社産経新聞社東京本社のエリアとなっている。

名古屋系の朝夕刊紙
名古屋系の夕刊紙
※かつては日刊ゲンダイ中部版も販売されていたが、同紙は2024年3月をもって休刊。

派生用語

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  • ふぐ料理において、外の皮(鮫皮)とフグの身の間にある内の皮をとおとうみという。これは身と皮三河)に近い事からの駄洒落である。

脚注

[編集]
[脚注の使い方]

注釈

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  1. ^向榛原地域を含む。
  2. ^abcde旧駿河国。
  3. ^三方原村域。
  4. ^三ケ日町引佐町細江町都田村域。
  5. ^ab町役場は大井川以西の遠州(旧・榛原郡中川根村域)に立地。
  6. ^abc中川根村上川根村
  7. ^ab市役所は大井川以東の駿河(旧・志太郡島田町域)に立地。
  8. ^ab金谷町初倉村下川根村
  9. ^ab市役所は大井川以東の駿河(旧・益津郡焼津村域)に立地。
  10. ^abc向う榛原または向こう榛原とも表記する。
  11. ^大島新田を除く。
  12. ^静浜村と大富村に別れて合併。
  13. ^ab相川村の全域・吉永村の全域・静浜村の大半[注 11]・上小杉村[注 12]の全域。
  14. ^ab市役所は大井川以東の駿河(旧・志太郡藤枝町域)に立地。
  15. ^ab源助村善左衛門村
  16. ^郡制施行前に志太郡[注 2]に移管された向榛原[注 10]地区のみ榛原郡に含めて表記。
  17. ^袋井市と周智郡森町には小笠郡から編入した区域が存在するが、ごく一部の面積に限られるためここでは考慮しない。
  18. ^焼津市[注 9]の一部[注 13]藤枝市[注 14]の一部[注 15]
  19. ^現在の浜松市浜名区東部。
  20. ^後の浜松市浜北区[注 19]

出典

[編集]
  1. ^大井川町史編纂委員会 1992, pp. 44–45.
  2. ^谷岡 武雄「<論説>大井川扇状地における散居集落 : その起源と集落型の継承性に関する若干の考察」『史林』、京都大学文学部 史学研究会、1973年5月1日、2025年8月25日閲覧 
  3. ^神崎 彰利「近世前期村落の動向-遠江国榛原郡吉永村を中心に-」『明治大学刑事博物館年報』1980年3月20日、ISSN 0389-59122025年8月25日閲覧 

参考文献

[編集]
  • 大井川町史編纂委員会 編『大井川町史』 下巻、大井川町、1992年3月31日。NDLJP:9540885 

関連項目

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