| 「消費期限」とは異なります。 |
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賞味期限(しょうみきげん)とは賞味期間の限界すなわち賞味期間の最終日時[1]。
「賞味期間」とは品質劣化が比較的遅い食料品を包装状態のまま所定の状況において、製造者が安全性や味・風味など全ての品質が維持されると保証する期間。
衛生面よりも品質が重要なので、衛生的に比較的長期間保存できる加工食品に「賞味期限」を記載する。
食品には賞味期限の他に消費期限があり、下記のように意味は異なる[2][3]。
いずれも、1)開封していない状態 2)記載されている保存方法通りに保存していること が条件である。
日本における賞味期限は、2008年(平成20年)2月24日の農林水産省および厚生労働省による新聞広告[4] で次の様に解説されている。
- 賞味期限とは「美味しく食べられる期限」です。
- 開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、美味しく食べられる期限を示しています。賞味期限内に美味しく食べましょう。ただし、期限が過ぎても食べられなくなるとは限りません。保存がきく食品に表示されており、3か月を超えるものは年月または年月日で、3か月以内のものは年月日で表示されています。
- “美味しく食べられる期限”を示します。賞味期限を表示した食品は傷みにくいので、期限を過ぎても、すぐに捨てる必要はありません。
- スナック菓子、即席めん類、缶詰など
- 賞味期限内に食べるのは◎、期限切れを食べるのは△
- もったいない! 賞味期限が切れていてもすぐに傷むわけではありません。保存や調理法を上手に行い、無駄な廃棄を少なくしましょう。
- 食品の期限表示は、開封前の期限です。一度開封したら、期限表示に拘らず早く食べましょう。食品に表示されている保存方法を守りましょう。保存方法の表示がない場合は常温で保存できます。
- 加工食品には消費期限または賞味期限のどちらかの期限が表示されています。(一部の食品を除く)
日本において賞味期限は、食品表示法[5] 第4条第1項の規定に基づく内閣府令である食品表示基準[6] 第2条第1項第8号において、「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。 」と定義されている。食品である以上、求められる衛生面での安全性や、味・風味などの機能が維持される期限である。
基本的には年月日で表示されるが、缶詰やレトルト食品など長期保存(3か月以上)できるものでは年月で表示することも可能である。なお、砂糖や塩などの調味料、チューインガム、アイスクリーム類・氷など、品質劣化が極めて少ない食品は賞味期限を省略することができる[7]。
これらは、主に食品衛生上の配慮による物だが、保存場所・状態によっては同期間内であっても飲食に適さないほど品質が劣化する事がある。逆に、それ以上の期間が経っていても安全性に問題が無い場合もある。消費者個人の判断により、期限の過ぎた物を使用してしまう事もあるが、健康に害を被る事もある。賞味期限や消費期限の切れた食品を使用して健康被害が発生した場合には、製造者に落ち度が無ければ、責任を問えない。また、賞味期限切れの商品を販売しても、法的罰則は無い。
またこの期限は、包装された状態で所定の状態において保管された場合における期限である。従って以下の状況においては生鮮食品と同様、より品質保持条件の良い状態(たとえば室内に対して冷蔵庫内)で保管の上、速やかに消費する必要がある。
消費者庁は、賞味期限の愛称・通称として「おいしいめやす」を選び、2021年(令和3年)2月1日から普及啓発を行っている[8]。
かつて日本の加工食品は、食品衛生法やJAS法で、すべての食品に対し食品の包装年月日を製造年月日として表示することが義務付けられていたが、長期間保存できる食品については省略可能であった。ただし賞味期限については、農林水産省所管のJAS法により、一部の食品に記載が義務付けられていたほか、法規制ではないものの、製造業者による製造後○日という表示がなされていた。
また牛乳の殺菌後、無菌で充填し、長期間常温(室温)保存可能なロングライフ牛乳(いわゆるLL牛乳)ができた際、厚生省所管の食品衛生法の乳等省令において、品質保持期限表示を乳業企業に義務付けられていた。
しかしながら、製造日表示には以下のような点から、消費者側からの反対も示されていた。
このような問題に対応する形で、1995年(平成7年)に賞味期限の表示に移行された。
なお、こういった消費者側の製造年月日記載のニーズは依然として存在するため、生協など一部プライベートブランド商品では、現在でも製造年月日を併記しているものもある。
そもそも賞味期限とは、05年に統一された食品衛生法に基づくものが、2015年に食品表示基準に基づくものになったものであるが、賞味期限の決定は各食品企業に任せられているのが現状で、一般的には次の3つの検査を行った上で決められている。
賞味・消費期限が必要以上に短いと、大量の食品廃棄の一因になるとの指摘もある。実際に農林水産省の調査によれば、2007年度の食品廃棄などの年間発生量は、1,134万トンである。
日本の食品業界には、流通段階において賞味期限までの期間を区切った「3分の1ルール」と言われる商慣習がある[9]。流通経済研究所の調べでは、卸からメーカーに返品された商品金額は2010年度で1,139億円に上った[10]。
これまでは賞味期限に関して明確な基準はなく、各食品メーカーに任せ切りだったが、消費者庁は食品毎の賞味期限設定方法について、統一ガイドラインを設ける方針を決めた。2011年9月、消費者庁食品表示課が、各食品メーカーや有識者を交えた検討会を立ち上げると発表[11]。同月末から翌年にわたり、食品表示一元化検討会が何度も開かれた[12]。
2014年に入り、カップ麺では5か月→6か月、袋麺では6か月→8か月、その他飲料などでも、安全面を再検証した上で、賞味期限を延長する各メーカーの動きも見られる[13]。
「賞味期限」と類似した表現では「消費期限」があるが、これは特に生鮮食品や細菌の働きによって変質しやすい生の加工食品に対して使用される。これは、期限を過ぎると、風味以前に食品としての安全性が確保できない事から、消費に適するか適さないかという意味での区切りである。この差は製造日を含めて概ね5日以内に急速な品質の低下が認められる食料品については、この消費期限で表現される。
これとは別に食品衛生法上ではかつて「品質保持期限」という期限が規定されていたが、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(通称JAS法)上で賞味期限と概ね同じで期限であったため、縦割り行政の弊害として、3種の期限が食品にあり、消費者を混乱させる原因にもなるということで、JAS法を管轄する農林水産省と食品衛生法を管轄する厚生労働省の両省合同会議により2003年(平成15年)2月18日、品質保持期限表記を廃止して賞味期限表記に統合する事が決定された。この決定により2005年(平成17年)7月31日製造の物までには、品質保持期限の表記も認められているものの、その後は概ね5日未満の生鮮食品の類には消費期限、それ以外の品質保持期限の表記を賞味期限と書き換えている。
更に、食品表示法の制定に伴い、食品表示法第4条第1項の規定に基づく食品表示基準によるものに一本化された。食品表示基準においては消費期限、賞味期限の表示についての規定はあるが設定方法については特に規定はなく、消費者庁のガイドライン食品表示基準について の(加工食品)(3) 消費期限又は賞味期限において「消費期限又は賞味期限については、食品の特性等を十分に考慮した上で、客観的な試験・検査を行い、科学的・合理的に設定すること。」としている。
以下に示すのは、賞味期限が経過してなお所定の状態で保存し続けた場合の状態変化である。前述の通り賞味期限は製品としての風味が保証される期限で、これの経過後に直ちに喫食に適さない状態になる訳ではなく、例えば賞味期限経過直後(賞味期限+1日など)で直ちに以下のような状態になる訳ではない。衛生さえ問題なければ食べられる。
この状態変化は、賞味期限内でも保管状況によって程度の差こそあれ常に進行している状態変化で、賞味期限を大きく過ぎると以下のような問題が顕著化するが、保存状態が悪いと賞味期限内でも発生しうる状態でもある。なお農林水産省はごみ問題にも関連して、「期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません」と述べている[14]。
JTのたばこには、賞味期限が設定されている。賞味期限を過ぎた煙草は、未開封の状態でも味や香りが変質する。
口に入れない物でも比喩として賞味期限という言葉が使われる場合がある。「写真フィルムの賞味期限」、「政治家としての賞味期限」など。
