豊田車両センター(とよだしゃりょうセンター)は、東京都日野市東平山3丁目にある東日本旅客鉄道(JR東日本)の車両基地である。同社首都圏本部の管轄。下部組織として小金井市に武蔵小金井派出所(旧・武蔵小金井電車区)および立川市に立川派出所を持つ。
当車両基地は、中央本線(中央線快速)豊田駅西方に位置し、同駅を介して出入庫が行われる。中央緩行線の中野 -三鷹間複々線延伸に伴う車両数の増大に対応して、新設した車両基地である[3]。当車両基地の用地は、太平洋戦争中に国鉄が大井工場(現・東京総合車両センター)を疎開移転するために買収したが[3]、実際には工場の移転は行われず、野球場、寄宿舎などとして使用していた場所である[4][3]。
首都圏の各車両センターが配置している派出検査所の一つで立川駅に常駐している[5][1]。主に同駅周辺の発着列車に対して、軽微な修繕や状態確認、近隣での人身事故時の車両確認等を行う[1]。
同派出は豊田車両センターの出先機関であるため、同センター所属の社員(JR東日本直営)が業務を担当している[1]。次に述べる武蔵小金井派出、拝島派出のグループ会社のJR東日本運輸サービスが業務を行っている[1]。
中央快速線の輸送力増強に伴い、従来から使用してきた中野電車区・三鷹電車区(当時)だけでは収容力が不足することから[3]、1955年(昭和30年)4月に三鷹電車区武蔵小金井派出として発足した[3]。1957年(昭和32年)5月には電車区としての整備に着手し、1959年(昭和34年)9月1日に武蔵小金井電車区として発足した[3]。
2004年(平成16年)3月に配置車両は豊田電車区に転属し、以降は車両無配置となった[3]。武蔵小金井駅西側に所在し、同駅を介して出入庫を行う。仕業検査、車輪転削、車両清掃、構内入換などを実施している[5][1]。
- 所在地:東京都小金井市貫井北町1-1-1
- 敷地面積:45,623 m2[2]
- 構内設備[1]
- 留置線:13本
- 交番検査線:3本 (機能保全は実施していない)
- 洗浄線:2本 車両洗浄装置 1式
- 臨時修繕線:1本
- 車輪転削線:1本
- 収容車両数:212両(12両×16本・10両×2本[1])
拝島駅に隣接しており、簡易清掃などを実施している[1]。
中央本線(中央線快速)豊田駅 -八王子駅間の南側に設けられている[6]。仕業検査、構内入換、車両清掃などはJR東日本運輸サービスに委託している。
入出区線(通路線)が2本あるほか、引上線が1線(車両洗浄装置1基)ある[6]。
本線側(北側)から
- 1番 - 23番線(留置線)
- 留置線は2番 - 4番線、16・17番線、21 - 23番線を除いて1区と2区に分かれており、車両を縦列に留置することができる[6]。
- 3番線は車輪転削線で、中央付近に車輪転削庫が設けられている[5]。このため、2番・4番線は1区のみとなる[6]。
- 16・17番線、21 - 23番線は1編成が留置でき、このうち19・20番線間と21・22番線間にはパンタグラフ点検台がある[6]。
- 24番 - 26番線(洗浄作業線・手洗浄台を設置)
- 27番 - 29番線(交番検査庫を設置、機能保全を実施[5])、屋根上点検台のある27・29番線が検査に使用され、28番線は消耗品取り替えに使用される[5]。
- 30番・31番線は台検庫[注 1]で、リフティングジャッキを配備しており、機器の吊り替えや修理等を行う[6]。
- 32番線には、廃止した旧・車輪転削庫の床を復元して、留置線として使用している[5]。
豊田車両センター周辺の空中写真(2019年8月撮影の写真)
国土交通省国土地理院地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成「都トタ」…東日本旅客鉄道首都圏本部を意味する「都」と、豊田を意味する「トタ」から構成される。武蔵小金井電車区は「西ムコ」→「東ムコ」→「八ムコ」であった。
豊田車両センターは過去に八王子支社の時代が有り、その際には八トタとされていた。
国鉄時代は「東トタ」 または東京三局時代の「西トタ」であった。
豊田車両センター 所属略号中央線快速・青梅線・五日市線用の通勤形電車が配置されている。
2025年7月14日現在の配置車両は以下の通り。
| 電車 | 気動車 | 機関車 | 客車 | 貨車 | 合計 |
|---|
| 806両 | 0両 | 0両 | 0両 | 0両 | 806両 |
E233系電車(806両)
- T編成43本(T1 - T42・T71編成)、H編成17本(H43 - H59編成)、青梅・五日市線用の4両編成8本(青460 - 青467編成)および6両編成10本(青660 - 青669編成)が配置されている。
- 中央線(東京-大月間)・青梅線・五日市線の各駅停車・快速・中央特快・青梅特快・通勤快速・通勤特快で運用されているほか、中央線の直通列車として富士急行線でも使用される。
- 201系の置き換え用として、2006年12月から2008年3月にかけて中央線快速用の10両編成(T編成)42本、6両+4両の分割可能編成(H編成)15本、青梅・五日市線用の4両編成10本および6両編成13本を導入した。4両編成と6両編成を連結する場合は6両編成が東京方に連結される。
- 同年3月15日のダイヤ改正に伴い同年4月1日付けで青658編成・青458編成がH58編成に編入。また青梅線運用削減による余剰が出たため2015年5月2日付けで青659編成・青459編成がH59編成に編入。
- 2006年12月26日より中央線快速で運用を開始し、その後、2007年3月18日のダイヤ改正で青梅線青梅以西と五日市線・八高線・富士急行線でも運用を開始した。
- 2017年2月に青670編成が原番号+8500(クハE232-528のみ+8000)の上、中原電車区へ転属している。
- 2020年6月12日付でT71編成が増備された。
- 2022年3月12日改正で八高線での運用が、2023年3月18日改正でH編成の青梅線青梅以西・五日市線での運用が終了した。
E233系0番台12両編成
E233系0番台10両編成
E233系0番台H編成
E233系0番台青編成
- 中央線快速
- 101系(1985年3月14日国鉄ダイヤ改正で撤退)
- 103系(1983年3月までに営業運転から撤退)
- 201系
- 10両貫通編成および、6+4両分割編成は、中央線快速(東京 - 大月間)・青梅線・五日市線・八高線(拝島 - 高麗川間)・富士急行線の各駅停車・快速・中央特快・青梅特快・通勤快速・通勤特快で運用されていた。
- 2006年12月よりE233系の導入が行われるに伴い直前の9月にT6編成が廃車となったのを皮切りに置き換えが進行、なお一部のT編成は編成番号が重複することから、編成番号は現番号に100を加算したものに改番されたが、当該編成は2008年1月までに全廃された。また、E233系の導入完了後は五日市線での定期運用はない。
- 2007年3月18日のダイヤ改正で中央線快速の分割編成の組成を青梅線・五日市線専用運用の10両編成の組成に揃え、東京方を4両編成から6両編成に改めた。その際、分割可能なH編成のうち7編成のみを組み替え、残りのH編成はT編成に改番後、同年末までに全廃した。
- なお、豊田電車区時代から配置されていた編成は、1995年から黄緑地白文字の編成札が装着されていた(かつての武蔵小金井電車区配置編成は白地赤文字)。
- 2010年10月14日の1915T運用(東京19:27発快速豊田行、豊田20:28着)をもって定期運用を離脱、10月17日に最後まで残存したH7編成による『さよなら中央線201系(H7編成)ラストラン山梨 そして信州へ』が豊田〜松本間で運行され全ての運用が終了した[7]。
- その後は長らく1両(クハ201-1)が保留車として配置され、2014年〜2016年にかけて「豊田車両センターまつり」や2021年、2022年の有料撮影会にて度々お色直しの上で公開されていたが、青梅鉄道公園への展示に伴い2025年7月13日付で除籍され、豊田車両センターから201系の配置が全て無くなった[8][9][10]。
- 引退後はクハ201-1の1両を除き全車が解体されている。
- 201系四季彩
- 豊田車両センターに配置されていた訓練車4両編成1本を展望型に改造しW1編成として2001年8月4日より運用を開始した。2005年には新塗装へ変更。2009年6月28日に定期運用を終了、その後7月4日〜7月20日にかけてさよなら運転を行った後、7月23日に長野総合車両センターへ回送され、廃車となった。
- 209系
- 1000番台の10両編成2本(編成番号81、82)が配置されていた。
- 基本的に中央線で使用される(東京 - 高尾・宮ノ平間限定。理論上は高尾 - 大月間・青梅線立川 - 宮ノ平間にも乗り入れできるが、半自動ドアを持たないため通常時は乗り入れなかった)。
- 当区の中央快速線用E233系(10両編成)へ2階建てグリーン車組込みと普通車へのトイレ取り付けが行うのに伴い、改造工事期間中の車両不足を補うために松戸車両センターで余剰となっていた常磐緩行線用の209系1000番台が当区へ転属した。
- 転属に際しての改造は大宮総合車両センターで行われたが、編成番号は松戸車両センター時代と同じく81編成及び82編成となっている。
- 2024年9月6日をもって運用を離脱し、長野総合車両センターへ配給の後81、82編成共に2025年4月7日付で全車廃車となり、配置が無くなった[11]。
- 青梅線・五日市線
- 30系
- 31系
- 40系
- 50系
- 72系
- 103系(2002年3月までに定期営業運転から撤退、同年4月にさよなら運転)
- 201系(四季彩以外の青梅線・五日市線用編成は2008年3月までに撤退)
武蔵野線(1973年(昭和48年)4月1日の武蔵野線開業に伴い、配置[3]。101系を除き、103系と205系は2004年3月13日のダイヤ改正で、京葉電車区〈現・京葉車両センター〉に移管)
相模線(1991年3月16日の相模線電化開業に伴い、配置[3]。1996年12月1日の横浜支社発足に伴い、国府津電車区〈現・国府津車両センター〉に移管[3])
- 中央本線
- 115系
- 2014年時点で3両編成12本(M1 - 12編成)、6両編成1本(M40編成)、訓練車の4両編成1本の計46両が配置されていた。塗装はいずれも「スカ色」。
- 3両編成は3両または2本繋げた6両編成で中央本線立川 - 小淵沢間の普通列車で運用され、富士急行線への直通運用もあった。
- M40編成は他の編成と異なり中央本線運用には投入されず、三鷹電車区の波動用169系の運用終了に伴う代替として武蔵野線快速「むさしの号」(2010年まで)や土休日には「ホリデー快速鎌倉」(2013年)などの波動輸送運用に使用された。
- 2014年の1月及び7月に6両編成と訓練車編成が相次いで廃車となり[15]、残った3両編成も同年12月に長野総合車両センターの211系に運用が移管され[16]、2015年1月までに順次廃車となった。
- 189系(M51・52編成)
- 2018年4月1日現在で6両編成(M51・52編成)2本が配置されていた。
- 前述のM50編成と同様に、団体・臨時列車で使用された。
- 2013年度に大宮総合車両センターから6両編成2本が転入し、それぞれM51・M52編成となった。塗装はM51編成は旧国鉄特急色、M52編成は2014年12月からグレードアップあずさ塗装となっていた。
- M52編成は2018年4月22日の豊田 - 甲府間往復のツアーをもって、M51編成は4月27日の豊田発長野行をもって、それぞれ運用を終了、長野総合車両センターへ回送された[19]。
- M52編成は2018年4月27日に、M51編成は翌4月28日に廃車となり、当センターから189系の配置が無くなった。
101系
201系
クハ201-1
201系 四季彩
201系(左)・103系訓練車(中央)
209系1000番台
115系300番台
115系0番台 訓練車
189系M50編成
189系M51編成
189系M52編成
- 貨車
ホキ800形
- バラスト輸送・散布用ホッパ車。
- 初狩駅常備で中央線系統のバラスト散布に使用されていたが、2018年12月20日付で配置されていた8両全車が廃車となった。
- 事業用車
- クモヤ145形
- 牽引車。
- 撤退までクモヤ145-117の1両が配置されていた。2012年11月6日に長野総合車両センターへ回送され[20]、翌7日付けで廃車となった。
- 中央線快速
- 下河原線
- ^国鉄の検査では1985年3月まで、要部検査(24か月または40万kmごと)の間に電動車のみ12か月または20万kmごとに台車検査が制定されていた。この検査を行うのが台車検査庫(台検庫)。
- ^1991年9月27日〜10月30日までに、計5本が投入され、同年10月8日から運用を開始したが、103系の転配や組替、新小平駅の水没事故などの影響により、1ユニットを抜いた6両で運用し、同年12月1日のダイヤ改正から、全編成が8両化された。
- ^2002年3月に、E231系0番台の投入が終了した三鷹電車区(現・三鷹車両センター)から転入した8両編成×2本と、2003年10月〜2004年2月にかけて、山手線用205系0番台を転用改造して、山手電車区(現・東京総合車両センター)から転入した8両編成×6本。但し、その内2編成のサハ2両ずつは、川越電車区(現・川越車両センター)からの転入。なお、これらの先頭前面は、原型オリジナルタイプである。
- ^運転区間が千葉 - 新宿 - 河口湖となる列車には幕張車両センターのE257系500番台が使用された。
- 祖田圭介「特集:短絡線ミステリー8 首都圏・関西圏JR通勤電車の車両基地 ●中央線 (4)豊田電車区」『鉄道ファン 2006年1月号』第46巻1号(通巻537号)、交友社、2006年1月、35頁。
- 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』2006年4月号特集「201系・203系電車」内「中央線電車区ものがたり」pp.41 - 45。
- 結解学「シリーズ車両基地 vol.48 JR東日本豊田車両センター」『鉄道ダイヤ情報 №406』第47巻2号(通巻430号)、交通新聞社、2018年2月、45 - 47頁。
- 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2018年2月号シリーズ車両基地 Vol.48「JR東日本 豊田車両センター」pp.85 - 88
- ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』 各年冬・夏号、交通新聞社、「豊田電車区→豊田車両センター」頁。
- 鉄道ファン編集部『鉄道ファン』 各年 JR旅客会社の車両配置表(別冊付録も含む)、交友社〈特集:JR車両ファイル〉、「東日本旅客鉄道 電車 豊田電車区→豊田車両センター」頁。