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芸術文化勲章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
曖昧さ回避この項目では、フランスの芸術と文学の勲章について説明しています。スペインの芸術と文学の勲章については「スペイン芸術文学勲章」をご覧ください。

芸術文化勲章(げいじゅつぶんかくんしょう、フランス語:L'Ordre des Arts et des Lettres)は、フランス文化省が運用する名誉勲章である。「芸術文学[注釈 1]の領域での創造、もしくはこれらのフランスや世界での普及に傑出した功績のあった人物」に授与される。

歴史

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芸術文化勲章は1957年5月2日にフランスの「芸術文化勲章の設立に関する1957年5月2日の政令」に準拠して設立された。

アンドレ・マルロー(1959年–1969年文化大臣)によると「芸術家、作家、創作者が尊び敬い羨望」する叙勲とされる[注釈 2]1963年シャルル・ド・ゴールが勲章再編成を命じて、国家功労勲章を設立するため各省が発してきた勲章13件の廃止を決定した時にも、この勲章は存続した。廃止を免れた勲章は合計4件で、教育功労章農事功労章フランス語版英語版海事功労章フランス語版英語版の3つも含まれる。

等級

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芸術文化勲章は、芸術文化勲章評議会と評議会長の助言に基づき、文化大臣の布告により授与され、毎年1月1日7月14日に授章式が行われる。芸術文化勲章は3等級からなる。

  • シュヴァリエ(騎士
  • オフィシエ(将校
  • コマンドゥール(騎士団長

シュヴァリエ章は私権を享有する[疑問点ノート]30歳以上の芸術家にのみ授与されうる。オフィシエ章とコマンドゥール章は、以前の等級を授与されてから少なくとも5年を経て、新たな叙勲に値する功績を示した者にのみ授与される。既にレジオンドヌール勲章のコマンドゥールかオフィシエを受けた者はこれに該当しない[注釈 3]

1997年5月1日の政令以降、定員はシュヴァリエが450名、オフィシエが140名、コマンドゥールが50名と定数を設けた。この極めて限られた定員のため、この勲章はなかなか得難いものとなっている[注釈 4][要出典]

新たな等級保持者の氏名は文化省が公布し、「勲章・メダル・褒賞の公報」[1]に掲載される。

芸術文化勲章評議会は12名の既定の評議員と、文化大臣に指名された13名の評議員で構成される。

勲章の意匠

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芸術文化勲章の徽章は、フランス学士院の会員であった金具工芸師のレイモン・シューブフランス語版が制作したものである。

幅37 mmのリボン(略綬)は濃緑色の5本の帯(5.5 mm)を白色の筋4本(同各2.4 mm)でわったストライプ柄である。略綬に加えてオフィシエに略章、コマンドゥールにX型に結ぶネクタイも授与される。

銀細工の徽章は緑の琺瑯を引いた背景に二重の十字架を置き、その8つの枝に嵌め込んだアラベスク模様のある切金は、叙階によりまたは(オフィシエよりも上位)の板を細工してある。メダルの中央にあしらったラテン文字「A」と「L」のモノグラムは、それぞれ「芸術」(Arts)と「文学」(Lettres)の頭文字である。大きさは#コマンドゥール章が最も大きい。

この徽章は伝統的にパリ6区サン=ジェルマン=デ=プレ広場に面した銀細工専門商のアルテュス=ベルトラン社英語版で製造されている。


シュヴァリエ(3等)オフィシエ(2等)コマンドゥール(1等)
正章
略綬

受勲者

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→「Category:芸術文化勲章受章者」も参照
この節はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。ノートでの議論と記事の加筆への協力をお願いします。(2024年12月)

日本の受勲者

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誤認による追加に注意:「シュヴァリエ」「オフィシエ」などの称号は他のレジオンドヌール勲章などでも共通して使われています。誤認が大変多いためこのリストに受勲者を追加する前に、その勲章が本当に芸術文化勲章であるか必ず確認してください。勲章#フランスの勲章を参照。

顕著な芸術的功績を残した日本人に加え、日本におけるフランス文化の紹介・普及に功績のあった人物も叙勲の対象となり、1996年–2005年の10年間に約120名の日本人が受勲している[2]。以下の名簿にその一部を示す。

氏名職種ほか叙階
秋山光和日本美術史学者1998コマンドゥール(1960年オフィシエ、1959年シュヴァリエ)
伊原宇三郎洋画家1960オフィシェ
川端康成小説家1960オフィシエ
勅使河原蒼風草月流初代家元1960シュヴァリエ
渡邉暁雄小説家1960シュヴァリエ
永田雅一映画プロデューサー1961
蘆原英了音楽・舞踊評論家1962
松尾邦之助新聞記者1964
司忠実業家1964オフィシエ
東郷青児洋画家1969オフィシエ
石井好子シャンソン歌手1992コマンドゥール(1971年オフィシエ)
西村計雄画家1971
梅原龍三郎画家1973コマンドゥール
芹沢光治良作家1974コマンドゥール
ベル・串田画家1976コマンドゥール
鈴木崧画家1993オフィシエ(1978年シュバリエ)[3]
大屋政子タレント1979コマンドゥール
角地正純声楽家1981シュヴァリエ
高階秀爾美術史学者1989オフィシェ(1981年シュヴァリエ)
今井俊満洋画家1997コマンドゥール(1983年オフィシェ)
堂本尚郎洋画家2001オフィシエ(1983年シュヴァリエ)
丹下健三建築家1984コマンドゥール
岡本太郎芸術家1989コマンドゥール(1984年オフィシエ)
高田賢三ファッションデザイナー1984シュヴァリエ
水井康雄彫刻家1985コマンドゥール
鶴田錦史薩摩琵琶演奏家1985コマンドゥール
田淵安一洋画家1985オフィシエ
町春草書家1985シュヴァリエ[4]
加藤周一評論家1993オフィシエ(1985年シュヴァリエ)
佐々木忠次インプレサリオ1991コマンドゥール(1985年シュヴァリエ)
一柳慧作曲家1985
武満徹作曲家1985
勅使河原宏華道家・映画監督1985
荒川修作美術家1986シュヴァリエ
佐治敬三実業家1986
三代目 市川猿之助歌舞伎役者1987オフィシエ
大岡信詩人1993オフィシエ(1987年シュヴァリエ)
船山隆音楽学者1988シュヴァリエ
黒川紀章建築家1989
三船敏郎俳優1989
浜田知明版画家1989シュヴァリエ
姫田忠義ドキュメンタリー映画監督1989オフィシエ
久保田一竹染色工芸家1990シュヴァリエ
岩城宏之指揮者1990
倉俣史朗インテリアデザイナー1990
田中泯舞踊家1990シュヴァリエ
五代目坂東玉三郎歌舞伎役者2013コマンドゥール(1991年シュヴァリエ)
森悠子ヴァイオリニスト1991シュヴァリエ
星野眞吾画家1991シュヴァリエ
仲代達矢俳優1992シュヴァリエ
飯田深雪アートフラワー作家1992オフィシエ
天児牛大舞踏家2014コマンドゥール(1992年シュヴァリエ)
池田大作宗教家1992シュヴァリエ
川久保玲ファッションデザイナー1992シュヴァリエ
高英男歌手1992シュヴァリエ
島田正吾俳優1992シュヴァリエ
加藤登紀子シンガーソングライター1992シュヴァリエ
原正人映画プロデューサー1993オフィシエ
前川誠郎西洋美術史家1993オフィシエ
笹川良一政治運動家1993
海老彰子ピアニスト1993シュヴァリエ
加藤修滋シャンソンピアニスト1994シュヴァリエ[5]
高秀秀信横浜市長(当時)[注釈 5]1996オフィシエ
山口伊太郎西陣織1995オフィシエ
植田正治写真家1996シュヴァリエ
鈴木忠志演出家1996シュヴァリエ
三善晃作曲家1996オフィシエ
磯村尚徳ジャーナリストニュースキャスター1996コマンドゥール
安藤忠雄建築家2013コマンドゥール(1997年オフィシエ)
筒井康隆小説家1997シュヴァリエ
榮久庵憲司工業デザイナー1997
井上道義指揮者1998シュヴァリエ
江戸京子ピアニスト1998オフィシエ
蓮實重彦フランス文学者1999コマンドゥール
北野武映画監督2010コマンドゥール[6][7](1999年シュヴァリエ[8]
河井實之助美術プロデューサー1999オフィシエ
観世清和能楽師1999シュヴァリエ
松井守男画家2000シュヴァリエ
田窪恭治画家2000オフィシエ
大島渚映画監督2001オフィシエ
野村万之丞 (5世)能楽師2001シュヴァリエ
大内順子ファッション評論家、ジャーナリスト2001オフィシエ
岸惠子女優2011コマンドゥール(2002年オフィシエ)
北川フラムアートディレクター2003シュヴァリエ
佐藤忠男映画評論家2003シュヴァリエ
今田美奈子洋菓子研究家2003オフィシエ
草間彌生芸術家2003オフィシエ
吉田喜重映画監督2003オフィシエ
芦野宏シャンソン歌手2004オフィシエ
渡辺美佐芸能プロデューサー2004オフィシエ
牧阿佐美バレリーナ2004シュヴァリエ
五井野正画家2004シュヴァリエ
増井靖丈料理家2004シュヴァリエ
安西祐一郎第17代慶應義塾塾長2005コマンドゥール
大友克洋漫画家2014オフィシェ(2005年シュヴァリエ)
宮本茂ゲームクリエイター2006シュヴァリエ
今村昌平映画監督2006
吉田簑助文楽の人形遣い2007コマンドゥール
十一代目 市川海老蔵歌舞伎役者2007シュヴァリエ
十二代目 市川團十郎歌舞伎役者2007コマンドゥール
和多利志津子ワタリウム美術館館長・ディレクター2007シュヴァリエ[9]
渡邊守章フランス文学者2007オフィシエ
松本正道シネマテーク・ディレクター2008シュヴァリエ
七代目 竹本住大夫文楽義太夫節太夫2008コマンドゥール
堀越謙三映画プロデューサー2008シュヴァリエ
斎藤統実業家2008シュヴァリエ
伊藤美恵アタッシェ・ドゥ・プレス(PR・広報)2009シュヴァリエ
坂本龍一音楽家2009オフィシエ
吉井長三画商2009コマンドュール[10]
隈研吾建築家2009オフィシエ
海老沢敏音楽学者オフィシエ
山本耀司ファッションデザイナー2011コマンドゥール
谷口ジロー漫画家2011シュヴァリエ
大月雄二郎画家2011シュヴァリエ
松本零士漫画家2012シュヴァリエ
滝川クリステルアナウンサー2012シュヴァリエ
杉本博司写真家2013オフィシエ
島田順子ファッションデザイナー2014シュヴァリエ
坂茂建築家2014コマンドゥール
平野啓一郎小説家2014シュヴァリエ
河瀨直美映画監督2022オフィシエ(2015年シュヴァリエ)
高畑勲アニメ映画監督2015オフィシエ
長谷川祐子キュレーター2016オフィシエ
勅使川原三郎舞踊家2017オフィシエ
大野和士指揮者2017オフィシエ
濱野年宏指揮者2017オフィシエ
村上春樹小説家2018コマンドゥール
森山大道写真家2018シュヴァリエ
山名善之建築家、教授2018シュヴァリエ
野村萬狂言師2018オフィシエ
梶本眞秀実業家2019コマンドゥール
鳥山明漫画家2019シュヴァリエ[11][12]
宮城聰演出家2019シュヴァリエ
永井豪漫画家2019シュヴァリエ
田根剛建築家2022シュバリエ
高橋留美子漫画家2023シュヴァリエ[13]
濱口竜介映画監督2023シュヴァリエ[14]
黒沢清映画監督2024オフィシエ

脚注

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[脚注の使い方]

注釈

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  1. ^L'Ordre des Arts et des Lettres」の「Lettres」(レットル)の語義はLetter文学、人文)。
  2. ^拝受者は時として軽蔑されたり激しい拒絶に遭ったりもした点は、レオ・フェレの例が特に知られている。
  3. ^外国人についてはこの限りではない。
  4. ^レジオンドヌール勲章のシュヴァリエは12万5000名である。
  5. ^フランス映画祭(横浜)開催への功績などにより叙勲。

出典

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  1. ^Journal Officiel - Accueil”. web.archive.org. 2010年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月4日閲覧。
  2. ^芸術文化勲章』(プレスリリース)在日フランス大使館、2005年1月26日。オリジナルの2013年1月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20130124083307/http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article4822010年3月16日閲覧 
  3. ^美術館について”. informelmuseum. 2024年12月4日閲覧。 “1978(昭和53)年、フランス芸術文化勲章勲位シュバリエ授章(中略)1993(平成5)年、フランス政府から芸術文化勲章勲位オフィシエ授章”
  4. ^『20世紀日本人名事典』(Nichigai Associates, Inc.); 『デジタル版日本人名大辞典+Plus』(講談社). “町春草(読み)マチ シュンソウ”. コトバンク. DIGITALIO. 2024年12月4日閲覧。
  5. ^〔共同〕 (2019年1月7日). “名古屋に響くシャンソン 協会設立30年広がる愛好家”. 中部版. 日本経済新聞. 2024年12月4日閲覧。
  6. ^北野武監督、仏芸術文化勲章の最高章コマンドゥールを授与 フランスは北野ブーム”. シネマトゥデイ (2010年3月10日). 2021年9月26日閲覧。
  7. ^林路郎「「まさか、夢のよう」北野武さんに仏勲章授与」『YOMIURI ONLINE』読売新聞社、2010年3月10日。オリジナルの2010年3月13日時点におけるアーカイブ。2010年3月21日閲覧。
  8. ^ビートたけし”. コトバンク. 講談社. 2010年3月21日閲覧。
  9. ^和多利志津子『アイラブアート : 現代美術の旗手12人』日本放送出版協会、1989.11. 4 エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明doi:10.11501/13286405ISBN 4-14-009132-0国立国会図書館書誌ID:000002068514 
  10. ^『日本美術年鑑』平成29年版 (2019年10月17日). “吉井長三 :: 東文研アーカイブデータベース(2023-09-13)”. www.tobunken.go.jp. p. 552. 2024年12月4日閲覧。 “99年レジオン・ドヌール・オフィシエ勲章を、07年にはコマンドゥールを受章。著書に『銀座画廊物語―日本一の画商人生』(角川書店、2008年)がある。”
  11. ^Pinto, Ophelia (2019年5月31日). “Akira Toriyama nommé Chevalier de l'Ordre des Arts et des Lettres” (フランス語). Le HuffPost. 2021年9月26日閲覧。
  12. ^『ドラゴンボール』鳥山明にフランス政府が芸術文化勲章を授与”. 海洋堂 (2019年6月3日). 2021年9月26日閲覧。
  13. ^高橋留美子がフランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受勲”. コミックナタリー. ナターシャ (2023年4月6日). 2023年4月6日閲覧。
  14. ^濱口竜介監督がフランス芸術文化勲章を受章』(プレスリリース)在日フランス大使館、2023年4月4日https://jp.ambafrance.org/article189052023年9月17日閲覧 

関連項目

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外部リンク

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