腸内細菌 (ちょうないさいきん)とは、ヒト や動物 の腸 の内部に生息している細菌 のこと。ヒトでは、種類は500~1000[ 1] [ 2] とも約3万[ 3] とも言われる。概数についても大腸 40兆・小腸 1兆[ 1] 、100兆[ 4] [ 2] と諸説ある。総重量は1.5kg-2kgと推計される[ 3] 。
これらの細菌を全体として腸内細菌叢 (腸内フローラ、symbiosis)と総称する[ 1] [ 2] 。各細菌は相互および宿主 であるヒトとの間の代謝物 のやり取りなどを通じて複雑な生態系 をなし、ヒトの生理や病気の発生に深く関わっている[ 1] 。このため、腸内にいる各細菌がヒトの健康に有害かどうかを基準に「善玉菌」「悪玉菌」とそれ以外[ 2] (いわゆる「日和見菌」)で呼び分けることもある。腸内細菌叢は個人差があるほか、国際的な比較研究により食生活や居住国による違いも大きいことが明らかになっている[ 2] [ 5] 。
ヒトをはじめ哺乳動物 は、母親の胎内 にいる間は、基本的に他の微生物 が存在しない無菌の状態にあるが、出産後は外部環境にいる微生物と接触して、一部は常在菌 として定着する[ 1] 。生後3-4時間後には、あるものは食餌を介して、あるものは母親などの近親者との接触で、あるものは出産時に産道 で感染することによって、様々な経路 で微生物が感染し、その微生物の一部は体表面、口腔 内、腸を含む消化管 内、鼻腔 内、泌尿生殖器系 などで、それぞれの部位における常在性の微生物になる。一部の原生動物 や古細菌 を除き、その多くは真正細菌 であり、一般には常在細菌 と総称されることが多い。このうち消化管の下部にあたる、腸管内の常在細菌 が腸内細菌 である。1960年頃までは腸内には大腸菌 しか認識されていなかったが、今日ではこうした考えが一般化した。
腸内環境は嫌気性 であり、腸内細菌の99%以上が嫌気性生物 である偏性嫌気性菌に属している。これらの腸内細菌の代謝 反応は還元反応 が主体であり、また種々の分解反応が特徴的となっている[ 6] 。嫌気呼吸 の種類には、嫌気的解糖、硝酸塩呼吸、硫酸塩呼吸、炭酸塩呼吸などがあり、基質を還元することによって代謝に必要な電子を得ており、例えば、硝酸塩 から亜硝酸塩 を、硫酸塩 から硫化水素 を、炭酸 からメタン を生成するような例がある。
腸内の細菌叢を構成している腸内細菌は、互いに共生 しているだけでなく、宿主であるヒトや動物とも共生関係にある。宿主が摂取した食餌に含まれる栄養分を主な栄養源として発酵 することで増殖し、同時に様々な代謝物を産生する。腸内細菌が発酵によって作り出したガスや悪臭成分がおなら の一部になる。腸内細菌は、草食動物 やヒトのような雑食動物 において食物繊維 を構成する難分解性多糖類 を短鎖脂肪酸 に転換して宿主にエネルギー源を供給したり、外部から侵入した病原細菌が腸内で増殖するのを防止する感染防御の役割を果たりするなど、宿主の恒常性 維持に役立っている。しかし、腸管以外の場所に感染した場合や、抗生物質 の使用によって腸内細菌叢のバランスが崩れた場合には病気の原因にもなる。また、後述に示すような生理作用があるため、腸内細菌間のバランスを崩すとヒトの脳 をはじめ、心臓 、関節 など一見腸とは関わりがなさそうに見えるあらゆる部位の病気に発展する可能性を持っており、寿命 にも大きな影響を及ぼす[ 3] 。
糞 便のうち、約半分が腸内細菌またはその死骸であると言われている。宿主であるヒトや動物が摂取した栄養分の一部を利用して活動し、他の種類の腸内細菌との間で数のバランスを保ちながら、一種の生態系(腸内細菌叢 、腸内常在微生物叢、腸内フローラ)を形成している。腸内細菌類が「縄張り 」を主張し、侵入してきた新しい菌に対しては腸内フローラを形成している細菌類が攻撃を加える。このため病原菌 などは通常駆逐され、病気 や老化から守る役割を果たしている[ 3] 。腸内細菌の種類と数は、動物種や個体差、消化管の部位、年齢 、食事の内容や体調によって違いが見られるが、その大部分は偏性嫌気性菌 であり腸球菌 など培養 可能な種類は全体の一部であり、VNC の種類も多数存在する。なお、その名称から腸内細菌の代表のように考えられている大腸菌 は全体の0.1%にも満たない。
メタゲノム解析 など分析技術の進歩に伴い[ 1] 腸内での生息が判明した菌の種類は増加する傾向があるが、腸内細菌は多数の雑多な菌種によって構成され、一人のヒトの腸内には100種から3000種類の細菌が100兆個から1000兆個の腸内細菌が長さ約10mの腸内に生息しており、重量にすると約1.5-2kgに相当する。一般にヒトの細胞数は60-70兆個程度と言われており、細胞の数ではその16倍に匹敵するだけの腸内細菌が存在することになる[ 3] 。ただし細菌の細胞は、ヒトの細胞に比べてはるかに小さいため、個体全体に占める重量比が宿主を上回ることはない。腸管内容物を見ると、内容物1gに100億個から1,000億個(1010 -1011 個)の腸内細菌が存在しており、糞便の約半分は腸内細菌か、またはその死骸によって構成されている。
ヒトや動物の腸は、摂取した食餌を分解し吸収するための器官であるため、生物が生育するのに必要な栄養分が豊富な環境である。このため、体表面や泌尿生殖器などと比較して、腸内は種類と数の両方で、最も常在細菌が多い部位である。この多様な細菌群は、消化管内部で生存競争を繰り広げ、互いに排除したり共生関係を築きながら、一定のバランスが保たれた均衡状態にある生態系が作られる。このようにして作られた生態系を腸内細菌叢 (ちょうないさいきんそう)と呼ぶ。なお、この系には細菌だけでなく表皮常在菌・環境常在菌として存在している広義酵母 などの菌類や、細菌に感染するファージ なども混在してバランスを形成しているため、腸内常在微生物叢、腸内フローラ、腸内ミクロフローラなどという用語がより厳密ではあるが、一般にはこれらの細菌以外の微生物も含めて腸内細菌叢と呼ばれることが多い。
ヒトや動物が摂取した食餌は、口、食道 、胃 を経て、十二指腸 などの小腸上部に到達し、その後、宿主に栄養分を吸収されながら、大腸、直腸へと送り出される。このため、消化管の場所によって、その内容物に含まれる栄養分には違いが生じる。また消化管に送り込まれる酸素 濃度が元々高くないのに加えて、腸管上部に生息する腸内細菌が呼吸 することで酸素を消費するため、下部に進むほど腸管内の酸素濃度は低下し、大腸に至るころにはほとんど完全に嫌気性の環境になる。このように同じ宿主の腸管内でも、その部位によって栄養や酸素環境が異なるため、腸内細菌叢を構成する細菌の種類と比率は、その部位によって異なる。一般に小腸の上部では腸内細菌の数は少なく、呼吸と発酵 の両方を行う通性嫌気性菌 の占める割合が高いが、下部に向かうにつれて細菌数が増加し、また同時に酸素のない環境に特化した偏性嫌気性菌 が主流になる。
一方、胆汁酸 は脂質や脂溶性ビタミンを乳化し消化吸収を補助するが細菌 の細胞膜 を溶解する作用も有するため[ 8] 小腸 内や胆管 での腸内細菌叢の形成を妨げている。毎日、合計で20-30gの胆汁酸が腸内に分泌され、分泌される胆汁酸の約95%は回腸 で能動輸送 され再吸収され再利用され、腸管から肝臓や胆嚢に抱合胆汁酸が移動することを、腸肝循環 と呼んでいる。殺菌作用のある胆汁酸が回腸でほとんど吸収されるため、腸内細菌は回腸以降の大腸 を主な活動場所としている。
ヒト糞便菌叢の年齢による変化 :糞便1g中における菌の組成を示した。糞便菌叢の組成は大腸下部の腸内細菌叢の組成を反映している。「腸内細菌科ほか」に含まれるものの一部を除き、そのほとんどが偏性嫌気性菌 である。大腸菌は腸内細菌科に含まれ、その菌数は糞便1gあたり100万個前後。消化管の部位の違いによるヒト腸内細菌の数(内容物1gあたり)はおよそ以下の通りである。また、菌数は、栄養分、酸素濃度、胃酸に対する耐性、胆汁酸に対する耐性、腸の免疫システムにより排除されないこと、腸壁への付着力、の要素が考えられる[ 9] 。糞便に排出される菌の組成は、大腸のものに類似している。
小腸上部: 内容物1gあたり約1万(104 )個。乳酸菌 (Lactobacillus 属)、レンサ球菌 (Streptococcus 属)、Veionella 属、酵母 [ 10] など。好気性、通性嫌気性のものも多い。 小腸下部: 1gあたり10万-1,000万(105 -107 )個。小腸上部の細菌に大腸由来の偏性嫌気性菌が混在。 大腸: 1gあたり100億-1,000億(1010 -1011 )個。ほとんどがバクテロイデス属 (Bacteroides )、ユーバクテリウム (Eubacterium) 、ビフィズス菌 (Bifidobacterium )、クロストリジウム属 (Clostridium )などの偏性嫌気性菌。小腸上部由来の菌は105 -107 個程度。 一般成人の腸内細菌構成の例[ 11] バクテロイデス 50% ビフィズス菌 15% 嫌気性球菌 15% ユウバクテリウム 10% クロストリジウム 10%
これらの腸内細菌の組成には個人差が大きく、ヒトはそれぞれ自分だけの細菌叢を持っていると言われる。ただしその組成は不変ではなく、食餌内容や加齢など、宿主であるヒトの様々な変化によって細菌叢の組成もまた変化する。
例えば、母乳 で育てられている乳児と人工のミルクで育てられている乳児では、前者では、ビフィズス菌 などのBifidobacterium 属の細菌が最優勢で他の菌が極めて少なくなっているのに対して、後者ではビフィズス菌以外の菌も多く見られるようになる。このことが人工栄養児が母乳栄養児に比べて、細菌感染症や消化不良を起こしやすい理由の一つだと考えられている。
新生児ではラクトバシラス属が最も多くなる。乳児の腸内細菌の優占種は、ラクトバシラス属 とフィルミクテス門 の近縁種となる。生後1か月経つと胎便という黒い粘質便が出て、生後3か月間はフィルミクテス門が優勢となる[ 12] 。
乳児が成長して離乳食をとるようになると、バクテロイデス属 (Bacteroides ) やユーバクテリウム属 (Eubacterium ) など、成人にも見られる嫌気性の腸内細菌群が増加し、ビフィズス菌 などは減少する。
野菜を含む食事をとるようになるとバクテロイデス属が全体の30%程度を占めるようになる[ 12] 。
さらに加齢が進み、老人になるとビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium )の数はますます減少し、かわりにラクトバシラス属 (Lactobacillus ) や腸内細菌科 の細菌、ウェルシュ菌 (Clostridium perfringens )などが増加する。
日本人を含めた12カ国のヒトの腸内細菌26種の構成を調べたところ、日本人には他の国民に比べて放線菌門 ビフィズス菌 (Bifidobacterium )、フィルミクテス門 クロストリジウム綱 ブラウチア(Blautia)、放線菌門Collinsella 、フィルミクテス門バシラス綱 レンサ球菌 (Streptococcus )、未分類のクロストリジウム綱の菌(UnclassifiedClostridiales )が最も多く存在していた。また、日本人の腸内細菌は、炭水化物 や海藻 類の食物繊維 の代謝能力が高く、産生される水素 をメタン 産生よりも酢酸 産生に利用する傾向が強かった[ 13] [ 5] 。
ヒトの場合、腸内細菌には主に5つの働きがある[ 3] 。
腸内細菌をわかりやすく説明する例として、光岡知足 が命名した「善玉菌」 、「悪玉菌」 、「日和見菌」 の呼称がある[ 14] 。「善玉菌」は人体に有用な働きをする菌の総称、「悪玉菌」は有害に働く菌の総称、これらのどちらにも当てはまらない菌を「日和見菌」と総称している[ 15] 。
この考えは19世紀終わりにイリヤ・メチニコフ が発表した「自家中毒説」に端を発している。小腸内で毒性を発揮する化合物が産生されたことが発見され、それが腸から体内に吸収されることが様々な疾患や老化 の原因だと考えた。腸内の腐敗は寿命を短くするという仮説を立て、腸内腐敗を予防すれば老化を防止できると考えた。ヨーロッパ各地を遊説中に、長寿国であったブルガリア でヨーグルトが摂食されていることを見出し、そこから分離した「善玉菌」である乳酸菌(ブルガリア菌)を摂取することによって、腸内の腐敗物質が減少することを確認した。
その後の研究によって、腸内細菌と宿主であるヒトの共生関係が徐々に明らかになり、また腸内細菌叢 のバランスの変化が感染症や下痢症などの原因になりうることが明らかになったことから、腸内細菌叢のバランスを変化させることによってヒトの健康改善につながるという考えが改めて支持されるようになった。そして、がん 、心臓病 、アレルギー 、認知症 のような病気との関連性も高いと指摘されている[ 16] 。これら腸内細菌の中には、悪玉菌の働きを抑える、必要な栄養素を作るというだけでなく、腸内に多い免疫細胞に対するメッセージ物質を生み出す働きを果たしていることも分りつつある。
腸内細菌の全体の2割を占めている善玉菌と呼ばれるものには腸の働きを保つビフィズス菌 に代表されるビフィドバクテリウム属 (Bifidobacterium ) や、乳酸桿菌 と呼ばれるラクトバシラス属 (Lactobacillus ) の細菌など乳酸 や酪酸 など有機酸 を作るものが多い。
腸内細菌の全体の1割を占めている悪玉菌にはウェルシュ菌 に代表されるクロストリジウム属 (Clostridium ) や大腸菌(病原性)など、悪臭のもととなるいわゆる腐敗物質を産生するものを指すことが多い。悪玉菌は二次胆汁酸 やニトロソアミン といった発がん性のある物質を作る。偽膜性大腸炎 の原因となるクロストリジウム属ディフィシル や病原性を示すバクテロイデス属フラギリス などもあげられる[ 17] 。悪玉菌は有機酸の多い環境では生育しにくいものも多い。
善玉菌や悪玉菌に必ずしも分類されず、他の菌の影響を受けて作用が変化するものを日和見菌と呼び残りの7割を占める。しかし、その大半は未知なる部分が多い。日和見菌は全体の7割を占め、プロテオバクテリア門 腸内細菌科 大腸菌(非病原性)、全体の4割を占めるバクテロイデス門 バクテロイデス属 (非病原性)、フィルミクテス門のユーバクテリウム属 、ルミノコッカス属 、免疫細胞が暴走した場合にその活動を沈静化すると近年みられるようになったクロストリジウム属 (非病原性)などがあげられる[ 17] 。バクテロイデス菌の中には脂肪の吸収を抑え肥満をふせぐものもいるとされる。
トクホに認可された食品には、研究によって血圧 や血清コレステロールの低下が確認された製品がある。花粉症 などのアレルギー症状が軽減されるという研究報告もある[ 18] 。がん の予防効果を謳った健康食品 まで見受けられる(薬機法違反)。整腸と関連したがんやアレルギーなど、様々な疾患を抑制する作用の研究が行われている[ 19] 。ほかに生きたまま腸内に到達可能な乳酸菌(プロバイオティクス )や、腸内の善玉菌が栄養源に利用できるが悪玉菌は利用できない物質(オリゴ糖 など、プレバイオティクス )を、製剤や機能性食品として用いることが考案され、多くの製品が開発・実用化されている。
善玉菌は、認知能力の向上などの健康効果が期待できるとして、現在、医学界では発酵食品をなるべく食べることが推奨されている[ 20] 。
望ましい腸内細菌叢 (善玉菌優位な腸内環境)を誘導する手段として、善玉菌を直接摂取する方法(プロバイオティクス )と、善玉菌の増殖を促進する食材を摂取する方法(プレバイオティクス )がある。
この節には独自研究 が含まれているおそれがあります。 問題箇所を検証 し出典を追加 して、記事の改善にご協力ください。議論はノート を参照してください。(2012年10月 )
死亡した乳児(新生児を除く)を対象とした東京都 における調査結果(1957年)によれば、母乳栄養 、混合栄養、人工栄養の各栄養法による死亡率比は、成熟児については、ほぼ1:2:3、未熟児については、ほぼ1:2:4の値を示していた[ 21] 。特にビフィズス菌は母乳栄養の糞 便に多く存在する。正常な母乳栄養児のフローラはビフィズス菌が極めて優勢である。腸内のビフィズス菌を旺盛にするために母乳に多く含まれる乳糖 やオリゴ糖 などが有効である[ 21] 。ビフィズス菌 は乳糖やオリゴ糖などを分解して乳酸 や酢酸 を産生して腸内のpH を顕著に低下させ[ 22] 、善玉菌として腸内の環境を整えるほか、花粉症 などアレルギー症状の緩和にも貢献していることがわかってきた[ 23] 。乳幼児に多いロタウイルス による感染性腸炎の抑制をする可能性が報告されている[ 24] 。ラクトフェリン は、母乳 ・涙 ・汗 ・唾液 などの外分泌液中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質 である。ラクトフェリンは、強力な抗菌活性を持つことが知られている。グラム陽性 ・グラム陰性 に関係なく多くの細菌は、生育に鉄 が必要である。トランスフェリン と同様、ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで、細菌の増殖を抑制する[ 25] [ 26] [ 27] 。母乳の中でも、とりわけ出産後数日間に分泌される初乳 にはラクトフェリンが多く含まれている。授乳 により免疫グロブリン やラクトペルオキシダーゼ (英語版 ) などと共に、母体からラクトフェリンが新生児 に取り込まれる。ラクトフェリンはこれらの因子と共同で、免疫系が未熟な新生児 を外敵から防御していると考えられる。乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌は、生育の鉄要求性が低く、ラクトフェリンは抗菌活性を示さないあるいは、むしろ増殖を促進する[ 26] [ 27] 。
ヒトの消化管 は自力ではデンプン やグリコーゲン 以外の食物繊維 である多くの多糖類 を消化できないが、大腸内の腸内細菌が嫌気発酵 することによって、一部が酢酸 、酪酸やプロピオン酸 のような短鎖脂肪酸 に変換されてエネルギー源として吸収される。健常者ではこれらの3種類が短鎖脂肪酸の97%を占め、潰瘍性大腸炎 罹患者では罹患部位が広がるごとに短鎖脂肪酸のうち乳酸 が占める割合が大きくなってくる。健常者の場合、大腸内で乳酸が生成されると腸内細菌により速やかに酢酸、酪酸、プロピオン酸、炭酸ガス、水素、メタンなどに代謝される[ 28] 。食物繊維の多くがセルロースであり、人間のセルロース 利用能力は意外に高く、粉末にしたセルロースであれば腸内細菌を介してほぼ100%分解利用されるとも言われている。デンプンは約4kcal/g のエネルギーを産生するが、食物繊維は腸内細菌による醗酵分解によってエネルギーを産生し、その値は一定でないが、有効エネルギーは0 - 2kcal/gであると考えられている。また、食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で19g/日以上、成人女性で17g/日以上である[ 29] 。食物繊維は、大腸内で腸内細菌によりヒトが吸収できる分解物に転換されることから、食後長時間を経てから体内にエネルギーとして吸収される特徴を持ち、エネルギー吸収の平準化に寄与している。
小腸では栄養素を吸収しても、小腸組織の代謝には流用されずに即座に門脈によって運び去られ、小腸自体の組織は動脈血によって供給される栄養素によって養われる。しかし、大腸の組織の代謝にはこの発酵で生成されて吸収された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源として直接利用され、さらに余剰部分が全身の組織のエネルギー源として利用される。
ウマなどの草食動物ではこの大腸で生成された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源になっているが、ヒトでも低カロリー で食物繊維の豊富な食生活を送っている場合にはこの大腸での発酵で生成された短鎖脂肪酸が重要なエネルギー源となっている。
ヒトの結腸 、特に結腸後半の粘膜 は、酪酸を産生する腸内細菌が作る酪酸を主たるエネルギー源として利用している[ 28] 。大腸内で産生された酪酸は結腸細胞に優先的にエネルギー源として利用される[ 30] 。酪酸は、大腸の栄養エネルギーの70-90%を占めている[ 31] 。
酪酸を生成する代表的な酪酸菌 であるクロストリジウム・ブチリカム は、偏性嫌気性 芽胞 形成グラム陽性 桿菌 である。クロストリジウム属 のタイプ種 でもある。芽胞の形で環境中に広く存在しているが、特に動物の消化管内常在菌として知られている。日本では宮入菌 と呼ばれる株が酪酸菌の有用菌株として著名であり、芽胞を製剤化して整腸剤として用いられている[ 32] [ 33] 。クロストリジウム属の一部の菌は酪酸菌として知られ、漬物 の酪酸臭の原因となる[ 34] 。
酪酸は、腸管増殖因子として作用し、抗炎症 作用を有し、傷害腸管の修復にも関与している[ 35] 。腸内細菌が産生した酪酸が、ヒストン のアセチル化を促進し、p21 遺伝子を刺激し、細胞サイクルをG1期で留めるタンパク質であるp21が大腸がん をG1期 に留め置き大腸がんを抑制することが指摘されている[ 36] [ 37] 。酪酸生成能が高いButyrivibrio fibrisolvens をマウスに投与したところ、酪酸生成量が増加し、発癌物質で誘発した大腸前癌病変の形成が抑制され、大腸がんを予防、抑制する可能性が指摘されている[ 38] 。大腸癌患者の糞便を健常者のものと比較すると有機酸濃度が低く、特にn-酪酸の濃度がとりわけ低値であったことが報告されている[ 39] 。
ビタミンK は食物からの摂取と並んで、幾つかの種類に属する複数腸内細菌によっても供給される。ビタミンKは血液凝固作用(止血)にも関係し、これが不足すると各種内出血といった欠乏症が発生する。ヒト成人に於いては通常、腸内細菌による供給だけでも充分必要量を賄えるが、生まれたばかりのヒト新生児 では、まだ充分に腸内細菌叢が形成されて居ないため、これを充分に生産出来ない事から、腸内出血(血便 )などの異常が発生しやすい。これに加え、胎児 や新生児では出産 に際して骨 を柔らかくするためP450 により骨のカルシウム 定着にも関係しているビタミンKを体内で分解しているとの説もある[ 40] 。また成人でも抗生物質 の投与により腸内細菌叢が損なわれた際には、同様に欠乏症が発生し得る。
ビオチン (ビタミンB7)の一日の目安量は、成人で45μg。腸内細菌叢により供給されるため、通常の食生活において欠乏症は発生しない[ 41] 。ピリドキシン (ビタミンB6 )も腸内細菌により供給されている[ 42] 。
食物繊維 を多く摂ると腸内細菌によるビタミンB1 の合成が盛んになる[ 43] 。
生体内においては、ナイアシン (ビタミンB3)はトリプトファン から生合成される。ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからナイアシン 合成を行っている。
プロピオン酸 生産菌はビタミンB12 を生産する主要な菌である[ 44] 。ビタミンB12 は、特定の真正細菌 及び古細菌 による原核生物 によってのみ天然に産生され、多細胞または単細胞の真核生物 によって産生されたものではない[ 45] [ 46] 。ヒト や他の動物のいくつかの腸内細菌によって合成されるが、ビタミンB12 が吸収される小腸からさらに遠位の大腸でビタミンB12 が産生されているので、ヒトは大腸で作られたビタミンB12 を吸収することができないが[ 47] 、牛 や羊 のような反芻動物 は共生細菌が胃で増殖し産生されたビタミンB12 を腸内で吸収する[ 47] 。
腸内細菌は、パントテン酸 (ビタミンB5)、葉酸 (ビタミンB9)、リボフラビン、ナイアシン(ビタミンB3)、ビオチン(ビタミンB7)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンKも生成する[ 48] 。また、酵母 は、ビタミンB1 を合成することができる[ 49] 。
ビフィズス菌は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンK、その他ビタミンB 群を生成する[ 21] 。ビフィズス菌(B. infantis 、B. breve 、B. bifidum 、B. longum 及びB. adolescentis のすべて)で菌体内にビタミンB1、B2、B6、B12、C、ニコチン酸(B3)、葉酸(B9)及びビオチン(B7)を蓄積し、菌体外にはビタミンB6、B12及び葉酸を産生した。ヒト(成人)の腸内の平均量のビフィズス菌の推定ビタミン産生量はビタミンB2、B6、B12、Cおよび葉酸で所要量の14-38%を占め無視できない割合と考えられる[ 50] 。
乳酸菌もビタミンC を微量ながら生成する。野菜や果物 をあまり摂れない遊牧民 は、乳酸発酵された馬乳酒 を1日最低1-3リットル程度飲んでいる[ 51] [ 52] 。馬乳酒にはビタミンCが100mlあたり8-11mg含まれている[ 53] 。
肝臓においてグルクロン酸転移酵素 によりヘム の分解物であるビリルビン はグルクロン酸抱合 を受け、水に溶けるようになる。抱合型ビリルビンはほとんどが胆汁 の一部となって十二指腸 に分泌される。抱合型ビリルビンの一部は大腸に達し、腸内細菌の働きにより還元されてウロビリノーゲン に代謝され、腸から再吸収され、腎臓を経て、尿として排泄される。この循環を腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ぶ。ウロビリノーゲンは、抗酸化作用 を有し、DPPH ラジカル除去作用は他の抗酸化物質 (ビタミンE 、ビリルビン及びβ-カロチン )よりも高い値を示す[ 54] [ 55] 。再吸収されたウロビリノーゲンが体内で酸化されると黄色のウロビリン となり尿から排泄される。腸内に残るウロビリノーゲンはさらに還元されてステルコビリノーゲン になり、別の部位が酸化されて最終的にはステルコビリン になる。このステルコビリンは大便 の茶色の元である。なお、ビリルビンが胆汁として分泌されずに体内に蓄積されると黄疸 を発症する。
難消化性である食物繊維や乳糖 の摂取と腸内細菌により呼気やおなら へのガスの産生と排出が高まる。産生されるガスは水素 とメタン が多いが、メタンは個人差がありメタン産生菌を有していないとメタンは産生されない。おならと呼気の水素量の相関は0.44と高い[ 56] 。
αグルコシダーゼ阻害剤 である糖尿病 治療薬のアカルボース を服用すると炭水化物 の吸収が抑制され大腸の腸内細菌により水素などが産生されるが、アカルボースの服用が心血管事故を抑制する可能性があり、この原因として高血糖 の抑制に加えて、呼気中に水素ガスの増加が認められ、この増加した水素の抗酸化作用により心血管事故を抑制するメカニズムが想定されている[ 57] 。
水素による抗酸化作用が各種研究で報告されているところであり、また、腸内細菌は水素を産生している。コンカナバリンAを用いて肝炎を誘導したマウス の実験では、抗生物質を使用して腸内細菌による水素発生を抑制させたマウスと比較して、通常の腸内細菌が発生させた水素はマウスの肝臓の炎症を抑制することが認められた[ 58] 。
乳酸菌等の腸内細菌は、腸内で担体 として増加することにより菌体が腸管老廃物を吸着して排出させている可能性がある[ 52] 。健康なヒトの腸内にはたくさんの種類の微生物が生息しており、ほぼ全ての人の腸内からは、ラクトバシラス属やビフィドバクテリウム属の乳酸菌が検出される。ヒトの糞便中1gあたりの菌数は、ビフィズス菌が100億個、ビフィズス菌以外の乳酸菌が10-100万個であるといわれている[ 59] 。これらの乳酸菌は、俗に言う「腸内の善玉菌」の一種として捉えられる場合が多く、腸内常在細菌叢(腸内フローラ)において、これらの細菌の割合を増やすことが健康増進の役に立つという仮説が立てられている。ただしその有効性については、意義があるとする実験結果と関連が認められないとする結果がそれぞれ複数得られており、結論が出ていないのが現状である。前述の「#善玉菌と悪玉菌 」も参照。
蜂蜜 の中には芽胞 を形成し活動を休止したボツリヌス菌 が含まれている場合がある。通常は摂取してもそのまま体外に排出されるが、乳児が加熱していない蜂蜜を摂取すると体内で発芽して毒素を出し、中毒症状(乳児ボツリヌス症 )を引き起こし、場合により死亡することがあるため、注意を要する。十分に腸内細菌の発達したヒトでは生の蜂蜜を摂食しても、腸内細菌が芽胞からのボツリヌス菌の増殖を妨げる[ 60] 。
腸内細菌であるいくつかのプロバイオティクス 株が過敏性腸症候群 や慢性便秘 の症状の減少に効果があるとされている。症状の減少をもたらす可能性が最も高い腸内細菌は、以下のようなものが掲げられている。
ヒトの体内で1日に産生される尿酸 は約700mgで、その約1 ⁄3 は食事由来である[ 64] 。尿酸の排泄の約2 ⁄3 は腎臓を経て尿に約1 ⁄3 が腸管から排泄される[ 65] 。腎臓は尿酸の90%を再吸収し、約10%を尿に排泄する[ 66] 。腸内のプリン体 は腸内細菌に取り込まれDNA合成に利用され腸管内のプリン体が減少する可能性が指摘されている。ヒトにラクトバチルスガセリ PA-3を含むヨーグルト を連日摂取させたところ血清尿酸値の低下が認められた。これは菌体がプリン体を取り込むことによるヒトの体内への吸収抑制によるものであることが推察された[ 64] 。
クロストリジウム・ディフィシル腸炎の予防の可能性[ 編集 ] クロストリジウム・ディフィシル腸炎 は、抗生物質の投与等で正常な腸内細菌叢が撹乱されて菌交代症が生ずる事で発生すると考えられている[ 67] 。正常腸内細菌叢を掻き乱す事は、C. difficile に増殖の機会を与えていることになる[ 68] 。つまり、この疾患は抗生物質関連下痢 (英語版 ) の一つである[ 69] 。C. difficile 腸炎の発生は、抗生物質であるニューキノロン 、セファロスポリン 、クリンダマイシン の使用と強く相関している[ 70] 。クロストリジウム・ブチリカム (宮入菌)の有用性は、高病原性菌の増殖と拮抗することによってクロストリジウム・ディフィシル腸炎の原因菌である高病原性クロストリジウム・ディフィシルの増殖を妨害するその能力に主として起因している[ 71] 。
自閉症 児と健康児の腸内細菌を比較するとクロストリジウム属 の細菌が平均して10倍程度多い状況が報告されている。乳幼児時に多種多量の抗生物質 を投与され腸内細菌の組成が破壊され、クロストリジウム属の増殖とともに自閉症に至った例が紹介されている。幼い脳にダメージを与えるクロストリジウム属の神経毒素が原因であると指摘している[ 72] 。
病原性クロストリジウム属菌は、(Shaw 2010 )によって、自閉症をもつ小児の尿より本属が作り出す物質3-(3-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシプロパン酸(略称:HPHPA) が高濃度で検出される報告がなされ、カビ 毒の向神経作用が注目された[ 73] 。
フィンランド の調査で、腸内フローラが自閉症を予防する効果がある可能性が示唆されている[ 74] [ 75] 。
en:Gut flora#Immunity を参照のこと。
en:Gut flora#Preventing allergy を参照のこと。
鉄分 は3価の鉄イオン が自然界に存在しており、それが2価の鉄イオンに還元されてから吸収されると考えられている。東京工科大学 応用生物学部らのグループは、腸内と同様の環境下で、腸内細菌である大腸菌、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌のどれもが、3価の鉄イオンを2価の鉄イオンに還元し微生物の増殖を促したことから、腸内細菌が鉄分の吸収に貢献していると報告した[ 76] 。
リトコール酸 (Lithocholic acid)は、脂質 を可溶性にして吸収を高める界面活性剤 の役割をする胆汁酸 の一種である。結腸 内において微生物の活動により一次胆汁酸 であるケノデオキシコール酸 から二次胆汁酸 として生合成される。この反応は一部の腸内細菌が有する胆汁酸-7α-デヒドロキシラーゼ によってリトコール酸が生成される。腸内細菌の総菌数の 1 - 10パーセント程度の多くの菌株が低い胆汁酸-7α-デヒドロキシラーゼ生産能を有することが確認されている[ 77] [信頼性要検証 ] 。リトコール酸は、人や実験動物に発癌 をもたらすとされている[ 78] 。発がん性を有するリトコール酸などの二次胆汁酸を作り出す腸内細菌は、いずれもクロストリジウム属 に属するものでシンデンス菌、ハイレモンアエ菌、ヒラノーニス菌など6種類のものがとりあえず発見されている[ 79] 。
硝酸態窒素 を含む肥料 が大量に施肥された結果、地下水 が硝酸態窒素に汚染されたり、葉物野菜の中に大量の硝酸態窒素が残留したりといったことが起こっている。人間を含む動物が硝酸態窒素を大量に摂取すると、腸内細菌により亜硝酸態窒素に還元され、これが体内に吸収されて血液中のヘモグロビン と結合してメトヘモグロビン を生成してメトヘモグロビン血症 などの酸素欠乏症を引き起こす可能性がある上、2級アミン と結合して発ガン性物質 のニトロソアミン を生じる問題が指摘されている[ 80] [ 81] 。野菜類に主に肥料由来の硝酸 塩、亜硝酸 塩が多く含まれることがある。市販漬物 中には硝酸塩、亜硝酸塩が多く、なかでも葉菜 類が最も高く、次いで根菜 類、果菜類の順に多かった旨の報告がある[ 82] 。IARC発がん性リスク一覧 では、「アジア式野菜の漬物 (Pickled vegetables (traditional in Asia))」が、Group2B(ヒトに対する発癌性が疑われる(Possibly Carcinogenic)化学物質、混合物、環境)としてとりあげられている。アジア式野菜の漬物とは、中国 、韓国 、日本の伝統的な漬物を意味しており、低い濃度のニトロソアミン等が検出されている[ 83] 。
硫化水素産生菌が産生する硫化水素 が潰瘍性大腸炎 の原因ではないかとの指摘がある。大腸の粘膜に硫化水素を代謝する酵素が存在するが、その処理量以上の硫化水素に大腸がさらされることが潰瘍性大腸炎の原因となるのではないかとの指摘がされている[ 84] 。硫化水素はミトコンドリア に所在するシトクロムcオキシダーゼ を阻害することにより毒性を発現する。高濃度の硫化水素に曝露されることでアポトーシス 関連蛋白質であるカスパーゼ3 の活性化、ミトコンドリアからのシトクロムcの遊離が見られ、ミトコンドリアを介したアポトーシスが誘導される可能性がある[ 85] [信頼性要検証 ] 。大腸粘膜を傷害するおそれのある有害な物質の発生を制御するためシソ科 を中心としたいくつかの植物の抽出物を動物にあたえることで硫化水素やメタンチオール の発生を抑制することが明らかになった[ 86] 。イギリスで行われた調査では約3分の1のヒトがメタン菌 を保有するメタン生産者である。メタンガス を作らないヒトでは、水素を利用するメタン菌の代わりに硫酸還元菌が水素や乳酸 を利用して硫酸イオンを還元し、硫化水素をつくる[ 87] 。
アノイリナーゼ(=チアミナーゼ )は、ビタミンB1 を分解する酵素である。アノイリナーゼは、一部の山菜 (ワラビ やぜんまい )、淡水魚 (コイ やフナ )の内臓、ハマグリ などに含まれる。また、加熱すれば通常この酵素は失活する。アノイリナーゼを産生するアノイリナーゼ菌を腸内細菌として保有しているヒトも数パーセント存在しているといわれている。ただし、この菌を保菌していたとしても、ビタミンB1欠乏症である脚気 の自覚症状、他覚症状を呈することはほとんどない[ 88] 。
肥満 の有無にウェルコミクロビウム門 に属するアッカーマンシア・ムシニフィラ (Akkermansia muciniphila )という腸内細菌が関わっているとの指摘がある。この細菌が少ない人ほどBMI 値が高い。痩せた人ではこの細菌が腸内細菌の4%を占め、太った人ではほとんどゼロである。この細菌は腸壁を覆う粘液 層の表面に潜んでいる。この細菌が少ないと粘液層が薄くなりリポ多糖 が血液中に入りやすいとされる。なお、リポ多糖は脂肪細胞の炎症を引き起こし新しい脂肪細胞 の形成を妨げ、既存の細胞に脂肪の過剰な蓄積を起こす。普通マウスの主要な2種類の腸内細菌と比較して肥満マウスの腸内細菌ではバクテロイデス門 が少なく、フィルミクテス門 が多かった。ヒトでも同様の結果だった。無菌マウスに普通・肥満マウスの腸内細菌を移したところそれぞれ同様の現象が起きた。肥満マウスでは痩せたマウスに比べてフィルミクテス門に属するクロストリジウム属 が飛びぬけて多く存在していた[ 89] 。ヒトの例では、イタリア 都市部の低食物繊維 ・高エネルギー食の子供の便ではフィルミクテス門が多く、アフリカ の高食物繊維・低エネルギー食の子供の便ではバクテロイデス門が多かった[ 90] 。フィルミクテス門は脂質やたんぱく質を好み、バクテロイデス門は食物繊維を好む。逆に言えば高食物繊維・低エネルギー食を続ければフィルミクテス門の菌が減り、太りにくくなる[ 91] 。一方、過去の研究を分析しなおした2014年の研究では、フィルミクテス門とバクテロイデス門との比率は、人間の肥満と一貫した関連性がないことが指摘されている[ 92] 。
1950年代からアメリカ合衆国 の農家で薬用に満たない低用量の抗生物質の家畜への投与が家畜の体重増加を大幅に早めることが認められ、これを飼育に利用されてきた。なお、実験動物のマウスへの抗生物質の低用量投与でも体重増加を示した。生後6か月のヒトの幼児でも抗生物質の投与と体重増加が関連を示していた[ 93] 。
無菌動物 とは、体内および体表に微生物(ウイルス や寄生虫 を含む)が存在しない動物(現実的には検出可能な全ての微生物が存在しない動物)のことである。無菌動物はウイルス、細菌、寄生虫などの要因を制御するために無菌のアイソレータ 内で飼育される[ 94] 。無菌動物は、盲腸 の容積が大きく[ 95] 、寿命 が長いなどの特徴を有する。自由摂食環境下で無菌マウスと通常マウスを比較したところ、無菌マウスの寿命が長かった結果が得られた[ 96] 。
腸内細菌には大型動物に利益をもたらす面も害をなす面もあるが、どちらが大きいのかについては不明である。無菌動物の場合、寿命が普通個体よりも長い[ 97] ので、総計すれば害の方が大きい、との可能性もある。しかし、現実社会ではヒトが無菌状態で生活することはできない。
オランダ のアントニ・ファン・レーウェンフック が17世紀 、顕微鏡 で糞便を観察して多数の「小さな生き物」を見出したことが、腸内細菌の観察・研究の始まりとなった[ 1] 。彼は「微生物学 の父」と呼ばれており、微生物そのものの発見と同時期に、1674年から自作の顕微鏡 を使って環境中の様々なものを観察し、ヒトや動物の糞便に含まれる、後に腸内細菌と呼ばれるようになった微生物をスケッチしている。
1876年ロベルト・コッホ が炭疽菌 の純粋培養に成功したのをきっかけに様々な細菌が単離 されるようになった。当時のヨーロッパではコレラ や腸チフス などの消化器感染症が流行しており、その患者から病原菌を分離するときに同時に分離されてくる、健常者にも存在する常在菌 として、大腸菌(1885年)など、いくつかの腸内細菌科 の細菌が分離同定された。しかしこの当時はまだ、酸素に触れると死んでしまう偏性嫌気性菌の存在についてあまり知られていなかったため、実際に培養できたのは腸内細菌の10%にも満たなかった。残りの大部分である、培養できない偏性嫌気性菌については、死んだ菌の残骸であると考えられていた。 1880年代 未消化タンパク質の腐敗によって発生した毒性を示す化合物が小腸から発見された[ 98] 。イリヤ・メチニコフ が自家中毒説として発展させ、毒素が腸から吸収され寿命を縮めると仮定し、19世紀終わりごろには大衆に広く知られるようになった[ 99] 。 1899年パスツール研究所 の研究員であったティシエは、母乳栄養児の糞便から偏性嫌気性菌であるビフィズス菌を分離した。この当時、母乳と人工乳のどちらが与えられるかによって新生児の発育や死亡率などに違いがあり、母乳栄養児の方が健康状態がよいということが知られていた。ティシエはこの違いを明らかにするために糞便中に分離される腸内細菌に着目し、当時はまだ技術的に未熟であった嫌気培養 法によってビフィズス菌の分離に成功して、母乳栄養児にこの菌が多く見られることを明らかにした。この発見によって、腸内細菌が宿主の健康に関与していることが注目されるようになり、また20世紀初頭にかけて、多くの偏性嫌気性菌の分離が行われるようになった。 1904年 イリヤ・メチニコフはパスツール研究所の副所長に就任した。1907年に『不老長寿論』という著書を出版した。これは、ブルガリア に長寿者が多いことから端を発する説で、乳酸菌を摂取させたところ腐敗物質が減少したので、毒素が発生する(自家中毒になる)のを防止するために乳酸菌 を摂取すれば長寿になる、というものである。ブルガリアの乳酸菌の他に、ケフィア や酢漬け、塩漬けの食品によって人々は知らずのうちに乳酸菌を摂取していることを指摘している[ 100] 。メチニコフは1908年に、細胞性免疫 を発見し、食細胞説を提唱した功績でノーベル生理学・医学賞 を受賞したため、不老長寿説は受賞とは無関係な研究であったものの脚光を浴びることになった[要出典 ] 。しかし、後にメチニコフが提示した乳酸菌(ブルガリア菌)はその大部分が胃で殺菌されてしまい、腸には到達しないことが明らかになり、また同時に、腸内の腐敗物質だけでは老化や様々な疾患発生が説明できないことも明らかになったため、この説は下火になった[要出典 ] 。 1918年ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ は『自家中毒』[ 101] という著書を出版し、自家中毒説をもとに未消化の肉には毒を作り出す細菌が繁殖し、毒によって体の不調を招くという理由で菜食 を勧めていった。またケロッグはシリアル食品を開発し、食物繊維 は腸を刺激して毒を発生させる時間を短くすることにより健康にとって重要であるという宣伝を行なったため、大衆に食物繊維の重要性が認知されていった[ 99] 。 1950年代~ 腸内細菌の役割について宿主との共生という観点からの研究が再び盛んになり、嫌気培養技術が大きく発展したことも手伝って、細菌叢 調査法が発展し、その実態解明が進んだ。腸内常在微生物叢が宿主の健康に関与していることも次第に明らかになった。腸内細菌バランスに介入することで健康維持を図ろうとする製剤、あるいは健康食品の開発が行われるようになった。この時期に研究を始めた日本の光岡知足 は腸内細菌学に大きな功績を残した[ 1] 。 1965年 リリーらによってプロバイオティクス として提唱され[ 102] 、以降、乳酸菌を用いた醗酵食品を腸内に到達させる研究が進んでいった。 1995年 有用な腸内細菌を増殖させる物質としてプレバイオティクス という概念が提唱される[ 103] 。プレバイオティクスの代表的なものには食物繊維やオリゴ糖がある。プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方の機能を併せ持った食品はシンバイオティクス と呼ばれる。 腸内細菌はヒトだけでなく、消化管を有する様々な動物にも存在しており、その組成は動物種によって異なる。基本的にはいずれもバクテロイデス属(Bacteroides 属)などの偏性嫌気性菌 が優勢であるが、ヒト、サル 、モルモット などでは乳酸菌 としてビフィズス菌の仲間が多いのに対して、ブタ 、マウス 、イヌ 、ウマ などではラクトバチルス(Lactobacillus )が多い。ヒトの腸内細菌の遺伝子はチンパンジー、ボノボ、ゴリラ等霊長類の同種遺伝子と共通していて、これら4種が分化した少なくとも1500万年以上前から引継いだものとみられる。ウマ、ウサギ などの草食動物は嫌気性細菌を蓄える肥大した盲腸 や結腸 を有している。反芻動物 のウシ の第一胃では、セルロース を分解し酢酸や酪酸などを生成するルミノコッカス属 が多く、50-100万の繊毛虫 類も住んでおり、おそらく同居している細菌を食用にしている[ 104] 、ネコ、ウサギ、ウシなどではどちらの乳酸菌も少ない。
鳥類では、ニワトリ にはバクテロイデスとラクトバチルスがいる。魚類では、サケ 、シマスズキ などで海水性ビブリオ が見出されている[ 104] 。
イエシロアリなどの下等シロアリ 類では消化管内に住む共生原生動物 の酵素 で植物繊維のセルロースを分解して消化吸収する。共生しているのは超鞭毛虫 類や多鞭毛虫 類が中心で、そのほとんどはシロアリの腸内のみに生息している[ 105] 。
^a b c d e f g h 大野博司 「腸内細菌叢研究の現状と展望 」『ファルマシア』第53巻第11号、日本薬学会、2017年、1059-1063頁、doi :10.14894/faruawpsj.53.11_1059 、ISSN 0014-8601 、2023年6月2日閲覧 。 ^a b c d e 腸内細菌と健康 厚生労働省e-ヘルスネット(2022年5月8日閲覧) ^a b c d e f 藤田紘一郎 :寿命まで左右する!驚異の「腸内フローラ」 東洋経済 オンライン ^ 須藤信行「ストレスと腸内フローラ 」『腸内細菌学雑誌』第19巻第1号、腸内細菌学会、2005年、25-29頁、doi :10.11209/jim.19.25 、ISSN 1343-0882 。 ^a b 健康な日本人の腸内細菌叢の特徴解明、約500万の遺伝子を発見 日本人は生体に有益な機能が外国よりも多く平均寿命の高さや低肥満率等との関連も示唆 早稲田大学(2016年3月18日)2022年5月8日閲覧 ^ 服部征雄「腸内細菌は創薬開発に有益なヒントを与える (PDF ) 」フォーラム富山「創薬」第23回研究会 (2007年) ^ Kenneth Todar (2012年). “The Normal Bacterial Flora of Humans ”. Todar's Online Textbook of Bacteriology . 2016年6月25日閲覧。 ^ 横田篤「乳酸菌・ビフィズス菌における胆汁酸ストレス応答 」『日本乳酸菌学会誌』Vol.21 (2010) No.2 pp.87-94,doi :10.4109/jslab.21.87 ^ 上野川修一『からだの中の外界 腸のふしぎ』(2013年4月20日、講談社ブルーバックス、ISBN 978-4-06-257812-7 )p.159 ^ 河合康雄「腸内細菌叢の生体における意義 (1) 」『化学と生物』1977年 15巻 7号 pp.472-4788,doi :10.1271/kagakutoseibutsu1962.15.472 ^ 辨野義己 『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHP Science World 、2009年12月4日、ISBN 978-4-569-77379-7 )p.31^a b ニコラス・マネー著、小川真訳『生物界をつくった微生物』(2015年11月20日発行、築地書館 、ISBN 978-4-8067-1503-0 )p.143 ^ Suguru Nishijima, et al., "The gut microbiome of healthy Japanese and its microbial and functional uniqueness " DNA Res (2016) 23 (2): 125-133. 06 March 2016 ^ 光岡知足『人の健康は腸内細菌で決まる! : 善玉菌と悪玉菌を科学する』技術評論社、2011年4月25日、30頁。ISBN 9784774145761 。 ^ 光岡知足『人の健康は腸内細菌で決まる! : 善玉菌と悪玉菌を科学する』技術評論社、2011年4月25日、30-38頁。ISBN 9784774145761 。 ^ 辨野義己 腸内細菌の全体像をつかみ、予防医学に役立てる (理研ニュース、February 2004)(独立行政法人理化学研究所 )^a b 辨野義己 『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHP Science World、2009年12月4日、ISBN 978-4-569-77379-7 )p.108 ^ 主な学会発表 (カルピス研究所)[リンク切れ ] ^ “がん、C型肝炎、アレルギー,乳酸菌は未来の万能薬になれるか? ”. デイリータイムズ. 2005年2月12日時点のオリジナル よりアーカイブ。2015年2月17日閲覧。 ^ “Probiotics may help boost mood and cognitive function ” (英語). Harvard Health (2023年3月22日). 2023年3月24日閲覧。 ^a b c 相川清「ビフィズス菌の応用研究 」『腸内細菌学雑誌』1999年 12巻 2号 pp.73-79,doi :10.11209/jim1997.12.73 ^ 森下芳行「腸内細菌を健康に活かすプロバイオティクスとプレバイオティクス 」『日本食物繊維研究会誌』2000年 4巻 2号 p.47-58,doi :10.11217/jjdf1997.4.47 ^ 辨野義己『ビフィズス菌パワーで改善する花粉症』(講談社、2007年1月) ^ 荒木和子, 篠崎立彦, 入江嘉子, 宮澤幸久「ビフィズス菌のロタウイルス感染に対する予防効果の検討 」『感染症学雑誌』第73巻第4号、日本感染症学会、1999年、305-310頁、doi :10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.305 、ISSN 0387-5911 、NAID 130004330758 。 ^ 上野宏「機能性食品素材としての鉄・ラクトフェリンの応用 」『ミルクサイエンス』第61巻第2号、日本酪農科学会、2012年、105-113頁、doi :10.11465/milk.61.105 。 ^a b 島崎敬一「ミルクのラクトフェリン」『乳業技術』第51巻、日本乳業技術協会、2001年、1-21頁、ISSN 13417878 、NAID 40005107444 。 ^a b 金完燮、島崎敬一 著「ラクトフェリンと微生物の攻防 その多様性」、第2回ラクトフェリンフォーラム実行委員会編 編『ラクトフェリン2007 :ラクトフェリン研究の新たな展望と応用へのメッセージ』日本医学館、東京、2007年、9-17頁。ISBN 978-4-89044-632-2 。 ^a b 福島恒男, 川本勝, 久保章, 土屋周二「大腸疾患と腸内細菌代謝物 」『日本消化器外科学会雑誌』第16巻第3号、日本消化器外科学会、1983年、552-556頁、doi :10.5833/jjgs.16.552 、ISSN 0386-9768 、NAID 130004340388 。 ^ 厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2010年版) (PDF ) ^ Keith A. GARLEB, Maureen K. SNOWDEN, Bryan W. WOLF, JoMay CHOW, 田代 靖人訳、発酵性食物繊維としてのフラクトオリゴ糖の医療用食品への適用 」『腸内細菌学雑誌』2002年 16巻 1号 pp.43-54,doi :10.11209/jim1997.16.43 ^ D・モントゴメリー、A・ビクレー著、片岡夏実訳『土と内臓』(2016年11月18日、築地書館、ISBN 978-4-8067-1524-5 )p.260 ^ Seki, H.; Shiohara, M.; Matsumura, T.; Miyagawa, N.; Tanaka, M.; Komiyama, A.; Kurata, S. (February 2003). “Prevention of antibiotic-associated diarrhea in children byClostridium butyricum MIYAIRI”. Pediatrics International 45 (1): 86-90. doi :10.1046/j.1442-200x.2003.01671.x . PMID 12654076 . ^ 黒岩豊秋, 小張一峰, 岩永正明「酪酸菌 (Clostridium butyricum MIYAIRI 588株) による腸管病原菌抑制作用 」『感染症学雑誌』第64巻第3号、日本感染症学会、1990年、257-263頁、doi :10.11150/kansenshogakuzasshi1970.64.257 。 ^ 伊藤寛「味噌のふくれと酪酸菌-クロストリジウム 」『日本釀造協會雜誌』1968年 63巻 4号 pp.405-409,doi :10.6013/jbrewsocjapan1915.63.405 ^ 佐々木雅也, 荒木克夫, 辻川知之, 安藤朗, 藤山佳秀「腸管細胞増殖と腸管フローラ 」『腸内細菌学雑誌』第19巻第1号、日本ビフィズス菌センター、2005年1月、1-8頁、doi :10.11209/jim.19.1 、ISSN 13430882 、NAID 10019042772 。 ^ 生田哲『バクテリアのはなし』 (日本実業出版、1999年2月25日、ISBN 4-534-02902-0 )p.188 ^ S.Y. Archer, et al., "p21WAF1 is required for butyrate-mediated growth inhibition of human colon cancer cells ". Proc.Natl.Acad. Sci. USA vol.95 6791-6796 (1998),doi :10.1073/pnas.95.12.6791 ^ 大河原壮, 古谷英樹, 長島康祐, 浅沼成人, 日野常男「酪酸生成菌Butyrivibrio fibrisolvens の経口投与による実験的大腸癌形成の抑制 」『ペット栄養学会誌』第8巻Supplement、日本ペット栄養学会、2005年、25-26頁、doi :10.11266/jpan1998.8.Supplement_25 、ISSN 1344-3763 、NAID 130004991169 。 ^ 岩垣博巳, 日伝晶夫, 淵本定儀, 折田薫三, 米山勝, 堺修造「大腸癌患者と腸内細菌叢 」『日本臨床外科医学会雑誌』第53巻第10号、日本臨床外科学会、1992年、2343-2346頁、doi :10.3919/ringe1963.53.2343 、ISSN 0386-9776 、NAID 130003597943 。 ^ 「2章ニューヨークのレストランから排除されたトランス脂肪酸 」『脂質栄養学の新方向とトピックス 』 ^ 齋東由紀、牛尾房雄「トータルダイエット調査による東京都民のビオチン,ビタミンB6 ,ナイアシンの一日摂取量の推定 」『栄養学雑誌』2004年 62巻 3号 pp.165-169,doi :10.5264/eiyogakuzashi.62.165 ^ 前川昭男「四訂日本食品標準成分表のフォローアップ「日本食品ビタミンK・B6 ・B12 成分表」について 」『日本食生活学会誌』1996年 7巻 1号 pp.8-15,doi :10.2740/jisdh.7.8 ^ 永瀬治彦、「セルロース攝取の人体腸内細菌ビタミンB_1合成に及ぼす影響 」『ビタミン』1953年 6巻 pp.863-867,doi :10.20632/vso.6.0_863 ^ 福井三郎, 清水祥一, 加藤忠克 「微生物によるビタミンと補酵素型ビタミンの生産 『工業化学雑誌』1964年 67巻 5号 p.668-674,doi :10.1246/nikkashi1898.67.5_668 , 日本化学会 ^ Moore, SJ; Warren, MJ (1 June 2012). “The anaerobic biosynthesis of vitamin B12.”. Biochemical Society transactions 40 (3): 581-6. doi :10.1042/BST20120066 . PMID 22616870 . ^ Graham, Ross M.; Deery, Evelyne; Warren, Martin J. (2009). “18: Vitamin B12: Biosynthesis of the Corrin Ring”. In Warren, Martin J.; Smith, Alison G.. Tetrapyrroles Birth, Life and Death . New York, NY: Springer-Verlag New York. p. 286. doi :10.1007/978-0-387-78518-9_18 . ISBN 978-0-387-78518-9 ^a b Gille, D; Schmid, A (February 2015). “Vitamin B12 in meat and dairy products.”. Nutrition reviews 73 (2): 106-15. doi :10.1093/nutrit/nuu011 . PMID 26024497 . ^ 長尾陽子(中野昭一 編)『栄養学総論』(医歯薬出版、1991年)42頁 ^ 芦田淳「微生物によるビタミンB1の合成(第1報) 」『日本農芸化学会誌』1942年 18巻 8号 pp.723-726,doi :10.1271/nogeikagaku1924.18.8_723 ^ 寺口進, 小野浄治, 清沢功, 福渡康夫, 荒木一晴, 小此木成夫「ヒト由来Bifidobacterium によるビタミン産生 」『日本栄養・食糧学会誌』第37巻第2号、日本栄養・食糧学会、1984年、157-164頁、doi :10.4327/jsnfs.37.157 、ISSN 0287-3516 、NAID 130000861388 。 ^ 館内展示パネル - 自然がささえる草原の食卓 (キッコーマン 国際食文化研究センター)^a b 石井智美「内陸アジアの遊牧民の製造する乳酒に関する微生物学的研究 」『日本調理科学会誌』 2001年 34巻 1号 pp.99-105,doi :10.11402/cookeryscience1995.34.1_99 ^ 石井智美「モンゴル遊牧民の乳利用〜健康維持の秘密〜 」『畜産の情報』2012年5月号 ^ 中村宜司、佐藤克行、秋葉光雄「胆汁色素代謝物ウロビリノーゲンの抗酸化作用」中村宜司 『日本農芸化学会誌』2001年3月5日、75巻、144ページ。腸内細菌 -J-GLOBAL ^ NAKAMURA, Takashi; SATO, Katsuyuki; AKIBA, Mitsuo; OHNISHI, Masao (2006). “Urobilinogen, as a Bile Pigment Metabolite, Has an Antioxidant Function”. Journal of Oleo Science 55 (4): 191-197. doi :10.5650/jos.55.191 . ISSN 1345-8957 . ^ 辻啓介「食物繊維の保健効果 」『ビフィズス』第8巻第2号、財団法人 日本ビフィズス菌センター、1995年、125-134頁、doi :10.11209/jim1987.8.125 、ISSN 0914-2509 、NAID 130004257782 。 ^ 入江潤一郎、伊藤裕「腸管環境と心血管病 」『心臓』2012年 44巻 12号 pp.1498-1503,doi :10.11281/shinzo.44.1498 ^ Kajiya, Mikihito; Sato, Kimihiro; Silva, Marcelo J.B.; Ouhara, Kazuhisa; Do, Phi M.; Shanmugam, K.T.; Kawai, Toshihisa (2009). “Hydrogen from intestinal bacteria is protective for Concanavalin A-induced hepatitis”. Biochemical and Biophysical Research Communications 386 (2): 316-321. doi :10.1016/j.bbrc.2009.06.024 . ISSN 0006291X . ^ 辨野義己『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHP Science World、2009年12月4日、ISBN 978-4-569-77379-7 )p.109 ^ 清水美智子『はちみつ物語 食文化と料理法』真珠書院 、2003年6月。ISBN 4-88009-216-9 。 、33-34頁^ Ford, Alexander C; Quigley, Eamonn M M; Lacy, Brian E; Lembo, Anthony J; Saito, Yuri A; Schiller, Lawrence R; Soffer, Edy E; Spiegel, Brennan M R et al. (2014). “Efficacy of Prebiotics, Probiotics, and Synbiotics in Irritable Bowel Syndrome and Chronic Idiopathic Constipation: Systematic Review and Meta-analysis”. The American Journal of Gastroenterology 109 (10): 1547-1561. doi :10.1038/ajg.2014.202 . ISSN 0002-9270 . PMID 25070051 . ^ Ghouri, Yezaz A; Richards, David M; Rahimi, Erik F; Krill, Joseph T; Jelinek, Katherine A; DuPont, Andrew W (2014). “Systematic review of randomized controlled trials of probiotics, prebiotics, and synbiotics in inflammatory bowel disease” . Clin Exp Gastroenterol 7 : 473-487. doi :10.2147/CEG.S27530 . PMC 4266241 . PMID 25525379 . https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4266241/ . ^ Yu CG, Huang Q (2013). “Recent progress on the role of gut microbiota in the pathogenesis of inflammatory bowel disease”. J Dig Dis. 14 (10): 513-7. doi :10.1111/1751-2980.12087 . PMID 23848393 . ^a b 山田成臣「乳酸菌摂取が尿酸値へ及ぼす影響 」『ミルクサイエンス』2016年 65巻 3号 pp.235-239,doi :10.11465/milk.65.235 ^ 長谷川弘, 福田里紗子, 吉岡亘, 市田公美「尿酸産生抑制薬が尿酸の腸管排泄に与える影響 」『痛風と核酸代謝』第41巻第1号、日本痛風・核酸代謝学会、2017年、53頁、doi :10.6032/gnam.41.53 、ISSN 1344-9796 、NAID 130005859059 。 ^ 櫻井裕之「尿酸は善玉か悪玉か 」『痛風と核酸代謝』2017年 41巻 2号 p.233-,doi :10.6032/gnam.41.233 ^ 神谷茂「話題の感染症 ディフィシル菌感染症の基礎と臨床 」 モダンメディア 2010年10月号(第56巻10号)pp.233-241(PDF ) ^ Curry J (2007年7月20日). “Pseudomembranous Colitis ”. WebMD. 2008年11月17日閲覧。 ^ 鈴木康夫「抗生物質起因性腸炎の診療 」『日本消化器病學會雜誌』第107巻第12号、日本消化器病学会、2010年12月、1897-1904頁、doi :10.11405/nisshoshi.107.1897 、ISSN 04466586 、NAID 10027700380 。 ^ Luciano, JA; Zuckerbraun, BS (December 2014). “Clostridium difficile infection: prevention, treatment, and surgical management”. The Surgical clinics of North America 94 (6): 1335-49. doi :10.1016/j.suc.2014.08.006 . PMID 25440127 . ^ Woo, TD; Oka, K; Takahashi, M; Hojo, F; Osaki, T; Hanawa, T; Kurata, S; Yonezawa, H et al. (November 2011). “Inhibition of the cytotoxic effect ofClostridium difficile in vitro byClostridium butyricum MIYAIRI 588 strain”. Journal of Medical Microbiology 60 (11): 1617-25. doi :10.1099/jmm.0.033423-0 . PMID 21700738 . ^ アランナ・コリン著、矢野真千子訳『あなたの体は9割が細菌』(2016年8月30日、河出書房新社 、ISBN 978-4-309-25352-7 )p.111ほか ^ Shaw, William (2010-06). “Increased urinary excretion of a 3-(3-hydroxyphenyl)-3-hydroxypropionic acid (HPHPA), an abnormal phenylalanine metabolite of Clostridia spp. in the gastrointestinal tract, in urine samples from patients with autism and schizophrenia”. Nutritional Neuroscience (Maney Publishing) 13 (3): 135-43. doi :10.1179/147683010X12611460763968 . PMID 20423563 . ^ プロバイオティクスが子どものADHDを予防するかもしれない13年間の追跡調査 ^ Pärtty A, Kalliomäki M, Wacklin P, Salminen S, Isolauri E (2015). “A possible link between early probiotic intervention and the risk of neuropsychiatric disorders later in childhood: a randomized trial”. Pediatr. Res. 77 (6): 823-8. doi :10.1038/pr.2015.51 . PMID 25760553 . ^ “「腸内細菌」が「鉄分」の吸収を助けていることを発見 東京工科大学応用生物学部|学校法人片柳学園のニュースリリース - ”. News2u.net (2013年9月18日). 2013年9月18日閲覧。 ^ 菅原 正義 ほか「食事成分による腸内細菌の二次胆汁酸生成酵素7α-デヒドロキシラーゼの制御 」1998年度-1999年度(科学研究費 助成事業データベース) ^ Kozoni, V. (2000). “The effect of lithocholic acid on proliferation and apoptosis during the early stages of colon carcinogenesis: differential effect on apoptosis in the presence of a colon carcinogen”. Carcinogenesis 21 (5): 999-1005. doi :10.1093/carcin/21.5.999 . ISSN 14602180 . ^ 辨野義己『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHP Science World、2009年12月4日、ISBN 978-4-569-77379-7 )p.76ほか ^ 寺沢なお子、荒納百恵「市販緑葉野菜の硝酸およびシュウ酸含有量 」『金沢大学人間科学系研究紀要』第3号、金沢大学 人間社会研究域人間科学系、2011年3月、1-13頁、ISSN 1883-5368 、NAID 120002924885 。 ^ 三田村久吉「硝酸態窒素による地下水汚染とその対策法 」日本原子力研究所 (2003年)p.51 ^ 高屋むつ子、後藤美代子「市販漬物中の亜硝酸塩とニトロソアミンについて 」『調理科学』第20巻第1号、日本調理科学会、1987年3月20日、54-59頁、doi :10.11402/cookeryscience1968.20.1_54 、NAID 110001170844 。 ^ International Agency for Research on Cancer (IARC) - Summaries & Evaluations Last updated 08/21/1997^ 広島大学病院消化器外科 診療講師 大毛宏喜「腸内細菌と回腸嚢褒炎」 アボット感染症アワー(ラジオNIKKEI 2009年7月31日放送) ^ 「硫化水素の細胞毒性の機構の解明 」2009年度-2011年度 (科学研究費助成事業データベース) ^ 大腸機能と大腸細菌の話 ^ オナラやゲップのメタンガスの話 ^ 松田誠「高木兼寛とその批判者たち-脚気の原因について展開されたわが国最初の医学論争 」『高木兼寛 の医学』(東京慈恵会医科大学 、2007年12月)164-200頁 ^ アランナ・コリン著、矢野真千子訳『あなたの体は9割が細菌』(2016年8月30日、河出書房新社、ISBN 978-4-309-25352-7 )p.81、p.94、p.163ほか ^ C.D.Fappa, et.al.,(2000) "Proceedings of the National Academy of the United States of America" ^ 藤田絋一郎 『腸内細菌とともに生きる』(技術評論社 、2015年2月15日、ISBN 978-4-7741-7117-3 )p.159 ^ エド・ヨン著、安部恵子訳『世界は細菌にあふれ、人は細菌によって生かされる』(柏書房 、2017年6月1日、ISBN 978-4-7601-4843-1 )p.204 ^ ロブ・ナイト等、山田卓司等訳『細菌が人をつくる』(TEDブックス、2018年5月30日、ISBN 978-4-255-01057-1 )p.139 ^ University of Michigan Germ Free Animal Facility - example facility for raising germ-free animals^ 新井万里, 松岡克善, 金井隆典「I.IBDおよびIBSにおける腸内細菌の関与 」『日本内科学会雑誌 』2015年 104巻 1号 p.35-41,doi :10.2169/naika.104.35 , 日本内科学会 ^ 田爪正気, 梅原恵子, 松沢秀之, 相川浩幸, 橋本一男, 佐々木正五、「マウスの寿命および成長に及ぼす無菌状態と制限食の影響 」『Experimental Animals』1991年 40巻 4号 p.517-522、doi :10.1538/expanim1978.40.4_517 ^ 篠田 元扶、前島 一淑「無菌動物の生理学的特性」『Experimental Animals』1978年 27巻 3号 pp.315-327、doi :10.1538/expanim1978.27.3_315 ^ Chen TS, Chen PS. "Intestinal autointoxication: a medical leitmotif" ,J Clin Gastroenterol. 11(4), 1989 Aug, pp.434-41.PMID 2668399 ^a b James C. Whorton「菜食主義」『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典〈4〉栄養と健康・現代の課題』(朝倉書店 、2005年3月。ISBN 978-4254435344 )229-244頁。The Cambridge world history of food, 2000 ^ エリー・メチニコッフ『不老長寿論』(大日本文明協会事務所、1912年)236頁 ^ John Harvey KelloggAutointoxication ,1918 ^ Daniel M. Lilly , Rosalie H. Stillwel"Probiotics: Growth-Promoting Factors Produced by Microorganisms" Science Vol.147. no.3659, 12 February 1965, pp.747-748,doi :10.1126/science.147.3659.747 ^ Gibson GR, Roberfroid MB. "Dietary modulation of the human colonic microbiota: introducing the concept of prebiotics." J Nutr. 125(6), 1995 Jun, pp1401-12.PMID 7782892 ,doi :10.1079/NRR200479 ^a b 上野川修一『からだの中の外界 腸のふしぎ』 (2013年4月20日、講談社 ブルーバックス 、ISBN 978-4-06-257812-7 )p.45、p.168 ^ 工藤 俊章 独立行政法人理化学研究所環境分子生物学主任研究員研究成果「腸内微生物との共生関係の不思議 」(2017年4月20日閲覧)