線文字A (せんもじA、Linear A)は、およそ紀元前18世紀 から紀元前15世紀 ごろまでクレタ島 で用いられていた文字 。線文字B と同様に、左から右に書かれ、音節文字 と「表意文字」と呼ばれる記号を含む。線文字Bと共通する文字も多いが、未解読である。
線文字Aの資料は線文字Bと異なり、クレタ島のミノア文化地帯全体に広がっている[ 1] 。ファイストス に近いアヤ・トリアダ で発見された約150枚の粘土板が最多であるが、ほかにハニア や周辺の島などでも発見されている[ 2] 。音節文字は60のうち50ほどが、表意文字は60のうち40ほどが線文字Bと共通するという[ 3] 。ほかに線文字Bと異なって多数の合字 があり、また分数を表す文字が存在する。ゴダールとオリヴィエの文字一覧には単純文字(音節文字・表意文字)として178字、合字164字、分数文字47字を載せている[ 4] 。
線文字Bと同様、大部分は財産管理のための目録を記した粘土板であるが、いくつかは石や金属に刻まれており、これらは表意文字を含まない[ 3] 。
イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズ は1900年 にクノッソス の発掘を行い、3種類の文字で書かれた粘土板を発見した。エヴァンズはそれぞれを聖刻文字 、線文字A、線文字B と命名した。文字が刻まれた粘土板 自体の品質が悪く、数も少ないこと、文章の体裁に一定の法則が成り立っていないことなどから、現在までのところ線文字Aの解読には至っていない。
線文字Bが1950年代に解読された後、線文字Bの音価を線文字Aにあてはめて読む試みが行われた。サイラス・ゴードン による研究が有名であり、ゴードンはこの方法で北西セム語 で解釈できる単語を発見したと考えた[ 5] 。また、パーマーのようにアナトリア語派 のルウィ語 に近いと考える学者もいる[ 6] 。しかし、一般に認められた解読はまだ存在しない。
2014年のUnicode 7.0で線文字Aが追加多言語面 に追加された[ 7] [ 8] 。
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^ 高津(1964) pp.299-300 ^ 松本(1981) p.76 ^a b Bennett (1996) p.132 ^ Goddard, Louis; Olivier, Jean-Pierre (1985). Recueil des inscriptions en Linéaire A . 5 . École Française d'Athènes. pp. XXII-XXVII. http://cefael.efa.gr/detail.php?site_id=1&actionID=page&serie_id=EtCret&volume_number=21&issue_number=5&sp=22 ^ 高津(1964) pp.300-301 ^ Palmer, L. R. (1958). “Luvian and Linear A”. Transactions of the Philological Society 57 (1): 75-100. doi :10.1111/j.1467-968X.1958.tb01273.x . ^ Unicode 7.0.0 , Unicode, Inc, (2014-06-16), https://www.unicode.org/versions/Unicode7.0.0/ ^ Linear A , Unicode, Inc., https://www.unicode.org/charts/PDF/U10600.pdf 西セム語説の提唱者による解読過程の説明がある。 高津春繁 著「ミュケーナイ文書の解読」、高津春繁、関根正雄 編『古代文字の解読』岩波書店 、1964年、235-302頁。 松本克己 著「ギリシア・ラテン・アルファベットの発展」、西田龍雄 編『世界の文字』大修館書店 、1981年、73-106頁。 Bennett, Emmett L. (1996). “Aegean Scripts”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems . Oxford University Press. pp. 125-137. ISBN 0195079930