


盆地(ぼんち、英語:basin)とは、周囲を山地や丘陵に囲まれた、周辺よりも低く平らな地形である[1]。
盆地の規模は大小様々だが、盆地の大部分は地盤の相対的沈下によって生じる[2]。周囲の土地が隆起し、静止していた部分が結果的に盆地となる場合もある。
盆地はその成因によって侵食盆地と構造盆地に分類され、構造盆地はさらに、撓曲盆地と断層盆地に分類される[3]。火山活動によりできるカルデラも盆地の一種である[3]。
特に石灰岩地域に発達するものは溶食盆地(ポリエ)とよばれ、カルスト地形の一種である。
また、盆地または盆地内の状態によって、次の4つに分類される[2]。
山に囲まれた盆地の気候的な特徴はいくつか挙げられる。まず、沿岸部よりも気温の日較差や年較差が大きいことが挙げられる[4]。これは、陸と海洋の比熱の差の影響、さらに山谷風による熱の輸送[4]の効果もある。最低気温が低い要因には冷気湖が挙げられる[4]。
盆地における山谷風は、昼は暖められた空気が盆地の底から山へ、夜は冷やされた空気が山から盆地の底へと移動し、風向が変化する循環[5]。夜間はこれにより冷気が盆地の底に溜まり冷気湖が形成される[4]。冷え込みのため、夜間から早朝、かつ日本の場合は特に秋から春、霧が発生しやすい[4]。
盆地を囲む山が風を遮り、風速は弱まる傾向がある[6]。風の減速は、日中はより気温を上げやすく、夜間は逆に気温を下げやすくする効果がある[6]。また風の弱い日中は山谷風の循環の効果[注釈 1]で、盆地内は周辺の山地より雲が少なく日照時間が長い傾向もみられる[5][4]。気温の上がり方の差によって、平野と盆地の間にも山谷風や海陸風に類似した循環構造が認められることもある[6]。
山により海洋と隔てられているために空気が比較的乾燥しており、降水量が少ない傾向もある。フェーン現象も起きやすい。
また、盆地内の空気が滞留しやすいため大気汚染物質も滞留して屋外空気質の悪化が長引くことがあり、実際にメキシコシティなどで問題となっている。
内陸都市の立地要因には、盆地が防御の面で優れていることや、平坦な土地であることも挙げられる。
日本の辞書や教科書に「盆地」が現れたのは大正時代に入ってのことであり、その定義は国内の盆地内にある平野や都市に視座を置いた人文地理的なものとなっていた[7]。戦後に文部省地理調査所によって定められた上記の定義も、それを継承したものとなっている。山に囲まれた低い平坦地という日本の風土を想定して定められた「盆地」は、地形学の学術用語であるBasinやValleyの訳語に当てられたが、Basinは山地に属する盆状地質構造、海盆、流域などを指す、外縁や地質などを含めた窪んだ地形全体を捉えた用語であり、盆地床の地形について規定していない[7][8]。このため、周囲に山がないパリ盆地や、海に面した流域であるアマゾン盆地など、日本の定義では盆地とは言えない場所を「盆地」と呼んでいる例は多く、国際的な自然地域名称と乖離する場合もある[8]。
一説に丹波国・但馬国は盆地を意味する「谷」に由来するといわれている。
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