Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


コンテンツにスキップ
Wikipedia
検索

王座戦 (将棋)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
王座戦
棋戦の分類タイトル戦(31期より)
旧イベント名世代別対抗将棋戦(前身)
開催概要
開催時期予選:8月 - 翌年3月
挑戦者決定トーナメント:4月 - 8月
タイトル戦:9月 - 10月
初回開催一般棋戦:1953年度(第1期)
タイトル戦:1983年度(第31期)
持ち時間5時間(チェスクロック方式)
番勝負五番勝負
主催日本経済新聞社日本将棋連盟
協賛東海東京証券(特別協賛)
公式サイト王座戦:日本将棋連盟
記録
現王座藤井聡太(第71期)
永世資格者中原誠(名誉王座)
羽生善治(名誉王座資格)
最多優勝羽生善治(24期)
最長連覇羽生善治(19連覇)
テンプレートを表示

王座戦(おうざせん)は、日本経済新聞社及び日本将棋連盟主催[注 1]将棋棋戦で、タイトル戦のひとつ。

1953年に一般棋戦として創設(同年、囲碁の王座戦も開始)された[1]が、「王座戦」の棋戦名の命名は棋士の花村元司による[2]

1983年(31期)にタイトル戦に格上げされた。前身は「世代別対抗将棋戦」[3]五番勝負の勝者は王座のタイトル称号を得る。

方式

[編集]

一次予選・二次予選・挑戦者決定トーナメントの3段階で挑戦者を決定する。王座と挑戦者が王座戦五番勝負を行う。前期挑戦者決定トーナメントベスト4(前期敗れた王座を含む)およびタイトル保持者[注 2]はシード者となり、予選が免除される。従って、年によりシード者の人数は変動する。

五番勝負を含む全ての対局で、持ち時間は各5時間(1日制)である。第67期よりチェスクロック方式に移行した[4]

2021年2月より、女流棋士が挑戦者決定トーナメントベスト8まで勝ち進んだ場合に、棋士編入試験の受験資格を与えられることとなった[5]

一次予選

[編集]

シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士(永世称号者を除く)と、女流棋士4名によりトーナメント方式で行われ、6名が二次予選に進出する[注 3]。なお、シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士であっても、前期の戦績など、後述(方式の遍歴)の条件を満たすものは二次予選からの出場となる場合がある。

二次予選

[編集]

一次予選の勝ち抜き者6名と、シード者以外の棋士によりトーナメント方式で行われる。挑戦者決定トーナメントへの出場枠はシード者の人数によって異なり、最小で5枠(タイトル保持者が8人で、全員が前期ベスト4に残らなかった場合)、最多で12枠(全タイトル保持者が王座および前期ベスト4であった場合)となる。毎年10枠前後で推移している。

挑戦者決定トーナメント

[編集]

二次予選の勝ち抜き者とシード者の計16名によるトーナメントである。トーナメントの勝者が王座と五番勝負を戦う。

挑戦者決定戦(決勝戦)の対局時間については、第65期より午前9時の対局開始となっている。

在籍期限を満了したフリークラス編入棋士の特例参加
挑戦者決定トーナメント準決勝進出者(ベスト4)が、フリークラス規定の在籍期限を満了したフリークラス編入棋士である場合[注 4]、その在籍期限満了者は他棋戦については出場資格がなくなるが、王座戦については次年度の棋戦に参加が可能となり、引退とはならない(2010年7月9日以降)[6][注 5]

王座戦五番勝負

[編集]

王座と挑戦者が王座戦五番勝負を戦う。五番勝負は全国各地のホテルや旅館、料亭などで実施される。

休憩時間については、昼食休憩は12時10分からの50分間(第67期以降)、夕食休憩は17時からの30分間(第71期以降)となっている[7]。第63期以前の休憩時間は昼食休憩(12時から)・夕食休憩(18時から)いずれも60分間[8]、第64-66期の休憩時間はいずれも50分間(12時10分/18時10分から)[9]、第67-70期の夕食休憩は17時半からの30分間(昼食休憩は変更なし)[10]と変更されており、休憩時間が以前よりも短縮されている。なお、8つのタイトル戦の番勝負において夕食休憩があるのは、名人戦(2日目)と王座戦の2棋戦のみである。

番勝負の模様はABEMA 将棋チャンネルParavi(2019年より)で配信される[11]。かつてはニコニコ生放送(2019年まで)でも生配信が行われていた。

方式の遍歴

[編集]
タイトル
扱い
持ち時間王座戦番勝負挑戦者決定トーナメント二次予選一次予選
番数決定方法出場
人数
シード条件シード条件通過
人数
女流枠
01 - 11一般棋戦7時間三番勝負トーナメント決勝
=王座決定戦
16名不明不明なし
12 - 132名
14 - 176時間
18 - 23【挑戦手合制】
前期王座 vs
トーナメント優勝者
24 - 303名
31 - 36タイトル戦五番勝負・前期ベスト4
・タイトルホルダー
・順位戦B級2組以上
・前期本戦トーナメント進出者
・タイトル挑戦者および失冠者
・非タイトル棋戦優勝者
・前期二次予選戦績優秀者
  (一次予選通過者で二次予選1勝以上)
[12]
37 - 385時間
39 - 495名2名
(39期は3名)
50 - 533名
54 - 554名
56 - 666名
67期以降5時間※

持ち時間の「※」はチェスクロック方式。

特別な記載はないが、フリークラスに転出した棋士について、永世称号保持者の米長邦雄中原誠森内俊之は、転出後も二次予選シードになっている。また、順位戦B級2組からフリークラスに転出した勝浦修も、転出後の第46期から第52期王座戦まで(「順位戦在籍可能最短年数」に相当する期間)は二次予選シードとして扱われた。

女流棋士枠

[編集]

王座戦には、第39期(1990年)から女流棋士の出場枠が設けられている[13][注 6]。第54期(2005年)より枠が4名に増え[注 7]、翌年の第55期から第59期までは、女流棋士が関わる対局の緒戦(一次予選1回戦)が同日に行われた。この女流棋士の一斉対局では、ネット中継や大盤解説会が実施された。

対局日結果
552006年7月29日男性4勝 女流0勝
562007年7月28日男性4勝 女流0勝
572008年7月26日男性4勝 女流0勝
582009年7月11日男性3勝 女流1勝
592010年7月31日男性4勝 女流0勝

出場する女流棋士には女流タイトル保持者などの実力上位者が選抜され、1回戦で対戦する男性棋士はほとんどが若手の四段である。一斉対局になる前は女流棋士が勝ち星を挙げたこともあるが、一斉対局後は3年連続で女流棋士が全敗に終わっていた[注 8]。2009年に石橋幸緒女流王位が一斉対局で初めて勝利し、2回戦に進出した。

第60期(2011年)から一斉対局ではなくなったが、女流枠の4名は変わっていない。女流棋士の勝数は60期1勝、61期0勝、62期0勝、63期2勝、64期2勝、65期0勝、66期1勝。特に第63期は香川愛生が2勝し、3回戦まで進出した。

第67期(2018年)は里見香奈が第57期以来の久々の参戦となり、3勝して一次予選準決勝(4回戦)まで進出し、香川の記録を更新した。また、渡部愛も同じく3勝して一次予選準決勝進出を果たした。この他、伊藤沙恵も1勝し、当期は女流棋士が合計7勝を挙げるという大きな変化のあった期となった。

2021年2月より、女流棋士が挑戦者決定トーナメントベスト8まで進んだ場合に、棋士編入試験の受験資格を与えられることとなった[16]

名誉王座

[編集]

永世称号である名誉王座は、王座を連続5期もしくは通算10期以上保持した棋士に与えられる。将棋界で8大タイトルの永世称号として「永世」ではなく「名誉」を冠するのは、王座戦だけである(その他の棋戦ではNHK杯テレビ将棋トーナメントでも同じ要領で「名誉NHK杯」と紹介される。これはいずれも囲碁と同一スポンサーの提供による優勝杯をかけたものであるため)。

主催の日本経済新聞社が1996年9月に同称号を制定した際、中原誠はタイトル戦昇格前の優勝回数10回と昇格後の獲得6期を合わせて16期(16回)の実績により名誉王座の資格を与えられた[17]。同年、羽生善治も連続5期達成により資格を得た。

他の永世称号と違い、現役のままでも満60歳に達すると名乗ることができるため、中原は60歳の誕生日である2007年9月2日から名誉王座を名乗っている[17]

  1. 中原誠_ - 1996年09月 獲得(当時49歳)、2007年09月02日 就位(当時現役、60歳0か月)
    - 合計16期の実績(王座戦優勝10回、タイトル獲得6期〈第31期 -第34期第36期 -第37期〉)
  2. 羽生善治 - 1996年09月25日 獲得(当時25歳11か月、満60歳以降または現役引退後に就位予定)
    - タイトル連続5期(第40期 -第44期
(以上2名、名誉王座 資格獲得順)

歴代五番勝負

[編集]
番勝負勝敗(王座側から見た勝敗)
○:勝ち  ●:負け  千:千日手  持:持将棋
王座戦番勝負
太字:王座獲得者(五番勝負勝者)太字:永世資格獲得者(五番勝負勝者)
  • 一般公式棋戦時代、第1回は一番勝負、第2回以降は三番勝負。
挑戦者決定トーナメント
:一次予選からの勝ち上がり者

一般公式棋戦(1953 - 82年度)

[編集]
  • 優勝棋戦(第1回-第17回)
年度優勝勝敗準優勝
11953大山康晴(一番勝負)丸田祐三
21954大山康晴○●□[注 9]升田幸三
31955大山康晴●○○灘蓮照
41956小堀清一○●○高島一岐代
51957松田茂行●○○小堀清一
61958塚田正夫●○○二上達也
71959大山康晴○○-山田道美
81960丸田祐三○●○大山康晴
91961本間爽悦○○-加藤一二三
101962加藤一二三○○-熊谷達人
年度優勝勝敗準優勝
111963灘蓮照●○○芹沢博文
121964大山康晴○○-加藤一二三
131965丸田祐三○○-内藤國雄
141966大山康晴○○-丸田祐三
151967山田道美○○-内藤國雄
161968大山康晴○○-加藤一二三
171969中原誠●○○有吉道夫
  • 前年度優勝者とトーナメント勝ち抜き者による三番勝負[18](第18回-第30回)
年度王座勝敗挑戦者
181970中原誠○○-二上達也
191971中原誠○○-加藤一二三
201972中原誠○○-内藤國雄
211973中原誠○○-大野源一
221974中原誠○●○大山康晴
231975中原誠●●-桐山清澄
年度王座勝敗挑戦者
241976桐山清澄●●-中原誠
251977中原誠○○-大内延介
261978中原誠○○-大内延介
271979中原誠○○-大内延介
281980中原誠●●-大山康晴
291981大山康晴○●○勝浦修
301982大山康晴●●-内藤國雄

タイトル戦(1983年度 -)

[編集]
年度王座戦五番勝負挑戦者決定トーナメント
王座勝敗挑戦者挑決敗者ベスト4
311983内藤國雄●○●
(三番勝負)
中原誠宮田利男加藤一二三 / 桐山清澄
321984中原誠●●○○○森安秀光真部一男田中寅彦 / 内藤國雄
331985中原誠●○○○-谷川浩司田中寅彦森雞二 /高橋道雄
341986中原誠○○○--桐山清澄谷川浩司森安秀光 /田丸昇
351987中原誠○○●●●塚田泰明中村修森安秀光 / 谷川浩司
361988塚田泰明●●●--中原誠桐山清澄加藤一二三 /井上慶太
371989中原誠
[注 10]
●○●○○青野照市南芳一井上慶太 / 高橋道雄
381990中原誠●○●●-谷川浩司高橋道雄内藤國雄 / 塚田泰明
391991谷川浩司
●●○○
福崎文吾米長邦雄中原誠 / 南芳一
401992福崎文吾●●●--羽生善治米長邦雄桐山清澄 /富岡英作
411993羽生善治○●○○-谷川浩司森内俊之島朗 / 中村修
421994羽生善治○○○--谷川浩司米長邦雄富岡英作 / 南芳一
431995羽生善治○○○--森雞二深浦康市米長邦雄 /佐藤康光
441996羽生善治○○○--島朗谷川浩司高橋道雄 / 森雞二
451997羽生善治○○○--島朗郷田真隆森下卓 /畠山成幸
461998羽生善治●●○○○谷川浩司郷田真隆深浦康市 / 南芳一
471999羽生善治○●○○-丸山忠久郷田真隆中原誠 / 佐藤康光
482000羽生善治
●○
○○
藤井猛谷川浩司佐藤康光 / 丸山忠久
492001羽生善治○○●○-久保利明丸山忠久佐藤康光 / 森内俊之
502002羽生善治○○○--佐藤康光藤井猛森下卓 / 森内俊之
512003羽生善治

渡辺明阿部隆丸山忠久 / 森内俊之
522004羽生善治○○●○-森内俊之渡辺明三浦弘行 /堀口一史座
532005羽生善治

○○--
佐藤康光深浦康市丸山忠久 / 中村修
542006羽生善治○○○--佐藤康光深浦康市渡辺明 / 森下卓
552007羽生善治○○○--久保利明森内俊之郷田真隆 / 佐藤康光
562008羽生善治○○○--木村一基谷川浩司郷田真隆 /鈴木大介
572009羽生善治○○○--山崎隆之中川大輔藤井猛 / 渡辺明
582010羽生善治○○○--藤井猛深浦康市三浦弘行 / 青野照市
592011羽生善治●●●--渡辺明久保利明丸山忠久 /屋敷伸之
602012渡辺明
○●●
羽生善治中村太地行方尚史 / 木村一基
612013羽生善治
●○●
中村太地郷田真隆森内俊之 / 渡辺明
622014羽生善治○○●●○豊島将之丸山忠久中村太地 / 深浦康市
632015羽生善治○●●○○佐藤天彦豊島将之久保利明 / 渡辺明
642016羽生善治○○○--糸谷哲郎佐藤天彦稲葉陽 /松尾歩
652017羽生善治●●○●-中村太地青嶋未来斎藤慎太郎 /菅井竜也
662018中村太地●●○○●斎藤慎太郎渡辺明永瀬拓矢 /藤井聡太
672019斎藤慎太郎

●●--
永瀬拓矢豊島将之佐藤天彦 / 羽生善治
682020永瀬拓矢○●○●○久保利明渡辺明大橋貴洸 / 豊島将之
692021永瀬拓矢●○○○-木村一基佐藤康光飯島栄治 /石井健太郎
702022永瀬拓矢

豊島将之大橋貴洸木村一基 / 石井健太郎
712023永瀬拓矢○●●●-藤井聡太
0【八冠達成】[注 11]
豊島将之羽生善治 / 渡辺明
722024藤井聡太○○○--永瀬拓矢羽生善治鈴木大介 /広瀬章人
732025藤井聡太
伊藤匠羽生善治屋敷伸之 / 広瀬章人

記録

[編集]

※タイトル戦となった第31期以降について記載。

獲得番勝負出場挑戦者決定トーナメント参加
最多羽生善治
( 通算24期 )
羽生善治
( 通算26期 )
羽生善治
( 通算31期 )
第39期 - 第68期, 第71期
連続羽生善治
( 19連覇 )
第40期 - 第58期
羽生善治
( 連続26期 )
第40期 - 第65期
羽生善治
( 連続30期 )
第39期 - 第68期
最年少獲得防衛渡辺明
7001190000000000000♠19歳132日 )
000第51期[注 12]
藤井聡太
7001150000000000000♠15歳292日 )
000第66期[注 13]
藤井聡太
7001210000000000000♠21歳84日 )
第71期
藤井聡太
7001220000000000000♠22歳73日 )
第72期
最年長羽生善治
7001460000000000000♠46歳7日 )
000第64期[注 14]
森雞二
7001490000000000000♠49歳149日 )
000第43期[注 15]
大山康晴
7001670000000000000♠67歳49日 )
000第38期[注 16]


※タイトル戦となった第31期以降について記載。かっこ書きの数字は一般棋戦時代も含めた参考記録。

※氏名欄の"*"は王座保持者。氏名の太字表記は名誉王座・名誉王座資格者。数字の太字表記は最多記録。

第72期終了まで
氏名王座在位五番勝負出場

(在位、挑戦問わず)

挑戦者決定トーナメント参加

(在位含む)

通算連続通算連続通算連続
羽生善治241926263130
中原誠6(16)4(6)8(20[注 17])8(12[注 17])17(33)12(28)
永瀬拓矢446697
藤井聡太*222264
谷川浩司11622619
渡辺明11322222
中村太地113288
福崎文吾11229(10)4
塚田泰明112296
斎藤慎太郎112244
大山康晴0(9)0(3)0(12[注 17])0(3[注 17])5(35)2(31)
女流推薦出場
氏名通算連続最高成績
清水市代241839,41-42,44-61,63-64,68一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第50,51,53期)
中井広恵12539-43,45,47,49,51-54一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第43期)
福間香奈9859,67-74一次予選3勝(一次予選ベスト4進出 第67期)
西山朋佳8867-74一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第68期)
加藤桃子8665-66,69-74一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第70,71期)
石橋幸緒8448,52-55,57-59一次予選2勝(一次予選ベスト8進出 第53期)
甲斐智美7657,59-64一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第63期)
伊藤沙恵7365-67,70-72,74一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第67期)
斎田晴子6243-44,46,50-51,56一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第44期)
矢内理絵子5450,55-58一次予選0勝
上田初美4360-62,66一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第66期)
千葉涼子3354-56一次予選0勝
香川愛生3363-65一次予選2勝(一次予選ベスト8進出 第63期)
渡部愛3367-69一次予選3勝(一次予選ベスト4進出 第67期)
中村真梨花2262-63一次予選0勝
山田久美2264-65一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第64期)
林葉直子1140一次予選0勝
岩根忍1160一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第60期)
長谷川優貴1161一次予選0勝
本田小百合1162一次予選0勝
室谷由紀1166一次予選0勝
大島綾華1173一次予選1勝(一次予選2回戦進出 第73期)

エピソード

[編集]
  • 将棋と囲碁の王座戦が1957年(昭和32年)に創設される際、日本将棋連盟理事として日本経済新聞社と折衝した丸田祐三によると、どのような棋戦にするかという構想は加藤治郎によるもので、「王座戦」の名称は花村元司が考案した[19]
  • 第21回(1973年)では、62歳の大野源一が挑戦権を獲得。中原誠との三番勝負は0勝2敗に終わるも、60歳代での番勝負への勝ち上がりは快挙だった。
  • 大山康晴は優勝棋戦時代(第1回 - 第17回)に7回、前年優勝者と挑戦者による三番勝負時代(第18回 - 第30回)で2回王座になっている。名誉王座の資格には該当しなかったものの、第29回(1981年)では58歳で勝浦修との三番勝負に勝利しており、同年度に王将位の防衛で史上最高齢のタイトル保持者となっていたのと同様、当棋戦でも第一人者としての実力を示していた。
  • 羽生が福崎文吾から王座位を奪取して以降19期タイトルを保持し続けていたため、福崎は長年“名目上の前王座”ということになっていたが、こちらも19期連続という珍記録であったため、福崎自身も「名誉前王座」などと笑い話として披露していた[20]。2011年9月に羽生が失冠したため福崎も「前王座」ではなくなったが、以後も話のネタとして使われることがある。
  • 羽生は2011年に20連覇を逸したものの、翌2012年に挑戦者として奪還に成功し、その後2017年に再び失冠して翌2018年(第66期)に本戦1回戦で敗れるまで同一タイトル戦連続出場記録26期(1992年 - 2017年)を数えた。それまでの最長記録は大山康晴が名人戦と王将戦で持つ21期であった。また、羽生の通算24期在位は、一つのタイトル獲得期数としては史上最多となっている。
  • 第34期二次予選において、係の手違いで決勝トーナメント出場者が1名少なくなることが判明。二次予選決勝敗者から抽選で追加のトーナメント進出者が決められることになり、脇謙二が追加出場者となった[21]
  • 第67期(2019年度)において、挑戦者決定トーナメントへのシードが史上初めて半数を超え10名となったため、予選からの挑戦者決定トーナメントへの出場枠が6名と過去最少になった。これは第66期挑戦者決定トーナメントベスト4にタイトル保持者は渡辺明棋王しか残れず、かつ第89期棋聖戦の結果複数冠者がいなくなったことで、タイトル保持者シードが6名(羽生善治竜王、佐藤天彦名人、高見泰地叡王、菅井竜也王位、久保利明王将、豊島将之棋聖)となったことによる。
  • 第71期(2023年度)、藤井聡太永瀬拓矢から王座を奪取し史上初の八冠独占を達成した[22]。藤井は翌年の王座タイトル防衛戦にも勝利し、初の全8タイトル棋戦でのタイトル防衛・連覇を達成した。
  • タイトル戦に昇格してから、第72期(2024年度)までの時点において王座を防衛(2期以上連続で獲得)した棋士は中原誠・羽生善治・永瀬拓矢・藤井聡太の4名のみであり、一般棋戦時代に王座戦連覇を経験した大山康晴を含めても、王座戦の連覇者は5名しかいない。第4回(1956年度)優勝者の小堀清一は、翌第5回も決勝まで進出するも、松田茂行との三番勝負を1勝2敗で連覇を逃し、大内延介は第25回(1977年度)から3回連続で挑戦権を獲得するも、3回とも中原に0勝2敗で退けられている。
  • 第72期(2024年度)現在、一次予選からの挑戦者は一度も現れていない。挑戦者決定トーナメントベスト4進出まででも第65期までは通算5名(各期1人ずつ)しか出ておらず、うち4名は決定戦まで進出するも破れて挑戦とはならなかった。ところが第66期(2018年度)に一次予選から出場した永瀬拓矢藤井聡太の2名がベスト4に進出したことで、タイトル戦移行後では初めて一次予選からの挑戦者決定トーナメントベスト4進出者が複数名出る珍事が発生した。しかしいずれも準決勝で敗れている。
  • 王座戦五番勝負で、これまで持将棋が出たことは一度もない。

脚注

[編集]
[脚注の使い方]

注釈

[編集]
  1. ^2021年現在、王座戦中継サイトのトップでは主催は日本経済新聞社と将棋連盟が併記されており、日本将棋連盟のサイトでも「日本将棋連盟主催棋戦一覧」のページに王座戦を載せている。
  2. ^第69期は木村一基九段が前王位保持者として、第70期は豊島将之 九段が前竜王位保持者としてシードされている
  3. ^第56期より6名。第55期以前の一次予選通過枠は5名であった。
  4. ^順位戦C級2組からの降級・棋士編入試験の合格・奨励会三段リーグで次点(リーグ3位)2回獲得によりフリークラスに編入した棋士が対象となる。60歳以上で順位戦C級2組から降級した棋士を含む。ただし「フリークラス宣言」による転出者については含まれない。
  5. ^他棋戦においても同様の規定があるが、2022年時点での適用例は竜王戦のみとなっている。
  6. ^出場する女流棋士はタイトル保持者で、第39期には清水市代女流名人、林葉直子女流王将、中井広恵女流王位の3人が出場。それまで将棋界は男女別棋戦が原則で、それまでの女流参加の一般棋戦は新人王戦(1981年から女流参加)だけであり、王座戦は女流棋士が参加する2つ目の棋戦となった。
  7. ^女流棋士の出場枠4名は、朝日杯将棋オープン戦の6名に次いで多い。
  8. ^2006年の対局後、先崎学は「4局とも熱戦で、序中盤の実力は男性棋士に遜色ない」[14]とコメントしており、2007年には藤井猛が「持ち時間5時間の棋戦は女流にはなく、経験の差が出た」[15]と分析している。
  9. ^第2回第3局は、升田が病気のため不戦局。
  10. ^1996年9月に名誉王座が制定された。制定前の規定達成。
  11. ^藤井聡太の八冠保持は2023年10月11日から2024年6月20日まで。
  12. ^番勝負第1局時点。挑戦決定時は7001190000000000000♠19歳104日。
  13. ^トーナメント1回戦時点。二次予選決勝時は7001150000000000000♠15歳246日。
  14. ^在位は7001470000000000000♠47歳14日まで。
  15. ^番勝負第1局時点。挑戦決定時は7001490000000000000♠49歳118日。番勝負最終局時点では7001490000000000000♠49歳169日。
  16. ^トーナメント1回戦時点。2回戦(敗退)時点では7001670000000000000♠67歳86日。二次予選決勝時は7001660000000000000♠66歳309日。
  17. ^abcd第1回-第17回は決勝戦進出、第18回-第31回は決勝三番勝負。

出典

[編集]
  1. ^王座戦、進取の「気風」で70年”. 日本経済新聞社. 2021年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月11日閲覧。
  2. ^加藤治郎『昭和のコマおと』旺文社〈旺文社文庫〉、1985年10月、180頁。doi:10.11501/12440677ISBN 4-01-064347-1 
  3. ^田辺忠幸 編『将棋八大棋戦秘話』河出書房新社、2006年2月、170頁。ISBN 4-309-26870-6 
  4. ^第67期王座戦一次予選”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2019年). 2018年8月28日閲覧。
  5. ^女流棋士・奨励会員・アマチュアにおける 棋戦優秀者への対応について”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2021年2月5日). 2021年2月7日閲覧。
  6. ^フリークラス棋士の引退について”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2010年7月14日). 2010年7月14日閲覧。
  7. ^本日のスケジュール”. 王座戦中継Blog (2023年8月31日). 2025年10月4日閲覧。
  8. ^ご観戦ありがとうございました”. 王座戦中継Blog (2015年9月2日). 2025年10月4日閲覧。
  9. ^おはようございます”. 王座戦中継Blog (2016年9月6日). 2025年10月4日閲覧。
  10. ^おはようございます”. 王座戦中継Blog (2019年9月2日). 2025年10月4日閲覧。
  11. ^動画配信サイト「Paravi(パラビ)」で 第67期王座戦五番勝負をライブ配信”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2019年8月30日). 2025年10月4日閲覧。
  12. ^「王座戦」の仕組みや特徴について|棋戦トピックス|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2020年5月1日). 2025年7月3日閲覧。
  13. ^王座戦に女流棋士も参加」『日本経済新聞』1990年6月14日、朝刊。オリジナルの2008年10月4日時点におけるアーカイブ。2008年10月4日閲覧。
  14. ^先崎八段「女流トップ棋士のすごさを実感」”. 日本経済新聞社 (2006年7月29日). 2008年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月30日閲覧。
  15. ^<藤井九段の目>「5時間の棋戦経験の差でしょう」”. 日本経済新聞社 (2007年7月28日). 2008年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月30日閲覧。
  16. ^女流棋士・奨励会員・アマチュアにおける 棋戦優秀者への対応について”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2021年2月5日). 2021年2月7日閲覧。
  17. ^ab"中原 誠 永世十段・名誉王座"誕生へ”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2007年8月29日). 2025年10月4日閲覧。
  18. ^田辺忠幸 編『将棋八大棋戦秘話』河出書房新社、2006年2月、169頁。ISBN 4-309-26870-6 
  19. ^追悼・丸田祐三九段 王座戦半世紀共に歩む”. 日本経済新聞社 (2002年9月13日). 2017年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月26日閲覧。
  20. ^名誉前王座”. 将棋ペンクラブログ. 将棋ペンクラブ (2011年4月14日). 2025年10月4日閲覧。
  21. ^『近代将棋 1986年5月号』 37巻、5号、近代将棋社、194頁。doi:10.11501/6047145 
  22. ^藤井聡太八冠が誕生、史上初の独占 将棋王座戦を制す”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2023年10月11日). 2023年10月11日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
タイトル戦
各期一覧

その他の
棋戦
全棋士参加棋戦
一部棋士参加可
準公式戦・非公式戦
(休止・終了)

女流
タイトル戦
各期一覧

その他の
女流棋戦
(休止・終了)
カテゴリカテゴリ
王座戦 (一般棋戦)
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
関連項目
1970年(第18回)より前年王座との三番勝負。1983年(第31回)よりタイトル戦に移行。
王座 歴代タイトル保持者
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
永世資格者
名誉王座
第30期までは一般公式棋戦
各期の王座戦
【一般棋戦】( 第1期-第30期 )
【タイトル戦】( 第31期以降 )
発行本社
発行支社
刊行紙・雑誌
休刊・廃刊
関連会社
関連放送局1
歴史・事件
関連人物
関連項目

1 主要な放送局のみ掲載

カテゴリカテゴリ
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=王座戦_(将棋)&oldid=106710386」から取得
カテゴリ:

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp