漁業 基本用語 漁業の区分 漁法 漁具 漁業の諸問題 日本の漁撈民俗 国際的な関連団体・機関 日本の関連団体・機関 関連法規等 関連カテゴリ
漁業 (ぎょぎょう、Fishery)とは、営利 目的で魚介類 を捕獲したり養殖 する産業 [ 1] 。
漁業とは、営利 を目的 として魚介類を捕獲したり養殖 する産業 のことで[ 1] 、別の言い方では、営利目的で水産動物・水産植物を採ったり養殖する事業 のこと[ 2] 。水産加工業 などとともに水産業 の一種である。
漁業にはさまざまな人々が関わっているが、漁撈 活動に専業として携わる者のことは漁師 という。
漁業は農業 などと同じく第一次産業 だが、公共の場を利用して行われる点で農業と大きく異なる[ 3] 。そのため法令 により多くの制限を受ける。
分類方法は多様で、漁場による分類(統計調査による分類)、漁具・漁法による分類、漁獲物の種類による分類、漁業法規による分類(漁業制度による分類)、経営形態による分類などがある[ 1] [ 4] 。漁獲物の種類による分類では、「マグロ漁」「イカ漁」「タコ漁」「ホタテ漁」... 等々となる。
漁場による分類としては、淡水漁業、沿岸漁業 、沖合漁業 、遠洋漁業 、深海漁業などに分けられることがある[ 1] 。
日本標準産業分類 では漁業(海面漁業・内水面漁業)と水産養殖業(海水面養殖・内水面養殖)に大別される[ 4] 。
農林水産省 の漁業・養殖業生産統計では海面漁業・養殖業と内水面漁業・養殖業に分類され、前者のうち海面漁業部門は遠洋、沖合、沿岸に区分されており、海面養殖業と区別される[ 5] 。
なお、栽培漁業 (後述)という概念もあるが養殖漁業とは異なる[ 6] 。
バングラデシュ の網漁漁法による分類では網 漁業・釣 漁業・雑漁業の3種に分けられる[ 4] 。釣漁業、網漁業、養殖 漁業、採取漁業などに分類されることもある[ 1] 。
日本の場合、漁業権漁業、許可漁業、大臣届出漁業、自由漁業の4種がある[ 4] 。
世界の水産物生産量の推移[ 7] 緑(養殖)、青(天然) 古代エジプト の壁画 に刻まれた漁業従事者たち11世紀 にバグダード で医学を学んだ東方系キリスト教徒 であるイブン・ブトラーン の書籍『健康全書 (Tacuinum Sanitatis )』(14世紀 写本 )に著された網漁の風景。魚獲りは人類の発生とともに行われてきたが、世界で産業と呼べる規模の漁業が行われ始めたのは、16世紀のオランダ による北海ニシン 船団が初めてと言われる[ 8] 。ニシン船団は80-100トンのビュスと呼ばれる帆船で構成され、17世紀には2000隻のビュスが活動していた。流し網 でニシンを獲り、船上で内臓を取り塩漬け保存され、船倉が一杯になるまで続けられた。オランダのニシン輸出量は1614年の1年だけで15万トンに及び、17世紀には総人口の5分の1がニシン関連の仕事に就いていた。ニシン漁はその後スコットランド 、ノルウェー 、アイスランド 、ドイツ などで産業化した。
16世紀中頃にはタラ 漁が産業化し始める。ニューファンドランド島 沖のタラの豊かな漁場グランド・バンクス は、以前からバスク人 漁師には知られていたが、ジョン・カボット の探検行により他のヨーロッパ諸国にも知られるようになった[ 8] 。1550年代にフランス 、ポルトガル 、スペイン の船団が漁を始め、ヨーロッパや西インド諸島に輸出された。その後、北アメリカの入植が進むとともにニューイングランド やカナダ 沿岸の船団も加わった。グランド・バンクスのタラ漁はスクーナー船 による延縄 漁が長く行われ、20世紀になってトロール船 に取って替わられた。
1596年にスピッツベルゲン諸島 が発見されるとともに、北氷洋 で商業捕鯨 が始まった[ 8] 。オランダとイギリスは定期的に捕鯨船団を送り、ホッキョククジラ を捕獲した。オランダの捕鯨船団は1675年から1721年のまでのあいだに3万3000頭のホッキョククジラを捕獲している。18世紀にはイギリスが、19世紀半ば以降ははノルウェーが北氷洋捕鯨のトップとなった。また、18世紀にはナンタケット島 でマッコウクジラ が捕獲され、鯨油 を目当てにしたマッコウクジラ漁が産業化した。1842年にはアメリカだけで600隻近い捕鯨船が活動していた。
蒸気船 による漁が始まったのは1860年代以降であり、最初はトロール船を牽引するために使われた。蒸気トロール船は急速に発達し、1941年には欧米の漁船団の標準船となっていた。技術が発達しトロール船とともに工船 も巨大化し、漁獲量は劇的に上昇したが、操業権と漁業資源の確保は漁業国にとっての死活問題となり、タラ戦争 のような深刻な事態へと発展した[ 8] 。1982年になって排他的経済水域 を明確にする国連海洋法条約 が定められた。
沿海部における日本漁業の歴史は古く、縄文時代 の遺跡からは釣針 や銛 、漁網 の錘として用いられた土器片錘 や丸木舟 などの漁具 が出土しており、漁 や採集 によって魚介類 を収獲していたと考えられる。
縄文晩期の関東地方 では大型貝塚 の数が減少し、クロダイ ・スズキ 漁を中心とする縄文型内湾漁労は消滅するに至る[ 9] 。弥生時代 には大阪湾 岸など縄文晩期から弥生中期に至るまで縄文型漁労が継続した地域も存在するが[ 9] 、東京湾 では新たに内湾干潟 の貝類 を主体とするタイプの貝塚が形成されるが、遺跡から出土する魚骨は少なく、全国的に漁労は低調であったと評価される[ 9] 。一方で、大陸から伝来した管状土錘を用いた網漁やイイダコ の蛸壺漁 など、新たな漁法 を用いた弥生漁労も開始された[ 9] 。また、三浦半島 など外洋沿岸地域では外洋漁労が行われた[ 10] 。
弥生時代には稲作 農耕が普及するが、水田 と貝塚の双方を持つ弥生集落では農繁期の夏季に漁期 を持つカツオ などの魚類が出土しており、銛漁・釣漁など専門性の高い漁法が用いられていることから、農耕民とは別に漁労を専門とする技術集団がいたと考えられている[ 11] 。また、稲作農耕の開始により水田や用水路 など新たな淡水環境が生まれたことにより淡水産の魚類・貝類を対象とした漁労も開始された[ 12] 。
なお、北海道 では稲作農耕が普及しなかったため、縄文以来の狩猟や漁労が継続された[ 13] 。
ウィキソースに
北条五代記 の原文「東海︀にて魚貝取盡す事付人魚の事」があります。
鎌倉時代 には漁を専門とする漁村 があらわれ、魚 ・海藻 ・塩 ・貝 などを年貢 として納めるようになった。室町時代 にはさらに漁業の専門化がすすみ、沖合漁業 がおこなわれるようになり、市 の発達や交通網の整備、貨幣 の流通など商業全般の発達に漁業も組み込まれていった。
江戸時代 には遠洋漁業 がおこなわれ、また、上方 で発達した地曳網 による大規模な漁法が全国に広まるなど、漁場が広がった。消費地である江戸 近郊で消費需要が高まり、江戸市中の遺跡からはマダイ 、キダイ (レンコダイ)、アマダイ 、タラ 、サンマ 、サケ 、ナマズ など「江戸前」と呼ばれた東京湾 産出の魚種をはじめ、流通網の成立や保存技術の進歩により遠方から運ばれた多様な魚類が出土している[ 14] 。また、西日本からの魚食文化の流入としてナマズやスッポン が挙げられる[ 15] 。
江戸市中の遺跡から出土する貝類ではアワビ 、サザエ 、ハマグリ が多く消費され、アサリ ・シジミ は近世前期には少ない[ 16] 。底曳漁業の導入に伴い深場に生息するアカガイ の消費も増加し、新たにタイラギ やトリガイ も出現する[ 16] 。一方で、中世と比較してツメタガイ 、アカニシ が減少する。底曳漁業の導入は関西からその技術を持った魚民が移住したとも考えられている。アサリなど貝類はむき身の形で販売されており、東京都港区 の芝雑魚場跡 ではバカガイ の貝層 が出土し、バカガイがむき身の形で流通していたと考えられている[ 17] 。
一方で、文献史料によれば東京湾岸の漁業は幕府により特権を与えられた特定の漁村のみで行われたとされる[ 18] 。考古学的にも東京湾岸の漁業は中世と同様であることが指摘され、中小規模の貝塚が営まれ、管状土錘を用いた網漁が行われている[ 18] 。貝塚の規模、貝類の組成や出土する魚骨、漁具の種類も中世と同様で、引き続き零細な半農半漁の漁業が継続した様相を示している[ 18] 。
近世には大都市の影響による湾岸の富栄養化 など環境改変も発生している[ 19] 。
一勇斎国芳(歌川国芳 )の名所絵 揃物 『東都富士見三十六景』の内「佃沖 晴天の不二 」江戸時代 末期、江戸前 の佃島 沖にて漁師が行う網漁の様子を描いた一図。 延宝 8年(1680年 )に将軍となった徳川綱吉 は「生類憐れみの令 」と総称される一連の法令を発布する。生類憐れみの令では犬 をはじめとする動物愛護 のみならず、牛 ・馬 の保護や食用規制、鷹狩 に用いる鷹 の放鳥 、鷹匠 の削減など動物をめぐる総合的な政策が実施された[ 20] 。
生類憐れみの令では鉄砲 を用いた一般庶民の狩猟 も規制され、家禽 を除く鳥類 や観賞用の昆虫 の飼育 なども規制された[ 21] 。川の多い江戸は釣り場が多く一般庶民が釣り を行い魚を食用にしていることがあったが、生類憐れみの令では魚釣りも禁止された。ただし、生業として漁業を行う漁師の活動は制限されず、また漁獲され流通した魚の購入に関しては自由であった[ 21] 。宝永6年1月10日に将軍綱吉は死去し、綱吉の養子となっていた甲府徳川家 の綱豊 (家宣)が新将軍になると生類憐れみの令は撤廃された[ 22] 。
遠洋漁業 を行う日本のイカ 釣り漁船ニュージーランド のクック海峡 にて、2005年 撮影。戦後の日本経済の成長とともに水揚げ量は増加。特に1972年 から近海でマイワシの豊漁が続いたことから日本の漁獲量は1991年 まで世界第1位となった[ 23] 。その間、漁業を牽引し続けてきた遠洋漁業 ・沖合漁業 が1973年 (昭和 48年)の石油ショック によって漁船のコスト高の影響を受けたこと、また1970年代 後半から世界の漁業国が200海里 規制を取るようなると、遠洋漁業・沖合漁業の水揚げ量は減少した。
さらに1985年 (昭和60年)のプラザ合意 以降、円高 が進んだために水産物の輸入 が増加した。1980年代 半ば以降、遠洋漁業 ・沖合漁業 ・沿岸漁業 などの海面 漁業は漁獲量の下落傾向が続き、2000年 (平成 12年)には水産物の輸入 量が生産量を上回った。
このように漁業資源をめぐる国際競争は激化し、今日の日本の漁業は国際化の波にもさらされる一方で、近年は、そうした「とる漁業」から、採卵 、人工孵化 、放流 などによる「育てる漁業」(栽培漁業 ・養殖漁業 )への転換をはかる努力が続けられている。
近畿大学 水産研究所では、2002年6月に世界で初めてクロマグロ の完全養殖に成功した[ 24] 。近大は、完全養殖に成功したクロマグロを近大マグロ と呼称し、同大のマグロ料理を提供する専門店を銀座にオープンした[ 25] 。
2017年8月、双日 は、子会社の双日ツナファーム鷹島がNTTドコモ と電通国際情報サービス とともに、IoT 技術やディープラーニング を活用した画像認識技術を活用した水産養殖事業の効率性を向上させるシステムを構築し、水産養殖業の高度化を行う実証実験を開始したとアナウンスした[ 26] 。
漁業補助金の観点からいうと、日本の漁業補助金は世界一にもかかわらず漁業自体は衰退している[ 27] 。
漁業管理 (英語版 ) は、主として魚類 を中心とする水生 の再生可能資源 を最適に利用するための、関係当事者および規制当局の一連の活動の総称として用いられる[ 28] 。国連食糧農業機関 (FAO)の『2001年漁業管理ガイドブック』によれば、現在「漁業管理について明確で一般に受け入れられた定義はない」[ 29] 。そのため著者らは作業定義として、漁業管理を次のように定めている。
情報収集、分析、計画、協議、
意思決定 、
資源配分 、そして規則や規制の策定と実施(必要な法執行を含む)という統合的プロセスであって、資源の持続的生産性と、その他の漁業目標の達成を保証するために漁業活動を統治するもの。
[ 30] 漁業管理の目標は、再生可能な水生資源から生物学的・環境的・社会経済的利益を持続的に生み出すことである。対象生物(例:魚類、貝類 、両生類 、爬虫類 、海棲哺乳類 )が毎年の生物学的余剰を生み、それを慎重な管理の下で将来の生産性 を損なわずに収穫できる場合、天然の漁業は再生可能と分類される[ 31] 。漁業管理は水産学 に基づき、資源の保護を通じて持続的利用を可能にし、予防原則 をとることもある。
現代の漁業管理は、明確な目標に基づく適切な環境資源管理 (英語版 ) と、それを実施するための監視・管理・取締 (英語版 ) が組み合わさった国家的取り組みと考えられる。生態系アプローチによる漁業管理は、実践的な手法として広がりを見せている[ 32] 。現代科学は、漁業エコシステムマネジメント (英語版 ) を、需要、生態系サービス の長期の維持、生態系への悪影響の緩和の三つにバランスを取ることができる最も現実的な手段と考えている[ 33] 。これは単一種に焦点を当てる伝統的管理に対し、生態系の健全性と生産性の達成に焦点を当てる、より包括的なアプローチである[ 34] 。
漁業の存続自体は自然環境の再生産 に負うところが大きく、旧来の伝統的な漁具 ・漁法 による漁撈活動では生産性は低かったものの、水産資源 の再生産の限度を下回るものであった。その後の漁具 の改良・開発や、流通網 の整備、冷凍保存技術 の発達などにともない、生産量は増大し、漁場 もまた地球規模に拡大した。その一方で、世界の海洋資源の34%が乱獲されており、混獲により、捕獲された魚の約10%にあたる860万トンが世界中で廃棄されるなどの問題が起こっている[ 35] 。生物学的に持続可能な水準にある漁業資源の割合は、2021年には62.3パーセントに減少し、2019年よりも2.3パーセント低くなっている。なお、この割合は1974年には90%であった[ 36] 。
現代の商業漁船は 1950 年代に比べて2 倍の距離を移動しているが、1 キロメートルあたりの収穫量は以前の 3 分の 1 未満となっている[ 5] 。
2025年、WTO は、乱獲漁業に対する政府の補助金の禁止などを定める協定を発効した[ 37] 。なお、日本の漁業補助金のうち73.8%は乱獲に寄与し得る補助金だと言われている[ 38] 。
持続可能な開発目標 (SDGs)の第14目標「海の豊かさを守ろう (英語版 ) 」が国際的な注目を集めており、沿岸生態系の保全や、沿岸コミュニティのより持続可能な経済慣行 (漁業・養殖を含む)を支えることに焦点を当てた国際政策目標を設定している[ 39] 。
漁業法 (英語版 ) は、漁獲可能量 や漁業権 など、さまざまな漁業管理アプローチの研究・分析を扱う。漁業法研究は持続性の最大化と法執行を両立させる政策指針の策定に重要である[ 40] が、この法分野は世界の多くの法科大学院でほとんど教えられておらず、アドボカシー と研究はまばらである。漁業法はまた、条約 や業界規範を踏まえて漁業管理規制を分析する[ 41] 。さらに、小規模漁業や沿岸・先住民族コミュニティの司法アクセス、および児童労働法 (英語版 ) ・労働法 ・家族法 といった労働問題も射程に入る[ 42] 。
水揚げ水産業 で言うところの「水揚げ 」は、漁業(漁撈 )や養殖漁業 によって得られる、取り扱い水産資源全般を指す語である。 水揚げ量と水揚げ高「水揚げ量」および「水揚げ高」という用語 は、前者が重さを、後者が取引金額を表すためのものであり、例えば、「水揚げ量は3,000トン 。水揚げ高は25億円に達した」などという用い方をする。数値は前者が物理的であるのに対して後者は経済的であるため、水揚げ量の多い漁港 と水揚げ高の多い漁港が一致することは、双方が同一経済圏 に属しているか、何らかの経済協定で同一条件下にない限り、あり得ない。さらには、同一経済圏に属していても、ブランド 力の有無・優劣によって差異が生じる場合も多い(事例:大間 のマグロ とその他の同種)。 商業的に重要な魚種・未利用魚・低利用魚 商業的に重要な魚種のリスト (英語版 ) では70種程度、他の魚種は未利用魚・低利用魚である。商業的に利用される魚でも形や大きさ傷などによって廃棄される。FAO(国際連合食糧農業機関)が2020年に公開したデータでは、全漁獲量の30-35%が廃棄されているとしている[ 43] 。未利用魚 ・低利用になる理由としては、毒がある、サイズが小型・規格外、棘・骨が多くて加工しにくい、鮮度の低下が早く腐りやすい、季節が限定的、匂いやクサミがあるなどである[ 44] [ 45] 。例として、バラムツ 、アブラソコムツ などの深海魚の多くは、消化ができない油を含み下痢などを起こし最悪昏睡状態になるので、食品衛生法で販売が禁止されている[ 46] 。前述の様な食用として重篤な要因を除去できない未利用魚以外は、持続可能性 の観点から活用法が研究されている。漁業系廃棄物 漁網、フロートなどのプラスチック類、金属くず、木くずの他、貝殻や内臓・頭等の魚介類残渣がある。廃プラスチック類や金属くず等は「産業廃棄物」、紙くずや魚介類残渣等は「一般廃棄物」に分類され、事業者が責任をもって破棄することとなっている[ 47] 。 栽培漁業 生物資源の枯渇の問題や安定供給上の要請から、放流 (栽培漁業)、養殖 が盛んに行われており、放流魚の生態研究、養殖される魚種の開発などには、日本 の場合、各自治体 や大学 などの研究機関も積極的に関与し、「とる漁業」から「育てる漁業」への転換をはかる努力が続けられている。 順位 漁港名 水揚げ量(t) 1 銚子港 219,261 2 焼津港 156,224 3 境港 126,217 4 長崎港 118,869 5 松浦港 116,959 6 釧路港 114,977 7 八戸港 113,359 8 石巻港 103,905 9 枕崎港 97,880 10 福岡港 82,297
順位 漁港名 水揚げ高(百万円) 1 福岡港 47,891 2 焼津港 42,481 3 長崎港 34,953 4 根室港 27,521 5 銚子港 23,455 6 気仙沼港 21,268 7 三崎港 20,641 8 境港 20,571 9 八戸港 19,699 10 下関漁港 19,551
漁業の環境に対する影響 (英語版 ) には、魚の利用、乱獲 、漁業、漁業管理、さらに水産業 が混獲 など他の環境要素に与える影響が含まれる[ 49] 。これらは海洋保全 (英語版 ) の一部であり、水産学のプログラムで扱われる。国連食糧農業機関の2019年報告によれば、魚類・甲殻類 ・軟体動物 ・その他水生動物の世界生産量は増加を続け、2017年に1億7,260万トンに達し、2016年比4.1%増となった[ 50] 。世界人口 の増加等により、供給と需要のギャップは拡大している[ 51] 。
毎年約800万トン(ジャンボジェット機にして5万機相当)に及ぶプラスチックゴミが海洋に新たに流れ出ていると推定されているが[ 52] 、英国の研究グループは北大西洋でのプラスチックごみのトラブルが2000年以降に10倍に増えたと指摘し、ごみのうち半分は網など漁業由来だったと分析した[ 53] 。さらに、海底を根こそぎ浚う底引き網漁 (トロール漁 )では、炭素を貯蔵するサンゴ礁や海洋堆積物を破壊することから、最大 1 ギガトンの炭素(世界の温室効果ガス排出量の 3% 相当)を放出する可能性があると報告される[ 54] 。また漁業廃棄物は、海鳥の50%、海洋動物の66%、すべてのウミガメの種に、絡まりや閉じ込めの脅威にさらしている[ 55] 。
海に放棄された網はプラスチック やナイロン 製のため分解されず、生態系や野生生物に甚大な被害を与える。乱獲と海洋生態系 の破壊は、海鳥 個体群など他の環境要素にも大きな影響を及ぼし得る。さらに、大量の水産物廃棄に起因する水産物不足、そして一般が消費する水産物に混入するマイクロプラスチック の問題もある。後者は主に、流し網 (英語版 ) や延縄 などプラスチック製の漁具が摩耗・紛失・投棄されることで生じる[ 56] [ 57] 。
国連環境計画 (UNEP)は、地球温暖化や海洋汚染、乱獲などの影響で2050年頃には海の生態系の変化が顕著になり、世界のほぼすべての海域で漁獲量が減少し、小さい魚しかいなくなると予測している[ 58] 。サイエンス 誌が2006年11月に発表した4年研究では、現在の傾向が続けば2048年に天然の水産物が枯渇すると予測した。研究者らは、漁業資源の減少は乱獲・汚染などにより引き起こされ、同時に生態系の破壊が進んでいるためだと述べた。トンガ 、米国 、オーストラリア 、バハマ など多くの国や国際的管理機関が、海洋資源を適切に管理するための措置を講じている[ 59] [ 60] 。
漁業は多様な形で気候変動 の影響を受ける。水圏生態系 は海洋 では海水温 (英語版 ) の上昇[ 61] 、海洋酸性化 [ 62] 、海洋貧酸素化 (英語版 ) 、淡水 では水温・水流の変化や魚類生息地の喪失の影響を受ける[ 63] 。これらの影響の現れ方は漁業ごとの文脈で異なる[ 64] が、気候変動は魚類の分布[ 65] や海洋・淡水種の生産性を変化させ、水産物の利用や貿易 に大きな変化をもたらすと見込まれる[ 66] 。地政学 的・経済的帰結は大きく、特にこの部門への依存度の高い国々で顕著である。最大漁獲潜在力の最も大きな減少は、主に南太平洋 地域を中心とする熱帯 で予想される。[ 66]
気候変動による海洋への影響 は、漁業・養殖の持続可能性、それらに依存するコミュニティの生計、そして海洋による炭素 の捕捉・貯蔵(生物ポンプ )にも及ぶ。海面上昇 は沿岸の漁業コミュニティに深刻な影響を与える一方、降水パターンや水利用の変化は内陸の淡水漁業・養殖に影響する[ 67] 。洪水 ・疾病・寄生虫 ・有害藻類ブルーム (英語版 ) のリスク増大も生産やインフラの損失につながり得る。[ 66]
東南アジアでは、強制的に漁船に乗せられる、奴隷労働が問題となっている。日本は、漁業での奴隷労働が横行していると言われるタイから水産物を輸入する世界第2位の国である[ 68] 。
養殖漁業では、動物福祉規則を導入する国があるが、天然漁業においては、国内外問わず、動物福祉規則は導入されていない。そのため世界中で、毎年7,870 億から 2.3 兆匹の天然魚が、生きたまま内臓を抜かれたり、生きたまま氷漬けにされるなど、深刻なストレスにさらされている[ 69] 。
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