木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は長野県上松町・木曽町・宮田村の境界にそびえる標高2,956mの山で、木曽山脈(中央アルプス)の最高峰。日本百名山[3]、新日本百名山[4]、花の百名山[5]に選定されている。木曾駒ヶ岳とも表記され、また略して木曽駒と呼ばれる事もある。
駒ヶ岳の名を冠する山は日本の全国に多数あり、その最高峰である南アルプスの甲斐駒ヶ岳とこの木曽駒ヶ岳に挟まれる伊那谷では、この山を西駒ヶ岳または西駒、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳または東駒と呼ぶこともある。木曽前岳 (2,826m)、中岳 (2,925m)、伊那前岳 (2,883m)、宝剣岳 (2,931m) を含めて木曽駒ヶ岳と総称する場合もあるが、一般的ではない。
木曽駒ヶ岳には、雪解けの時期にはいくつかの雪形が見られ、昔から農業の目安にされてきた。中岳には山名の元にもなった駒(馬)、極楽平の南には島田娘と種蒔き爺などが現れる。
木曽谷と伊那谷に挟まれた中央アルプスは、長野県塩尻市から南南西の恵那山方面へと伸びる、細長い急峻な山脈であり、木曽駒ヶ岳はその北部に位置する。標高2,600m付近の濃ガ池(のうがいけ)、千畳敷カール及び極楽平では、氷河圏谷が発達している。駒飼ノ池などでは、氷河底湖が見られる。南東にある鋭い穂先の岩山である宝剣岳とは対照的に、木曽駒ヶ岳はなだらかな女性的な山容となっている。このため、南アルプス方面から眺めた場合には、木曽駒ヶ岳よりもむしろ鋭く尖った宝剣岳の山容が目立っている。山体の大部分が約6500万年前の花崗閃緑岩から成る。

標高1,700から2,600mは、コメツガやシラビソなどの針葉樹林帯が広がっており、2,600m付近にはダケカンバ、さらに上部は森林限界でハイマツ帯となっている[6]。
千畳敷カール、濃ガ池カールには、高山植物の花畑が広がっている。山頂付近には、セイヨウウスユキソウ(別名エーデルワイス)の仲間で木曽駒ヶ岳の固有種であるキク科ヒメウスユキソウ(別名がコマウスユキソウ)が自生している。宮田村の特別シンボルに指定されている。環境省と長野県のレッドリストの絶滅危惧I A類 (CR) の種に指定されている[7]。また中岳付近では、イワギキョウ、チングルマ、ミヤマキンバイなどが自生している。天狗山荘近くには、コマクサ園がある。亜高山帯から高山帯にかけては、ニホンカモシカ、ノウサギ、キツネ、イワヒバリなどが生息している。1961年(昭和36年)頃まで、南側の檜尾岳、空木岳などで見られたライチョウは、その後確認されていなかったが2015年に木曽駒ヶ岳付近にて登山者が雌ライチョウの撮影記録があり、2018年に雌ライチョウの報告が寄せられ環境省信越自然環境事務所が雌ライチョウの巣を確認し採取した羽毛のDNA解析で乗鞍岳から飛来してきた事が分かり保護増殖事業がすすめられており2023年では北は将棋頭山から南は南駒ヶ岳までライチョウの分布が広がっている。[8]。


駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅は、ロープウェイの駅としては日本最高所に位置する。ホテル千畳敷がそのロープウェイの終点にある。ロープウェイは通年運行であるため、四季を通じて千畳敷に観光客が訪れる。4月上旬から5月下旬には、残雪の千畳敷には長さが約250mの簡易リフトが設けられ、春スキーを楽しむことができる[13]。
標高2,650mの千畳敷カールまでは、駒ヶ岳ロープウェイで簡単に上がることができる。山頂からは、御嶽山、乗鞍岳、穂高岳、八ヶ岳、南アルプスなどの360度の展望が得られる。南アルプスの稜線の上に富士山の上部だけを望むことができる。

各方面から多数の登山道があり、千畳敷駅からのルートが最短で利用者が多い[14]。
他に、北御所や宮田高原などからのコースもある。
周辺には複数の山小屋があり、夏期を中心とする登山シーズン中に有人の営業を行っている[16]。中央アルプスの有人の山小屋はすべて完全予約制となっている。稜線上では唯一、駒ヶ岳頂上山荘にキャンプ指定地が併設されている。駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅には、通年営業の宿泊施設のホテル千畳敷がある。
なお、上松町側の小川字駒ヶ岳は日本郵便から交通困難地の指定を受けており、地外から当地宛に郵便物を送付することは出来ない[17]。
| 名称 | 所在地 | 標高 (m) | 収容 人数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 宝剣山荘 | 浄土乗越すぐ西 | 2,870 | 300 | |
| 天狗荘 | 浄土乗越すぐ西 | 2,870 | 300 | |
| 駒ヶ岳頂上山荘 | 山頂と中岳との鞍部 | 2,870 | 150 | キャンプ指定地(テント80張) |
| 頂上木曽小屋 | 山頂の西斜面直下 | 2,900 | 200 | |
| 玉ノ窪山荘 | 山頂と木曽前岳との鞍部の9合目 | 2,750 | 150 | |
| 西駒山荘 | 将棊頭山の東斜面直下 | 2,690 | 40 | |
| 金懸小屋 | 上松Aコースの5合目 | 1,914 | 30 | 無人 |
| 敬神ノ滝山荘 | 上松Aコース3合目 | 1,250 | 50 | |
| アルプス山荘 | 上松Aコース2合目の入口 | 1,070 | 80 | キャンプ場 |
| 木曽駒7合目避難小屋 | 福島Bコースの7合目 | 2,870 | 20 | 避難小屋 |


宝剣岳を含めた山頂部からは、四方八方の尾根が延びており、将棊頭山の北東に延びる尾根は「馬の背」と呼ばれている。南の宝剣岳との中間には中岳 (2,925m) がある。南東1.5kmには勒銘石がある伊那前岳 (2,884m) がある。西0.8 kmには、玉ノ窪の鞍部を挟んで木曽前岳 (2,825m) がある。
| 山容 | 山名 | 標高[1][2] (m) | 三角点等級 基準点名[1] | 木曽駒ヶ岳からの 方角と距離(km) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 将棊頭山 | 2,730 | 西駒山荘 | |||
| 麦草岳 | 2,73321 | 三等 | |||
| 木曽駒ヶ岳 | 2,955.95 | 一等 「信駒ケ岳」[1] | 日本百名山 別名が西駒 | ||
| 宝剣岳 | 2,931 | 千畳敷カール | |||
| 三ノ沢岳 | 2,846.48 | 三等 「三沢岳」 | 三ノ沢カール | ||
| 檜尾岳 | 2,727.74 | 三等 「梯子樽」 | 檜尾尾根 檜尾岳避難小屋 | ||
| 空木岳 | 2,863.71 | 二等 「駒ケ岳」 | 日本百名山 |

中央アルプス(木曽山脈)の最高峰で、以下が周辺の各山域の主要な山との位置関係である。山頂から南東方向の南アルプスの稜線越し(広河内岳と黒河内岳との間)に富士山、西に御嶽山を望むことができる。
| 山容 | 山名 | 標高[1][2] (m) | 三角点等級 基準点名[1] | 木曽駒ヶ岳からの 方角と距離 (km) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 奥穂高岳 | 3,190 | 北アルプスの最高峰 | |||
| 御嶽山 | 3,067 | (一等)「御嶽山」 (3,63.41m) | 独立峰 | ||
| 赤岳 | 2,899.17 | 一等 「赤岳」 | 八ヶ岳の最高峰 | ||
| 木曽駒ヶ岳 | 2,955.95 | 一等 「信駒ケ岳」 | 中央アルプスの最高峰 | ||
| 北岳 | 3,193 | (三等)「白根岳」 3,192.18m | 南アルプスの最高峰 | ||
| 富士山 | 3,776 | (二等)「富士山」 3,775.63m | 日本の最高峰 |
木曽駒ヶ岳を源とする河川は、西側は木曽谷の木曽川本流に合流し伊勢湾へ流れる。東側は伊那谷の天竜川本流に合流し太平洋へ流れる[18]。
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