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昭和女子大事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最高裁判所判例
事件名身分確認請求事件
事件番号昭和42(行ツ)59
1974年(昭和49年)7月19日
判例集民集28巻5号790頁
裁判要旨

 一、私立大学において、その建学の精神に基づく校風と教育方針に照らし、学生が政治的目的の署名運動に参加し又は政治的活動を目的とする学外団体に加入するのを放任することは教育上好ましくないとする見地から、学則等により、学生の署名運動について事前に学校当局に届け出るべきこと及び学生の学外団体加入について学校当局の許可を受けるべきことを定めても、これをもつて直ちに学生の政治的活動の自由に対する不合理な規制ということはできない。
二、学校教育法施行規則一三条三項四号により学生の退学処分を行うにあたり、当該学生に対して学校当局のとつた措置が本人に反省を促すための補導の面において欠けるところがあつたとしても、それだけで退学処分が違法となるものではなく、その点をも含めた諸般の事情を総合的に観察して、退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、その処分は、学長の裁量権の範囲内にあるものというべきである。

三、学生の思想の穏健中正を標榜する保守的傾向の私立大学の学生が、学則に違反して、政治的活動を目的とする学外団体に無許可で加入し又は加入の申込をし、かつ、無届で政治的目的の署名運動をした事案において、これに対する学校当局の措置が、学生の責任を追及することに急で、反省を求めるために説得に努めたとはいえないものであつたとしても、他方、右学生は、学則違反についての責任の自覚歩うすく、学外団体からの離脱を求める学校当局の要求に従う意思はなく、説諭に対して終始反発したうえ、週刊誌や学外集会等において公然と学校当局の措置を非難するような行動をしたなど判示の事情があるときは、学校教育法施行規則一三条三項四号により右学生に対してされた退学処分は、学長に認められた裁量権の範囲内にあるものとしてその効力を是認すべきである。
第三小法廷
裁判長坂本吉勝
陪席裁判官関根小郷 天野武一 江里口清雄 高辻正己
意見
多数意見全員一致
意見なし
反対意見なし
参照法条
学校教育法11条、学校教育法施行規則13条3項4号
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昭和女子大事件(しょうわじょしだいじけん)は、保守的で非政治的な学風を知られる私立大学退学処分を受けた学生が、処分が憲法違反であることを理由に身分の確認を求めて争った事件。日本国憲法に定められた人権規定の私人間効力について争われた。最高裁判所1974年7月19日判決

概要

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昭和女子大学は、1961年昭和36年)10月20日頃から学内において無届で政治的暴力行為防止法案反対署名を運動したり、無許可で民青同盟に加入した学生がいることを確認した[1]。大学は本人および保護者などに連絡をとりながら3か月余説諭を続けたが、当該学生の態度は変わらなかった[1]

12月4日頃に事実と相違するビラが学内で散布され、新聞記者らが取材と称して大学当局者に面会を強要した。12月15日に40名を越える労働者を交えた学外団体が守衛の阻止を強引に突破して大学構内へ侵入し、学内は自治を攪乱されて一部の学生が動揺した。当該学生は、1962年(昭和37年)1月20日発売の雑誌「女性自身」に仮名の手記で、1月26日に麻布公会堂の全都学生集会で今後も闘争を続ける旨を宣言することを発表し、2月9日放送の東京放送のラジオ番組「朝のスケッチ」に出演して公然と誹謗するなど、大学の中傷を続けた[2]

昭和女子大学は、1962年2月12日付で当該2名の学生を退学として処分することを教授会で決議した。学則の細則で定める「生活要録」の「政治活動を行う場合は予め大学当局に届け、指導を受けなければならない」に抵触し、「反省を促しつつあったが改悛の情がないのみか公開の会場その他において本学に対する不穏な言動により秩序を乱し学生の本分に反いた」ことが処分理由である[1]。当該2名は昭和女子大学の学生として身分の確認を求めて大学を訴えた。

一審(東京地判昭和38年11月20日)は退学処分が「公序良俗に違反する無効のものである」として原告の請求を認容したが、二審(東京高判昭和42年4月10日)は一審判決を取り消し、退学処分が「裁量権の範囲を超えるものとは解しがたく(中略)公序良俗に反し無効であるとか懲戒権の濫用で無効であるとは解されない。」として請求を棄却した。原告の元学生は、昭和女子大学の「生活要録」そのものが、思想や信条の自由を謳った日本国憲法に違反すること、退学処分が違憲であることなどを理由に、84人[注釈 1]の弁護士などを上告代理人として上告した。

最高裁判決

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最高裁判所第三小法廷は、全員一致で上告を棄却した。判決は三菱樹脂事件を引いて、憲法の規定は私人間に類推適用されるものではない(間接適用説)とする立場で、まず「生活要録」は憲法に違反するかどうか論ずる余地はない、とした。退学処分は思想、信条を理由とする差別的取扱でなく、懲戒の裁量権の範囲内であるものとして、その効力を否定することはできない、とした[3]。本件の判決で示された類似事案に関する法解釈などは実務と学説で主流とされるが、思想・良心の自由を謳った日本国憲法の精神に反すると批判も散見される[4]

脚注

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注釈

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  1. ^最高裁判決文に上告代理人として「雪入益見外八三名」が挙げられている。

出典

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  1. ^abc吉田嘉高「教育の自由と私学 : 昭和女子大事件と関連して(III 研究報告)」『日本教育行政学会年報』第1巻、日本教育行政学会、1975年、151-166頁、doi:10.24491/jeas.1.0_151 
  2. ^一審の事実認定による。
  3. ^最高裁判所判例集裁判例(昭和42(行ツ)59)”. www.courts.go.jp. 最高裁判所. 2023年10月13日閲覧。
  4. ^批判として、例えば高田敏「大学在学関係と基本的人権」行政判例百選I第4版40頁。これに対しては、例えば、多種多様な私立大学における在学関係において、そこまで人権の読み込みをする必要はないとする批判が妥当する(高橋正俊「私立大学と基本的人権」憲法判例百選I第4版26頁)。

関連項目

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外部リンク

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