この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
| 課税 | ||||||||
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| 財政政策のありさまのひとつ | ||||||||
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年収の壁(ねんしゅうのかべ)とは、税制と社会保険における比喩。複数の意味で用いられる。
2024年時点で税制による103万円の壁と、社会保険による106万円の壁、130万円の壁が存在する[5]。
社会保険料と税を一体化し、給付付き税額控除、あるいは給付の導入等で解消が可能とされる[6][7]。
2024年時点で、扶養を受ける者の年収から給与所得控除を引いた金額が、扶養者への扶養控除の適用基準である48万円を超えた場合、(扶養者の)扶養控除が消失し世帯全体での収入が急減する現象[注 1][9]。
所得税額が計算される対象は、扶養控除における適用基準の判定対象である「合計所得金額」からさらに基礎控除等を差し引いた金額の「課税総所得金額」であり、本制度における基準額の「48万円」は基礎控除とは何ら関係がない[8]。
2025年度の税制改正大綱で、特定扶養親族や特定親族(扶養を受ける19歳以上23歳未満)の被扶養者について配偶者控除と同様、年収が150万円を超えた場合は段階的に扶養者の控除額を減らしていくものとされた[10][11]。これにより世帯単位での手取りが急減する現象は解消されるとされる[12]。一方で、特定扶養親族や特定親族についても、社会保険による130万円の壁は残るとされている[12]。
2025年6月において、社会保険には106万円の壁と130万円の壁が存在するが[13]、3年以内に改正の予定である[14]。
学生以外の被扶養者(配偶者)において、一定の条件を満たした上で、年収(通勤手当を含まない)が106万円を超えると、厚生年金保険料と健康保険料がかかり始める[15][16]。厚生年金における年収要件については、撤廃が検討されている[16]。
健康保険(被用者保険)適用事業所において、保険加入義務が生じる[17]。年収106万円以上の週20時間以上労働になると(勤務期間1年以上で従業員数51人以上の企業に限る、学生は対象外)、会社の被用者保険(健保・年金)への加入義務が生じることとなった(2016年10月から)[18]。
扶養対象者の年収(通勤手当や不動産収入などを含む)が130万円以上(60歳以上や障害者は180万円以上)だと国民年金の保険料がかかり始めること[15][19][18]。
財務省によれば、既に「壁」はなくなったものと説明される[20]。一方で、パートタイマーやアルバイトで働き、配偶者が配偶者控除を受ける者には「心理的な壁」が残り、働き控えにつながっているとされることがある[21]。
配偶者の所得税における配偶者控除から除外され、配偶者特別控除の対象となる[18]。1987年の配偶者特別控除創設前迄は100万円を超えると配偶者控除の対象から外れため[22]、給与収入を103万円以内に収めようとする行為が見られた(103万円の壁)[18]。しかし、2018年分以後は給与収入が103万円を超えても201万5,999円までは、配偶者特別控除(最高38万円)の対象となって段階的に控除が受けられる仕組みになっており、201万円6千円以上になり控除が無くなる[18]。
もっとも、企業側が家族手当の支給対象を控除対象配偶者に限っている場合、103万の壁を超えると総合収支では家族の収入が減少する可能性があるため、必ずしも年末の就労調整が非合理的とはいえない。しかも、住民税では控除対象配偶者でなくなると、均等割・所得割の非課税基準の加算額の人数に算定されないため、配偶者控除であれば住民税非課税又は均等割課税であったものが、住民税の均等割課税又は所得割課税の対象となることがある[要出典]。[23]
日本労働組合総連合会は「2025年度 重点政策」において、年収の壁の対策として給付付き税額控除を支持しており、社会保険料を負担する給与所得65~250万円の層においては、その保険料の半額を所得税から控除し、控除しきれなかった部分は給付することを提案している[24]。
日本総合研究所の西沢和彦は、社会保険料制度について「正社員の夫とそれを支える専業主婦の妻」という過去の価値観に基づいた制度の抜本的な見直しが必要だとしている[13]。
東京財団政策研究所の森信茂樹は、英国の世帯単位の手取り所得に応じて額が決まるユニバーサルクレジット(英語版)を例に挙げ、中低所得者に対して給付付き税額控除を行うことで、社会保険料の106万円や130万円の壁の対策になるとしている[3]。
高橋洋一は、106万円の壁のような収入の逆転現象・就労控えが生じないように、欧米では税額控除などの制度を導入していることを指摘し、マイナンバーを利用することで、把握した世帯の収入に応じて社会保障給付を逓増・逓減させたりする制度が求められているとしている[25][26]。
2024年度時点で、所得が基礎控除と給与所得控除の合計である103万円を超えると、超えた分の所得に所得税がかかり始めることも「103万円の壁」と呼ばれることがある。
一方で、この場合控除された所得に課税は行われない(超過累進課税)ため、収入の逆転現象は生じない[4][27]。したがって、これを「壁」と呼ぶこと自体が誤解だという見解が存在する[28]。一部ではこれを「坂」と呼ぶ場合がある[29]。
43万円(住民税基礎控除)+ 65万円(給与所得控除)= 108万円 < 110万円 (2026年度より)
都内23区、大阪市や京都市その他の指定都市など1級地では給与収入が110万円を超えると本人にも税金が課される。住民税の基礎控除が43万円なので、給与収入が108万円を超えると税金が課されると思われがちであるが、実際に1級地では合計所得金額が45万円以下の場合には、所得割も均等割も課されない仕組みになっている。[30][31][32]。住民税の非課税の範囲は市町村の条例で定められており、市町村ごとに異なる[33][34]。例えば、南山城村では前年の合計所得金額が38万円を超えると税金が課される。[35]
「年収の壁」とは異なり、所得が1億円を超えると税負担率が減少する傾向にあることを指す言葉。労働所得と金融所得の税率の違いによるとされる。