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尿素回路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
尿素回路。黄色の円はミトコンドリア膜の輸送系。

尿素回路(にょうそかいろ、Urea cycle)、またはオルニチン回路(Ornithine cycle)は、ほとんどの脊椎動物に見られる代謝回路のひとつ。肝臓細胞のミトコンドリア細胞質において発現し、アンモニアから尿素を生成する[1]。最初に発見された代謝回路であり、1932年ハンス・クレブスクルツ・ヘンゼライトによって発見された(クレブスのクエン酸回路1937年に発見)。

回路の調節

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尿素回路の反応速度はN-アセチルグルタミン酸の濃度に依存している。なぜなら第一段階の反応であるアンモニアと炭酸からカルバモイルリン酸を生成する反応を触媒する酵素:カルバモイルリン酸シンテターゼ I (CPS I)は、N-アセチルグルタミン酸によってアロステリックに活性化されるためである。

アミノ酸分解の速度が上がるとその脱アミノ反応によりグルタミン酸の合成速度が上がり、これがシグナルとなってN-アセチルグルタミン酸の合成速度が上がる。その結果、CPS I が活性化されて尿素回路が活発になる。N-アセチルグルタミン酸はグルタミン酸N-アセチルトランスフェラーゼによってグルタミン酸アセチルCoAから合成され、特異的ヒドラーゼによって分解される。

尿素回路の反応系

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反応系の第4段階で生成したフマル酸クエン酸回路と同じ経路でオキサロ酢酸に変えられ糖新生に使われる。

段階反応物生成物酵素場所
酵素名略号EC番号補因子
1アンモニア +炭酸 + 2ATP2ADP +リン酸 +カルバモイルリン酸カルバモイルリン酸シンテターゼICPS I6.3.4.16ミトコンドリア
2カルバモイルリン酸 +オルニチンシトルリン + リン酸オルニチントランスカルバモイラーゼOTC2.1.3.3
3シトルリン +アスパラギン酸 + ATPAMP +ピロリン酸 +アルギニノコハク酸アルギニノコハク酸シンテターゼASS6.3.4.5細胞質基質
(ミトコンドリア外)
4アルギニノコハク酸フマル酸 +アルギニンアルギニノコハク酸リアーゼASL4.3.2.1
5アルギニン + 水尿素 + オルニチンアルギナーゼARG I3.5.3.1Mn
尿素回路の反応






L-オルニチン
2カルバモイルリン酸
3L-シトルリン
4アルギニノコハク酸
5フマル酸
6L-アルギニン
7尿素
L-AspL-アスパラギン酸
CPS-1カルバモイルリン酸シンターゼI
OTCオルニチントランスカルバモイラーゼ
ASSアルギニノコハク酸シンターゼ
ASLアルギニノコハク酸リアーゼ
ARG1アルギナーゼ1

総括反応式

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1段階目の NH+4 + HCO3 はNH3 + CO2 + H2Oに等価である。

故に、尿素回路の総括反応式は、

NH3 + CO2 + アスパラギン酸 + 3 ATP + 3 H2O → 尿素 + フマル酸 + 2 ADP + 2 Pi + AMP + PPi + H2O

フマル酸とアンモニアはアスパラギン酸に変換され、同時にPPi + H2O → 2 Piの反応が起きるので、これも含めると、

2 NH3 + CO2 + 3 ATP + 3 H2O → 尿素 + 2 ADP + 4 Pi + AMP


カルバモイルリン酸合成酵素(CPS)

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真核生物には、カルバモイルリン酸合成酵素I (CPS I)()カルバモイルリン酸合成酵素II (CPS II)() の2種類のカルバモイルリン酸合成酵素がある。ミトコンドリアにあるCPS Iはアンモニアからカルバモイルリン酸を合成して尿素回路にそれを供給し、サイトゾルにあるCPS IIはグルタミンアミノ基からカルバモイルリン酸を合成してオロト酸を経由するピリミジン塩基の生合成経路に供給している。

尿素回路
概要
分類および外部参照情報
ICD-9-CM270.6
OMIM237300
DiseasesDB32671
eMedicineped/314
MeSHD020165
KEGG 疾患H00164

カルバモイルリン酸合成酵素I欠損症()では、カルバモイルリン酸合成酵素I が不足して高アンモニア血症や精神症状を呈することがある。常染色体劣性遺伝による先天性代謝異常症。

出典

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  1. ^『ベーシック生化学』化学同人、2009年、212頁。ISBN 978-4-7598-1176-6 

関連項目

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外部リンク

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嫌気呼吸
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タンパク質代謝英語版
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