塩化カルシウム 塩化カルシウム 物質名 識別情報 ECHA InfoCard 100.030.115 EC番号 E番号 E509(pH調整剤、固化防止剤) RTECS number 性質 Ca Cl 2 モル質量 110.98 g·mol−1 外観 白色の吸湿性 粉末 匂い 無臭 密度 2.15 g/cm3 (無水物) 2.24 g/cm3 (一水和物) 1.85 g/cm3 (二水和物) 1.83 g/cm3 (四水和物) 1.71 g/cm3 (六水和物)[ 1] 融点 772–775 °C (1,422–1,427 °F; 1,045–1,048 K) 無水物[ 5] 260 °C (500 °F; 533 K) 一水和物, 分解 175 °C (347 °F; 448 K) 二水和物, 分解 45.5 °C (113.9 °F; 318.6 K) 四水和物, 分解[ 5] 30 °C (86 °F; 303 K) 六水和物, 分解[ 1] 沸点 1,935 °C (3,515 °F; 2,208 K) 無水物[ 1] 無水物: 74.5 g/100 mL (20 °C)[ 2] 六水和物: 49.4 g/100 mL (−25 °C) 59.5 g/100 mL (0 °C) 65 g/100 mL (10 °C) 81.1 g/100 mL (25 °C)[ 1] 102.2 g/100 mL (30.2 °C) α-四水和物: 90.8 g/100 mL (20 °C) 114.4 g/100 mL (40 °C) 二水和物: 134.5 g/100 mL (60 °C) 152.4 g/100 mL (100 °C)[ 3] 溶解度 酢酸、アルコール類に溶ける。 液体アンモニア、ジメチルスルホキシド、酢酸エチルに溶けない。[ 4] エタノール への溶解度 18.3 g/100 g (0 °C) 25.8 g/100 g (20 °C) 35.3 g/100 g (40 °C) 56.2 g/100 g (70 °C)[ 4] メタノール への溶解度 21.8 g/100 g (0 °C) 29.2 g/100 g (20 °C) 38.5 g/100 g (40 °C)[ 4] アセトン への溶解度 0.1 g/kg (20 °C)[ 4] ピリジン への溶解度 16.6 g/kg[ 4] 酸解離定数 pK a 磁化率 −5.47·10−5 cm3 /mol[ 1] 屈折率 (n D )1.52 粘度 3.34 cP (787 °C) 1.44 cP (967 °C)[ 4] 構造 Pnnm, No. 58 (無水物) P42 /mnm, No. 136 (無水物, >217 °C)[ 6] 2/m 2/m 2/m (無水物) 4/m 2/m 2/m (無水物, >217 °C)[ 6] a = 6.259 Å,
b = 6.444 Å,
c = 4.17 Å (無水物, 17 °C)
[ 6] α = 90°, β = 90°, γ = 90°
八面体 Ca2+ 中心 (無水物) 熱化学 標準定圧モル比熱 ,C p ⦵ 72.89 J/(mol·K) (無水物)[ 1] 106.23 J/(mol·K) (一水和物) 172.92 J/(mol·K) (二水和物) 251.17 J/(mol·K) (四水和物) 300.7 J/(mol·K) (六水和物)[ 5] 標準モルエントロピー S ⦵ 108.4 J/(mol·K)[ 1] [ 5] −795.42 kJ/mol (無水物)[ 1] −1110.98 kJ/mol (一水和物) −1403.98 kJ/mol (二水和物) −2009.99 kJ/mol (四水和物) −2608.01 kJ/mol (六水和物)[ 5] −748.81 kJ/mol[ 1] [ 5] 薬理学 A12AA07 (WHO ) B05XA07 (WHO ),G04BA03 (WHO )危険性 労働安全衛生 (OHS/OSH):主な危険性
刺激性 GHS 表示 :[ 7] Warning H319[ 7] P305+P351+P338[ 7] NFPA 704 (ファイア・ダイアモンド)致死量または濃度 (LD, LC) 1,000-1,400 mg/kg (ラット, 経口)[ 8] 関連する物質 その他の陰イオン フッ化カルシウム 臭化カルシウム ヨウ化カルシウム その他の陽イオン 塩化マグネシウム 塩化ストロンチウム 塩化バリウム 特記無き場合、データは
標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
塩化カルシウム (えんかカルシウム、塩カル、calcium chloride)は、化学式 CaCl2 で示されるカルシウム の塩化物 。CAS登録番号 は10043-52-4。式量 は110.98。二水和物、四水和物、六水和物として存在するが、薬品として、二水和物CaCl2 ・2H2 O(式量 147.01)がよく使用される。
工業的に炭酸ナトリウム を生成する「ソルベー法 」の副産物として得られる。
2 NaCl + CaCO 3 ⟶ CaCl 2 + Na 2 CO 3 {\displaystyle {\ce {2NaCl + CaCO3 -> CaCl2 + Na2CO3}}} また、塩酸 と水酸化カルシウム が中和反応 を起こして塩を形成することでも得られる。
2 HCl + Ca ( OH ) 2 ⟶ CaCl 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {2HCl + Ca(OH)2 -> CaCl2 + 2H2O}}} 塩化カルシウムはリン酸水素カリウム と反応して、リン酸水素カルシウム の沈殿が生じる。
CaCl 2 + K 2 HPO 4 ⟶ CaHPO 4 + 2 KCl {\displaystyle {\ce {CaCl2 + K2HPO4 -> CaHPO4 + 2KCl}}} また、塩化カルシウムは中性の乾燥剤であるが、アンモニア とは反応してしまうので使用できない。
CaCl 2 + 8 NH 3 ⟶ CaCl 2 ⋅ 8 NH 3 {\displaystyle {\ce {CaCl2 + 8NH3 -> CaCl2.8NH3}}} 除湿剤 、融雪剤 、豆腐 用凝固剤、食品添加物 に使用される。水に溶けやすく (82.8 g/100 g)、水溶液の凝固点 が低くなる(凝固点降下 )。この性質を利用して、スケートリンク の冷媒として飽和 水溶液を用いる。
日本国内では、晩秋になると、積雪に備え道路 の各所(主に橋梁 、急勾配、急カーブ)に塩化カルシウムを入れた容器が配備される。積雪や凍結で路面が危険な状態にならないよう、通行者が自主的に撒布することができるようになっている。その際の適正な使用量は、道路の状況にもよるが1平方メートル あたり約30g (一握り)〜100g程度で、撒きすぎないように注意しなければならない。
また、道路やグラウンドなどで土ぼこり の発生防止用としても使われる。この場合は、1平方メートルあたり500〜1500g程度を用いる。水に溶けるときは発熱する。
道路に設けられた塩化カルシウムの貯蔵容器 塩化カルシウムは海水 など自然環境 の中に広く存在 する毒性の少ない物質として知られている。しかし、家庭 用の除湿剤 を使えばタンクの中に高濃度の塩化カルシウム水溶液 が溜まるようになっている他、前述の融雪剤として断続的に塩化カルシウムを使うことによる害について知っておく必要がある。
吸湿剤のタンクに溜まった液が皮革 製品に接した場合、表面が侵される。吸湿剤は皮革製品を含む衣類 を収納している場所に設置するのが常なので、吸湿剤を交換する等、衣類の出し入れの際にタンクを倒さないように配慮する必要がある。同時に、子供 が誤飲することのないように設置場所を工夫したり、事前に注意しておくことも大切である。
もし固形のまま、あるいは高濃度の溶液を誤飲した場合は、脱水症状を起こすので大量に水分を飲ませたうえで医師に診せ、同じく目や鼻など粘膜に入った場合は、浸透圧で粘膜が浸蝕・潰瘍を起こすので直ちに大量の水で洗ったあと医師に診せる。同様に、皮膚に固形のままあるいは高濃度の溶液が付着した場合は、炎症を起こすので直ちに低濃度になるように水で洗い流し、症状が残るようならば医師に診せる。
融雪剤として撒布された塩化カルシウムは、周辺の植生 にとって有害である。都市 内の道路のように、周辺に植生のない場所なら問題ないが、山間部では必然的に塩化カルシウムの撒布が多頻度で行われるため、土壌 における塩化物 イオンの量が過剰となり、植生が衰退傾向を見せることもある。
塩化物イオンは、鉄筋コンクリート に対しても悪影響がある。これらの弊害については塩害 の記事を参照。
また、道路の融雪・凍結防止目的で撒布された塩化カルシウムは水溶液となり、その上を車両 が通行する際にしぶきとなり、自動車 の車体や車輪に付着して、早期腐食 や早期劣化の原因となる。塩化カルシウムが撒布された(とおぼしき)道路を通行した場合は、速やかに洗車すべきである。頻繁に通行する場合は、あらかじめマリン用品として出回っている塩害 防止スプレーを塗布しておく予防策が有効である。
さらに、素手で塩化カルシウムを撒くのは、皮膚炎 の原因になる。特に雪 で皮膚 が濡れている場合は注意が必要である。水 分を遮断できる、ゴム製手袋 を着けて散布作業すること。
天然での塩化カルシウムは、一般に低温の乾燥環境において産出し、非常に珍しい。鉱物 としては2水和物のシンジャル石 (Sinjarite)[ 10] と6水和物の南極石 (Antarcticite)[ 11] の2種類が知られている。南極石は室温では融解 する。
塩化カルシウムは化学式CaCl2 で表される塩化カルシウム(II)の他に、化学式CaClで表される塩化カルシウム(I)が存在する。塩化カルシウム(I)は不安定な二原子分子 であり、その結合は本質的に強いイオン性である[ 12] 。塩化カルシウム(I)の固体構造は1953年に報告されたが[ 13] 、後に行われた追試験は失敗している[ 14] 。
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