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世界最古の地下鉄であるロンドン地下鉄 (1863年開業) 地下鉄 (ちかてつ、イギリス英語 :underground, tube(ロンドン地下鉄の愛称) 、アメリカ英語 :subway [ 1] [ 2] )は、地下鉄道 (ちかてつどう)の略で、路線 の一部または全部が地下 空間に存在する鉄道 である。
日本語で言う「地下鉄」について、鉄道事業法 、軌道法 、鉄道軌道整備法 など法令上の定義は存在しない [ 3] 。日本民営鉄道協会 が編集した鉄道用語事典においては「都市の地下部分に建設されたトンネルの中を走行する鉄道のこと」と説明している[ 4] 。
英語圏では、路面交通の緩和を目的として地下・高架に建設され、他の交通機関との平面交差による影響を受けない鉄道全般を"rapid transit (ラピッド・トランジット 、日本の都市計画法 における「都市高速鉄道 」とほぼ同義)" と称し、これが地下鉄の対訳の一つとされる。
地下を通る路線は地下を走行するため景色が存在せず観光 用途には向かないが、高架橋 の上を通る路線と同様に踏切 や交通信号 などの存在を介した道路 など他の輸送システムとの相互干渉がないため、市街地 が密集している大都市の中心部など本来、定時運行が難しい場所でも定時運行が可能であり、踏切事故などの交通事故 の危険性も地上の鉄道路線に比べて低い。また地上を走る路線と異なり強風あるいは雨・雪・霧などによる影響も受けることがなく[ 注 1] 、この点も定時性確保に寄与している。台風が上陸して鉄道やバスが運休する中、地下鉄のみ唯一運行する例も多い。運転時の視認性が悪いため、信号 などの保安装置より安全なものが採用されていることが多く、衝突事故の危険性も低い。
しかし、低所を走るため排水設備に不備があると水害の危険があり、またオウム真理教 による地下鉄サリン事件 などテロリズム の脅威もある。また、欧米では防火設備の不十分な古い地下鉄も多く、木製の車両やエレベーターが存在しているところもある。
断面 草創期の地下鉄は地表面を掘り下げて箱形のトンネルを造る開削工法 によって建設された。開削工法は工事費用が安く済む代わり、トンネルの両壁に当たる箇所に打ち込む連続した土留杭が必要であり打ち込み工事が交通の支障となるばかりか、工期や工事費の関係からも浅いトンネルしか建設できなかった。開削工事はまた、工事中は地表面の仮保護により地上の交通の妨げにならないよう配慮するも、地下鉄建設に関係する資機材や掘り出した土砂の搬出口を地上に設置する必要があり地上交通への影響は避けられなかった。しかしシールド工法 の登場で地上・地中の構造物に極力影響を与えることなく地下に路線を建設することを可能にし、工事中に直上道路の車線が減少するなど地上交通や都市景観への影響も極力回避できるようになった。シールド工法により造られたシールドトンネルは土圧に耐えるため通常は円形であるが、プラットフォームを設けるため眼鏡型など特殊形状のシールドマシンを用意した例もある。なおいずれの工法を取る場合においても駅舎建設(地上に設ける出入口を含む)のため一部は開削工法に頼らざるを得ない。なおベイエリアに代表される浅い海には一般に沈埋トンネルが採用されるため箱形であり、地盤状況が許せばNATM工法 など山岳トンネルと同じ工法が採用されるため馬蹄形の断面となる。 路線の線形・車両の大きさ 線形 について、市街地の地下に路線を通す場合は、国によって事情は異なるが多くの場合、法律 や地上の土地所有権 などが絡む問題があり、それを回避するため公有地 である道路(公道 )の地下に通すことが多い[ 注 2] 。道路の地下に路線を建設する場合、路線の形状やルートが都市の構造に依存するため、長い直線的な道路が地上に存在しない場所では路線が複雑に曲がりくねるルートとなり速度制限を受ける。大断面のシールドマシンが準備できないなど工法上の制限や、建設資金上の制限がある場合、時間あたりの輸送人員は低下するが工事費の安くつく小型の車両を採用した路線になりがちである[ 注 3] 。勾配および地下区間の選定 一般に地下を掘って構造物を造る工事は費用がかさむため、特に郊外の区間において高架区間や地上区間を併用することが一般的である。勾配も車両の性能が許す限り大きめに取りトンネル延長・地上に出るまでの距離のどちらもできるだけ短く留め[ 注 4] 、また凸凹のある地形を利用し、できるだけ明かり区間を長く取る路線選定がなされることがある。 ストラトフォード駅 のロンドン地下鉄 (左) 及びグレーター・アングリア (右) の乗り換えプラットホーム 。同駅にはドックランズ・ライト・レイルウェイ (図示せず) も乗り入れる。地下鉄と一般鉄道はハード面では互いに独立したシステムとなっている例が大半だが、ドイツ 等では路面電車 やバス を含めた大規模な共通運賃制度が実施され、ソフト面で連係が進められている例が多い。一部の路線では交通機関同士でダイヤグラム を調整したり、乗り場を同一平面に置くなど、円滑な乗換えが出来るように考慮されている。一方で相次ぐ路線の増設により、駅が離れていたり、経路の案内がわかりづらかったりと(同じ事業者の路線でも)乗継が不便になっている例もまま見受けられる。
なお、郊外電車の運営事業者が都心部で独自の地下線を有するケースがある。この場合、地下鉄と同じ役割を果たしていても地下鉄と認識されない場合が多い。
空港連絡鉄道 としても重宝されており、世界の主要な都市の空港 では地下鉄が乗り入れを行っているケースが多い。
地下鉄は建設にも維持管理にも莫大な費用を費やす交通機関であることから、大量の輸送需要が見込める都市でないと建設・維持することが難しい。日本で地下鉄のある都市は100万人以上の人口 を抱える都市圏 である。さらに建設費の償還や維持費の確保のため、他の公共交通機関 と比較すると運賃 が割高な傾向がある。建設しても需要が予想をはるかに下回ったとき非常に大きな負担となる場合もある。そのため、それほどの需要が見込めない場合は建設費用や維持費用が地下鉄より安いモノレール 、新交通システム 、LRT 、BRT などが選ばれることが多い。
さらに発展途上国 の場合、維持していけるだけの需要が見込めるにもかかわらず経済的に建設できる能力がないとき、先進国 からの政府開発援助 (ODA)や世界銀行 からの融資によって建設されることがある。
第一次世界大戦 ・第二次世界大戦 の際、ロンドン地下鉄が防空壕 の役割を果たしたことから、戦争 や自然災害 などの有事 の際の大規模な避難所としての利用が想定されていることがある。兵力や物資の輸送も可能であるため、各国の軍隊によって物資輸送演習が行われることがある。
休戦状態の韓国 ではソウル や釜山 などで地下鉄と共に地下街 や地下通路が多く整備されており、軍事都市の側面を持ち合わせている。
日本では太平洋戦争 の際、(日本で最初にできたため)比較的浅いところを走る東京メトロ銀座線 で空襲 による損傷を受けており、現在でも銀座駅 にその痕が一部に残存している。ロンドン地下鉄においても、直撃弾により大きな被害が出た例が複数ある。また、国会議事堂前駅 や東京メトロ有楽町線 のように有事を想定した建設が行われているという都市伝説 が流布する例もある(東京地下秘密路線説 も参照のこと)。
モスクワ やレニングラード などのソ連 の地下鉄の影響を受けて作られたものではよく見られ、北朝鮮 の首都・平壌 の地下鉄は地下150mという大深度に建設され、核戦争 に備えている。キーウ の地下鉄施設はロシアのウクライナ侵攻 でシェルター として使用されることになった[ 5] 。ブルガリア の首都・ソフィア の地下鉄は駅の入り口に防爆扉 がついている。
キングス・クロス・セント・パンクラス駅 におけるメトロポリタン鉄道 建設工事の様子 (1861年)地下鉄の歴史は19世紀 のイギリス のロンドン から始まった。1863年 1月10日 にメトロポリタン鉄道 のパディントン駅 からファリンドン駅 の間、約6kmが開通した(現在のサークル線 の一部)[ 6] 。当時のイギリスは鉄道の建設が盛んであったが、ロンドン市内は建物が密集しており地上に鉄道を建設できなかったためである。この路線を計画したのはロンドンの法務官であるチャールズ・ピアソン で、1834年 に開通したテムズトンネル をヒントにしたとされる。車両は開業当初から1905年 に電化 されるまでは蒸気機関車 を使用していた。硫黄 を含む煙 が発生するため、駅構内は密閉された地下空間ではなく換気性を確保した吹き抜け構造となっていたほか、路線の一部も掘割であった。
地下鉄を意味することも多い「メトロ 」という単語の語源は、この「メトロポリタン鉄道」に由来している。そして、その「メトロポリタン鉄道」を語源として命名されたパリの地下鉄「Chemin de Fer Métropolitain」の略称である「Métro(Métropolitain)」から世界中にその呼称が広まったといわれている。
イギリスでの開業後はしばらく間があき、30年近くたった19世紀 末 -20世紀 初頭に欧米の各地で建設されていく。1875年 にトルコのイスタンブール で地下ケーブルカー「テュネル 」が開業した。1896年 にハンガリー のブダペスト でも本格的地下鉄が開業。ブダペスト地下鉄は当初から電化されており、これは地下鉄としては世界で最初の電化路線であった。さらに1898年 にはアメリカ合衆国 のボストン 、そして1900年 にはフランス のパリ において開通した。ドイツ のベルリン でも1880年 頃には地下鉄を通す計画が存在したものの反対勢力によって計画が遅れ、開通は1902年 であった。
第二次世界大戦 が開戦するまでには南米や日本、ソヴィエト連邦の大都市でも建設が行われ、戦後は中規模の都市にも広まった。1970年代以降は発展途上国でも整備され、公共交通機関として一般化した。
一般的に地下鉄と呼ばれる路線でも高架区間や地上区間を有することはあるが、トンネル構造物が区間の大部分を占める地下鉄では保守点検作業に多くの手間が掛かる。そのため、それを少しでも減らすために維持の手間が少ない直結軌道 やスラブ軌道 の路線を採用していることが多い。この方式では床や枕木 にコンクリート を使用するため、砂利を敷き詰めるバラスト軌道 に比べ寿命が長く、車体への負担も少ないという利点がある。その代償に初期費用がバラスト軌道に比べて非常に割高である。
世界の全ての地下鉄が電化されている。その電源・集電方法は国や路線によって様々である。電源は直流600 - 1,500Vが主に使われている。交流を採用している路線は、インド のデリー (25,000V 50Hz)のみである[ 注 5] 。アジアでは750Vと1,500Vが、ロシア ・東ヨーロッパ では825Vが、西ヨーロッパや北アメリカでは600Vから750Vが、南アメリカでは750Vや3,000Vが主流である。集電方法は第三軌条方式 (およびロンドンの四軌条方式)と架空電車線方式 があるが、国や地方同士の中でも混在しており、分布の偏りは見られない。なお、第三軌条方式は鉄道が走行する2本のレールに平行して3本目のレールを敷設し、このレールを通じて電源を供給する方式である。地下鉄において集電方法に第三軌条方式を採用すると架空線の場合よりもトンネルの断面積が狭くなり、建設費用が抑えられる。同じ目的で日本などの一部の国では鉄輪式リニアモーターカー も採用されている。
横浜市営地下鉄 グリーンライン 高田駅 にて、安全対策のため設置されたホームドア 地下鉄の他に地上の鉄道路線や高速鉄道 などの複数の路線が乗り入れるターミナル駅 こそ地上構造物を共有している場合があるものの、たいていの地下鉄のみの駅は、地上に駅舎 の設備を持たず、全ての設備を地下に備えていることが特徴的である。
多くの地下鉄駅 の場合、地上の構造物は簡易的な構造となっており、地下へと繋がる昇降設備 、つまり駅への入り口のみで構成されている。だが、地上・地下への階段の昇り降りは、障害者や高齢者にとっては地下鉄を利用する際の妨げとなっている。そこで、近年各国で新設されている路線ではこれらの人を対象に、エスカレーター やエレベーター を設置するなどして駅をバリアフリー 化する試みが行われる。
地下鉄しか乗り入れていない地下鉄駅の入り口はバス停留所 のように歩道へ設置されていることが多く、一目で地下鉄駅だと認識できるような工夫がされている。例として、地下鉄を運営する団体や路線のロゴを掲げたりペイントアート を行ったりする例が挙げられる。また、駅構内の広大な壁面を利用し、広告 の掲示や絵画 などの美術作品の展示が行われることもある。
地下鉄のプラットホーム は地下にあることが多い。地下にある場合、換気設備や消火設備の重要性が特に高いため、常に整備する必要がある。しかしながら、駅の構造や予算の問題等で十分に整備が行き届いていない路線が多いのが現状とされる。1990年代 以降に建設された一部の路線には、落下防止柵やホームドア の設置といった安全対策も行われている。また、地理や言葉に不慣れな乗客のために構内の放送だけでなく、プラットホームに列車の行先・種別を表示したり、駅名をアルファベットで表記したり、案内用として各駅に固有の番号を付与する(駅ナンバリング )など各種の配慮が講じられるようになってきている。
開業当初のロンドン地下鉄の車両は蒸気機関車 牽引だったため、石炭 を燃焼した際の煙を水槽内の水に通過させることによりトンネル内に排出される煤煙 と熱 を抑える構造を備えていた。
その後は電気鉄道 となるが、概ね幅2,500mm程度、長さ15,000mm程度の小柄な車両が用いられた。その後、幅2,800mm、長さ18,000mm程度までに大型化する。第二次世界大戦 後 はさらに車両が大型化し、東アジア では幅2,800 - 3,200mm、長さ20,000mm程度の大型車両が用いられる例(東京 、ソウル 、シンガポール など)もある。一方で建設費の点でトンネル断面を小さくした結果、車両も特殊な小型車とする例(イギリス・ロンドン のチューブ、グラスゴー 、ブダペスト など)もある。
車両性能は高速性能より高加減速性能や登坂性能が重視される。このため、電動車の比率 が高い。既存の構造物 を避け、道路 下などの狭隘な土地に建設されるため、急曲線と急勾配が多く、駅間距離も短いためである。
車体は大量の人員を輸送する関係で多くの扉 が取り付けられている。全長18,000mm以上の車両を中心に片側4扉以上の車両もあるが、世界的には1両当たり片側3扉が主流である。また列車の編成長は欧米で100 - 120m前後、アジアでは200m程度のものもみられる。
座席はロングシート が多いが、フランス・ドイツ・アメリカ合衆国・ドバイメトロなどクロスシート も散見される。
素材には外板には燃えにくい金属 材料を使用するのはもちろんのこと、内装材にも不燃性、難燃性 の素材が推奨されている。これは避難経路の限られた地下空間での火災 の発生が大惨事を招く可能性が高いためである。しかし内装材については、日本などの一部の国を除いては依然として可燃性の素材が用いられていることが多い。中には古い全木製の車両が使われている路線 もある。なお、地下鉄の運転士 は前面窓への明るい室内の映り込みを防ぐため、運転室 と客室間の仕切り部分のカーテン(遮光幕)を閉めて運行する。また、地下鉄を名乗るが、地上区間に駅を持つ路線も存在する。
地下鉄車両の冷房 化はそもそも欧州 では必要なところが少ないが、それ以外の地域でも遅れていた。これには以下の理由がある。車内を冷房すればそれによって発生する熱 とドレン 水 が車外に放出され、トンネルと駅が蒸し暑くなる。次に冷房用の電源 (第三軌条 や架線 より低圧 の交流 電源が一般的)が必要であり、電動発電機 を大容量のものに換えるか別に搭載する必要があり、その場所を確保できなかった。そもそも第三軌条を採用した地下鉄は車両限界 が小さく、冷房装置 を積むだけの空間も無かった。
しかし、技術の進歩によってこれらは解決された。大きな要因は、発電ブレーキ から回生ブレーキ への進化で大容量の抵抗器 が不要となったことと、制御方式 に抵抗器 を用いないサイリスタチョッパ制御 やインバータ による可変電圧可変周波数制御 (VVVF制御)が普及したことが挙げられる。これによって車両から熱源を無くすことが可能となり、さらに冷房用の電源を積むスペースもできた。その電源にも、電動発電機 より小型の静止形インバータ (SIV)を採用することで、より省スペース化が進んでいる。冷房装置そのものについても小型・高効率化がすすみ、第三軌条集電の車両でも、その屋根に薄型のものを置けるようになったことから、大阪市営地下鉄 の10系 (1979年 )を皮切りに採用が始まっている。
現存する特殊な車両を用いる例として、ゴムタイヤ式 が挙げられる。フランス と日本でそれぞれ異なる方式が開発された。フランスのものはカナダ のモントリオール 万国博覧会 の開催に合わせて建設された。これはゴムタイヤを使用した最初の路線であった。通常のレール と車輪 を案内とし、その外側にゴムタイヤとその踏板を設ける方式である。他にパリ、メキシコシティ でも同様の方式が採用されている。これに対し、日本の札幌 で実用化されたものは、走行用のゴムタイヤのほかに中央に1本の案内軌条 を作り、それをゴムタイヤで挟む方式で、鉄軌と鉄輪を持たない。ゴムタイヤ方式では騒音 の発生が少なく、発車時の加速度や停車時の減速度が高く、その変化も滑らかであるという特徴を持つが、消耗したタイヤ の粉塵 が舞うことから健康 被害を心配する声もある[ 注 6] 。また、転がり抵抗 が鉄輪式に比べ大きいので消費電力 が多く、タイヤの交換周期も短いためランニングコストが鉄輪式よりも高くなる。タイヤには荷重負担力の大きいラジアルタイヤ (札幌市営地下鉄は案内輪のみバイアスタイヤ )[ 7] が用いられており、パリでは過去にパンク した際、内部のスチールコードが第三軌条と接触して短絡 する事故も起きている。
建設費を抑える為、1980年 頃からは性能を保持したまま車両を小型化することが可能なリニア誘導モーター による非粘着 推進の車両が登場した。
車両の搬入については地上に置かれた車両基地 へ送る、地下の車庫の直上に搬入用の穴を設けてクレーン で下ろすといった方法がある。車両メーカーからの車両基地への輸送方法 は乗り入れ先の地上を走る鉄道線経由で送り込む、他の鉄道路線との物理的な接続がない場合には一般道路をトレーラ による陸送で送り込む方式が採られている。
地下鉄の建設方法は他の地下構造物の建設と同様に様々な種類があるが、その中でも特に主流を占める工法は開削工法 (オープンカット工法)とシールド工法 の2種類である。
開削工法による地下鉄建設現場(桃園機場捷運 桃園国際空港敷地内) 地面の土を掘り返し、路線を建設した後に埋めなおすという工法。オープンカット工法 、切り開き工法 とも呼ばれる。工事費が安く工期が短いのが特長で、1980年代まで世界各地の地下構造物の建設工法として主流であった。一方で地面を開削することに起因する制約も多く、地面から深い場所や路線の上に建造物や河川などがある場合は使えない。日本の京都 のように地下に多量の埋蔵文化財 (遺跡)を抱えている都市では開削工法による工事の前に埋蔵文化財の発掘調査 が必要になり、その分の経費と時間が必要となる。また道路上を開削するため道路交通の障害になるという問題もあるが、交通量の多い時間帯には工事を止め、開削した穴を一時的に鉄板で覆って上部を通行可能とすることである程度緩和することができる。
東京メトロ半蔵門線 の錦糸町駅 付近のシールド工法で造られたトンネルシールド工法 は横から掘り進むことによってトンネルを掘る工法。マーク・イザムバード・ブルネル によって考案された。地下鉄の深さまで垂直に穴を掘った後、路線を建設する予定の空間にシールドマシン と呼ばれる円筒状の機械で掘り進みながらトンネルを造っていく。複数の路線が地下で立体交差する場合や既設の地下鉄路線や下水道などの地下構造物が近くに存在したり、駅 の地下空間に既に何らかの建造物が存在する場合には有利であり、さらに地上の交通に殆ど影響を与えないといった利点を持つ。さらに、埋蔵文化財 (遺跡 ・遺構 ・遺物 )を持つ領域(周知の埋蔵文化財包蔵地 )においても、埋蔵文化財の存在する土層 よりも深い部分を掘削することによって埋蔵文化財に影響を与えないことが可能であり、開削工法では必要となる埋蔵文化財の発掘調査にかかる費用と時間を省くことができる。現在では地下にも多くの構造物があり地下鉄路線自体も以前に比べて地下深くに建設されるようになってきたため、地下鉄路線の建設はシールド工法が中心になってきている。しかし面積が広大である駅舎や地面から浅い場所で特に地上交通に配慮する必要がない路線は開削工法が有利であり、どちらの工法も状況に応じて利用されている。
岩盤が特に固い場所などでは掘削した部分を素早くコンクリート で吹き付けて固め、ボルト で固定する新オーストリアトンネル工法 (NATM)が用いられることがある。また河川の下では潜函工法 (ケーソン工法)や地上で造ったトンネルユニットを水中で連結する沈埋工法 が用いられることもある。また、掘削部に近接してあるいは直上に既存の建造物の基礎や杭あるいは下水管などがある場合、その沈下を防ぐためそれらの荷重を代わりに受ける構造物を構築した後に掘削を行い、トンネルや駅設備を設けることがある(アンダーピニング工法 )。いずれも限られた場所でのみ用いる工法である。
地下鉄は政府 や自治体 といった公営 、民間企業 の民営 (日本でいう私鉄 )があるが、そのどちらもが混在している形態も存在する([ 注 7] )。一見民営企業であってもその出資者は地元自治体のみで実質公営という事例が欧州を中心に多数存在する。また、逆に一見公営の地下鉄だが、運営は民営企業に一括して委託するケースがある。該当する例として、フランスのリヨンとリールの地下鉄があげられる。これらは対外的には市営地下鉄として案内されるが、実際には市から委託された民営会社が運行している。日本では第三セクター と呼ばれる。
ロンドンでは当初、民間のいくつかの鉄道会社が地下鉄路線を建設し、統一性や計画性のないまま各々の会社が運営していた。しかし1933年 に全ての路線が公的な団体として統合された。その後現在では1社の民間企業として運営している。このように運営団体が変わることも珍しくないほか、地下鉄路線の建設が非常に高額なために公的な団体が路線を建設し、民間企業が運営にあたる例もある。
運賃は乗る時間・距離を問わず定額である場合が一般的であるが、日本を中心とするアジアの路線では距離(区間)に応じて運賃が増加するシステムを採用している。ドイツを中心とするヨーロッパでは、地下鉄を含めた交通機関に対してゾーン制と呼ばれる統一の料金システムをとっている。ゾーン制では中心部とそこから同心円状にゾーンを設定する。同じゾーンの中では料金は均一であるが、ゾーンをまたぐにつれて運賃が増加するというものである。なお、欧州を中心に、交通事業者の連合体が結成され、交通機関の共通運賃制度がとられている例も多い。
信用乗車方式 でない路線の多くは自動改札 機が導入されている。これは大量の人員を捌くためだけでなく、維持費を削減する目的もある。自動改札には専用の切符やカードといった乗車券 を挿入して扉を開けるものと硬貨 を入れることでターンスタイル が回るものの2種類が一般的である(後者は運賃均一料金制の場合に導入される)。
日本の地下鉄では磁気 情報が記録された切符を自動改札で読み取り、入出場の記録を取って運賃不足を自動判断できる改札機がひろく使用されており、また交通系ICカード を用いた運賃収受システムも急速に普及しつつある。
一方、ドイツ、オーストリアなどでは信用乗車方式 が実施されている。これは駅の改札等を一切廃止する代わりに、抜き打ちの車内検札を行うものである。この場合、正規の切符を所持していない場合、正規料金に加え、その8倍以上の罰金が請求される(これらの国では、他の市内交通機関でも同様の制度が敷かれている)。
地下鉄は大都市における大量輸送を第一の目的としているため、「待たずに乗れる」ことが要求される。そのため多くの地下鉄網では日中の列車運行間隔が5 - 10分程度に設定されている。特にモスクワなどでは混雑時に1分程度に設定されている。
列車は各駅に停車するものが大半だが、東京などでは日中に一部の駅を通過する緩急運転を実施している路線があり、その例として東京メトロ東西線 (但し、地上部に限るが)、東京メトロ副都心線 、都営地下鉄浅草線 、都営地下鉄新宿線 などがある。ニューヨークでは、上下線に各駅列車用の軌道と急行列車用の軌道がある複々線 区間や、上下線の複線軌道に午前と午後で進行方向が逆になる単線軌道を加えた複単線 区間が多く存在することから、ほとんどの路線で各駅停車と急行の2種類の列車を走らせている。
世界の大多数の地下鉄網では、保守点検のため深夜から早朝にかけての時間帯には運転を行なっていない。ニューヨークの地下鉄などは数少ない例外で、複々線や複単線区間では深夜や週末に1軌道に保守点検を施しながら残りの軌道で営業運行ができるため、24時間の終日運行 を行なっている。
日本や韓国の地下鉄では、営業母体の異なる郊外の通勤鉄道線と地下鉄網の軌道規格を統一することにより、多くの通勤列車を郊外から都心へ直通運転 させていることが特徴的である。
地下鉄は雪 やひょう 、強風、台風 、竜巻 などには強いものの、地震 や水害 、火災 、人為的危険などには弱く、地下鉄の構造上、これらの被害にあった場合大惨事になる可能性が極めて高い。そのため安全に関する取り組みは開業以前から研究され続けている。
かつては地下鉄は地震に強いとされていた。しかし、阪神・淡路大震災 で神戸市営地下鉄 と神戸高速鉄道 が多大な被害を出した(特に神戸高速鉄道の大開駅 は上の道路が陥没するほどの被害となった)。後の研究で路線が地下を走行する都合上、路線区間はトンネルとして建設されているため、地形が大きく変動することのある地震には弱いことが分かっている。地盤の柔らかい土地[ 注 8] では特に注意が必要である。また、路線上の地面が低海抜の場合は、防波堤の決壊により海水が流入することが想定されるので下記の水害を併発する恐れがある。
地下鉄のシステムは地面よりも低い位置にあるため、地上に降り注いだ雨 などの水が地下鉄の設備に浸入してくる。例えば、2012年10月にはハリケーン・サンディ による浸水によりニューヨークの地下鉄が全面的に停止した[ 8] 。そのため十分な防水・排水設備を持たない場合、水没することもあり得る。このため、地上の駅への出入口を一段高くしたり大雨の時などは駅出入口の防潮板や線路上の防水扉を展開して閉鎖されることがある。東海豪雨 などの浸水などがその例である。
古くに建設された地下鉄などでは、駅や車両の火事対策が十分になされていない例もある。また狭い地下空間で火災が発生した際、十分な給排気設備が整っていない場合は瞬時に煙が充満して被害が一層深刻化することも問題視されている。
1987年 11月18日 、ロンドン地下鉄キングズクロス駅 で起きた火災(キングス・クロス火災 )で31名が死亡した事件では、ロンドンの地下鉄には古い木造 の構造物が多く残っていた事が指摘されたが、これをきっかけにして日本では地下鉄駅構内の終日全面禁煙 が実施された。
2003年 2月18日 に韓国 の大邱広域市 の駅構内で発生した放火 による地下鉄火災(大邱地下鉄放火事件 )では2編成12両を全焼し死者192名、負傷者148名を出した。被害がここまで深刻化した原因としては、車両の内装に可燃性の素材を使用していたことと、駅構内の排煙設備の不備によることが主である。車両の材料が燃焼した際に生じた一酸化炭素 などの有害物質による中毒 による死亡者が特に多かった。また、火災現場に後から入線した列車の乗客で、当該列車が延焼し始めたため、運転士は司令に従い、運転キー(マスコンキー)を抜き退避した。これに伴い、扉は自動的に閉鎖状態になってしまい、車両に取り残され、焼死した者も多い。
1995年 3月に東京で起こったオウム真理教 による地下鉄サリン事件 や、同年7月のパリ・メトロの爆破事件、2005年 7月にロンドンで起こったロンドン同時爆破事件 など、地下鉄には人為的危険行為に対する脆弱性がある。また、2001年 9月のアメリカ同時多発テロ事件 では倒壊した世界貿易センタービル(WTC) の直下に地下鉄の駅があったため、建物の下敷きになって押し潰されたことで駅が破壊された。
前述の様に、トンネルの断面積を狭くすれば地下鉄の建設費用は安く済む傾向にある。同様に地下駅のプラットホームもなるべくなら狭い方がよい。しかしここで問題になるのが人身事故 である。通勤・通学のラッシュ時 、催事 のある時などには大勢の人がプラットホームに集まって人身事故の起こる確率が高くなり、特に地下鉄で多いサードレール方式 の路線ではさらに危険性が高くなる。これを解決するために、ホームドア や可動式ホーム柵が採用されることが増えてきている。ロンドン地下鉄の一部駅などではレールを道床から高くかさ上げして敷設し、転落者を道床に落とし込んで触車させないような構造がとられている。
ヘルシンキ地下鉄 は世界最北端の地下鉄である。[ 9] [ 10] ヨーロッパではロンドン での開通以来、20世紀半ばまでに主要大都市の多くに地下鉄路線が建設された。
イギリス ロンドン地下鉄 S7・S8形 世界で最初に開業した地下鉄であるメトロポリタン線 は1860年 に工事に着手し、3年後の1863年 に開業した。営業状況は開業当初から大変良好で、開業初年度は約950万人の乗客を運んだ。当初は車両に蒸気機関車を採用していたが、1905年 に電気を動力源とする電車 に切り替え、20世紀前半までにほぼ現在の路線網が完成するに至った。ここまで盛んにロンドンに地下鉄が建設された背景にはロンドンの市街地は道が細く入り組んでおり、地面や高架橋に走らせることが困難であったことに加え、地上の景観を損ねるわけにいかなかったことなどがある。グラスゴー など他の都市にも地下鉄があるが、多くはロンドンの場合と同様、狭いトンネル断面に合わせた小型の車両を用いている。ドイツ フランクフルト地下鉄 U5型U-Bahn (ウーバーン)と呼ばれるものが一般的に地下鉄と認識されている(同じドイツ語 圏であるオーストリア でも同様)。他国の地下鉄と形態の近いUバーンは現在、ベルリン 、ハンブルク 、ミュンヘン 、ニュルンベルク に存在する。これら4路線とも、第三軌条集電方式を採用している。首都のベルリンに地下鉄を建設する案は1880年に浮上していたが、地下水が多く地下鉄には不適な地質だとされた。それが理由の反対運動によって計画が進まなかった。しかし建設技術の発達や他所での成功から建設推進の動きが活発化し、1902年にベルリン地下鉄 が開業した。その後、1912年 にハンブルクで開業。残る2都市は、東西分裂時代にいずれも西側で建設された。 シュタットバーン 一方、フランクフルト・アム・マイン 、ケルン 、シュトゥットガルト 、デュッセルドルフ 、エッセン 等には、パンタグラフ集電の小型電車を使用したシュタットバーン (Stadtbahn:軽快電車網)の地下線が存在する。既存の路面電車を都心区間では主に地下化、郊外では専用軌道化することで高速化を図ったものである。北米でのライトレール に影響を与えた[ 注 9] 。なお、これらシュタットバーン地下鉄のトンネルや車両断面はベルリンなど同じ基準に従って設計されており、法制度上も地下鉄であるがU-シュタットバーン(U-Stadtbahn)として区別されることが多い。 フランス パリ地下鉄 MP89系 。金属車輪 の案内軌条 と走行用のゴムタイヤ の両方を備えるのが特徴。メトロ と呼ばれ、パリ 、リヨン 、マルセイユ 、トゥールーズ 、リール 、レンヌ 、ルーアン の7つの都市に存在する。このうち、リール、トゥールーズ、レンヌの地下鉄はVALと呼ばれる新交通システム を用いた地下鉄であり、小形車両・全自動運転を特徴としたミニ地下鉄である。ルーアンのものは地下区間を持つLRT (トラム )であり、統計上では地下鉄ではなくトラムに分類されている。 パリおよびリヨンの一部路線とLRTであるルーアン以外の地下鉄は、すべてゴムタイヤ式である。 フランスの地下鉄全てに共通している点として、運賃 制度が均一制であることや直流750Vの電源を使用していることが挙げられるが、軌間 や集電方式、運転保安システムにはばらつきが見られる。また、パリ、マルセイユ、トゥールーズ、リール、レンヌでは進行方向に対し右側通行であるが、リヨンにおいては左側通行となっている。 パリ この中でも首都 のパリは14本の地下鉄路線を持っており、フランスでは飛びぬけている。パリの路線 では1から14号線まである路線のうち1、4、6、11、14号線の5路線が金属車輪とゴムタイヤを併用した案内軌条式鉄道 であり、14号線では無人運転に加え、安全対策のためホームドアが設置されている。パリではこれらの路線は総称して「メトロ 」と呼ばれている。 パリにはメトロ以外にもRER (首都圏高速鉄道)と呼ばれる地下線で都心に直通する鉄道網が存在している。地下鉄とは別個のシステムであるが、都心部ではRERも地下鉄のネットワークの一部として利用されており、都心部のみの利用ならば運賃もメトロの路線と共通の均一料金で利用できるため、パリの地下鉄の一部として扱える存在である。RERは5路線あり、路線毎にRATPとSNCF担当に分かれているが、料金は共通である イタリア メトロ と呼ばれ、ローマ 、ミラノ 、ナポリ 、ブレシア 、トリノ 、ジェノヴァ 、カターニア の7つの都市に存在する。歴史的遺産の保護と近代デザインの融合が特徴であるが、脆弱な地質や掘削時に発見される考古学的遺構の影響により、他国に比べ整備が長期化した経緯を持つ。このうち、トリノとブレシアの地下鉄は、フランスのリールなどと同様にVALシステムを採用しており、小形車両・全自動無人運転を特徴としている。また、ジェノヴァのものは地下区間を持つLRT(トラム)に近い性格を持つ。 イタリアの地下鉄に共通する点として、多くの路線で直流750Vまたは1500Vの電源を使用しているが、集電方式(第三軌条または架空電車線方式)は都市により異なる。運行方向については、イタリア国鉄などの一般鉄道が左側通行であるのに対し、地下鉄の多くは右側通行を採用している。 ミラノ 国内最大の5路線(1〜5号線)を持ち、総延長でも他を圧倒している。1号線の内装とサインシステムは建築家フランコ・アルビニらが手掛け、1964年にコンパッソ・ドーロ賞を受賞した。4・5号線では全自動無人運転が導入されている。 ローマ 1955年に開業したイタリア最古の地下鉄である。古代遺跡が密集する歴史的中心部の掘削が困難なため、路線の延伸には多大な時間を要する。最新のC線では、建設中に出土した遺構を駅構内にそのまま展示する「考古学駅」という形態をとっている。 ナポリ 既存の鉄道網を統合・改良する形で発展した。1号線を中心に展開されている「アート駅」プロジェクトが有名であり、国際的な建築家や現代アーティストが駅のデザインを手掛けている。特にトレド駅は「地下の美術館」として世界的に高く評価されている。 ロシア モスクワ地下鉄 マヤコフスカヤ駅 1935年 にモスクワ に開通したのが最初である。モスクワの地下鉄は世界的に見た場合、地上から非常に深い区間が多く、駅構内は豪華な内装で飾られている。多くが花崗岩 や大理石 で装飾され、壁面や天井にはタイルアートや彫刻が施されている。軌道はロシア鉄道と同じ軌間1,524mm。建設はスターリン の厳命の元、昼夜を問わず突貫工事で進められ、革命記念日 祝賀行事に間に合った。サンクトペテルブルク やトビリシ 、バクー 、タシケント など他のロシアおよび旧ソ連の都市にも地下鉄が存在する。構造は概ねモスクワのものと類似している。ベルギー 首都・ブリュッセル に第三軌条式の地下鉄路線があるほか、路面電車の一部区間を地下化したプレメトロ(Premetro=先行地下鉄)が存在する。これは都心部の需要の多い区間のみトンネルを建設し、地下鉄開業までの間は路面電車のトンネルとして利用するものである。そして、全線のトンネルが完成した段階で、本格的な地下鉄に移行するものである。現在運行中の第三軌条式の地下鉄も、当初はプレメトロとして段階的に整備されたものである。 オランダ 首都アムステルダム に第三軌条式の地下鉄ネットワークが、ロッテルダム には架線集電式と第三軌条式の地下鉄ネットワークが存在している。アムステルダムの地下鉄は路線の大半が地上の高架区間である。また、51系統は郊外部でトラム5系統と線路・駅を共有しており、パンタグラフと集電靴の両方を備えた複電圧車が専用で使用される。この路線は、シュネルトラム(オランダ語で急行路面電車の意味)と呼ばれる。ロッテルダムの地下鉄ネットワークの一部はランドスタット鉄道 としてデン・ハーグ 郊外のゾーテルメアまで運行されている。 スペイン マドリッド 、バルセロナ 、ビルバオ 、バレンシア そしてセビリア に地下鉄がある。スペインの地下鉄は、すべて架線集電式なのが特徴である。ビルバオの地下鉄は既存の鉄道線を流用した関係上1mゲージになっている。ポルトガル リスボン とポルト に地下鉄がある。リスボンの地下鉄は4路線あり、全ての路線間で乗り換えが可能になっている。ポルトの地下鉄はライトレールでAからFまで6路線あるが、D線以外は市内中心部の路線を共有している。また、両地下鉄とも空港に乗り入れている。ハンガリー 首都・ブダペストの地下鉄 はロンドン、イスタンブールに次いで世界で3番目に開業したものであり、かつ、世界初の電気運転の地下鉄でもある。イスタンブールのそれはいささか方式が特異であるために、ブダペスト地下鉄を世界で第2番目、ユーラシア大陸 初の地下鉄とみなす見解もある。ブダペストの地下鉄は3路線あり、一番古い1号線は架線集電・小形車両を用いた路線でトンネルも浅いところに掘られている。2号線・3号線は戦後ソ連の技術を用いて建設された第三軌条式の路線で、他のソ連製地下鉄同様のデザインの電車、深いトンネルが特徴である。 トルコ(ヨーロッパ側) イスタンブール にテュネル (1875年開業)とイスタンブール地下鉄(2000年開業)がある。テュネルは地下ケーブルカー という特殊な方式であり、かつ全長も573メートルという短いものであるが、ロンドン地下鉄に次いで世界で2番目、大陸ヨーロッパでは最初に開業した地下鉄である。アメリカ ニューヨーク市地下鉄 R160形 1870年 にウイリアム・ツィード の政治工作を免れるために「郵便配達チューブの実験」名目で、科学雑誌編集者&発明家であったアルフレッド・エリィ・ビーチ(Alfred Ely Beach)により、圧搾空気を利用したエアチューブ方式の地下交通機関が営業を開始し、一乗車25セント1年で延べ40万人の利用があった。一方で時速約10km/h程度の低速という技術的問題や、建設コストの割高な面など課題も多かった。ビーチは州政府に、路線を北のセントラル・パークまで延長する事業の申請を行った、タマニー協会 のウイリアム・ツィードの妨害工作により否決され続けた。1873年 に彼が汚職で失脚することでようやく認可されたが、同年アメリカ合衆国内においてクレディ・モビリエ社事件 を発端とする金融恐慌 (ブラック・サーズデー )が起き、資金難により延伸計画も頓挫し、同年中にこの画期的な構想は営業を停止した。現在の鉄軌道方式による最初の地下鉄が1904年 にニューヨーク市地下鉄 が開業して以来[ 11] 、ニューヨーク ではマンハッタン島 を中心に路線を形成、総延長は1,000kmを超える。たびたび映画 の舞台として登場する。他の都市でも地下鉄の建設が進められ、現在20都市以上にあるうちの大半は東部から中東部地方(ボストン 、フィラデルフィア 、ワシントンD.C. など)に集中している。そのほか、中西部から西部(ロサンゼルス 、サンフランシスコ など)や海外領土のプエルトリコ (サンフアン )にも地下鉄がある。 特にサンフランシスコのBART は全米で最も優れた輸送システムである。また、首都・ワシントンD.C.のワシントンメトロ はアメリカで最も近代化された地下鉄網を形成している。 シカゴ のものは路線の大半が高架などで地上に存在し、地下区間は僅かだが地下鉄の範疇に含まれている。カナダ トロント市地下鉄 は1954年に開業。アルミ車体の車両が実験的に導入され、軽量化による運行コスト削減を試みた。1966年にはカナダ第二の地下鉄として、モントリオール地下鉄 が1967年の万国博覧会 に合わせて開業した。さらに1985年にはバンクーバー・スカイトレイン が1986年の国際交通博覧会 に合わせて開業。一部の路線は高架を通っているが、都心部及び住宅地では地下を通っている。メキシコ 首都・メキシコシティにある地下鉄 は1969年 に開通した。フランスからの技術供与を受けた、金属車輪とゴムタイヤを併用した案内軌条式鉄道 である。同地下鉄は世界で初めて各駅にシンボルを設けたことで知られる。また、料金が全区間均一であることでも知られる。グアダラハラ とモンテレイ にも地下鉄がある。 ドミニカ共和国 首都サントドミンゴ ではスペイン の技術協力を得て、カリブ海 で2番目(カリブ海上の独立国としては初めて)の地下鉄が2009年 1月30日 に開業した。 南アメリカ で初めて開通した地下鉄は1913年 12月、アルゼンチン の首都・ブエノスアイレス である。その他、南アメリカ大陸の中で地下鉄がある国はブラジル 、チリ 、コロンビア 、ベネズエラ 、ペルー の合わせて6か国である。
ブラジル 2018年現在、サンパウロ など主要7都市で地下鉄が運行している。これらの地下鉄は全て1970年代以降に造られたものであり、サンパウロはモノレールを含めると6路線で南米最大の規模である。その他の都市は1 - 3路線程度を保有している。軌間は全て広軌に分類される1,600mmを採用しているものの全ての都市に共通している点はこの点のみであり、他の技術面ではそれぞれの都市で大きく異なっている。 アルゼンチン 首都ブエノスアイレスの地下鉄はメトロビアスS.A. による運営で、現在は6路線が存在する。各種新造車のほか、日本の地下鉄の中古車両(元営団500形や元名古屋市交通局250形など)が使用されている。2015年以降、新車両の導入や駅のリニューアルが進められている。 アジア で最初に地下鉄が走ったのは日本である。日本では大都市部に人口が密集しており、地下鉄を建設するには都合の良い都市構造であるため、特に地下鉄路線が盛んに作られる。アジアの地下鉄は20世紀 後半以降に飛躍的に発展したが、これは交通渋滞緩和を目的とした地下鉄建設が主流であったためである。第二次世界大戦後の独立や経済成長などによって都市化 が進み、地下鉄の需要が高まった。また、日本や石油産出国 などを除いた場合、政府開発援助 などによって建設された路線の割合が高いというのも特徴のひとつである。
日本 東京メトロ 銀座線 1000系 本格的な地下鉄としては1927年 (昭和 2年)12月30日 に「東京地下鉄道 」により、現在の銀座線 の浅草駅 と上野駅 の区間が開通したのが最初である。この地下鉄銀座線はブエノスアイレス地下鉄 をモデルとしている。1933年 (昭和8年)5月20日 には初めての公営地下鉄として大阪市営地下鉄御堂筋線 の梅田駅 と心斎橋駅 の区間が開通した。それら以前にも、1915年(大正 4年)には東京中央郵便局 と東京駅 の間の地下を走行する郵便物輸送専用の地下鉄が存在していた。大阪市 では戦時中も資材不足に苦しみながらも1942年 (昭和17年)まで路線の延伸が進められた。第二次世界大戦後は大阪市のほか、1957年開業の名古屋市営地下鉄東山線 を皮切りに、公営路面電車 が走っていた政令指定都市 [ 注 10] での代替交通手段として、公営地下鉄の建設・拡充が進んだ。背景には、渋滞の深刻化に伴い路面電車の定時運行が難しくなったことがあるとされる。1980年代後半頃[ 注 11] から、建設費圧縮のためリニアモーター によるミニ地下鉄 も一部で建設されている。中国大陸 北京地下鉄 昌平線 SFM13型 1969年 に北京 で地下鉄が開業した。しかし地下鉄の整備は1978年 の改革・開放政策まで十分には行われなかった。1980年代以降、外資の導入による近代化政策のもと都市部において地下鉄の建設が行われた。上海 では1990年代以降の相次ぐオフィスビルの建設により地下鉄の路線網の拡充が急務となっていた。このため中国の地下鉄は、国産技術を主体とした北京地下鉄 がその走りの北方グループと外国技術を主体とした上海軌道交通 がその走りの南方グループに大別される。2010年代以降は急速な新線開通ラッシュにあり、今となっては前述の北京や上海のほか、天津 、広州 、長春 、大連 、武漢 、深圳 、重慶 、南京 、瀋陽 、成都 、仏山 、西安 、蘇州 、昆明 、杭州 、ハルビン (哈爾濱)、鄭州 、長沙 、寧波 、無錫 、青島 、南昌 、福州 、東莞 、南寧 、合肥 、石家荘 、貴陽 、廈門 、ウルムチ (烏魯木斉)、フフホト (呼和浩特)、温州 、済南 、蘭州 、太原 、洛陽 などの主要都市で開通しており、地下鉄総延長距離は約11500km超に達し(2位の米国は1300キロ、日本は約800キロでその約14倍)50以上の都市で展開。世界全体の約半分のシェアを占める。設置駅数は約7000駅以上で年間延べ利用者数は約350億人で1日平均利用者数は約1億人と延長距離数、利用客数共に世界随一の地下鉄大国となっている。また、これら以外の各都市でも地下鉄の建設や計画が進められている。香港 世界で初めて非接触型の軌道系交通カード『オクトパスカード 』 (香港セントラル駅 での改札機) 香港 では1970年代 のイギリス統治時代よりMTR が運営され、1979年 の九龍 地区の開通を皮切りに現在でも郊外路線を中心として新線が継続的に建設されている。1997年 には世界で初めて非接触型の軌道系交通カード『オクトパスカード 』を導入したほか、1998年 には香港国際空港 から市街間の空港連絡鉄道 を開通させている。また運営会社の香港鉄路有限公司 (MTRC)は、イギリス、スウェーデン、アイルランド、オーストラリアや中国の地下鉄建設への投資や運営提携なども行っている。台湾 台北捷運 淡水線 C381型 「捷運 」(英称 はMRT (Mass Rapid Transit))と呼ばれる都市高速鉄道網が存在する(一部は高架式の新交通システム )。1996年に木柵線 が開業して以降、現在、台北 地区を中心に走る台北捷運 (TRTC, Metro Taipei)と桃園捷運 (Taoyuan Metro)、高雄 地区に走る高雄捷運 (KRTC、 Kaohsiung Rapid Transit Corp)、台中 地区を中心に走る台中捷運 (TMRT、Taichung Mass Rapid Transit)が開業している。台南市 ・新竹市 も、捷運の建設が計画中である。韓国 ソウル地下鉄 2号線 2000系 ソウル で、1974年 に初の地下鉄路線が開業して以来、およそ30年の間に釜山 ・大邱 ・仁川 ・光州 ・大田 といった地方都市でも開業した。日本からの政府開発援助・技術援助などを活用して多くの路線が整備されている。北朝鮮との準戦時体制にある韓国では、有事の際の避難所として有効に使える地下空間の利用が盛んで、特に首都のソウルでは地下街と共に大規模な路線網が形成されている。韓国では、ほとんどの地下鉄が各地方自治体が出資する公営企業体が運営している。ただし、近年では民営、半民営の地下鉄も増えつつある。北朝鮮 平壌地下鉄 の復興駅 停車中のD型1973年 開通の千里馬線、1978年 開通の革新線の二路線がある。ソ連の技術援助により建設されたことから、東欧の地下鉄と類似しており、核シェルターの機能もあるため地下100メートル付近に建設されている。また社会主義建設の誇示する目的で、駅構内は豪華な装飾が施されているほか、駅名が北朝鮮の革命思想に基づいたものであるなど、政治的プロパガンダ色が強いという特色がある。シンガポール シンガポール地下鉄R151形電車 1987年 よりMRT シンガポールSMRT により運営されており、現在でも新線建設や路線延伸が進められている。離島を除くシンガポール全土(主にシンガポール島)を網羅しているほか、シンガポール・チャンギ国際空港 と市街間との空港連絡鉄道の役割を持っている。マレーシア 首都クアラルンプール で1996年 に開業したラピドKL (MRT)は、中心部は地下区間となっている。 タイ 2004年 に首都のバンコク で初めての地下鉄バンコク・メトロ (ブルーライン)が開通した。この建設費は、そのほとんどを日本からの円借款 により賄った。2016年 8月6日 には新路線であるパープルラインが開業したが、この路線は全区間高架である。なお、パープルラインの車両は全て日本の総合車両製作所 で製造された[ 12] 。インド 1984年 にコルカタ でインド初の地下鉄が開業した。その後、2002年 にはデリー でもデリーメトロ が建設された。前述の通り日本などの先進国から技術などの開発援助が行われたのが特徴である。デリーメトロはインド最大の都市鉄道網となっている。2010年代以降急速に主要都市でも整備が進み、2022年4月現在でアフマダーバード 、ベンガルール 、チェンナイ 、グルグラム 、ハイデラバード 、ジャイプル 、カンプール 、コーチ 、ラクナウ 、ムンバイ 、ナーグプル 、ノイーダ 、プネー に地下鉄が開業している。インドネシア 2019年3月にジャカルタ で開業した。なお全区間高架である。 イラン 1999年 にテヘラン で運行が開始されたテヘラン・メトロ は、7路線を持つ鉄道網となっている。2010年代に入り主要都市で建設が進み、マシュハド 、シーラーズ 、イスファハーン 、タブリーズ で運行を開始している。ベトナム 2021年 11月にハノイ・メトロ 、2024 年12月にホーチミン・メトロ が開業した。これらの建設には日本からの開発援助が行われている。アフリカ は第二次世界大戦後の1960年 ごろまで多くが欧州先進国の植民地であったが、その間地下鉄は建設されなかった。
2010年 までは、地下鉄が存在する都市はエジプト の首都であるカイロ のみであった(カイロ地下鉄 を参照のこと)。エジプトでは痴漢対策および宗教上の観点から女性専用車両が導入されている。
アルジェリア の首都であるアルジェ では、2011年 11月1日 より、アルジェ地下鉄 の営業運転が開始されている[ 13] 。
ナイジェリア のラゴス では、2018年 の開業を目指し建設中である。また、エチオピア の首都アディスアベバ では、地下鉄建設は計画の段階である。
2019年5月、シドニー にオセアニア 初の地下鉄が開通した。この他にシドニーには「シティサークル」、メルボルン には「シティーループ」と呼ばれる地下環状線があるが、距離が短いため「地下鉄」とは認識されていない。これらはターミナル駅 で電車の折り返し運転を減らすために建設されたものである。
^ ただし他の地上鉄道路線と直通運転を行っている場合、直通先で天候の影響を受けている場合は、当該地下鉄路線も影響(減便や途中駅折り返しなど)を受ける場合がある。 ^ 私有地の地下に通すと地代を払わなければならなくなる。また大阪市は都市計画道路と一体にして地下鉄を建設した経緯があり、当然ながら道路の上下にしか地下鉄は建設できなかった。 ^ 急カーブの回避できない建設ルートを選択せざるを得ない場合や狭隘箇所を通過する場合も、建築限界や最小曲線半径の制限を受け小型の車両になる。 ^ 東京メトロ銀座線 の渋谷駅周辺のように建設当時における地下鉄車両の登坂能力上の要請から地下を通さず高架区間にした例、浸水被害の可能性や地盤の不同沈下への対策のためあえて高架にしたOsaka Metro中央線 の例もある。^ 事実上地下鉄と同一の機能を果たしている都市の地下路線では、交流電化の例がある。ドイツのミュンヘン 、フランクフルト 、シュトゥットガルト のSバーン (15,000V 16 2/3Hz)、韓国のソウル 市周辺の韓国鉄道公社 (首都圏電鉄 )果川線 、盆唐線 (25,000V 60Hz)がこれに該当する ^ 鉄粉は体内に取り込まれても問題は無く、吸収できない分は体外に排出されるが、合成ゴム の粉塵が及ぼす影響に関しては解明されていない所も多い。 ^ 日本の「第三セクター」は国や地方公共団体と民間が合同で出資・経営する企業をさすが、英語のThird Sectorは民間による非営利団体・慈善団体を意味するのが一般的となっている。地下鉄の運営にあたっているのは日本語的意味合いの「第三セクター」である。 ^ 三角州が土地の大部分を占める広島市 で地下鉄が開通していないのはそのため(ただしアストラムライン は例外)。 ^ カナダのカルガリー、エドモントン、アメリカのサンディエゴ等が該当し、フランクフルトと同型の車両を使用した。 ^ 名古屋市 ・東京都 ・札幌市 ・横浜市 ・神戸市 ・京都市 ・仙台市 など。他に政令指定都市では福岡市 にも市内路面電車があったが公営ではなく、西鉄 の福岡市内線 であった。^ 開業は1990年代以降。 ウィキメディア・コモンズには、
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