国道42号 終点
和歌山県和歌山市 県庁前交差点国道42号(こくどう42ごう)は、静岡県浜松市中央区から紀伊半島の太平洋岸をひとまわりして、和歌山県和歌山市に至る一般国道である。
概要
国道1号(重複区間)からの分岐
静岡県湖西市 大倉戸IC入口交差点静岡県から愛知県の渥美半島の海岸線沿いを走っており、三重県の志摩半島から紀伊半島の海岸線に沿って潮岬を経て、和歌山市に至る一般国道の路線である。渥美半島では表浜街道、紀伊半道の海岸沿いの道は熊野街道ともよばれる。また、静岡県湖西市の国道1号潮見バイパスと並行する区間は、東海道を踏襲する。紀伊半島ではほぼJR西日本紀勢本線に併走している。実延長区間のうち、国が直轄する指定区間は紀伊半島を周回する伊勢市 - 和歌山市間が指定されており、指定区間外である湖西市 - 伊勢市間は、静岡・愛知・三重の各県が管理する。
伊勢湾をつなぐ愛知県田原市(伊良湖岬) - 三重県鳥羽市間は国道259号と重複する海上区間であり、伊勢湾フェリーが国道の航路代わりとなっている[1]。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
歴史
国道42号の前身は、大阪と熊野(ならびに熊野と伊勢)とを結ぶ熊野街道である。1945年(昭和20年)1月、国道41号「東京都より和歌山県庁所在地に達する路線(丙)」(松阪まで国道1号(現1号、23号)と重複)に指定された。なお、甲は15号(現24号)、乙は16号(現26号)である。
年表
旧道
- 有近畿自動車道紀勢線に並行する一般国道自動車専用道路として計画された国道42号の有料バイパス道路で、1984年(昭和59年)に海南IC - 吉備IC(現:有田IC)間が開通。2005年(平成17年)に高速自動車国道に格上げされて、阪和自動車道に編入された[5]。
- 三重県尾鷲市から熊野市にかけてあった旧道で、かつての国道42号最大の交通難所で知られる[6]。1968年(昭和43年)に峠の南側に長大なトンネルが開通するまでのあいだ、標高807 m、上り下りに要する道路延長は17 km、多数の素掘りトンネルや、急勾配で屈曲が激しい未舗装の道路が現役の国道であった[6]。矢ノ川峠越えの旧道は、現在は市道となって残されているが、土砂崩れによる事実上の廃道区間もある。
路線状況
伊良湖 - 鳥羽間
国道航路代わりの伊勢湾フェリー伊勢湾口となっている伊良湖水道は、愛知県田原市の渥美半島突端から三重県鳥羽市の志摩半島まで航路(伊良湖港 -鳥羽港)によって結ばれ、伊勢湾フェリーが就航している[1]。将来架橋による海上区間解消を図るとする三遠伊勢連絡道路(通称:伊勢湾口道路)の計画を受けて、1993年の政令改正によって延長指定された区間は、国道259号との重複海上区間でもある[1]。
国道42号と鉄道の交差は全部で4か所あり、そのうち3ケ所が立体交差しており[3]、踏切は三重県南牟婁郡紀宝町鵜殿の北越紀州製紙の工場への引込み線のものが唯一である。
別名
- 二見道(三重県松阪市、HI、伊勢市、鳥羽市)
- 熊野街道(三重県松阪市、多気町、大紀町、紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町)
- 伊勢街道(愛知県豊橋市、田原市、静岡県浜松市)
- 表浜街道(愛知県豊橋市、田原市、静岡県浜松市)
バイパス
高規格幹線道路等
一般道路
松阪多気バイパス
三重県松阪市上川町- 三重県松阪市古井町から三重県多気郡多気町仁田に至る延長11.9 kmのバイパス道路。松阪市街地の環状機能と松阪市内の渋滞の解消を目的に計画された。第3種第1級、4車線、80 km/hで設計されている。1987年度(昭和62年度)から事業化され、2018年(平成30年)3月18日に全線が開通した(暫定2車線)[8][9][8]。松阪多気バイパスの開通により旧道は2019年(平成31年)4月1日に国道166号・三重県道160号松阪多気線となった[10]。
- 三重県熊野市大泊町にある延長1.4 kmのバイパス道路。熊野市大泊町の区間は幅員が狭く、JR紀勢線との立体交差箇所では大型自動車とのすれ違いが困難であり、国道311号との交差点では道路の線形が悪く、安全上問題があった。このため当区間の迂回路として大泊バイパスが計画された。第3種第2級、2車線、50 km/hで設計されている。
- 1983年度(昭和58年度)に事業化、1986年度(昭和61年度)に用地着手、1989年度(平成元年度)に工事着手され、2002年(平成14年)3月25日に供用開始された。
紀宝バイパス
三重県南牟婁郡紀宝町成川- 三重県南牟婁郡紀宝町から和歌山県新宮市に至る延長4.5 kmのバイパス道路。第3種第2級、2車線、60 km/hで設計されている。
- 1972年度(昭和47年度)に事業化され、1979年(昭和54年)5月に和歌山県側の新熊野大橋(0.7 km)が開通、三重県側は1986年(昭和61年)3月に約0.9 km、1990年(平成2年)4月に1.2 km、1993年(平成5年)8月に0.1 kmが開通した。紀宝トンネルを含む残りの区間は、2013年(平成25年)6月16日に全線開通した。
- 和歌山県西牟婁郡白浜町(旧日置川町)から和歌山県西牟婁郡すさみ町に至るバイパス道路。
- 1965年度(昭和40年度)に調査を開始し、1974年度(昭和49年度)に事業化、1986年度(昭和61年度)に工事着手され、1997年(平成9年)3月に開通した。主に日置(ひき)トンネルと朝来(あさら)トンネルによって構成されている。日置川道路の開通により旧道は和歌山県道243号日置川すさみ線となった。
田辺バイパス
和歌山県田辺市新庄町- 和歌山県西牟婁郡上富田町朝来(あっそ)から和歌山県田辺市稲成町に至る延長6.9 kmのバイパス道路。
- 和歌山県田辺市にある延長3.8 kmのバイパス道路。全線が開通済み。
- 和歌山県日高郡由良町と有田郡広川町を結ぶバイパス道路。旧道は由良町を経由しない県道176号井関御坊線である。なお、由良バイパスに並行する狭隘道路である和歌山県道177号南金屋由良線の全区間や県道23号御坊湯浅線の由良町中心部より南側の区間は明治時代の旧旧道に相当する。バイパスと呼ばれる道路の中では建設時期が比較的古い(旧道は他のバイパスとは異なりトンネルなどが完全に対向できない戦前からの道であり、由良バイパス周辺は他の区間と比べて二車線化の整備がやや遅れていた)。バイパス周辺の地形が険しいためカーブが連続しており、国道42号の大半の区間の最高速度が50 km/hなのに対して、当該区間は大半が40 km/h規制である。事故防止のために一部区間では中央分離帯が設置されている。また、休日には渋滞が特に発生しやすく、迂回路として使える主要地方道や旧道では高速道路開通前には対向不能箇所を先頭に大渋滞した時代があり、迂回路の拡幅や点線県道の車道化、農道の新設が順次行われてきたほか、由良バイパスの再改良を目指す動きもある[15]。
- 和歌山県有田市にあるバイパス道路。1983年に供用。供用後は安諦橋を経由するルートが国道480号および和歌山県道20号有田湯浅線に移管された。
- 和歌山県海南市冷水から和歌山県海南市藤白に至る延長1.1 kmの拡幅事業。4車線から2車線に車線が減少している阪和自動車道海南ICとの合流区間の渋滞を解消するために計画された。第3種第2級、4車線、60 km/hで設計されている。冷水交差点から藤白地先間の延長0.7 kmが2022年(令和4年)3月4日に4車線化され[17]、同時に藤白トンネルは撤去された[18]。
- 2007年度(平成19年度)に事業着手、2011年度(平成23年度)に工事着手された。残りの区間の延長0.4 kmは2025年(令和7年)6月7日に開通した[19]。
- 和歌山県有田市野から和歌山県海南市冷水に至る延長9.4 kmのバイパス道路。有田市から海南市の区間において通勤時間帯に発生する渋滞の緩和と、事故危険区間の対策を目的として計画された。第3種第2級、2車線、60 km/hで設計されている。2008年度(平成20年度)に事業着手され、現在建設中である。このうち、有田川を渡河する有田サンブリッジの延長0.2 kmが2023年(令和5年)2月19日に[21]、海南市下津町小南 - 冷水の延長2.9 kmが2025年(令和7年)6月7日にそれぞれ開通した[19]。
- 和歌山県海南市藤白から和歌山県海南市船尾を結ぶバイパス道路。1970年代に供用後は従来の海南駅前を経由していたルートが、県道135号和歌山海南線および国道370号に移管された。
重複区間
国道23号との重複
三重県松阪市西黒部町- 国道1号(静岡県浜松市中央区篠原町・篠原交差点(起点) - 湖西市・大倉戸IC入口交差点)
- 国道259号(愛知県田原市・伊良湖港入口交差点 - 三重県鳥羽市・鳥羽水族館南交差点)
- 国道167号(三重県鳥羽市・鳥羽水族館南交差点 - 伊勢市・通町交差点)
- 国道23号(三重県伊勢市・通町交差点 - 松阪市・西黒部町1交差点)
- 国道311号(三重県熊野市大泊町・大泊海岸交差点 - 熊野市有馬町・立石南交差点)
- 国道424号(和歌山県田辺市芳養町 - 日高郡みなべ町・みなべ交差点)
道路施設
橋梁
- 汐合大橋(五十鈴川、三重県伊勢市)
- 船木大橋(宮川、多気郡大台町 - >度会郡大紀町)
- 銚子橋(銚子川、北牟婁郡紀北町)
- 汐入橋(那智川、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)
- 日置大橋(日置川、西牟婁郡白浜町)
- 郵便橋(冨田川、西牟婁郡白浜町 - 同郡上富田町)
- 天田橋(日高川、御坊市)
- 有田大橋(有田川、有田市)
- 旭橋(和歌川、和歌山市)
トンネル
- 長島トンネル(三重県北牟婁郡紀北町)
- 矢ノ川トンネル(尾鷲市)
- 大又トンネル(尾鷲市 - 熊野市)
- 新八鬼山トンネル(尾鷲市)※熊野尾鷲道路
- 亥ヶ谷山トンネル(尾鷲市)※熊野尾鷲道路
- 逢神曽根トンネル(尾鷲市)※熊野尾鷲道路
- 新鹿トンネル(尾鷲市)※熊野尾鷲道路
- 大吹トンネル(尾鷲市 - 熊野市)※熊野尾鷲道路
- 紀宝トンネル(南牟婁郡紀宝町)※紀宝バイパス
- 佐野トンネル(和歌山県新宮市)※那智勝浦新宮道路
- 木ノ川トンネル(新宮市 - 東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 川関トンネル(東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 天満トンネル(東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 湯川第一・第二・第三トンネル(東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 二河トンネル(東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 金剛院トンネル(東牟婁郡那智勝浦町)※那智勝浦新宮道路
- 市屋第一・第二トンネル(東牟婁郡那智勝浦町 >大字市屋)※那智勝浦新宮道路
- 和深トンネル(東牟婁郡串本町)
- 日置トンネル(西牟婁郡白浜町)
- 笠甫トンネル(西牟婁郡白浜町)
道の駅
事前通行規制区間
| 区間 | 延長 | 規制内容 |
|---|
| 三重県度会郡大紀町大内山河内 - 三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区東長島 | 03.9 km | 連続雨量250 mm以上の場合通行止 |
| 三重県尾鷲市大字矢ノ浜 - 三重県熊野市飛鳥町字大又 | 12.9 km | 連続雨量300 mm以上の場合通行止 |
| 三重県熊野市飛鳥町字小坂 - 三重県熊野市大泊町字寺道 | 05.5 km |
交通規制を参照
道路情報ラジオ放送区間
道路情報ラジオは三重県内の6ヶ所で放送されていたが、2022年(令和4年)1月に廃止された。
- 三重県
- 荷坂(大紀町河内)
- 東長島(紀北町紀伊長島区東長島)
- 南浦(尾鷲市)
- 大又(熊野市飛鳥町)
- 小阪(熊野市飛鳥町)
- 大泊(熊野市大泊町)
ITSスポット
防災対策として2012年(平成24年)3月より運用開始。荷坂峠と矢ノ川峠前後の工事や通行止めなどの道路情報や気象情報、道の駅情報を提供している。
4基設置されており、2基が松阪方面、残りが新宮方面の情報を提供している[22]。
地理
和歌山県新宮市佐野
(2017年7月)通過する自治体
交差する道路
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名で表示
主な峠
- 荷坂峠(標高234 m):三重県度会郡大紀町 - 三重県北牟婁郡紀北町
- 矢ノ川峠(標高313 m):三重県尾鷲市
- 佐田坂:三重県熊野市
集中豪雨などの災害が発生した場合、よく通行止めになる。これにより名古屋方面からの大紀町以南への道は寸断される事が多い。
ギャラリー
静岡県湖西市白須賀
三重県熊野市井戸町
和歌山県東牟婁郡串本町
和歌山県日高郡みなべ町西岩代
和歌山県海南市冷水
国道42号を舞台とする作品
脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
国道42号に関連するカテゴリがあります。
受持機関関係
その他
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| 通過市区町村 | |
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| 主要交差点 | 大倉戸IC - 伊良湖港入口 - 中之郷 -松下JCT - 通町IC - 西黒部町1丁目 - 小津町 - 大黒田西 - 丹生 - 片上南 - 東長島北 - 坂場 - 新矢ノ川橋西 - 小阪 - 大泊海岸 - 立石南 - 橋本 - 高富 - 岩崎 - みなべ - 塩屋 - 有田大橋北 - 船尾東 - 県庁前 |
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| バイパス | |
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| 道路名・愛称 | |
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| 道の駅 | |
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| 主要構造物 | 浜名大橋 - 汐合大橋 - 宮川大橋 - 松阪東大橋 - 船木大橋 - 長島トンネル - 三船トンネル - 尾鷲トンネル - 矢ノ川トンネル - 大又トンネル - 鬼ヶ城トンネル - 紀宝トンネル - 新熊野大橋 - 和深トンネル - 白島トンネル - 朝来トンネル - 日置トンネル - 日置大橋 - 笠甫トンネル - 天田橋 - 有田大橋 - 旭橋 |
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| 自然要衝 | |
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| 旧道 | |
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| 関連項目 | |
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1 - 100 (1 - 57号は旧一級国道。59 - 100号は欠番) |
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101 - 200 (旧二級国道、109 - 111号は廃止・欠番) |
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201 - 300 (201 - 271号は旧二級国道、214 - 216号は廃止・欠番) |
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