Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


コンテンツにスキップ
Wikipedia
検索

名誉称号 (囲碁)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

名誉称号(めいよしょうごう)とは、日本囲碁棋戦で特定の条件を満たした者に贈られる称号

概要

[編集]

棋戦で連続5期もしくは通算10期タイトルを獲得した棋士は、名誉称号を名乗る資格を得る。称号としては「名誉棋聖」などのように、タイトル名の前に「名誉」をつけたものが用いられる(本因坊に関しては後述)。名誉称号は現役で60歳以上に達したとき、もしくは引退時に名乗ることができる。現在は連続10期(本因坊戦のみ9期)以上タイトルを獲得した棋士は60歳未満で名乗ることができる。

複数の名誉称号を持つ棋士の場合、棋戦の序列が一番上の称号で記載される[1]か、「名誉三冠」などの名称で呼ばれる。名誉称号を保持している棋戦に出場する際は序列にかかわらず当該棋戦の名誉称号が優先される。また、名誉称号保持者が七大タイトルを奪取した際には、名誉称号ではなく保持しているタイトル名が優先される。たとえば、かつて藤沢秀行名誉棋聖が王座を奪取した際には「藤沢王座」と表記された。

将棋界との違い

[編集]

囲碁の名誉称号に相当する資格として、将棋界では永世称号を用いている[2]。また、囲碁界では全タイトルで一律連続5期か通算10期保持で資格を得られるのに対し、将棋界では棋戦によって永世称号資格が異なる。例えば将棋の棋戦で、名人棋聖は通算5期で、竜王では連続5期あるいは通算7期で永世称号が与えられる一方、棋王は連続5期のみ、王将は通算10期のみとなっている(王位王座は囲碁と同じ)。称号資格者は2024年9月時点で将棋界が11名、囲碁界が10名[3][4]。この他、女流棋戦は囲碁が名誉称号、将棋はクイーン称号を用いている[5]。一般棋戦では、NHKが主催社となって行われるNHK杯トーナメントにて、囲碁・将棋とも優勝10回で「名誉NHK杯選手権者」の称号が贈られる。

名誉称号に関する事柄

[編集]
  • 2025年現在、七大タイトルでは十段位のみ名誉称号者がいない。最多獲得は加藤正夫の通算7期、最長連覇は加藤と王立誠の4期。
  • 七大タイトル戦で通算10期獲得を達成したのは、趙治勲井山裕太本因坊、加藤正夫と井山裕太の王座、井山裕太の碁聖のみ。棋戦全体でも他に坂田栄男の日本棋院選手権者NHK杯選手権者橋本昌二名誉関西棋院第一位のみである。
  • 七大タイトル戦で連続10期獲得を達成したのは趙治勲(本因坊)と井山(本因坊)。
  • 七大タイトルの名誉称号獲得は、ほとんど5連覇達成によってなされている。5連覇前に通算10期獲得で七大タイトルの名誉称号資格を受けたのは、井山裕太の王座のみである(2025年現在)。
  • 井山裕太は碁聖位を2012~17年まで6連覇、2021~25年まで5連覇、通算で11期獲得しており、名誉称号資格を3回達成していることになる。
  • 七大タイトル名誉称号最多獲得者は井山の5つ(棋聖・王座・天元・本因坊・碁聖)。以下、小林光一が3つ(棋聖・名人・碁聖)、趙治勲が2つ(名人・本因坊)となっている。
  • 名誉称号資格者10人のうち、大竹英雄石田芳夫・加藤正夫・趙治勲・小林光一の5人は同じ木谷實門下である。

一覧

[編集]

括弧のない棋士は名誉称号を名乗ることのできる棋士、括弧のある棋士は資格は得ているものの、現役では年齢が満たない棋士。

七大タイトル

[編集]
名誉称号該当者達成達成年
名誉棋聖藤沢秀行6連覇1977年 - 1982年
小林光一8連覇1986年 - 1993年
井山裕太9連覇2013年 - 2021年
名誉名人趙治勲5連覇1980年 - 1984年
小林光一7連覇1988年 - 1994年
名誉王座加藤正夫11期・8連覇1979年 - 1980年、1982年 - 1989年、1993年
(井山裕太)10期2012年 - 2013年、2015年 - 2018年、2021年 - 2024年
名誉天元林海峰5連覇1989年 - 1993年
(井山裕太)5連覇2011年 - 2013年、2015年 - 2019年
永世本因坊高川格9連覇1952年 - 1960年
坂田栄男7連覇1961年 - 1967年
石田芳夫5連覇1971年 - 1975年
趙治勲12期・10連覇1981年 - 1982年、1989年 - 1998年
井山裕太11期・11連覇2012年 - 2022年
名誉碁聖大竹英雄6連覇1980年 - 1985年
小林光一6連覇1988年 - 1993年
(井山裕太)10期・6連覇2012年 - 2017年、2021年 - 2025年
名誉十段

その他の棋戦

[編集]

永世本因坊

[編集]

本因坊戦はかつて「名誉本因坊」の称号を用いていたが、1998年以降「○○世本因坊」という称号に変更した。家元制最後にして21世本因坊・本因坊秀哉の後に続く形で、1代ずつ加算する称号で呼ばれる。また本因坊保持者は、雅号を名乗るケースが多い。

なお本因坊9連覇の高川秀格は特例として1964年より現役で「名誉本因坊」を名乗ることが許されていた。また趙治勲も本因坊10連覇により、現役のまま60歳の誕生日を待たずして「二十五世本因坊」の名乗りを許された(その後、9連覇で制度化されたので、井山裕太も60歳未満で現役のまま名誉本因坊を名乗っている)。

雅号読み
二十二世本因坊秀格しゅうかく高川格
二十三世本因坊栄寿えいじゅ坂田栄男
二十四世本因坊秀芳しゅうほう石田芳夫
二十五世本因坊治勲ちくん趙治勲
二十六世本因坊文裕もんゆう井山裕太

脚注

[編集]
  1. ^第43期 天元戦
  2. ^ただし、囲碁の王座戦と同じく日本経済新聞社が主催者となる将棋王座戦の永世称号は、囲碁の名誉称号に合わせる形で「名誉王座」としており、資格の獲得条件も囲碁の名誉王座と同じく、王座のタイトルを連続5期か通算10期としている。
  3. ^将棋界では大山康晴中原誠羽生善治の3人が複数のタイトル獲得と防衛を長年に渡って続けたことで多数の永世称号を保持しているため、人数的には少ない。
  4. ^将棋界の永世称号の獲得条件を囲碁界と同一にした場合、羽生善治が永世竜王、谷川浩司森内俊之・羽生の3人が永世名人の称号を失う一方で、中原誠には永世王将の称号が加わる。
  5. ^マイナビ女子オープン(タイトル称号は「女王」)のみタイトル連続5期か通算7期の称号が「永世女王」。

外部リンク

[編集]
名誉称号資格者
七大タイトル
名誉棋聖
名誉名人
  • 趙治勲(第5-9期)
  • 小林光一(第13-19期)
永世本因坊
名誉王座
名誉天元
名誉碁聖
  • 大竹英雄(第5-10期)
  • 小林光一(第13-18期)
  • (井山裕太〈第37-42期〉)
名誉十段
  • (不在)
その他のタイトル
名誉日本棋院選手権者
名誉NHK杯選手権者
  • 坂田栄男(第4-6期、8-9期、11-12期、19期、23-24期、29期)
名誉関西棋院第一位
名誉女流本因坊
  • 謝依旻〈第26-31期、34期、36期〉)
  • 藤沢里菜〈第33期、35期、37期、39-43期〉)
名誉女流名人
  • (謝依旻〈第20-28期〉)
  • 藤沢里菜〈第29-33期、35期〉)
名誉女流立葵杯
名誉女流棋聖
  • (謝依旻〈第13-14期、16-20期〉)
括弧のない棋士は名誉称号を名乗れる棋士(故人を含む)、括弧のある棋士は名誉称号を名乗ることのできない有資格者。
有資格者は、現役で60歳を迎えるか引退時、もしくは棋戦10連覇(本因坊戦は9連覇)達成時に名誉称号を名乗ることができる。
用具
文化
棋書
各国の囲碁
国際
アジア
日本
近世
近代
近現代
表彰等
中国
古代
現代
韓国
台湾
ヨーロッパ
アメリカ
オセアニア
一覧
コンピュータ
囲碁
ネット碁
囲碁ソフト
その他
関連項目
各国の団体は日本語版Wikipediaに項目がある団体のみ記載。囲碁の述語ルールに関連するものは「Template:囲碁用語」を参照。
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=名誉称号_(囲碁)&oldid=106393703」から取得
カテゴリ:

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp