
南大東島(みなみだいとうじま)は、沖縄本島の約360km東方(宮崎県の真南)に位置する大東諸島の島で、沖縄県内では6番目に面積が大きい。全域が南大東村に属している。
近年、航空機の大型化などで観光客が容易に訪れることが可能になり、豊かな自然を生かした観光地としても注目されている。
北方の北大東島とは12km離れている[1]。面積30.53km2[2]、周囲21.2km[3]、標高75m[4]の島。
島の北端から北に10kmの位置にある北大東島のほか沖大東島を除いては、周囲360kmに渡って陸地のない絶海の孤島である。また、島の周りの海は非常に深く、沖へ2kmほど出れば水深は1,000mに達する。
北大東島と同じくサンゴ礁が隆起して出来た隆起環礁の島で、現地では外部の環状地を「幕」、高台部分を「幕上」、中央の低地部分を「幕下」と呼んでいる[1]。典型的な隆起環礁として世界の地形学の教科書では説明モデルにもなっている。また、2007年には大東隆起環礁として日本の地質百選に選定された。現在でも年7cmほど北に移動をしており、島の北部の「バリバリ岩」などで裂け目を見ることができる。
白色の結晶質の石灰岩である古大東石灰岩が南大東島の北岸部に露頭している[1]。
島内には大小110ほどの湖沼が存在し、そのうち23の湖沼に名前が付いている[1]。権蔵池や栄太池など発見者の名が付けられた池が多数ある[1]。沖縄県にある0.01km2以上の湖沼は全て南大東島に存在している。
開拓当初は人口も少なく飲料水には困らない島であった[1]。しかし、入植者が増えたことで雨水が貴重な飲用水として用いられるようになった(1976年10月に簡易水道が開設され、1990年5月からは海水淡水化システムが導入されている)[1]。
淡水の湖沼の水は農業用に利用されている。カヌーによる池の遊覧ツアーも行われている。
| 南大東(南大東島) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 雨温図(説明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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気候は亜熱帯の海洋性気候(気候区分上は熱帯雨林気候(Af))に属している。盆地状の地形の影響のため冬の夜に晴れた際には放射冷却の影響が激しくなり、最低気温が10℃以下になることがある。20世紀になるまでたまに漂着民が着く程度の未開拓の地であったこともあって、独自の生態系をもっている。
気象観測での重要な拠点であり、特に気象衛星が運用される以前の日本の台風観測で、欠かせない役割を果たしていた。
| 南大東島地方気象台(島尻郡南大東村在所、標高15m)の気候 | |||||||||||||
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| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録°C (°F) | 26.8 (80.2) | 27.6 (81.7) | 28.1 (82.6) | 30.2 (86.4) | 31.9 (89.4) | 34.1 (93.4) | 35.3 (95.5) | 34.6 (94.3) | 34.0 (93.2) | 33.0 (91.4) | 31.8 (89.2) | 28.3 (82.9) | 35.3 (95.5) |
| 平均最高気温°C (°F) | 21.1 (70) | 21.2 (70.2) | 22.6 (72.7) | 24.6 (76.3) | 26.9 (80.4) | 29.6 (85.3) | 31.7 (89.1) | 31.6 (88.9) | 31.0 (87.8) | 28.8 (83.8) | 25.8 (78.4) | 22.6 (72.7) | 26.5 (79.7) |
| 日平均気温°C (°F) | 18.0 (64.4) | 18.1 (64.6) | 19.5 (67.1) | 21.6 (70.9) | 24.1 (75.4) | 26.9 (80.4) | 28.7 (83.7) | 28.6 (83.5) | 27.9 (82.2) | 25.9 (78.6) | 23.1 (73.6) | 19.7 (67.5) | 23.5 (74.3) |
| 平均最低気温°C (°F) | 14.6 (58.3) | 14.8 (58.6) | 16.4 (61.5) | 18.8 (65.8) | 21.5 (70.7) | 24.8 (76.6) | 25.9 (78.6) | 25.9 (78.6) | 25.0 (77) | 23.0 (73.4) | 20.4 (68.7) | 16.6 (61.9) | 20.7 (69.3) |
| 最低気温記録°C (°F) | 3.5 (38.3) | 4.3 (39.7) | 5.3 (41.5) | 4.7 (40.5) | 10.6 (51.1) | 14.6 (58.3) | 19.4 (66.9) | 19.7 (67.5) | 16.1 (61) | 12.9 (55.2) | 9.8 (49.6) | 6.4 (43.5) | 3.5 (38.3) |
| 降水量 mm (inch) | 77.0 (3.031) | 79.9 (3.146) | 84.2 (3.315) | 113.6 (4.472) | 222.0 (8.74) | 199.6 (7.858) | 118.0 (4.646) | 151.1 (5.949) | 167.9 (6.61) | 180.5 (7.106) | 120.9 (4.76) | 124.7 (4.909) | 1,639.3 (64.539) |
| 平均降水日数(≥0.5 mm) | 10.2 | 9.2 | 8.9 | 9.2 | 12.1 | 10.4 | 9.5 | 12.1 | 12.4 | 12.2 | 10.0 | 10.4 | 126.6 |
| % 湿度 | 69 | 71 | 74 | 78 | 84 | 87 | 81 | 81 | 80 | 77 | 74 | 70 | 77 |
| 平均月間日照時間 | 121.3 | 120.3 | 154.0 | 152.8 | 171.0 | 219.3 | 277.8 | 249.3 | 220.4 | 178.4 | 136.4 | 120.8 | 2,121.7 |
| 出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1942年-現在)[5][6] | |||||||||||||
1946年、琉球列島米国民政府の統治下に置かれるまでは日本領でありながら特定の自治体に属さず、1900年の玉置半右衛門による入植以降、玉置商会〜東洋製糖〜大日本製糖が島を「所有」し、製糖工場(現在も島の中核産業である)に付属する私設の学校・病院・郵便局まで設置される極めて特殊な自治体制が敷かれていた。
日本の有人指定離島 | |
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非実効支配下の島は除く。※印は民間人の定住者が居ない島嶼。太字は特定有人国境離島地域に指定されている島嶼。 | |