
刃物(はもの、英:bladed object)とは、刃がついていて物を切断したり切削したりする道具の総称[1]。刃という構造を持ち、何かを切断したり切削するための道具。「切れ物」とも言う[1]。
代表的な刃物として、包丁、小刀、はさみなどが挙げられる[1]。刃物はこうした「調理道具」や「工作道具」に分類されるものだけでなく、鉈や鎌など「農具」に分類されるものや、刀など「武器」に分類されるものもある。基本的には、刃にハンドルやグリップなどの取っ手を付けた形状をしていることが多い。
ネアンデルタール人[2]や縄文時代の日本人[3]などは、貝殻を使った貝刃を用いていた。
石器時代には石を割ることで出来る鋭い断面を利用する石製の刃物が用いられ、青銅器時代に入ると青銅製の刃物が、鉄器時代には鉄製の刃物が登場した。現代的な刃物は、主に鉄やステンレス(鋼)などの金属で作られている。更に、登山などでは特に軽量であることを求め、食器などでチタン製のナイフが用いられることもある。
また、セラミック製の刃物も近年用いられている。セラミック製の刃は錆びず、比較的切れ味が落ちにくく、金属製刃物のように研ぐ必要がなく、金属アレルギーを回避できる、などのメリットがあり、家庭で用いる調理包丁(セラミックナイフ(英語版))でも使用される割合が増している。また、手術で患者に金属アレルギーのおそれがある場合にセラミック製のメスを使用する場合がある。
ドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェフィールド、日本の岐阜県関市が世界三大刃物産地とされる[4][5]。シェフィールドやゾーリンゲンの地が生産地になり得たのは、水力が利用できたこと、川を通じて原材料の鉄鉱石と石炭、砥石、職人・商人、そして完成品などを輸送できたことなどが挙げられる[4]。
関市以外にも、新潟県三条市、福井県越前市、大阪府堺市、兵庫県三木市、高知県香美市などが刃物の生産地として知られる[9]。なお、日本の刃物づくりは江戸時代末期まで日本刀を作っていた集積地や職人が、明治時代になって廃刀令が出され刀が売れなくなったので、やむなく業種転換をはかり「包丁づくり」を余儀なくされたという歴史もある[10]。
金属製刃物の世界的な知名度では、ドイツ・ゾーリンゲンの調理用ナイフが世界的に突出して知名度が高かったが[要出典]、和包丁も世界的に日本食ブーム等を追い風に海外需要が増加した[11]。世界のシェフの中に自身の調理用ナイフ群に和包丁を加える人も増え、テレビの料理番組[注 1]や書籍等でも紹介されることも増え、欧米の一般家庭の人も購入する人が増えてきている。
刃物鋼の原産地はスウェーデンや島根県安来市が世界的に有名である[要出典]。
一方でセラミック製刃物は、その多くが元々陶磁器の生産地や生産工場だった地域でノウハウを活かして作られる傾向があり、京焼の地で生まれた京セラ、また美濃焼や瀬戸物の歴史がある美濃や瀬戸[注 2]などで作られている。
岐阜県関刃物産業連合会は、日本各地の店舗店頭に「刃物回収箱」を設置し[12]、不要になった刃物を回収、毎年11月8日の刃物の日に合わせて刃物供養祭を行ったのち、リサイクルないしリユース(再使用)を行っている[13]。
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犯罪や事故を防止するため、刃物をみだりに所持・携帯することは法令により規制されている。日本での主な規制は以下の通り。
また、都道府県によっては迷惑防止条例でも規制されている場合がある。
等。
一方、製造・販売関連では銃刀法や武器等製造法が適用される刀剣類や銃剣を除けば都道府県により青少年保護育成条例での販売の自主規制が存在する程度である。