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内務班

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。2013年1月

内務班(ないむはん)は、軍隊の営内居住者のうち軍曹以下の下士官及び兵を以て組織された居住単位である。

大日本帝国陸軍

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大日本帝国陸軍中隊等に平時において置かれた組織で、兵舎の中で下士官兵(明治・大正・昭和初期までは「下士卒」と呼んだ)が生活をする場合の最小単位であった。

概要

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将校及び古参曹長以上の下士官は営外居住で、兵営の外の自宅(外地では官舎もあり、また入居者が維持する若年幹部用の寮もあった。

兵舎の内部配置

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長方形の兵舎の真ん中には、長辺の左右方向に貫通廊下があり、廊下の両側に壁で仕切った居住用の部屋があって、廊下を挟んで対面する2部屋[1]が1内務班となっていた。

内務班の明文規定

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内務班に於ける行動規範は、歩兵内務書(1872年、後に軍隊内務書(1888年)、軍隊内務令(1943年)と改められる)で決まっていた。最後の軍隊内務令では17章362条にわたって様々なことが事細かに規定されていた。内務書が詳細になったのは日露戦争後である。この頃から兵営を家父長制の家庭とみなして入隊者を教育しようとする意図が出てきたとみられる。

私的制裁

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新兵の躾教育は、この内務班で行われた。官民離間(軍隊を嫌がる)の元凶だとして東条英機が私的制裁を禁じても、朝礼で中隊長が制裁の根絶を説いても無くならなかった[2]、私的制裁の無い班があった、指揮系統である階級に依らず指揮権に弊害でしかない年次に依った[3]、敗戦後の収容所でも別の形で暴力支配が行われた[4]、この時も将校には暴力支配が無かった、加虐嗜好が個人に見い出される場合がある[5](この点は将校も同じ)等から、新兵教育を理由とすることに疑問がある。軍人精神の涵養を理由に暴力が正当化されたと、山本七平はみる[6]

自衛隊

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概要

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現在の自衛隊にも内務班に似た組織が置かれており、海上自衛隊航空自衛隊では旧日本軍と同じ内務班という名称が引き継がれ、陸上自衛隊では営内班と呼ばれている。基地(駐屯地)の敷地内に所在し、主に独身の若い士、曹、若しくは単身赴任者が居住している。陸上自衛隊では陸上自衛隊服務規則[7]、航空自衛隊では航空自衛隊基地服務規則[8]の規定に基づき設置されている。

自衛隊法・自衛隊法施行規則の規定により、曹長以下の自衛官は部隊長等が指定する場所である居住区(営内隊舎)に居住する義務を有する[9][10]が、自衛官の居住場所に関する訓令の規定により、自衛官で部隊等に営舎がない・不足している場合は営舎外居住となるほか、以下の条件のいずれかを満たす者は、営舎外居住を申請することができる[11]

  1. 2曹以上の自衛官
  2. 3曹である自衛官かつ各幕僚長がそれぞれ定める条件を満たす者
  3. 親族または事実婚状態にある者の扶養または保護のため営舎外居住を希望する者

居室

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自衛隊隊舎整備基準により広さ・定員等が定められている[12]。令和6年4月23日以降に設計を開始するもの[13]は、原則として個室として整備し、それ以前に設計された既存の居室については間仕切りによりプライバシーの確保を図るとしている[14]

外出

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内務班(営内班)員が基地(駐屯地)の外に出ることを「外出」と呼ぶ。外出には外出許可権者の許可が必要である。海上自衛隊では艦艇勤務に従事している隊員が多く、陸上勤務の隊員を除き、そもそも外出という概念が存在しない。艦艇勤務の隊員は「外出」に相当する言葉として「上陸」という言葉を用いる。

  • 陸上自衛隊

陸上自衛隊服務規則[7]により定められている。

  • 海上自衛隊

海上自衛官の上陸等に関する達[15]および海上自衛官の上陸等に関する達の改正の趣旨及び運用上の留意事項について(通達)[16]により定められている。

  • 航空自衛隊

航空自衛隊基地服務規則[8]により定められている。

手当

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指定場所生活調整金として、営舎・船舶内に居住する自衛官を対象に、採用された日から1年経過するごとに20万円、最大6年間で120万円が支給される[17][18][19]

脚注

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  1. ^必ずしも対面する2部屋ではなく、片側の一部屋を内務班とする連隊もあった。その場合は向かいの部屋は空き部屋や下士官室としていることもある。参考資料「日本陸軍 兵営生活」(光人社)
  2. ^15頁以下『私の中の日本軍』戦争末期の昭和17年頃のことだが、「この問題を正面から取り上げざるを得ない状況になっていた」。問題としてはその前から有り、将校も口を挟めなかった。
  3. ^16頁『私の中の日本軍』
  4. ^267頁『一下級将校の見た帝国陸軍』山本七平
  5. ^32頁以下『私の中の日本軍』
  6. ^37頁『私の中の日本軍』山本七平
  7. ^ab陸上自衛隊服務規則” (PDF). 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  8. ^ab航空自衛隊基地服務規則” (PDF). 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  9. ^自衛隊法”. 2025年10月21日閲覧。
  10. ^自衛隊法施行規則”. 2025年10月21日閲覧。
  11. ^自衛官の居住場所に関する訓令” (PDF). 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  12. ^自衛隊隊舎整備基準についての一部改正について(通達)(令和6年4月23日)” (PDF). 防衛省 (2024年4月23日). 2025年10月21日閲覧。
  13. ^1-6 自衛隊隊舎整備基準についての一部改正について(通達)(令和6年4月23日)備考欄”. 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  14. ^防衛省/隊舎に完全個室追加/曹・士とも広さ15平米”. 日刊建設工業新聞社 (2025年10月3日). 2025年10月21日閲覧。
  15. ^海上自衛官の上陸等に関する達” (PDF). 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  16. ^海上自衛官の上陸等に関する達の改正の趣旨及び運用上の留意事項について(通達)” (PDF). 防衛省. 2025年10月21日閲覧。
  17. ^防衛省・自衛隊に関する質問” (PDF). 防衛省 (2025年1月30日). 2025年10月26日閲覧。
  18. ^防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年法律第266号)26条の3”. e-Gov法令検索 (2025年9月1日). 2025年10月26日閲覧。
  19. ^防衛省の職員の給与等に関する法律施行令(昭和27年政令第368号)第19条の5”. e-Gov法令検索 (2025年9月1日). 2025年10月26日閲覧。

参考文献

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