| 京都市営地下鉄 | |
|---|---|
| 基本情報 | |
| 国 | |
| 所在地 | 京都府京都市、宇治市 |
| 種類 | 地下鉄 |
| 開業 | 1981年5月29日 (44年前) (1981-05-29) |
| 運営者 | 京都市交通局 |
| 公式サイト | 京都市交通局公式ウェブサイト |
| 詳細情報 | |
| 総延長距離 | 31.2km |
| 路線数 | 2路線 |
| 駅数 | 31駅 |
| 1日利用者数 | 402,175人[1] |
| 保有車両数 | 222両 |
| 軌間 | 1,435mm |
| 電化方式 | 直流1,500V架空電車線方式 |
| 最高速度 | 75km/h |
| 路線図 | |
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京都市営地下鉄(きょうとしえいちかてつ)は、京都市交通局が運営する地下鉄。烏丸線・東西線の2つの路線があり[2]、西京区を除く京都市内10区と宇治市を通っている。条例上の正式名称は京都市高速鉄道である[3][4]。
以下の2路線がある。日本全国の地下鉄事業者で唯一、全ての地下鉄路線が他社線と直通運転を行っている。
| 色 | 記号 | 路線名 | 区間 |
|---|---|---|---|
| K | 烏丸線 | 国際会館駅 (K01) -竹田駅 (K15)[T 1] | |
| T | 東西線 | 六地蔵駅 (T01) -太秦天神川駅 (T17)[T 2] |

1931年11月に、当時の高木景・京都市土木局長は、京都駅につながる堀川線、または西大路線の「高速度軌道」建設を盛り込んだ都市計画を示した。この時は、地下鉄、モノレール、専用軌道のいずれともはっきりしていなかったが、1939年には市都市計画課長が「空中戦もあるので」と地下鉄の研究を示唆した。同年7月には、大京都振興審議会の第四部会で、「路面電車は時代遅れの交通機関で早晩、廃止される運命にある」「路面交通は速い方がいいが、必須条件ではない。低廉で多くの乗客を安全に運べる長所がある」などの論争があった[5]。
1965年12月に京都市交通事業審議会(会長:米谷栄二・京都大学名誉教授)が出した答申では、「長期的な構想としては、現在の交通体系を高速鉄道(引用者注:地下鉄)とバスに改め、基本的に路面電車は撤去されるのが望ましい」とされた。1966年8月に京都市が発表した長期開発計画案では、市電が道路交通の支障になっていると分析し、高速鉄道南北縦貫線(北山橋 - 巨椋)、東西線(山科 -西大路御池)など計5路線を大量輸送機関に、バスを補助手段とする交通体系を打ち出した[6]。
市営地下鉄のルートは、市内にいろいろな形で入ってくる国鉄、私鉄をつなぐ観点から「南北十字構想」となり、これをもとに、烏丸線、東西線が建設された。京都市の広報紙『市民しんぶん』1969年5月号に掲載された構想では、京都市営地下鉄の路線は、銀閣寺 -北野白梅町 - 西大路九条 -久世橋間の「東西外郭線」、上鳥羽口駅付近 - 久世橋 -洛西ニュータウン間の「洛西線」も盛り込まれており[7]、さらなる路線も考えられていたようだが、その後は計画が進捗しなかった。
京都市経済局長を務めた清水武彦の証言によると、地下鉄の具体的なルートは、計画局〜都市開発局で比較検討が行われた。南北線は烏丸通と堀川通が比較され、新しい都心形成と南部開発のためには堀川通 -油小路通が良いという意見もあった。九条通以南宇治川に至る油小路通は南部開発の大動脈という位置づけなので、地下鉄もここを通すべきという意見が有力だった。しかし、市営交通事業は1967年に財政再建団体に指定され、運輸省は赤字の京都市電撤去と引き替えでないと地下鉄建設を認めないという方針だったので、京都駅以北は烏丸通しか選択肢がなかった。そこで、京都駅以南は油小路通にということで国鉄と交渉したが、東海道新幹線・在来線の保安上、線路下の斜め横断は認められず、京都駅南部も烏丸通に通すことになった。東西線では、御池通、四条通、五条通が比較検討された。五条通は洛西ニュータウンにも乗り入れられることで有力視されたが、既成都心との距離や、国道9号線バイパス計画との調整問題などから、京阪電気鉄道京津線と乗り入れできる御池通経由が決まった[8]。
1968年11月に京都市交通対策協議会(会長:米谷栄二)が出した答申では、烏丸線と御池線(のちの東西線)の具体的な経由地は、烏丸線は「北山橋付近から京都市の中心街路である烏丸通を南下して、京都駅で国鉄・私鉄と連絡し、上鳥羽付近を経て、宇治川南岸にいたるものとする」、御池線は「天神川付近から御池通を東行して、国鉄二条駅と連絡し、蹴上・国鉄山科駅・山科・醍醐地区を経て、六地蔵にいたるものとする」とされた。そのなかで輸送需要などを考慮し、烏丸線の北山橋付近 - 京都駅 - 上鳥羽口付近と御池線の天神川付近 - 国鉄二条駅 - 蹴上 - 国鉄山科駅の計21 kmを第1次建設計画とし、残りの区間を第2次計画とすることが適当とされた。
1971年12月には、運輸省の都市交通審議会答申第13号として、新設すべき路線として① 北山大橋 - 烏丸通 - 竹田 - 三栖、② 六地蔵 - 山科 - 御池通 - 太秦 - 洛西ニュータウン - 長岡、③ 三条 - 出町柳の3路線が提示された[9]。
その後、1972年10月24日に運輸大臣(当時)から地方鉄道事業(地下鉄烏丸線、北山 - 竹田間)の事業免許を取得[10]。当初計画では、1978年3月に北山 - 竹田の全線を開業する予定だったが、京都市の財政悪化や、北山 - 北大路間および京都 - 竹田間の用地買収交渉遅れといった事情により、ひとまず北大路 - 京都間を重点整備区間として先行着手することにした[11]。1974年11月29日に起工式が行われ、1981年5月29日に地下鉄烏丸線(北大路駅 - 京都駅間)の営業を開始した[12]。
開業当時の京都市営地下鉄の特色は、主要4駅にエレベーターを備えたことで、当時の日本の地下鉄では先進的であった。バリアフリーが広まる前の1972年頃から、車椅子常用者、障害者支援団体が運動を起こして京都市に請願し、京都市会と舩橋求己市長を動かした成果である。京都市は、相対式で設計されていた駅を急遽島式に変更し、将来的に全駅にエレベーターを設置することにした[13]。なお、御池駅(現:烏丸御池駅)は当初から東西線の連絡駅に予定されていたため、相対式ホームで設計された[14]。
烏丸線・東西線を合わせた乗車距離に応じた区間制運賃を採用している[22]。2019年10月1日改定[23][24]。
| 区数 | 距離 | 普通運賃(円) | 特定割引運賃(円) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 大人 | 小児 | 大人 | 小児 | ||
| 1区 | 3kmまで | 220 | 110 | 110 | 60 |
| 2区 | 3kmを超え7kmまで | 260 | 130 | 130 | 70 |
| 3区 | 7kmを超え11kmまで | 290 | 150 | 150 | 80 |
| 4区 | 11kmを超え15kmまで | 330 | 170 | 170 | 90 |
| 5区 | 15kmを超える区間 | 360 | 180 | 180 | 90 |
このほか、地下鉄一日券、地下鉄・バス一日券も発売されている。
2023年4月1日時点で、6キロ以下の距離の運賃が日本の地下鉄で最も高い。普通運賃は乗車距離によって大阪地区に比べ−8%〜+16%、東京地区に比べ−5%〜+44%の差がある。
| 年度 | 経常収支 | 企業債等残高 | 一般会計 からの繰入金 |
|---|---|---|---|
| 2012年 | ▲4,841 | 436,848 | 16,619 |
| 2013年 | ▲4,055 | 421,469 | 13,199 |
| 2014年 | ▲862 | 406,655 | 14,326 |
| 2015年 | 848 | 391,069 | 14,974 |
| 2016年 | 1,608 | 376,384 | 12,821 |
| 2017年 | 212 | 362,897 | 10,055 |
| 2018年 | 2,333 | 352,946 | 6,051 |
| 2019年 | 2,345 | 344,493 | 6,811 |
| 2020年 | ▲5,392 | 343,234 | 8,407 |
| 2021年 | ▲3,797 | 340,278 | 8,134 |
| 2022年 | ▲678 | 334,494 | 7,347 |
| 2023年 | 2,251 | 325,081 | 6,389 |
| 2024年 | 2,577 | 313,081 | 5,643 |
| 2025年 | 500 | 296,800 | 7,156 |
2024年度決算は一般会計からの補助金を含んで26億円の経常黒字であり、287億円の営業収益に対し支払利息などの営業外費用に28億円を計上している。東西線開業後は収支が改善していたが[37]、2009年度から9年間は経営健全化団体となり、また新型コロナウイルス感染症の流行による乗客減少も影響し、2020年度からの3年間も経営健全化団体となった[38]。企業債の残高は3,131億円[36]。
この経営の厳しさの一因には、地下鉄建設の計画時の予算に比べ、実際の建設費が大幅に増大したことが挙げられる。一例として、東西線の二条 - 醍醐間の建設費は、事業免許を取得した時点での建設費が2450億円と想定されていたのに対し、実際の建設費は2倍近い4537億円だった。当該区間は工事時期がバブル景気と重なったことや、難工事により工期が当初見込みより3年間遅れたことも建設費高騰の原因で[39]、京都市営地下鉄は他都市と比較してキロあたりの建設費が最も高い[40]。このような問題に対して京都市交通局では、駅業務の一部民間委託[注釈 3]や高金利企業債の借換え、京都高速鉄道の直営化などによる各種コストの削減を進めている。また、駅ナカビジネスの展開などによる収益増にも取り組んでいる。なお、この一環で2010年4月より駅に掲示している駅名標付近に「駅名表示板下広告」の掲示を開始した。
| 年度 | 乗車人員 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 1981年 | 117,827人 | — |
| 1982年 | 121,699人 | +3.3% |
| 1983年 | 126,205人 | +3.7% |
| 1984年 | 130,345人 | +3.3% |
| 1985年 | 130,297人 | -0.0% |
| 1986年 | 133,816人 | +2.7% |
| 1987年 | 135,571人 | +1.3% |
| 1988年 | 160,725人 | +18.6% |
| 1989年 | 178,301人 | +10.9% |
| 1990年 | 187,990人 | +5.4% |
| 1991年 | 201,519人 | +7.2% |
| 1992年 | 201,854人 | +0.2% |
| 1993年 | 203,328人 | +0.7% |
| 1994年 | 203,443人 | +0.1% |
| 1995年 | 206,464人 | +1.5% |
| 1996年 | 208,506人 | +1.0% |
| 1997年 | 256,310人 | +22.9% |
| 1998年 | 302,479人 | +18.0% |
| 1999年 | 301,718人 | -0.3% |
| 2000年 | 304,864人 | +1.0% |
| 2001年 | 310,991人 | +2.0% |
| 2002年 | 309,205人 | -0.6% |
| 2003年 | 310,627人 | +0.5% |
| 2004年 | 310,777人 | +0.0% |
| 2005年 | 314,814人 | +1.3% |
| 2006年 | 315,508人 | +0.2% |
| 2007年 | 318,565人 | +1.0% |
| 2008年 | 328,248人 | +3.0% |
| 2009年 | 326,507人 | -0.5% |
| 2010年 | 330,191人 | +1.1% |
| 2011年 | 334,180人 | +1.2% |
| 2012年 | 339,311人 | +1.5% |
| 2013年 | 348,453人 | +2.7% |
| 2014年 | 358,953人 | +3.0% |
| 2015年 | 371,882人 | +3.6% |
| 2016年 | 379,216人 | +2.0% |
| 2017年 | 387,365人 | +2.1% |
| 2018年 | 396,564人 | +2.4% |
| 2019年 | 399,915人 | +0.8% |
| 2020年 | 267,250人 | -33.2% |
| 2021年 | 295,024人 | +10.4% |
| 2022年 | 348,181人 | +18.0% |
| 2023年 | 385,499人 | +10.7% |
| 2024年 | 402,175人 | +4.3% |
| 路線名[42] | 烏丸線 | 東西線 | |
|---|---|---|---|
| ラインカラー | 緑色 | 朱色 | |
| 路線記号 | K | T | |
| 起点 | 国際会館駅(京都市左京区) | 六地蔵駅(京都府宇治市) | |
| 終点 | 竹田駅(京都市伏見区) | 太秦天神川駅(京都市右京区) | |
| キロ程(営業キロ) | 13.7 km[43] | 17.5 km[43] | |
| 駅数 | 15駅 | 17駅 | |
| 開業年月日 | 1981年5月29日 (北大路 - 京都間6.5 km)[43] | 1997年10月12日 (二条 - 醍醐間12.7 km)[43] | |
| 全線開業年月日 | 1997年6月3日[43] | 2008年1月16日[43] | |
| 複線区間 | 全線 | 全線 | |
| 直通運転 | 相手路線名 | 近鉄京都線 | 京阪京津線 |
| 方式 | 相互直通 | 京阪からの片乗り入れ | |
| 区間 | 竹田(京都市伏見区) - 近鉄奈良(奈良県奈良市)間 | 御陵(京都市山科区) - びわ湖浜大津(滋賀県大津市)間 | |
| キロ程 | 35.4 km[42] | 7.5 km[44] | |
| 標準所要時間 | 27分30秒[42] | 34分30秒[42] | |
| 標準運転間隔時間 | ピーク時 | 朝混雑時3分30秒-4分00秒 夕混雑時5分00秒 | 朝混雑時4分00秒-6分30秒 夕混雑時6分30秒-8分30秒 |
| オフピーク時 | 6分00秒 - 7分30秒[42] | 7分30秒[42] | |
| 最大車両編成数 | 6両編成[45] | 6両編成[45] | |
| 使用車両 | 10系・20系 | 50系 | |
| 所有車両数 | 120両[45] | 102両[45] | |
| 最高速度 | 75 km/h[45] | 75 km/h[45] | |
| 表定速度 | 29.9 km[42] | 30.4 km[42] | |
| 軌間 | 1435 mm[45] | 1435 mm[45] | |
| 電気方式 | 直流1500 V[45] | 直流1500 V[45] | |
| 集電方式 | 架空線方式[45] | 架空線方式[45] | |
| 電化区間 | 全線 | 全線 | |
| 閉塞方式 | 車内信号式 | 車内信号式 | |
| 信号保安装置 | ATC・CTC[42] | ATC・CTC・ATO[42][45] | |
| 1日当たり輸送人員(2023年度) | 27万7081人[41] | 16万0633人[41] | |
| キロ当たりの建設費用 | 213億円[注釈 4] | 309億円[注釈 5] | |
| 可動式ホーム柵の設置状況 | 一部設置済[46][47] | 開業当初から全駅に設置済[48][42] | |
| 事業 | |
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| キャンペーン | |
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