『二番煎じ』(にばんせんじ)は、古典落語の演目。夜回り番をすることになった町人が、番所に酒肴を持ち込んでいたところ、同心がやってきて検分するのをごまかして起きる騒動を描く。はじめは上方落語の演目として成立し、東京へは5代目三遊亭圓生が移植した[1][注釈 1]。
原話は、元禄3年(1690年)に江戸で出版された小咄本『鹿の子ばなし』の「花見の薬」(禅寺の境内にある珍しい花を見に行こうとして寺の門番に竹筒に酒が入っているのでは通せないと言われ、薬だとごまかすと門番が一杯飲んで「だいぶ地黄が入っているな」と話して通し、帰るときに門番が「薬の二番はまだあがりませぬか」と言う内容)[1][3][4]。武藤禎夫はより現行の口演内容に近いものとして、享保4年(1719年)の『軽口出宝台』第4巻所収「せんじやうつねのごとく」(摂津国某郡の守護が年貢不足の責めとして領民に酒肴を禁じた折に火事が起きて今度は火事番を命じ、以降は現行とほぼ同じ)を挙げ、この笑話では「折節寒き頃」と季節も冬となっている[5]。
ある冬の晩、番太が年末休みのため(東京では「番太だけでは心もとない」というので)、防火のための夜回りを町内の旦那衆が代わりに行うことになった。
厳しい寒さに耐えながら夜回りをした一同は番小屋で火鉢を囲んで暖をとる。ある者は酒を持ち込み、ある者は猪の肉と鍋を持ち込み、即席の酒宴が始まる。
その時、番小屋を管轄している廻り方同心が小屋の様子を見に来る。旦那衆のひとりが火鉢の上に座って鍋を隠すが、酒は隠しきれない。旦那衆のひとりが「これは酒ではなく煎じ薬だ」と言うと、同心は「身共もここのところ風邪気味じゃ」と言って湯飲みを口にする。酒だと気づいた同心だがそのことは言わず、「うむ、結構な薬だ」とおかわりを所望し、鍋も目ざとく見つけて平らげてしまう。旦那衆が「もう煎じ薬がありません」と告げると、同心は「では拙者が町内をひと回りしてまいるので、その間、二番を煎じておけ」
桂宗助(現・桂八十八)の高座名はこの演目の登場人物の名に由来していた[6]。
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