亀山市(かめやまし)は、三重県中北部にある市。
江戸時代には伊勢亀山藩の城下町として、東海道で鈴鹿峠東側の宿場町として栄えた。宿場は3つあり、亀山宿、関宿、坂下宿である。
明治以降は、関西鉄道(かんせいてつどう)の開通や、旧国鉄の参宮線への分岐点として、機関区も置かれた鉄道の街としても栄えたが、伊勢方面への優等列車は伊勢鉄道(旧国鉄伊勢線)経由の短絡ルートを用いるようになったために、かつての隆盛はない。
地場産業として、蝋燭の生産が大きなシェアを持ち、カメヤマローソク(本社は大阪市に移転した)が存在する。
三重県の北中部に位置し、東は鈴鹿市、西は伊賀市、南は津市、北は滋賀県甲賀市とそれぞれ接している。市内の北西部には鈴鹿山脈が、南西部には布引山地が連なる。市の面積の半分以上は山林であるが、産業別就業人口では、第一次産業よりも第二次産業就業者の割合が多い(約10倍)。
亀山市中心部周辺の空中写真。中心市街地は鈴鹿川北岸に位置する。画像左に東名阪自動車道亀山ICと伊勢自動車道伊勢関IC。1987年撮影の8枚を合成作成。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)(現・地図・空中写真閲覧サービス)の空中写真を基に作成。
三重県北部を流れる河川の位置関係。濃い破線は県境、薄い破線は市町村境。河川名は木曽川水系以外は水系本川のみ記載。| 亀山(1991年 - 2020年)の気候 |
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| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
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| 最高気温記録°C (°F) | 16.9 (62.4) | 21.2 (70.2) | 25.8 (78.4) | 29.9 (85.8) | 33.0 (91.4) | 37.4 (99.3) | 38.3 (100.9) | 38.4 (101.1) | 36.3 (97.3) | 32.7 (90.9) | 25.9 (78.6) | 21.5 (70.7) | 38.4 (101.1) |
|---|
| 平均最高気温°C (°F) | 8.8 (47.8) | 9.6 (49.3) | 13.5 (56.3) | 19.1 (66.4) | 23.5 (74.3) | 26.3 (79.3) | 30.2 (86.4) | 31.7 (89.1) | 27.7 (81.9) | 22.3 (72.1) | 16.8 (62.2) | 11.3 (52.3) | 20.1 (68.2) |
|---|
| 日平均気温°C (°F) | 4.3 (39.7) | 4.7 (40.5) | 8.0 (46.4) | 13.2 (55.8) | 18.0 (64.4) | 21.6 (70.9) | 25.6 (78.1) | 26.7 (80.1) | 23.0 (73.4) | 17.4 (63.3) | 11.7 (53.1) | 6.6 (43.9) | 15.1 (59.2) |
|---|
| 平均最低気温°C (°F) | 0.1 (32.2) | 0.3 (32.5) | 3.0 (37.4) | 7.9 (46.2) | 12.9 (55.2) | 17.6 (63.7) | 22.1 (71.8) | 22.9 (73.2) | 19.2 (66.6) | 13.0 (55.4) | 6.8 (44.2) | 2.2 (36) | 10.7 (51.3) |
|---|
| 最低気温記録°C (°F) | −6.4 (20.5) | −6.5 (20.3) | −4.4 (24.1) | −1.0 (30.2) | 3.7 (38.7) | 9.6 (49.3) | 14.0 (57.2) | 14.4 (57.9) | 8.1 (46.6) | 1.9 (35.4) | −1.7 (28.9) | −5.4 (22.3) | −6.5 (20.3) |
|---|
| 降水量 mm (inch) | 57.3 (2.256) | 68.8 (2.709) | 120.0 (4.724) | 153.4 (6.039) | 203.0 (7.992) | 255.8 (10.071) | 211.2 (8.315) | 180.8 (7.118) | 284.1 (11.185) | 178.8 (7.039) | 81.3 (3.201) | 59.3 (2.335) | 1,853.7 (72.98) |
|---|
| 平均降水日数(≥1.0 mm) | 8.1 | 8.7 | 10.9 | 10.1 | 10.7 | 12.6 | 12.1 | 10.3 | 12.1 | 10.0 | 6.8 | 7.5 | 120.0 |
|---|
| 平均月間日照時間 | 145.6 | 142.9 | 176.3 | 191.1 | 196.4 | 145.1 | 163.9 | 195.1 | 149.8 | 158.1 | 154.3 | 155.3 | 1,973.7 |
|---|
| 出典1:[1] |
| 出典2:気象庁[2] |
亀山市の変遷
特記がない限り、鈴鹿郡所属。
| 明治22年以前 | 明治初年 - 明治22年 | 明治22年 4月1日 町村制施行 | 明治22年 - 昭和20年 | 昭和21年 - 昭和30年 | 昭和31年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 |
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| 原村 | 一部[5] | 原村 | 庄内村 の一部 | 庄内村の一部 | 庄内村の一部 | 昭和31年9月30日 三鈴村の一部 | 昭和32年4月1日 亀山市に編入 | 平成17年1月11日 亀山市 | 亀山市 |
奄芸郡 楠平尾村 | 一部[6] | 奄芸郡楠平尾村 | 奄芸郡 明村 | 明治29年3月29日 奄芸郡明村 | 河芸郡明村 | 河芸郡明村 | 安芸郡芸濃町 | 昭和33年4月1日 亀山市に編入 |
| 萩原村 | 萩原村 | 昭和33年4月1日 鈴鹿郡関町に編入 |
| 福徳村 | 福徳村 |
| 野尻村 | 明治8年 布気村 | 神辺村 | 神辺村 | 昭和30年2月1日 関町に編入 | 昭和30年4月17日 関町 | 関町 |
| 落針村 |
| 大岡寺村 | 大岡寺村 |
| 山下村 | 山下村 |
| 木下村 | 木下村 |
| 小野村 | 一部[3]を除く | 小野村 |
| 一部[3] | 昭和30年2月1日 亀山市に編入 | 亀山市 | 亀山市 |
| 亀山城下 | 亀山城下 | 亀山町 | 明治41年4月1日 亀山町 | 昭和29年10月1日 亀山市 |
| 野村 | 野村 |
| 椿世村 | 椿世村 |
| 亀田村 | 亀田村 |
| 羽若村 | 羽若村 |
| 住山村 | 住山村 |
| 阿野田村 | 阿野田村 | 槇尾村 |
| 菅内村 | 菅内村 |
| 田茂村 | 田茂村 |
| 安知本村 | 安知本村 |
| 中ノ庄村 | 中ノ庄村 | 昼生村 | 昼生村 |
| 下ノ庄村 | 下ノ庄村 |
| 三寺村 | 三寺村 |
| 田村 | 田村 | 川崎村 | 川崎村 |
| 長明寺村 | 長明寺村 |
| 川崎村 | 明治8年 川崎村 |
| 徳原組 |
| 岩森村 | 明治8年 太森村 |
| 太田村 |
| 平尾村 | 明治8年 両尾村 | 野登村 | 野登村 |
| 原尾村 |
| 安楽村 | 明治8年 安坂山村 |
| 池山村 |
| 坂本村 |
| 辺法寺村 | 辺法寺村 |
| 海善寺村 | 海善寺村 | 井田川村 の一部 | 井田川村の一部 |
| 和田村 | 一部を除く | 和田村 |
| 一部 | 亀山町 | 明治41年4月1日 亀山町 |
| 井尻村 | 一部 | 井尻村 |
| 一部を除く | 井田川村 の一部 | 井田川村の一部 |
| 川合村 | 川合村 |
| 鷲山村 | 鷲山村 | 白川村 | 白川村 | 昭和29年10月1日 亀山市 |
| 白木村 | 一部[4] | 白木村 |
| 一部[4]を除く | 昭和30年2月1日 関町に編入 | 昭和30年4月17日 関町 | 関町 |
| 小川村 | 小川村 |
| 木崎村 | 木崎村 | 関町 | 関町 | 関町 |
| 関中町 | 関中町 |
| 新所村 | 新所村 |
| 古厩村 | 古厩村 |
| 久我村 | 久我村 |
| 市瀬村 | 市瀬村 | 坂下村 | 坂下村 | 坂下村 |
| 沓掛村 | 沓掛村 |
| 坂下村 | 坂下村 |
| 加太村 | 一部[9] | 加太村 | 加太村 | 加太村 | 加太村 |
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| 亀山市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 亀山市の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 亀山市 ■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 |
亀山市(に相当する地域)の人口の推移
| 1970年(昭和45年) | 37,817人 | | | 1975年(昭和50年) | 39,617人 | | | 1980年(昭和55年) | 40,578人 | | | 1985年(昭和60年) | 42,810人 | | | 1990年(平成2年) | 45,045人 | | | 1995年(平成7年) | 46,128人 | | | 2000年(平成12年) | 46,606人 | | | 2005年(平成17年) | 49,253人 | | | 2010年(平成22年) | 51,023人 | | | 2015年(平成27年) | 50,254人 | | | 2020年(令和2年) | 49,835人 | |
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| 総務省統計局国勢調査より |
- 旧亀山市長
- 服部平義(初代、1954年11月16日~1958年11月12日)
- 服部一雄(2代、1958年11月13日~1962年5月6日)
- 服部平義(3代、1962年6月15日~1970年6月14日)
- 今井正郎(4代、1970年6月15日~1994年1月13日)
- 田中亮太(5代、1994年2月13日~2005年1月10日)
- 亀山市長
- 田中亮太(初代、2005年2月6日~2009年2月5日)
- 櫻井義之(2代、2009年2月6日~3期目)
- 市議会
亀山市市議会の議席定数は、18議席である。
任期:(平成26年)2014年11月1日から(平成30年)2018年10月31日
亀山市から選出される三重県議会議員の定数は1議席である。現在は、長田隆尚が務める。2023年の選挙から三重県議会の選挙区で唯一の1人区。
亀山市は、鈴鹿市・伊賀市・名張市と四日市市の一部等で構成される三重2区が選挙区となる。現在の選出議員は川崎秀人(自由民主党)である。
この地方は気候や土質が茶の栽培に適していたことから古くから茶の生産が盛んである。また市内には大規模農園の実験を目的として1983年に造成された88.8haの中の山パイロット茶園もあり、市内の茶の生産量は三重県下3位である。
明治の中頃からは養蚕業が盛んな地域であった。地場産業の生糸の生産などとも結びついていたが、昭和30年代(1955年~1964年)以降に合成繊維に押されて絹の需要が激減したことを受けて飼養農家も激減した。現在では市内に散在する桑園の総面積は2ha程度である。
亀山市の誕生当初は生糸やローソク(亀山ローソク)に代表される地場産業があったにすぎなかった。しかし1963年に低開発地域工業開発促進法の地域指定を受けて以降、高速道路の開通などの好条件にも恵まれ、三重県下有数の内陸工業都市となった。1975年以降長らく、隣接する鈴鹿市に本田技研工業の鈴鹿工場があるために自動車関連産業が、また、古河電気工業の銅線工場に代表される非鉄金属産業が市内の製造品出荷額のそれぞれ4分の1以上を占めてきた。
2002年にシャープの液晶工場(シャープ亀山工場)が立地して以降は、液晶関連産業の集積も進んだ。三重県のハイテク企業誘致策により建設された亀山工場では、世界初の液晶パネルからテレビまでの一貫生産が行われ、大手家電量販店などでAQUOSが「世界の亀山モデル」というキャッチコピーで売り出され人気を博したが、その後の経営不振により企業城下町の負の側面が噴出した[10]。
- 工業団地
旧東海道沿いに商店街(東町商店街)が形成されている。また、隣接して亀山エコー(ショッピングセンター)が立地している。しかし大規模な郊外型のショッピングセンターは存在せず、隣接する鈴鹿市等への客の流出が目立っている。
土産物としては、瑞宝軒の銘菓 伊勢国「亀乃尾」、また「亀山茶」や亀山地ビールとして「乾杯のうた」がある。
旧関宿には銘菓「関の戸」を販売する深川屋がある。
(2015年9月現在)
- 日本郵便株式会社
- 亀山郵便局(東御幸町) - 集配局。
- 川崎郵便局(川崎町) - 元集配局。
- 昼生(ひるお)郵便局(中庄町)
- 野登(ののぼり)郵便局(両尾町=ふたおちょう)
- 亀山駅前郵便局(御幸町)
- 亀山井田川郵便局(井田川町)
- 白川郵便局(白木町)
- 亀山本町郵便局(本町)
- 加太(かぶと)郵便局(加太板屋)
- 関 郵便局(関町中町) - 元集配局。
※亀山市内の郵便番号は以下のとおり。
- 「519-01xx」=合併前からの亀山市域(北東部を除く)。亀山郵便局の集配担当。
- 「519-11xx」=旧鈴鹿郡関町域。亀山郵便局の集配担当。
- 「519-02xx」=亀山市北東部(おおむね新名神高速道路の周辺地域)(および鈴鹿市(西庄内町・東庄内町))。亀山郵便局の集配担当。
- NTT西日本 三重支店
- 本市の市外局番は0595(亀山MA)が使用される。
- なお、同じ0595は伊賀市や名張市でも使用されるが、これらの市とはMAが異なる(上野MA)ため、市外局番からダイヤルする必要がある。
1890年の関西鉄道開通以来、名阪間の関西本線や紀伊半島に至る紀勢本線などの幹線が次々と開業・延伸し、現在に至っている。しかし、東海道本線の代替路線の役割を担った関西本線は東海道新幹線の開業に伴い、また、紀伊半島東岸への玄関口の役割を担った紀勢本線亀山~津間は国鉄伊勢線(現・伊勢鉄道線)の開通に伴いローカル輸送中心にシフトしたため、かつてのような隆盛は無い。2006年3月のダイヤ改正で急行「かすが」が廃止されて以降は、市内の路線を通る優等列車は無くなり、全て普通列車か快速列車となった。東京・大阪間を結ぶ、超電導リニアによる中央新幹線のルートになるのではとの考えから、官・民組織である「リニア中央新幹線・JR複線電化推進亀山市民会議」を中心として積極的な駅誘致活動を行っている。また、平成8年からリニア中央新幹線亀山駅整備基金として毎年一定額の積み立てを行っている。
亀山駅市の中心となる駅:亀山駅
- 東海旅客鉄道(JR東海)
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)
三重交通の路線バスならびに亀山市コミュニティバスが運行されている。最も運行本数の多い路線でも、1時間あたり1本程度の運行である。
かつては西日本ジェイアールバスが亀山駅から滋賀県水口町(現在の甲賀市)まで、三重交通が亀山駅から四日市市まで運行するなど、近隣市町と結ぶ比較的長距離の路線も多かったが、現在では、市内の路線のほか、隣接する鈴鹿市や津市などとの間に近距離の路線が残るのみである。
中心的ターミナルは亀山駅にある亀山駅前停留所である。
- 三重交通
- コミュニティバス
- さわやか号
- 野登ルート
- 白川ルート
- 西部ルート
- 東部ルート
- 南部ルート
- 加太福祉バス
- 関南部スクールバス活用バス
1952年の国道1号指定以来、1965年の名阪国道全通、1970年の東名阪自動車道部分開通、1975年の伊勢自動車道部分開通など、主要な幹線道路が徐々に整備されてきた。また1988年には名阪国道が西名阪自動車道・近畿自動車道を介して名神高速道路と、1993年には東名阪自動車道が名古屋ICにて東名高速道路とそれぞれ接続され、亀山市は大都市間を結ぶ大動脈の中に位置づけられた。さらに2008年2月23日には新名神高速道路も開通し、東名阪自動車道の亀山JCTと名神高速道路の草津JCTとが直結した[11]。これにより本市と滋賀県および京都府を結ぶ高速道路のルートもできた。これらの交通の便を活かし、工業団地の開発などを積極的に行っている。
新名神高速道路
(池田高架橋付近より名古屋方面を望む)- 夢育むまちづくりのための都市間市民交流
日本武尊白鳥伝説ゆかりの三市による交流事業。
- その他
関宿。江戸方向を向いて撮影亀山7座トレイル
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