4世紀半ば以降司教座が設置されたと思われるが、メロヴィング朝時代のヴォルムスについては、確たる証拠となる文物はほとんどない[3]。「7、8世紀のフランク〔王国〕の行政においては、ヴォルムスは属州上ゲルマニアのかつての中心地〔マインツ〕をしのぐ地位を占めていた」[4]。カール大帝時代、アーヘンとヴォルムスは大帝の「お気に入りの滞在地であり、・・・、玉座 regnum の主要な所在地 sedes principales」であった[5]。10世紀になると王権の後援のもとに司教による都市支配が確立した。司教ブルハルト(Burchard; 1000-1025)は都市君主として大聖堂の新築(1018年献堂式)や荘園法の制定による治安の確保等に尽力した[3]。市民層も政治力をつけていき、叙任権闘争においては、皇帝側に立った[6]。皇帝ハインリヒ4世を支持し、ヴォルムス司教を一時都市から追放した市民は、1074年皇帝から代償として関税特権を獲得した。このヴォルムス市民の闘争は、同年大司教と衝突したケルン市民のモデルになった[7]。38人のドイツ司教のうち24人がハインリヒ4世の招集に応じた1076年のヴォルムス公会議では、グレゴリウス7世の廃位が宣言されている[8]。1150年頃以降、市と王権との関係は深まり、フリードリヒ1世の時代には、市は実質的に、司教・王の二元支配下にあった。1200年頃には市参事会が形成され、市章も存在するようになる[3]。13世紀、「市民は司教の長期の不在のあいだに、市民自治のシンボルとして市庁舎を建て、それを世界でもっとも美しい建物だと自慢した」。しかし、その敷地が皇帝用地であったので、司教側についていた皇帝は、市庁舎を司教に引き渡すように命令した。市民は自ら「市民の城」を焼き払った。1232年5月2日のことであった[9]。
^Lexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 330-331. - Dieter Berger:de:Duden, geographische Namen in Deutschland: Herkunft und Bedeutung der Namen von Ländern, Städten, Bergen und Gewässern, Bibliographisches Institut, Mannheim/Wien/Zürich 1993 (ISBN 3-411-06251-7), S. 280-281.
^abcLexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 331.
^ Gerhard Köbler:Historisches Lexikon der deutschen Länder. 6. Aufl. München: C.H.Beck 1988 = Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 1999, S. 734.
^ Gerhard Köbler:Historisches Lexikon der deutschen Länder. 6. Aufl. München: C.H.Beck 1988 = Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 1999, S. 734-735.
^Lexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 333.
^Lexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 331-332. エーディト・エネン著 佐々木克巳訳 『ヨーロッパの中世都市』岩波書店、1987年、(ISBN 4-00-002373-X) 、294-297頁。
^Lexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 332.
^Lexikon des Mittelalters. Bd. IX. München: LexMA Verlag 1998 (ISBN 3-89659-909-7), Sp. 334-337. -ピーター H. ウィルスン『ヨーロッパ史入門 神聖ローマ帝国 1495-1806』(山本文彦訳)岩波書店 2005 (ISBN 4-00-027097-4) 、126-127頁。