レピュニット (レピュニット数、レプユニット数、単位反復数、英:repunit) とは 1, 11, 111, 1111, … のように全ての桁の数字が 1である自然数のことである。この名前はrepeatedunitを省略した単語であり、アルバート・ベイラーが1964年の論文で命名した[注釈 1]。
10進法におけるn 桁のレピュニットは の形に表される。n =2,19,23,317, 1031, ... (オンライン整数列大辞典の数列A004023) のときに、Rn は素数となる。2進法におけるn 桁のレピュニットはメルセンヌ数 である。レピュニットが素数であるとき、レピュニット素数(またはレプユニット素数、英:Repunit prime)という。レピュニット素数は無限にあると予想されているが、証明されていない。
m がn を割り切るならば、Rm はRn を割り切る。よって、n が合成数ならば、Rn は合成数となる。
100 を法として 11 と合同な平方数は存在しないから、レピュニットで平方数となるものは 1 だけである。一般に、レピュニットで累乗数となるものは 1 だけであることが知られている (Bugeaud, Mignotte 1999a[2])。
レピュニットは各桁の総乗が 1 となるので、すべてズッカーマン数である。
Rn は、n が3の累乗数のとき(n が 1 = 30 のときも含む)は全てハーシャッド数である。
前述のとおり、R2n は11つまりR2 で割り切れる。同様に、2×n桁のR2n は、n桁のRn で割り切れる。さらに、nが奇数のとき、Rn は11で割り切れないから、R2 とRn は互いに素となる。よって、R2nは、R2 ×Rn で割り切れて、その商は、n桁の数 100…1 ÷ 11 の計算値となるから、n−1 桁の数 9090…91 である。
これらの関係を表にまとめると、次のようになる。
n(奇数) | 2 ×n | R2n | R2nの値(2×n桁) | R2 ×Rn | R2 ×Rnの値(n+1桁) | R2n ÷R2 ÷Rnの値(n−1桁) | R2n ÷R2 ÷Rnの素因数分解 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3 | 6 | R06 | 111111 | = | R2 ×R3 | 1221 | × | 91 | 7・13 |
5 | 10 | R10 | 1111111111 | R2 ×R5 | 122221 | 9091 | 素数 | ||
7 | 14 | R14 | 11111111111111 | R2 ×R7 | 12222221 | 909091 | 素数 | ||
9 | 18 | R18 | 111111111111111111 | R2 ×R9 | 1222222221 | 90909091 | 7・13・19・52579 | ||
11 | 22 | R22 | 1111111111111111111111 | R2 ×R11 | 122222222221 | 9090909091 | 11・23・4093・8779 |
n が偶数のときのR2n、その他 についての例は次のとおり。
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n | (10n/2 − 1) / 9 | [7] | 10n/2 + 1 |
---|---|---|---|
R02 | 1 | 1 × 11 | 11 |
R04 | 11 | 11 × 101 | 101 |
R06 | 3・37 | 111 × 1001 | 7・11・13 |
R08 | 11・101 | 1111 × 10001 | 73・137 |
R10 | 41・271 | 11111 × 100001 | 11・9091 |
n | |||
---|---|---|---|
R02 | 0001 × 11 | 1 × 11 | |
R03 | # | 0001 × 111 | |
R04 | $ | 0001 × 1111 | 11 × 101 |
R05 | % | 0001 × 11111 | |
R06 | & | 0001 × 111111 | 111 × 1001 |
# | 0011 × 10101 | ||
R07 | * | 0001 × 1111111 | |
R08 | $ | 0011 × 1010101 | 1111 × 10001 |
R09 | # | 0111 × 1001001 | |
R10 | % | 0011 × 101010101 | 11111 × 100001 |
R12 | & | 0011 × 10101010101 | 111111 × 1000001 |
$ | 0111 × 1001001001 | ||
# | 1111 × 100010001 | ||
R14 | * | 0011 × 1010101010101 | 1111111 × 10000001 |
n | ||
---|---|---|
R06 | 1 × 111 × 1001 | 91・11 |
R12 | 11 × 10101 × 1000001 | 9901・101 |
R18 | 111 × 1001001 × 1000000001 | 999001・1001 |
R24 | 1111 × 100010001 × 1000000000001 | 99990001・10001 |
n | ||
---|---|---|
R04 | 11 × 101 | |
R08 | 101 × 110011 | |
R12 | 1001 × 111000111 | 1221001221 ×91 |
R16 | 10001 × 111100001111 | |
R20 | 100001 × 111110000011111 | 1222210000122221 ×9091 |
R24 | 1000001 × 111111000000111111 | 1221001221001221001221 ×91 |
n | Rn×(10n+1) | |||
---|---|---|---|---|
[9][10][11] | ||||
R02 | 62 −52 | 62 −52 | 62 −52 | |
R03 | 562 − 552 | 562 −552 | ||
R04 | 562 − 452 | 5562 − 5552 | ||
R05 | 55562 − 55552 | |||
R06 | 5562 − 4452 | 555562 − 555552 | 50562 −50452 | 6562 − 5652 |
R07 | 5555562 − 5555552 | |||
R08 | 55562 − 44452 | 0G(省略) | ||
R09 | 0F(省略) | 5005562 −5004452 | ||
R10 | 0E(省略) | 0E(省略) | 656562 − 565652 | |
R11 | 0D(省略) | |||
R12 | 0C(省略) | 0C(省略) | 500055562 −500044452 | |
R13 | 0B(省略) | |||
R14 | 0C(省略) | 0A(省略) | 65656562 − 56565652 |
現在、Rn でn = 2, 19, 23, 317, 1031, 49081, 86453, 109297 の場合に素数となることが証明されている。しかし桁数が大きい確率的素数 (PRP, probable prime) は素数判定が困難であり、例えば2022年3月に素数であることが証明されたR49081 は、1999年9月にハーヴェイ・ダブナーが確率的素数として発見してからポール・アンダーウッドによって素数判定されるまで22年6月を要した[12]。2023年5月に素数であることが証明されたR86453 は、2000年10月にリュー・バクスターが確率的素数として発見してからアンドレアス・エンゲによって素数判定されるまで22年7月を要した[13]。
2007年3月26日、ハーヴェイ・ダブナーはn=109297の場合が確率的素数であると発表し[14]、その後n≦200000にはそれ以外の PRP は見つかっていないと報告している[15][リンク切れ]。同年7月15日、マクシム・ヴォズニーはn=270343の場合が確率的素数であると発表した[16]。
2021年4月19日、セルゲイ・バタロフとライアン・プロッパーはn=5794777を[17]、同年5月8日にn=8177207を確率的素数であると発表した[18]。発表時点ではそれぞれが知られている最大の確率的素数であった。
2025年5月29日、楕円曲線素数判定法によりn=109297の場合が素数であることが証明された。
No. | n | 年[要出典] | 発見者 | 素数判定 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | BC 478 | - | 素数 |
2 | 19 | 1908-06-27 | - | 素数 |
3 | 23 | 1933-01-23 | - | 素数 |
4 | 317 | 1978-05-16 | ヒュー・ウィリアムズ | 素数 |
5 | 1031 | 1986-10-05 | ヒュー・ウィリアムズ、ハーヴェイ・ダブナー | 素数 |
6 | 49081 | 1999-09-09 | ハーヴェイ・ダブナー | 素数 |
7 | 86453 | 2000-10-26 | リュー・バクスター | 素数 |
8 | 109297 | 2007-03-26 | ハーヴェイ・ダブナー | 素数 |
9 | 270343 | 2007-07-11 | マクシム・ヴォズニー | 確率的素数 |
10 | 5794777 | 2021-04-19 | セルゲイ・バタロフ、ライアン・プロッパー | 確率的素数 |
11 | 8177207 | 2021-05-08 | セルゲイ・バタロフ、ライアン・プロッパー | 確率的素数 |
(オンライン整数列大辞典の数列A004023)
レピュニットは、2と5を除く素数の積で構成されている[19]。
基数 10 のレピュニットのR1 からR122 までの素因数分解の一覧を示す[20]。
n が素数の場合は背景のセルを水色にして示す。
※ 素因数の数(含重複)
2022年末現在、素因数分解が完全には計算されていない最小のレピュニットは、n=353に当たる数である。
10以外の基数に対してもレピュニットを定義することができる。基数a に対してn 桁のレピュニットは と定義される。
前述のとおり、a = 2 のときのレピュニットはメルセンヌ数である。また、a が素数ならば、これはan−1 の約数の和に一致する。
基数a ≤ 100 のレピュニットが累乗数となるのはR5(3) = 112,R4(7) = 202,R3(18) = 73 の場合しかない(Bugeaud 1999b[21])。
Fd(x) をd 次の円分多項式とすると、
と表すことができる。
素数の分類 | |
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基数依存 | |
組 | |
桁数 | |
複素数 | |
合成数 | |
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