この項目では、イギリスと大陸ヨーロッパを結ぶ国際列車について説明しています。
ユーロスター (英 :Eurostar )は、イギリス ・フランス ・ベルギー ・オランダ ・ドイツ を結ぶ国際列車 ブランドである。
同ブランドは英仏海峡トンネル を通ってイギリス と大陸ヨーロッパ を結ぶ(旧)ユーロスターと、および大陸ヨーロッパの4カ国で運行されていたタリス を統合して誕生したユーロスター・グループにより運行されており、最高速度300km/h の高速鉄道 となっている。
列車は英仏海峡 (ドーバー海峡 )を横断し、イギリス 、フランス 、ベルギー 各国内の高速路線を使用する。ユーロトンネル の開通と同年、1994年 11月14日に開業した[ 2] 。
イギリス側の始発駅は現在、ロンドンのセント・パンクラス駅 である。当初イギリス国内は在来線を走行し始発着駅にウォータールー駅 (ウォータールー国際駅 )を使用していた。この在来線区間は第三軌条方式 が採用されており、速度に劣るうえに、トンネル内で集電装置 の切り替えが発生していた。しかしながら2007年11月、イギリス国内の高速新線HS1(ハイスピード1、CTRL )が開業したことによってそれらの事情は解消、ロンドンと大陸の所要時間は数十分程度短縮された。
2019年からタリス とユーロスターの両運行会社の統合が模索された。新型コロナの流行により延期されていたが[ 3] 、2022年3月には欧州委員会 の承認を得て、4月にユーロスターとタリスのそれぞれの運行会社(ユーロスター・インターナショナル (英語版 ) とTHIファクトリー)は事業所を残しつつ、ブリュッセルを拠点とする新持株会社「ユーロスター・グループ (英語版 ) 」の元に統合された[ 4] 。2023年10月1日に、2つのブランド名をユーロスターに統合した[ 5] 。
ユーロスター運行経路 時間はロンドン セントパンクラスからの最短所要時間
ロンドン〜アシュフォード 〜 リール 〜 ブリュッセル:(最速1時間51分) ロンドン〜アシュフォード〜カレー〜リール〜パリ(北駅):(最速2時間15分) ロンドン〜アシュフォード〜マルヌ・ラ・ヴァレ(ディズニーランド・パリ ):(2時間33分;1日1往復) ロンドン〜アシュフォード〜ムーチェ〜(エイム・ラ・プラーニュ)ブール・サン・モーリス:(冬季のみ。一部夜行) ロンドン〜アシュフォード〜アヴィニョン:(夏季のみ。5時間40分;1日1往復)列車により停車駅のパターンが異なる。 パリ発着一部列車のみカレーに停車。 エイム・ラ・プラーニュへはロンドン発のみ停車 CTRL 全線開通後、ロンドン〜パリは最速2時間15分、ロンドン〜ブリュッセルは最速1時間51分で結ばれた。また、1時間に最高8往復の運用が可能となる(現在[いつ? ] は1時間に最高4往復)。 ユーロスターの車両は、3カ国を直通運転するためのさまざまな工夫がされている。例えば電源は各国の高速新線用とイギリスの在来線区間用に加えてベルギー在来線用も備えた3電源対応で、さらに一部車両はフランス在来線用にも対応している。
1994年の開業時に投入された車両はフランスの高速鉄道車両であるTGV をベースとしたもので、イギリス国鉄のTOPS により373形 の形式が付与されている。フランス 、イギリス 、ベルギー の3カ国で共同開発された。
3000番台は英国、3100番台はベルギー、3200番台はフランスが所有する。3200番台のうち4編成はTGV としてパリ〜リール間の短距離区間で使用されている。また3300番台の7編成は、将来のイングランド 北部・スコットランド 方面への乗り入れに備えて2005年12月まで英国のGNER がリース契約で借り受け、車色をGNERのコーポレートカラーであるダークブラウンに変更し、ロンドンのキングス・クロス 〜リーズ/ヨーク間を実験的に営業運転を行っていた。しかし、航空機との競争等による採算性の問題から延伸は中止となり、現在はロンドン、ストラトフォードにあるテンプル・ミルズ車両基地 にて一時的に保管されている。また、増結用寝台車として製造されたナイトスター (英 :Nightstar )は結局のところ一度も営業運転で使われることはなく、カナダのVIA鉄道 に売却された。
3種類の電源対応(フランス所属の一部編成のみ4電源対応)交流 25000 V , 50 Hz (各国高速新線用)直流 3000 V (ベルギー国内在来線用)直流 1500 V (フランス国内在来線用:一部編成のみ) 直流 750 V (イギリス国内在来線用:第三軌条方式) 3カ国の信号システム対応 海底トンネル対策 基本編成:20両(動力車2両+客車18両)但し3300番台は16両(動力車2両+客車14両)連接台車 を採用しているが、動力車と客車の間、編成中央の客車の間は非連接式であり、連結器を解結すれば容易に4分割できる。これは海底トンネル内で火災などの事故が発生した際に損傷した車両を切り離して脱出するため(トンネルは信号回路も含めて並列単線方式のため、双方向に走ることができる)。 車両高: 3410 mm 車両幅: 2810 mm (イギリスの車両限界に合わせて小さい) 軌道:標準軌 ( 1435 mm ) 2010年 10月7日 に、ユーロスターの次世代車両としてドイツ ・シーメンス 社の「ヴェラロ 」が、競争入札の結果、導入されることが発表された[ 6] 。TOPSによる車両形式は374形で、愛称は「Eurostar e320」となる。これに対しフランス は、ユーロスター・インターナショナル社の最大株主(55%保有)がフランス国鉄 であることや、これまで自国のアルストム 社の車両を導入してきたことから不快感を示している[ 7] 。
リール・ユーロップ駅 のユーロスターユーロスター(ロンドン-パリ間)の市場シェアと定時運行率 ユーロスターの定時運行率は年によって変動するが2007年 は91.5%であった[ 8] [ 9] 。1994年の運行開始以来、航空輸送からのシェアを徐々に獲得し優位な立場に立っている。2007年はロンドン・パリ間で71%、ロンドン・ブリュッセル間では65%と運行開始以来もっとも高いシェアを獲得している[ 10] 。
しかしながら、1996年 にロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズ が予測した2004年までの旅客数2,140万人[ 11] には遠く及ばず、2004年実績では730万人にとどまっており、2010年 までに年間1,000万人という旅客数目標を掲げていた[ 12] 。
2010年の旅客数は950万人と目標には僅かに及ばなかったものの旅客数は年々着実に増加しており、2012年には旅客数が990万人[ 13] となり大台の1000万人が目前に迫り、2013年にはついに達した[ 14] 。
1995年以降の推定旅客数の推移(単位 百万人)[ 15] [ 16] [ 17] [ 18] [ 19] [ 20] [ 21] [ 22] :
イギリス フランス ベルギー オランダ ^ 当初は一部列車についてはウォータールー発着を残す予定であったが、コスト面での折り合いが付かないため全列車がセント・パンクラス発着となった。 ^ フランス語読みであり、英語読みでは「リール・ユーロップ」様の発音となる。 ウィキメディア・コモンズには、
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高速鉄道車両・列車(速度別)
350 km/h以上
300 - 349 km/h
250 - 299 km/h
200 - 249 km/h
* :登場予定のもの、計画中のもの - †:過去に存在したもの
ブランド名 車両
高速新線 (LGV )
国際共同 その他 インフラ 関連企業/団体/人物
事故 * - 登場予定のもの
† - 過去に存在したもの