モンバサ (Mombasa )は、アフリカ 東部、ケニア共和国 の海岸州 に属するモンバサ・カウンティ のモンバサ島と、その周辺に広がる都市である。2019年時点の人口は約120万人で、ケニア国内で第2位の人口を擁する。かつてはアラブ人 との交易で栄えた地域で、イスラム教徒 が多く住む。
1890年のザンジバル とドイツ領東アフリカ の地図。 ムスリム商人の活動が盛んになるにつれ、インド洋で行われていた交易において、拠点の港の1つとして栄えた。1331年には、この街をイブン・バットゥータ も訪れた。1498年のバスコ・ダ・ガマ 以来、デマルカシオン に基いてポルトガル が食指を伸ばした結果、現地勢力とポルトガルの抗争が続いた。結局、18世紀半ばには、アラビア半島南部で勢力を伸ばしていたオマーン が、ポルトガル勢力をモンバサから駆逐した。18世紀後半に、オマーン本土で内乱が起きた際には、土着化したオマーン人豪族マズルイ家がモンバサを支配下に収めて、モンバサ・スルタン国 として独立した。しかし1828年 にオマーンのスルタン のサイイド・サイード の攻撃に屈し、再びオマーン領となった。
19世紀後半には、ザンジバル・スルタン国 の保護国 化に伴いイギリス の支配下に置かれ、1895年に成立したイギリス領東アフリカ の首都となった。また1896年よりウガンダ に向かって鉄道の敷設が始まり、1901年にはビクトリア湖 付近のキスム まで、1931年にはカンパラ にまで開通した。1905年には英領東アフリカの首都は内陸部のナイロビ へと移転したものの、以後もモンバサは内陸部の外港として、物流の拠点としても発展していった[ 2] 。
2002年11月にアル・カーイダ の犯行と見られる、イスラエル人を狙ったホテル爆発事件が発生し、ケニア人が巻き込まれて13名が死亡した。同日にモイ国際空港ではイスラエル航空機へミサイルが発射されたものの、無事であった。
モンバサの行政区画 ケニアで第2の人口を有し、港湾都市としては同国最大規模を誇る[ 3] 。21世紀初頭現在、ケニアでは火力発電以外に、水力発電や地熱発電も大きな地位を占めており、2008年時点では、火力発電による総発電量よりも、水力発電と地熱発電の合計発電量の方が多かった[ 4] 。しかし、それでも石油は欠かせず、石油を完全輸入するケニアにおける輸入港としても機能している。モンバサにある国営製油所で精製した石油は、パイプラインでナイロビとその先へ輸送される。また、セメント工場も立地する。
アフリカ大陸とモンバサ島との間は2つの入り江で分けられ、北部は橋で、西は土手道 で、南はフェリーで通じている[ 5] 。モンバサ建設以来の主要港湾は島東側のモンバサ港であったが、水域が狭いためイギリスは鉄道建設時に島西側に新たにキリンディニ港 を建設し、以後こちらが主要港となった[ 6] 。市街地はアフリカ大陸側まで拡大している。ただし、観光業もモンバサの主要産業の1つであり、旧市街も残され、ビーチも残されている。他に、付近には「Mombasa Marine National Park」に指定された地域も存在する。
近隣の都市としては、約100 km北東にマリンディ 、130 km南西にタンザニアのタンガ が位置している。
モンバサには国際的に利用される港湾が存在するだけでなく、近郊には空港も設置されている。さらにモンバサは、この地域における陸上交通の拠点でもあり、東アフリカ共同体 においても重要な交通の要衝である[ 注釈 1] 。例えば鉄道によって、モンバサは内陸部や遠隔地と結ばれている。この鉄道は、モンバサが擁する港湾と組み合わされて、内陸国が輸出入する物資の運搬などを担っている。また例えば高速道路が、ナイロビやタンザニアのダルエスサラーム へと通じている。
空港やホテルにはタクシーの姿が見られる。しかし、モンバサ市民が日常的に使用する交通手段は、小型バスのマタトゥ (英語版 ) や、トゥクトゥクと呼ばれる3輪車や、ボダボダと呼ばれる自転車である。
モンバサの港はケニアのみならず国際的に利用される港であり、他国の船舶も出入りし、その一角であるキリンディニ港 にはクルーズ客船 も来航する。また、ケニアが輸出入する物資のみならず、港を持たない内陸国のルワンダ ・ウガンダ・ブルンジ の外港としても機能している。さらに、コンゴ民主共和国 ・タンザニア・スーダン の一部地域の外港としても機能している。
モンバサの近郊には、モイ国際空港が設置されている。
植民地支配を受けていた時代に建設されたケニア鉄道 が、首都のナイロビを経由して、ウガンダのカンパラ まで通じている。
さらに、2017年 5月31日には、中華人民共和国 の融資により首都ナイロビ -モンバサ間のモンバサ・ナイロビ標準軌鉄道 が開業し、内陸部から海岸部にかけて、貨物列車の安定的な運行が見込まれるようになった。約32億ドル の建設費のうち9割を中国が融資し、工事も中国企業が請け負った[ 7] 。中国の国益に関した、一帯一路 の一環との見方も為された[ 8] 。
中国の債務負担が増大し、鉄道建設ローンの返済が2019年に開始される予定であることから、国内のデジタルメディアは、ケニアが債務不履行に陥った場合、モンバサ港の運営権が中国に移ると主張した。ケニヤッタ大統領と中国外務省は、いずれもこれらの主張を否定する公式声明を発表した[ 9] 。
熱帯気候で、4月と5月の降雨が最も多く、1月と2月が少ない。平均気温は11月から4月に最高気温が30 ℃を超え、5月から10月は下回る。
モンバサ(1961年 - 1990年、極値 1890年 - 2010年)の気候 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年 最高気温記録°C (°F ) 35.9 (96.6) 37.6 (99.7) 36.4 (97.5) 36.1 (97) 35.0 (95) 31.5 (88.7) 31.0 (87.8) 30.3 (86.5) 31.6 (88.9) 33.0 (91.4) 34.0 (93.2) 37.0 (98.6) 37.6 (99.7) 平均最高気温°C (°F ) 33.2 (91.8) 33.7 (92.7) 33.7 (92.7) 32.5 (90.5) 30.9 (87.6) 29.4 (84.9) 28.7 (83.7) 28.8 (83.8) 29.7 (85.5) 30.5 (86.9) 31.6 (88.9) 32.8 (91) 31.3 (88.3) 日平均気温°C (°F ) 27.6 (81.7) 28.1 (82.6) 28.3 (82.9) 27.6 (81.7) 26.2 (79.2) 24.8 (76.6) 24.0 (75.2) 24.0 (75.2) 24.7 (76.5) 25.7 (78.3) 26.9 (80.4) 27.4 (81.3) 26.3 (79.3) 平均最低気温°C (°F ) 22.0 (71.6) 22.5 (72.5) 22.9 (73.2) 22.7 (72.9) 21.6 (70.9) 20.1 (68.2) 19.3 (66.7) 19.3 (66.7) 19.7 (67.5) 20.9 (69.6) 22.1 (71.8) 22.0 (71.6) 21.3 (70.3) 最低気温記録°C (°F ) 16.8 (62.2) 19.4 (66.9) 19.7 (67.5) 18.9 (66) 18.8 (65.8) 17.4 (63.3) 13.6 (56.5) 15.3 (59.5) 16.3 (61.3) 18.0 (64.4) 18.8 (65.8) 18.1 (64.6) 13.6 (56.5) 降水量 mm (inch)33.9 (1.335) 14.0 (0.551) 55.6 (2.189) 154.3 (6.075) 235.5 (9.272) 88.3 (3.476) 71.8 (2.827) 68.2 (2.685) 67.2 (2.646) 103.4 (4.071) 104.7 (4.122) 75.8 (2.984) 1,072.7 (42.232) 平均降水日数(≥1.0 mm) 3 1 5 10 14 10 10 8 9 9 8 7 94 % 湿度 77 75 77 80 82 82 82 82 80 81 82 80 80 平均月間日照時間 269.7 254.8 269.7 225.0 204.6 207.0 210.8 244.9 246.0 272.8 264.0 260.4 2,929.7 平均日照時間 8.7 9.1 8.7 7.5 6.6 6.9 6.8 7.9 8.2 8.8 8.8 8.4 8.03 出典1:NOAA[ 10] 出典2:ドイツ気象局 (humidity, 1962 - 1993),[ 11]
モンバサをホームとするサッカークラブがある。
ポルトガルのイエズス砦址(博物館)
モンバサの市場
牙状のアーチ
シュリースワミナラヤン学院
北部海岸
^ 東アフリカ共同体とは、ケニア・タンザニア・ウガンダの3ヵ国が2005年に締結した、輸入品の関税などに関する協定である。 ^ “population statistics ”. 2023年4月15日閲覧。 ^ 「世界港湾史 世界の港と水運ネットワークの発達史」p205-206 関口信一郎 亜璃西社 2023年10月31日第1刷発行 ^ R. シフマン「ケニアの野生動物を守れ リチャード・リーキーに聞く」、『日経サイエンス』2017年4月号、日経サイエンス社 、 85頁。 ^ 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2012年版)』 p.270 二宮書店 2012年1月10日発行ISBN 978-4-8176-0358-6 ^ 「世界港湾史 世界の港と水運ネットワークの発達史」p206 関口信一郎 亜璃西社 2023年10月31日第1刷発行 ^ 「世界港湾史 世界の港と水運ネットワークの発達史」p206-207 関口信一郎 亜璃西社 2023年10月31日第1刷発行 ^ “ケニアで長距離鉄道が開通、地域経済活性化に期待 ” (html). CNN (2017年6月2日). 2017年6月3日閲覧。 ^ 「ケニアに新鉄道 一帯一路布石か」『読売新聞』朝刊2017年6月2日 ^ “「中国が港奪う」=債務急増に危機感-ケニア ” (html). 時事通信 (2019年1月5日). 2019年1月5日閲覧。 ^ “Mombase (Mombasa) Climate Normals 1961 - 1990 ”. National Oceanic and Atmospheric Administration . 2015年8月31日閲覧。 ^ “Klimatafel von Mombasa (Flugh. Port Reitz) / Kenia ” (pdf) (German). Baseline climate means (1961-1990) from stations all over the world . Deutscher Wetterdienst. 2016年8月31日閲覧。 イブン・バットゥータ 『大旅行記 』全8巻 家島彦一(訳)、平凡社〈平凡社東洋文庫〉、1996-2002年。 ウィキメディア・コモンズには、
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