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ムーサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
曖昧さ回避この項目では、女神について説明しています。それを題材とする絵画については「ムーサ (ティントレット)」を、小惑星については「ムーサ (小惑星)」を、芸能事務所については「Mousa」を、アラビア語由来の人名については「ムサ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
曖昧さ回避ミューズ」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ミューズ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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『パルナッソス山にあるアポローンとムーサたち』サミュエル・ウッドフォード作、1804年
ギリシア神話
主な原典
イーリアス -オデュッセイア
神統記 -仕事と日
イソップ寓話 -ギリシア悲劇
ビブリオテーケー -変身物語
主な内容
ティーターノマキアー
ギガントマキアー
アルゴナウタイ
テーバイ圏 -トロイア圏
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アテーナー -アポローン
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ムーサ古代ギリシア語:Μοῦσα古代ギリシア語ラテン翻字:Moũsaラテン語:Musa)またはムサは、技芸[1]文芸学術音楽舞踏などを司るギリシア神話女神[2]

ムーサが司る技芸は古代ギリシア語でムーシケー(古希:μουσική古代ギリシア語ラテン翻字:mousikḗ[1])と言い、そこに含まれているのは科学音楽理論に関連する芸術全般[3]・さまざまなリズムによる時間芸術音芸術朗誦芸術舞踊など)[1]総合芸術である[3]。ムーシケー(技芸)は、英語ミュージック(music)の語源[1][注釈 1]

「ムーサ」の複数形はムーサイ[4]Moũsai[4],古希:Μοῦσαι:Musae)。英語・フランス語のミューズ (英語・フランス語単数形:Muse、フランス語複数形Muses) やミューゼス (英語複数形:Muses) としても知られる。ドイツ語ではムーズ (Muse)、イタリア語ではムーザ (Musa) などとなる。

ムーサたちはパルナッソス山に住むとされており、またヘリコーン山との関係が深い。ヘリコーン山にあるアガニッペーの泉とヒッポクレーネーの泉を主宰する場合にローマ神話の泉の女神「カメーナエ」と同一視された(詳しくはペーガソスを参照のこと)。ムーサたちを主宰するのは芸術の神・アポローン(「アポローン・ムーサゲテース (Apollon Mousagetēs)」という別名を持つ)である。しばしば叙事詩の冒頭でムーサたちに対する呼びかけ(インヴォケイション)が行われる。なお『ホメーロス風讃歌』にはムーサたちに捧げる詩がある。

ムーサたちの一覧

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ヘーシオドスの『神統記』によれば、大神ゼウスムネーモシュネーの娘で9柱いるとされており、「黄金のリボンをつけたムーサたち」と形容することがある。別伝ではハルモニアーの娘とする説や、ウーラノスガイアの娘とする説もある。ピーエリア王ピーエロスの娘・ピーエリスたち(ピーエリデス)とも同一視された。

古くはその人数は定まっておらず、ヘリコーン山で崇められた最初のムーサたちではウーラノスとガイアの娘であるアオイデー(歌唱、Aoide)、ムネーメー(記憶、Mneme)、メレテー(実践、Melete)の3柱、それをムネーメーを除くテルクシノエー(魅惑、Thelxinoe)とアルケー(始源、Arche)を加えたゼウスネダーの娘である4柱、レスボス島シケリア島ではネイロー (Neilo)、トリトーネ (Tritone)、アソポー (Asopo)、ヘプタポラー (Heptapora)、アケロイース (Achelois)、ティポプロー (Tipoplo)、ローディア (Rhodia) の7柱とされていたが、ヘーシオドスによって9柱にまとめられた。その他、シキュオーンデルポイではネテー (Nete)、メセー (Mese)、ヒュパテー (Hypate) の3柱で、竪琴の3本の弦の化身であった。また、アポローンの娘であるケピソー (Kephiso)、アポローニス (Apollonis)、ボリュステーニス (Borysthenis) の3柱とする説もある。

アルクマーンによる3柱

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アルクマーンによると、ウーラノスガイアの娘。主に詩歌の形式と技巧を司る。

ムーサella名前の意味
アオイデーΑοιδήAoide歌唱
ムネーメーΜνήμηMneme記憶
メレテーΜελέτηMelete実践

キケローによる4柱

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キケローによると、ゼウスネダー(またはプルシアー(Plusia))の娘。主に曲芸の形式と技巧を司る。

ムーサella名前の意味
テルクシノエーΘελξινόηThelxinoe魅惑
アオイデーΑοιδήAoide歌唱
アルケーΑρχήArche始源
メレテーΜελέτηMelete実践

ヘーシオドスによる九姉妹

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9柱それぞれの名前と司る分野、および持ち物は以下の通り。

ムーサella分野持ち物名前の意味
カリオペー
(カリオペイア)
ΚαλλιόπηCalliope叙事詩書板鉄筆美声
クレイオー
(クリーオー)
Κλ(ε)ιώClio歴史巻物または巻物入れ讃美する女
エウテルペーΕὐτέρπηEuterpe抒情詩喜ばしい女
タレイアΘάλειαThalia喜劇牧歌喜劇用の仮面羊飼いの杖豊かさ
メルポメネーΜελπομένηMelpomene悲劇挽歌悲劇用の仮面・葡萄の冠・悲劇の靴英語版女性歌手
テルプシコラーΤερψιχόραTerpsichore合唱舞踊竪琴踊りの楽しみ
エラトーἘρατώErato独唱歌竪琴愛らしい女
ポリュムニアー
(ポリュヒュムニアー)
Πολυ(υ)μνίαPoly(hy)mnia讃歌物語-多くの讃歌
ウーラニアーΟὐρανίαUrania天文渾天儀コンパス天上の女

当初は特定の分野が割り当てられず、音楽・詩作・言語活動一般を司る知の女神たちであったようだが、古典期を通じてローマ時代の後期には各ムーサがつかさどる学芸の分野が定められ、現在広く知られる形が出来上がった。またツェツェース(Tzetzes, およそ1110年 - 1180年)による著作ではカリコレ (Kallichore)、ヘリケ (ヘリケー、Helike)、エウニケ (エウニーケー、Eunike)、テルクシノエ (テルクシノエー、Thelxinoe)、テルプシコラ (テルプシコラー、Terpsichore)、エウテルペ (エウテルペー、Euterpe)、エウケラデ (Eukelade)、ディア (ディーア、Dia)、エノペ (Enope) といった9柱のムーサが述べられている。

神話には、音楽の競技の場合に登場することが多い。アポローンとマルシュアースの音楽合戦の審判役をつとめたほか、タミュリスセイレーンたちやピーエリスたちなどが、ムーサたちと歌比べの勝負を挑んだが敗北した神話が残っている。

文化への影響

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ヨーロッパの多くの言語では、下記のとおり「音楽」を意味する語、また「美術館/博物館」を意味する語がこの名前から派生した。

ラテン語イタリア語フランス語ドイツ語英語
音楽MusicaMusicaMusiqueMusikMusic
美術館/博物館MuseumMuseoMuséeMuseumMuseum

古典古代の学堂であったムーセイオンは、もとは文芸の女神ムーサを祀る神殿であったが、後に文芸・学問を研究する場にも使われるようになった。ルネサンス以降に西洋に博物館が成立した際に、ムーセイオンの名が復活している。

ルネサンス期以降、ムーサたちにちなんで、Gradus ad Parnassum 『パルナッソスへの階梯』という名の詩学・音楽教本が多く書かれた。ドビュッシーのピアノ組曲「子供の領分」に含まれる第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」は、これにちなんだ題名で、これから始まる組曲の開始曲として配置されている。

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^出典原文:
    英語のミュージックmusic … フランス語のミュジックmusique … などの語の共通の語源とされるのは,ギリシア語の〈ムシケmousikē〉であるが,それはそもそも〈ムーサMousa〉(英語でミューズMuse)として知られる女神たちのつかさどる技芸を意味し,その中には狭義の音芸術のほか,朗誦されるものとしての詩の芸術,舞踊など,リズムによって統合される各種の時間芸術が包含されていた[1]

出典

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  1. ^abcde平凡社 2022, p. 音楽(ミューズ).
  2. ^松村 2022, p. ミューズ.
  3. ^ab中山 2022, p. ギリシア音楽.
  4. ^ab世界大百科事典内のムーサイの言及

参考文献

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関連項目

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ウィキメディア・コモンズには、ムーサに関連するカテゴリがあります。
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