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ホホバオイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1.概要

ホホバオイル(Jojoba oil)、ホホバ油は、ホホバSimmondsia chinensis)の種子を原料とする植物油ワックスエステルが豊富で安定性が高い。軟膏、クリーム、化粧品や医療に用いられる[1]。皮膚や髪の保湿、日焼け止めや抗老化成分への添加、医療成分や抗菌成分の皮膚からの送達に使われている[1]

ホホバは長鎖のアルコールと脂肪酸のエステルを産生し、種子の重量の半分以上を占める[1]。ホホバオイルは直鎖長鎖エステル(ワックスエステル)が97%であり、一般的な植物油や動物性脂肪と異なり、毒性がなく親油性で安定性も高い[1]。トリグリセリドが3%程度であり酸化への耐性が強い[1]


2.生物学的作用

マウスを用いた研究では、ホホバオイルの経皮投与が血清遊離脂肪酸すなわち非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルを急性的に(30分という短時間で)上昇させることが報告されている[2]。そのメカニズムとして、肝臓における脂質分解の促進と、皮膚における脂肪酸取り込み減少の両方に関連していることが示唆されている。

また、ホホバオイルの局所塗布が持久運動と運動誘発性の炎症に与える影響を検討した研究では、以下の知見が明らかにされている。①全身性の影響: ホホバオイルの事前塗布は、マウスの疲労困憊に至るまでの走行時間に有意な影響を与えなかった。また、血漿中の全身性の炎症性サイトカイン濃度にも有意差は認められなかった。②局所的な作用: 運動によって誘発された骨格筋組織(ヒラメ筋および腓腹筋)における炎症性サイトカイン(Il-1βIl-6など)の遺伝子発現レベルを、局所塗布が有意に抑制した。これらの結果より、著者はホホバオイルを用いたスポーツマッサージが、骨格筋組織の局所的な炎症反応を抑制し、結果として運動誘発性の筋損傷や炎症の軽減に寄与する可能性があると結論付けている[3]。しかし、この効果を裏付け、実際のスポーツ現場での有効性を確立するためには、ヒトを対象とした大規模な臨床試験が不可欠である。

その他、試験管上では黄色ブドウ球菌の増殖抑制作用はなかった[4]ティートゥリーオイルと混合した場合、黄色ブドウ球菌や大腸菌などの細菌を抑制したことが報告されている[5]

。出典

  1. ^abcdePazyar N, Yaghoobi R, Ghassemi MR, Kazerouni A, Rafeie E, Jamshydian N (December 2013). “Jojoba in dermatology: a succinct review”. G Ital Dermatol Venereol 148 (6): 687–91. PMID 24442052. 
  2. ^Matsumoto, Yutaka; Ma, Sihui; Tominaga, Takaki; Yokoyama, Keiko; Kitatani, Kanae; Horikawa, Kazumasa; Suzuki, Katsuhiko (2019-09-15). “Acute Effects of Transdermal Administration of Jojoba Oil on Lipid Metabolism in Mice”. Medicina (Kaunas, Lithuania) 55 (9): 594. doi:10.3390/medicina55090594. ISSN 1648-9144. PMC 6780807. PMID 31540183. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31540183. 
  3. ^Matsumoto Y, Suzuki K (2025-09-30). “Topical Application of Jojoba Oil Suppresses Exercise-Induced Inflammatory Gene Expression in Mouse Skeletal Muscle”. Biomolecules (MDPI) 15 (10). https://doi.org/10.3390/biom15101394. 
  4. ^新井武利、濱島肇、笹津備規「脂肪酸,精製ツバキ油およびオリーブ油の黄色ブドウ球菌に対する増殖抑制作用について」『日本化学療法学会雑誌』第44巻第10号、1996年、786-791頁、doi:10.11250/chemotherapy1995.44.786NAID 130004297604 
  5. ^De Prijck K, Peeters E, Nelis HJ (December 2008). “Comparison of solid-phase cytometry and the plate count method for the evaluation of the survival of bacteria in pharmaceutical oils”. Lett. Appl. Microbiol. (6): 571–3. doi:10.1111/j.1472-765X.2008.02464.x. PMID 19120928. https://doi.org/10.1111/j.1472-765X.2008.02464.x. 
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