フィンエアーのエアバスA350-900型機フィンエアー(英語:Finnair、フィンランド語:Finnair Oyj フィンナイル・オーウーイィー)は、フィンランドに本拠地を置く航空会社で、同国のフラッグ・キャリアである。
フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター国際空港を拠点にフィンランド国内、ヨーロッパ・アジア・北アメリカ・中東方面などへ路線を展開している。航空連合のワンワールドに加盟しており、路線網は国内線、国際線の合計で約100都市にわたる。
日本路線では羽田、成田、関西、中部に就航しており、日本に最も多く発着する欧州系エアラインとなっている[3]。地理的に日本に近く、かつては所要時間9時間半という最短最速でヨーロッパにアクセスできることを売りにしていたが[4]、2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵攻の影響で、シベリア上空を通過することができなくなり、現在の所要時間は4時間ほど多くかかっている[5]。現在のフィンエアーは、拠点とするヘルシンキ空港がコンパクトで混雑が少なく、最短35分とトランジットの利便性が高いことをアピールして、ヨーロッパ各地への乗り継ぎ需要の取り込みを図っている[6][7]。
航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している[8][9]。
フィンエアーの本社, House of Travel and Transportation (HOTT)
フィンエアーの旧本社- 2010年4月、アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトルでの火山活動における火山灰の影響で、ヨーロッパの空域の大部分が封鎖された。フィンランドの領空も封鎖され、フィンエアーも欠航を余儀なくされた。
- 2010年、イギリス・スカイトラックスにより「北欧のベストエアライン」に選出される。
- 2011年、機体塗装、機内内装、企業ロゴ、ユニフォーム、サービスエリアなど、約1,000万ユーロの費用を投じ、コーポレートアイデンティティリニューアルを実施。
- 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波、および、その後の余震により引き起こされた大規模地震災害である『東日本大震災』が発生。一時、全ての日本路線の運航を見合わせた。数日間は名古屋経由で運航していたが、徐々に日本路線の運航を正常化し、3月26日から東京線の直行便を再開した。
- 2011年7月19日、ヘルシンキ=アムステルダム間で、バイオ燃料を使用した長距離フライトを実施。距離は約1,600km(994マイル)で、商業運航としては世界最長となる。
- 2013年、創業90周年を迎える。
- 2013年1月、ドイツのJACDEC(英語版)による、2012年の世界の航空会社の安全度ランキングで、フィンエアーは「Index 0,005」の評価を得て、世界で最も安全な航空会社と評価された[11]。
- 2013年3月7日、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空が2010年10月からスタートした、大西洋路線の共同事業(ジョイントベンチャー)に参画する意向を発表。フィンエアーが運航するヘルシンキ=ニューヨーク線の他に、3社の便名をつけるほか、フィンエアーは、3社が運航する大西洋路線に「AY」便名を付け、運航を行う[12]。
- 2014年10月23日、フィンランド共和国の有名デザインブランド「マリメッコ」と連携した新たな特別塗装機「ウニッコ」を発表。A330型機に塗装される。マリメッコとのコラボレーションは機内で使用されるブランケットなどにも取り入れられている。
- 2015年10月7日、欧州の航空会社として初めてA350 XWBを受領[13]。
フィンエアー・ラウンジフィンエアーが拠点とするヘルシンキ・ヴァンター国際空港は、2009年より始まったリニューアルにより、一つのターミナルビルに全てのゲートが集約されるなど、それまで以上にトランジット効率を主眼としたコンパクトで混雑の少ない空港になり、旅客の利便性も向上した。フィンエアー・ラウンジがリニューアルされ、ターミナル全体で無料Wi-Fi接続サービスも始まった。2009年12月にオープンしたフィンエアー・スパ&サウナ[14]は、ビジネスクラス利用者や、フィンエアープラスプラチナおよびゴールド会員、ワンワールドエメラルド、サファイア会員は無料で利用できるが、その他の乗客も有料で利用可能である[15]。
新しいヘルシンキ・ヴァンター国際空港の旅客ターミナルは、フランクフルトやパリといったヨーロッパの主要空港と比較して乗り継ぎ時間が短く、乗り継ぎにかかる時間は最短35分となっている[7]。また、国際線の出発ゲートも、ターミナル1がヨーロッパ各都市への出発便に集約され、ターミナル2がシェンゲン協定非加盟国のアジア・アメリカ合衆国・イギリス・アイルランド、ロシア等の路線専用出発ゲートとなっている[16][17]。
MD-11のエコノミークラス(2008年)機内クラス編成は、ビジネスクラス(Business Class)・コンフォートクラス(Comfort Class)[18]・エコノミークラス(Economy Class)の3クラス制[19]。ビジネスクラスはフィンランドを代表するブランド「イッタラ」や「アラビア」、「マリメッコ」の食器を使用している。また、日本人客室乗務員も在籍しており、基本的に各便2・3名乗務している。コンフォートクラスは、ヨーロッパ域内発着の長距離レジャー便(AY1000便番台となるフライト)のみの設定となる。
長距離国際線、および長距離レジャー路線[20]では、機体年齢の新しいエアバスA330-300より、人間工学に基づいたゾディアック(Zodiac Seats UK)製の、次世代ライフラットおよびフルフラットシート座席が順次装備され、2014年秋までに全て完了する予定である[21]。ゾディアックは、エアバスの次世代機のエアバスA350 XWBの座席も開発している[22]。
長距離レジャー便では、クオリティー・エコノミークラスとデラックス・コンフォートクラスから、座席が選択可能となっている。コンフォートクラスの場合は、座席と足元にスペースが確保されている[18]。レジャー便では付加サービスがあり、特定の座席の予約や、プレミアムミール(有料)等が注文可能となっている[20]。スキーなどのスポーツ器具や、超過手荷物の輸送料を事前に支払いを行えるサービスを出発便の30日前から受け付けている[20]。
ヨーロッパ便では、フィンランド語と外国語の新聞と雑誌を、ビジネスクラスのすべての乗客に提供している。 エコノミークラスとビジネスクラスがある長距離便では、エコノミークラスの乗客は、International Herald Tribune紙、またはIlta-Sanomat(英語版)紙を、3ユーロで購入出来る。国際線では、エコノミークラスとビジネスクラスの両方の乗客に、新聞と雑誌を無料で提供している[23]。
A350 XWBのエコノミークラス(2016年)すべてのエアバスA330-300とエアバスA340-300では、エコノミークラスやビジネスクラスを問わず、各座席にパーソナルエンターテインメントシステムとスクリーンが装備されており、パーソナルエンターテインメントシステムで、衛星電話、映画、ゲーム、テレビ番組、音楽チャンネル、音楽アルバムが利用出来る[23]。ただし、他社と同じくアナウンス中は使用できない。
音楽サービスでは、オリジナルのプレイリストを作成することも可能で、ラップトップコンピューターやミュージックプレーヤー用の電源も利用出来る。ただし、一部のレジャー便(AY1000便番台)では5〜8ユーロのエンターテインメント料金が必要となる。
機内では、座席にある衛星電話を使って地上のネットワークにテキストメッセージやショートEメールを送信する事も可能。地上から送られた返信メッセージを機内で受け取る事も可能で、この場合、1メッセージにつき1USドルの料金がかかる[23]。
長距離国際線のビジネスクラスでは、前菜、スープ、メインコース(3種類から選択)、チーズ、デザートとフルーツによるコースメニューが提供される。また、手短に食事を済ませることのできるエキスプレスミールサービスも用意されている。エアバスA340-300およびエアバスA330-300では、ビジネスクラスのメインエントランスに専用のスナックバーも設けてあり、ビジネスクラスの乗客は、ここで軽食や飲み物を自由に選ぶ事が出来る。また、「Wellness and Energy」(ヘルシーな食材を使ったメニュー。アジアの香味料や食材が比較的多く使われている)、「Food Lover's Treat」(ブラットヴルストやシチュー)、「Chef's Gourmet」(トナカイのテンダーロインなどの料理が中心)の、3種から1つを選び、事前に予約する事が出来る[24]。
エコノミークラスの乗客は、サラダ、メインコース、チーズ、デザートなどが基本となっている。また、ほぼすべての長距離路線で、着陸前に温かい軽食も提供される。ヘルシンキ―日本(成田・中部・関西)路線では夕食メニューに「メバルの煮付け」登場するなど北欧の航空会社らしからぬ趣向を凝らした献立が存在する為、日本人旅客のフィンエアー機内食に対する評価は高い。その他にも、軽食を機内でいつでも購入する事が出来る。日本、中国、韓国、インド、シンガポール便などのエコノミークラスでは、さまざまな種類の飲み物が用意され、ソフトドリンク、ジュース、ミネラルウォーター、ビール、白ワイン、赤ワインは無料で提供され、その他のアルコール類は有料となっている[25]。
機内誌は『Blue Wings』 である。インターネット上でデジタル形式でも閲覧が可能となっている[26]。
フィンエアーは、ヨーロッパの航空会社として初めてエアバスA350 XWBを運航した航空会社となった[21][27][28]。
当初の機体塗装は白地に青色のラインと『FINNAIR』の文字、尾翼にフィンランドの国旗というパターンだったが、2000年代頃からラインが廃止され尾翼には『F』を図案化した会社のロゴマークに変更されている。
2023年5月、同年10月からA330-300型機2機を4年カンタス航空へリースすることを発表。1機目が23年10月からシンガポール/シドニー線で、2機目が2024年夏季からバンコク/シドニー線で運用要員込みでウェットリースされ、2025年後半からは機体のみドライリースへ移行する予定[29]でカンタスは747退役とコロナ収束による供給量不足、フィンエアはロシア迂回によるコスト削減のための機体、人員リソース活用で同じアライアンス内で合意したとみられる。
フィンエアーから、子会社のノルディック・リージョナル・エアラインズ(NORRA)、ノルディック・グローバル航空に移管された機材も含まれる[33][34]。
フィンエアーではマイレージプログラムとしてFinnair Plus(フィンエアー・プラス)(英語版)を運営している。フィンエアーの公式サイト上で入会手続きが出来る。
2歳以上であれば誰でも加入することができ、フィンエアーおよびワンワールド加盟航空会社での利用距離に応じて4種類のカードが用意されている(その他に18歳未満のホルダー対象のカードが1種類ある)。2歳から17歳までの乗客は、フィンエアー・プラス・ジュニアプログラムに入会出来る。フィンエアー・プラス・ジュニアの会員資格は、会員が18歳になるまで有効となっており、その後、 ベーシック会員カードに自動的に切り替わる[37]。
ワンワールド加盟航空会社、およびその他の航空会社への搭乗や提携しているホテル、レンタカーなどの利用でポイントをためることができる。なおフィンエアー・プラスでは、航空会社利用でのポイント加算は他社のマイレージサービスで一般的に利用されているマイルによるものではなく、飛行距離1キロメートルにつき1ポイントとして積算する。レベルポイントを貯めることで、フィンエアープラスプログラムの会員レベルがベーシック、シルバー、ゴールド、プラチナと上がる[38]。なお、ポイントの失効期間が設けられており、獲得から3年たったポイントは順次失効する。
2013年にリニューアルされたフィンエアーの航空券のタイプは、『BASIC(50%獲得)』『VALUE(100%獲得)』『PRO(150%獲得)』『BUSINESS SAVER(200%獲得)』『BUSINESS(200%獲得)』の5種類[39][40]。
2012年5月15日より、フィンエアープラスライフタイムゴールド、またはプラチナレベルの会員資格に達した会員は、フィンエアープラスのレベルに応じた特典について、特典利用期間を廃止し、永久的に特典が利用可能となった[41]。フィンエアープラスライフタイムゴールドレベルには、通算3,000,000レベルポイント、フィンエアープラスライフタイムプラチナレベルには、通算5,000,000レベルポイントを獲得する必要がある[42]。
2012年10月1日より、フィンランド国内線のフライトで、Flybe(フライビー)のフライトを利用すると、特典ポイントに加えて、レベル別ポイントが付与される。航空券に、FlybeのIATAコードである『BE』コードに加えて、フィンエアーの『AY』コード(便名:AY8100〜AY8700)が記載されている、すべてのフライビーのフライトが対象となる。フィンエアー・プラスのすべての通常会員特典も、これらのフライビーのフライトで有効となる。航空券にAYコードが記載されていないフライビーのフライトについても、今後特典ポイントが付与されるようになるが、イギリス発着のフライビーのフライトについては、ポイントは付与されない[43]。
航空券の『航空会社(CARRIER)』欄に提携航空会社の航空会社コードが記載されており、使用される航空機が、「提携航空会社の航空機である場合」に限り、提携航空会社のフライトもポイント付与の対象になる。提携航空会社のフライトで付与されたポイントは、特に指定のない限り、フィンエアー・プラス会員レベル別ポイントには加算されない[44]。
2002年11月18日より、フィンエアーとSBB・スイス連邦鉄道は、コードシェア便を開始した。フィンエアーが運航する、ヘルシンキ空港=チューリッヒ線と接続する形で、スイス連邦鉄道の列車が走る、チューリッヒ中央駅(チューリッヒ)、バーゼルSBB駅(バーゼル)、ベルン中央駅(ベルン)、ルツェルン駅(英語版)(ルツェルン)、ローザンヌ駅(英語版)(ローザンヌ)間でコードシェアが行われ、フィンエアーのフィンエアー・プラスのマイレージが加算される。利用者は航空券と鉄道の予約のみならず、目的地までのチェックインが一度に可能となった[45]。
フィンエアーは、ヨーロッパのエアラインの中で最も多くの日本路線を運航している[3]。
2025年夏ダイヤでは、4路線週22往復を運航する。すべての便がブリティッシュエアウェイズ、日本航空とコードシェアを実施している。
フィンランドの首都ヘルシンキは、地理的に日本とヨーロッパを結ぶ最短ルートに近く、ロシアによるウクライナ侵攻以前の日本への所要時間は約9時間30分と短かった[48]。現在は当時より4時間ほど多くかかっているが、ヘルシンキ空港はコンパクトで利便性が高く、日本への直行便が少ない都市への乗り換え需要を取り込んでいる。30年ぶりに北極上空を通過するルートを飛行するため「北極航路通過証明書」を発行している[49]。
- 1983年4月、週1便で成田線に就航して、日本路線を開設。日本とヨーロッパを史上初めて直行便で結んだ[50]。
- 2006年6月4日 ヘルシンキ-名古屋線をMD-11で開設。週3便で運航開始。欧州の航空会社ではルフトハンザ航空に続く日本の三大都市圏への直行便開設となった。
- 2013年10月16日 ブリティッシュ・エアウェイズと日本航空が2012年10月1日に開始した日本 - 欧州路線における共同事業に加わることについて、国土交通省より独占禁止法適用除外の認可を取得[51]。
- 2016年5月8日 ヘルシンキ-福岡線を運航開始。2016年夏ダイヤ期間の季節便として運航[52]。
- 2019年12月15日 ヘルシンキ-札幌線を運航開始。2019年冬ダイヤ期間の季節便として運航[53]。
- 2022年2月、ロシア連邦軍がウクライナ紛争に介入したことを受け、欧州連合とロシアは相互に領空の飛行を禁止する措置を採った。フィンエアーは同年2月27日から3月6日まで、ロシア上空を通過していた日本路線を欠航させ、3月9日からロシアを迂回するルートで運航を再開した[54]。
フィンエアーの前身となっていたアエロ時代には、死亡事故が起きている。
フィンエアーは、217便の事故以降、現在まで一度も死者を出す航空事故を起こしておらず、世界で最も安全な航空会社の一つとされている。2013年1月、世界の航空会社の安全性を調査・発表するドイツのJACDEC(英語版)による、2012年の世界の航空会社の安全度ランキング[注釈 3]が発表され、フィンエアーは「JACDEC SAFETY RANKING 2012」で『Index 0,005』の評価を得て、世界で最も安全な航空会社と評価された[65]。また、2014年1月発表の「JACDEC SAFETY RANKING 2013」でも『Index 0,010』と評価され、世界第3位と高評価を獲得した[66][67]。
事故以外には、ミサイルでの撃墜未遂事件が発生している。
フィンエアー・カーゴ本社ビル(ヘルシンキ・ヴァンター国際空港)
ボーイング737-200F
ダグラス DC-9-15Fフィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は、フィンランド航空の貨物部門で、貨物専用機の運航はフィンエアー・グループのノルディック・グローバル航空が行っている。カーゴキャパシティーは月間平均1,000トン以上[68]。フィンエアー・カーゴ(Finnair Cargo)は世界各地への航空貨物輸送を担っており、毎週150便を超えるフレイターと、RFS(ロードフィーダーサービス)で、委託された貨物はフィンランド航空が各路線で使用している旅客機の貨物室及び、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11Fなどの貨物機で、フィンエアー・カーゴ本社があるヘルシンキ・ヴァンター国際空港へ貨物運搬される。
ヘルシンキ経由でヨーロッパとアジアを最短最速で結ぶことにより、飛行距離を短縮し、航空燃料費を削減している[68]。フィンランド国内のフィンエアー機の着陸の内、60〜80%は連続降下進入方式によるもので、不要な旋回や誘導路は使用せず、これにより二酸化炭素排出量の削減を実現している[69][69]。貨物はヘルシンキ到着当日には、空路、陸路、海路にて各地へ配送される。
2013年4月7日から、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に次ぐ、ヨーロッパにおける貨物のハブ空港として、ベルギーのブリュッセル国際空港を新たに貨物ハブ空港[37]として機能させ、ブリュッセルからは貨物船も使用して貨物を運搬する[1][70][71]。2013年6月6日より、マクドネル・ダグラス(ボーイング)MD-11F貨物専用機の運航に加え、ヘルシンキ=ブリュッセル線で使用しているエアバスA320-200などの旅客機の一部を、エアバスA340-300に大型化し、旅客機の貨物室もさらに活用する事で、アジアとの貨物輸送量増加に対応する[38]。
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