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ハウス (音楽)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハウス
様式的起源ディスコ[1]
Hi-NRG[2][3][4][5]
ブギー[6][7]
エレクトロ[8]
ラテン・ソウル[1]
ジャズ[1]
ガラージュ
R&B
ポスト・ディスコ
フィラデルフィア・ソウル
文化的起源1980年代
アメリカ合衆国の旗シカゴ及びニューヨーク
使用楽器ドラムマシンシンセサイザーミュージックシーケンサーサンプラーPC
サブジャンル
エレクトロ・ハウスディープ・ハウス
プログレッシブ・ハウスアシッド・ハウス、フューチャー・ハウス
融合ジャンル
デトロイト・テクノ
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ハウス・ミュージック (英名:house music) は、1977年アメリカ合衆国シカゴで誕生した音楽ジャンルの一つ。単にハウスと呼ばれることも多い。1970年代のディスコやフィリー・ソウル、サルソウル・サウンドなどを起源としている。

概要

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「ハウスミュージック」は、ディスコや、フィラデルフィア・インターナショナル・レーベルやサルソウル・レコード[9]などの、いわゆるフィラデルフィア・ソウル(フィリーソウル)などの楽曲を音源とするものも多かった[9]。また、先駆者であるラリー・レヴァンや彼の「パラダイス・ガレージ」の客層と同様に、初期のハウスシーンは、ディスコと同様、DJ、客層ともに黒人ゲイが多かった。ディスコは音楽的な評価は低かったが、社会的にはゲイ、もしくはLGBTに対する性差別解消をテーマにする音楽であるとして、ある程度評価された[注 1]

ハウスの語源は、シカゴゲイ・ディスコ英語版ウェアハウス」が名称由来とされている。その後、80年代末~90年代以降、ハウスの中心地はアメリカからイギリスを中心とするヨーロッパに移ったが、イギリスでは同性愛者のムーブメント色は薄れ、ミックス技術を追究することが試みられた。21世紀には音楽のアレンジ(編曲)上の一手法として、世界のクラブに普及している。性差別をテーマとする一部のハウスは、1980年代後半から90年代にかけて、差別や貧困をテーマとする一部のヒップホップ (hip hop) とともに、DJ(ディスクジョッキ―)[10]プレイで好まれる音楽ジャンルとして定着した。

歴史

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ニューヨークの「パラダイス・ガレージ」のDJであったラリー・レヴァンの友人で、自らも有能なDJであったフランキー・ナックルズ[11]は、1977年にシカゴに新たにオープンした「ウェアハウス[12]」の主力DJとしてニューヨークから招かれ、彼のDJは独特のミックス手法であって、特にゲイたちから高い人気を博したため、地元のレコード店が「ハウス・ミュージック(ウェアハウス・ミュージック)」と称して販売したのがハウスという名称の始まりと言われている。この成功の後、フランキーはウェアハウス経営者との衝突からウェアハウスを去り、シカゴ内の別の場所で「パワープラント」というクラブを始める。

ウェアハウスのオーナーは「ウェアハウス」を「ミュージック・ボックス」と改名し、新たにカリフォルニアからロン・ハーディー英語版を後任DJとして招聘する[13]。ナックルズとハーディーの間の競争により、シカゴはダンス音楽界の中で、「ハウス」の普及とともにその地位を確立する。彼ら2人のプレイスタイルは、ラリーと彼のプレイしたいわゆる「ガラージュ」と呼ばれるスタイルの強い影響下にありながらも、ドラムマシンの使用によりアグレッシブな選曲の傾向を持ち、のちに一般的印象としての「ハウス」と呼ばれるスタイルの原型を築いた。

その後、ハウスの人気はイギリスへも波及し、1987年M/A/R/R/Sがリリースした「パンプ・アップ・ザ・ヴォリューム (Pump up the Volume)」はヨーロッパで火がつき、全米チャートでもヒットとなった。また、1988年イギリスを中心に発生したムーブメント「セカンド・サマー・オブ・ラブ」やレイブも流行した。こうした運動を契機として、世界でハウス、シカゴ・ハウス、アシッド・ハウスが流行した。1990年代に入ってからはC&Cミュージック・ファクトリー[14]、ブラック・ボックス[注 2]、スナップ、テクノトロニックらがヒットを放った。また、ハウスはさらにスタイル、ジャンルの細分化が進み、マドンナなどの有名歌手がハウスのリズムである4つ打ちを使用するようになった。2000年代以降は、プログレ・ハウス、ニュー・ディスコ、エレクトロ・クラッシュ、エレクトロ・ハウスなどの、新しいジャンルが登場した[15]

2023年現在、イギリスを中心に、スペインイビサ島[注 3]など)、フランスイタリアなどヨーロッパ諸国が現在のハウスシーンの中心であるが、シカゴ、ボルチモア、ニューヨークなどのアメリカの諸都市、オーストラリアを中心にしたオセアニア、日本を中心としたアジアなどにも根強いシーンが存在している。また、イギリスのGlitterboxレーベルのアーティストたちを中心に、源流であるディスコへと回帰、ハウスとディスコが再融合した新たなシーンもあり、イギリス諸都市、イビサ島、クロアチアなどで、盛んにパーティーが開催されている。

日本のハウス・ミュージック

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1980年代後半に渡米し、デヴィッド・モラレス、フランキー・ナックルズと共にDef Mix Productionsの一員として活動を行った富家哲 (SATOSHI TOMIIE)、1990年ディー・ライト[16]の一員としてアメリカで『グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート』などのヒットを記録したテイ・トウワらは、シーンに影響を与えた。

日本では1980年代後半頃より、アメリカでのハウス・ブームに呼応する形で、ハウスDJが登場するようになった。先駆的な活動を行ったDJとして、1980年に単身ニューヨークに渡り、ハウスを日本に伝導した高橋透がいる。高橋透は1989年に芝浦のクラブ、GOLDの立ち上げに伴って帰国、同店のサウンドディレクター及び毎週土曜日のメインDJを務めた。GOLDの毎週金曜日には当時、若手であった木村コウ (KO KIMURA) もプレイしていた。ニューヨークへ渡り、フランキー・ナックルズらと交流を深めて、巨大ディスコ「The Saint」のDJとして起用された中村直 (NAO NAKAMURA) は、その後、約10年間、ニューヨーククラブシーンの最前線に立ったが、彼もまた「芝浦GOLD」の立ち上げに合わせて帰国した。また、1985年より活動を開始し、1989年に「コニーズ・パーティ」のレジデントDJ、その後、芝浦GOLD土曜のレジデントを務めたEMMAも先駆者の一人である。

レベッカのボーカル、NOKKOは90年代初期のソロ活動においてハウスを当時のメインストリーム歌手の中でいち早く取り入れ、テイ・トウワによるプロデュース『I Will Catch U』を発表するなどしていた[17]。芝浦GOLDの後を追ってオープンした「西麻布YELLOW」など、ハウスを中心とするクラブがオープンし、音楽雑誌やAERAなどでも記事になるなど、ハウスに対する注目度が高まった。そして前述のラリーやフランキー・ナックルズ、ティミー・レジスフォード、デヴィッド・モラレス、ルイ・ヴェガなど、海外の著名DJも頻繁に来日するようになった。ニューヨーククラブシーンで異例のヒットとなった「Say That You Love Me」(2001年)のakや、Studio ApartmentJazztronik大沢伸一田中知之 (Fantastic Plastic Machine) のように、日本人ハウスアーティストも現れるようになった。

日本のハウスシーンは、テック・ハウスをメインにプレイするDJが多く、テクノや新世代のベースミュージックと親和性が高まっているが、90年代までのハウスシーンのイメージからは遠ざかり、シーンの方向性や客層、そして雰囲気自体が大きく変わってしまったとも言える。日本のハウスは90年代の全盛期ほどの人気はないが、今も昔からの根強いファンやDJ、または新世代の若手オーガナイザーたちにより、小規模ながらも様々なクラブイベント、パーティーが催されている。

著名なハウス・ミュージシャン

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1980年代から1990年代

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2000年代以降

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ハウスのサブ・ジャンル

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参考図書

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・『ハウス・ミュージック──その真実の物語 』ジェシー サンダース (著), 西村 公輝 (その他), 東海林 修 (翻訳), 市川 恵子 (翻訳)(ele-king books、2019年)

・『そして、みんなクレイジーになっていく 増補改訂版』ビル・ブルースター+フランク・ブロートン著(DU BOOKS、2024年[19]

・『シカゴ・ハウス大全 -HOUSE MUSICからJUKE/FOOTWORKまで』監修 西村公輝・編集 猪股恭哉(DU BOOKS、2025年[20]

脚注

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[脚注の使い方]

注釈

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  1. ^シルヴェスターはゲイ・ディスコの代表歌手だった。ヴィレッジ・ピープルの場合、ジャケットに写っているメンバーと、実際に歌っているスタジオ・ミュージシャンとは異なり、ゲイのイメージは、あくまでも売るための手段だった。
  2. ^「エブリバディ・エブリバディ」がヒットした。
  3. ^かつてはヒッピーのメッカであり、ドラッグやロック、フォークなどが人気だった島。その後、ハウス、テクノなどダンス音楽の中心地となったがドラッグ・カルチャーも継続しているとされている

出典

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  1. ^abcHouse Music Genre Overview - AllMusic”. 2012年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月5日閲覧。
  2. ^Fritz, Jimi (2000).Rave Culture: An Insider's Overview. SmallFry Press. p. 94.ISBN 9780968572108 
  3. ^Explore music ... Genre: Hi-NRG”.AllMusic. 2012年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月20日閲覧。
  4. ^Gilbert, Jeremy; Pearson, Ewan (2002).Discographies: Dance, Music, Culture and the Politics of Sound. Routledge. p. ??.ISBN 9781134698929 
  5. ^Langford, Simon (2014).The Remix Manual: The Art and Science of Dance Music Remixing with Logic. CRC Press. p. 99.ISBN 9781136114625 
  6. ^Walters, Barry (1986):Burning Down the HouseArchived 2018-04-05 at theWayback Machine..SPIN magazine. Retrieved 2014-04-25.
  7. ^Malnig, Julie (2009).Ballroom, Boogie, Shimmy Sham, Shake: A Social and Popular Dance Reader. University of Illinois Press. p. 213.ISBN 9780252075650.https://archive.org/details/ballroomboogiesh0000unse/page/213 
  8. ^Vincent, Rickey (2014-12-04).Funk: The Music, The People, and The Rhythm of The One. St. Martin's Griffin.ISBN 9781466884526.オリジナルの2016-12-25時点におけるアーカイブ。.https://web.archive.org/web/20161225223316/https://books.google.com/books?id=Tb-FBAAAQBAJ&pg=PA289 
  9. ^abhttp://www.discogs.com/ja/label/751-Salsoul-Records
  10. ^そして、みんなクレイジーになっていく 増補改訂版/ビル・ブルースター フランク・ブロートン/DJカルチャーとクラブ・ミュージックの100年史―― Last Night A DJ Saved My Life|DU BOOKS|ディスクユニオンの出版部門”.ディスクユニオン. 2025年5月22日閲覧。
  11. ^フランキー・ナックルズ allmusic
  12. ^http://www.complex.com/music/house-music-history
  13. ^Clubbers Guide To Life: The Warehouse/Music Box, Chicago”.Ministry of Sound. 2006年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月14日閲覧。
  14. ^abC+C Music Factory | Billboard Chart History. Billboard. Retrieved on December 26, 2019
  15. ^House music housemusiclovers.net 2025年5月21日閲覧
  16. ^Dee Lite 2025年5月21日閲覧
  17. ^NOKKO スペシャル・ロング・インタビュー”. OTONANO. 2024年6月30日閲覧。
  18. ^http://www.discogs.com/artist/1094-Moodymann
  19. ^https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK349。 
  20. ^シカゴ・ハウス大全/西村公輝/HOUSE MUSICからJUKE/FOOTWORKまで|DU BOOKS|ディスクユニオンの出版部門”.ディスクユニオン通販サイト. 2025年7月11日閲覧。

関連項目

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