| 「High Definition Audio」とは異なります。 |
ハイレゾリューションオーディオ (英:High-Resolution Audio) とは、CD-DAのサンプリング周波数 44.1 kHz、量子化ビット数 16 bitよりもサンプリング周波数が高く、量子化ビット数も増やして、よりきめ細かく高音域まで忠実な(デジタル)オーディオのこと[1]を指す。略して「ハイレゾオーディオ」、「ハイレゾ音源」または単に「ハイレゾ」と呼ばれることもある(高分解音質・高解像度音質)。

具体的にはサンプリング周波数および量子化ビット数のうち片方がCD-DAスペック(44.1 kHz, 16 bit)、もしくはDATスペック(48 kHz, 16 bit)相当[2] を超えている(かつもう片方も超えているか、同程度)となっている。
2014年3月26日に、一般社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA)によって呼称と定義について周知がされ[3][4]、2014年6月12日には、一般社団法人日本オーディオ協会 (JAS)がハイレゾ音源の定義や推奨ロゴを発表した[5][6]。
リニアPCM換算でサンプリング周波数、量子化ビット数の少なくとも一方がCDスペックを超えていて、もう一方がCDスペック以上であればハイレゾリューションオーディオの定義に合致する。なお、JEITAはCDスペックをCD・DATならびにDVDで用いられているサンプリング周波数が44.1〜48 kHzで、16 bit量子化のデジタルオーディオと定義している[7]。
JEITAによるハイレゾ音源の該非を示す表は以下のとおり。
| サンプリング周波数 (kHz) | 量子化ビット数 (bit) | ||
|---|---|---|---|
| 16 bit未満 | 16 bit | 16 bit超過 | |
| 44.1 kHz未満 | × | × | × |
| 44.1〜48 kHz | × | × | ○ |
| 48 kHz超過 (主に64 kHz以上) | × | ○ | ○ |
JEITAによる定義に加え、一般社団法人 日本オーディオ協会が示す付帯項目である「録音、および再生機器ならびに伝送系」で以下の性能保証と、生産および販売責任での聴感評価が確実に行われていることを条件に「ハイレゾオーディオロゴ」の使用を認める運用を行っている[8]。デジタル信号のフォーマットには、リニアPCM (WAV) フォーマットに加え、その可逆圧縮フォーマット(FLAC、Apple Lossless、AIFFなど)以外にも、DSDフォーマット (DSF · DSDIFF · WSD)によるデータもハイレゾ音源として扱われる。いずれもデジタル信号処理は、96 kHz / 24 bit の信号処理が可能であることを要件としている[8]。
推奨ロゴマークは、ソニーが2013年から使用していたハイレゾ音源再生・録音対応機器のロゴマーク、もしくはパナソニック(テクニクスブランド含む)、およびJVCケンウッド(JVC・ケンウッドの各ブランド)が2016年まで使用していたハイレゾ音源再生対応機器のロゴマークである。
2018年11月28日、日本オーディオ協会がスマートフォンやBluetoothを使用したワイヤレスヘッドホン、ワイヤレススピーカーなどのワイヤレス機器の普及に伴い、無線接続での音質を担保する新カテゴリーのライセンスとして「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」を定義した[9]。
「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」ライセンスは、下記の条件を満たす無線接続を持ち、かつ無線接続以外は「ハイレゾオーディオロゴ」の規定を満たす、主にBluetoothを念頭において策定されており、Wi-Fi(無線LAN)は十分な帯域を持つため対象外としている。
なお、左右独立イヤホンや2台1組で 2 chとして使用できるBluetoothスピーカーのような製品内部で無線通信を行うものについては、「技術的・音質的評価を行う方法や指標が検討しきれていない」として、ライセンス開始直後は認証の申請を受け付けず、今後、評価方法や指標の検討が完了次第、ライセンス対象に組み込むとしている。
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ハイレゾリューションオーディオ音源を制作するためには様々な技術が使われている。
AVアンプ・サラウンドシアターシステムについてはDVDビデオ世代以降であれば、プリメインアンプ単体についてはDVDオーディオ世代以降の一部のハイエンドクラスのD/Aコンバーター搭載であれば、概ねハイレゾオーディオの再生に対応している。ただし、再生可能なフォーマットや音源スペックは機器により異なる。また、NAPについてはDLNA経由で再生する場合に対応フォーマットや音源スペックに制限が掛かる場合もある。
なお、機器がハイレゾ音源に対応していたとしても、それが即ち音質を保証するという訳ではない。機器によってD/Aコンバータ (DAC)やアンプの方式などが異なるため、それぞれ再現できるダイナミックレンジや、再生で生じる全高調波歪 + ノイズ (THD+N)が異なっている。
この節の加筆が望まれています。 (2018年2月) |
現在までの所、適正に制作された従来のCD-DA音源とハイレゾリューションオーディオ音源を明確に聞き分けることができなかったとする米国オーディオ技術者協会による試験結果も報告されている[26]。
ボストンオーディオ協会による報告の論文によると、違いは聞き分けできないとの結果となっている。[27] ブラインドテストの結果作曲者やミュージシャンですら48 kHz / 16 bitの音とハイレゾリューション音源を区別できなかった。[28] 2014年の論文では、時代遅れの古いディジタルフィルタやディザリング手法ではアーティファクトが聴覚できるとしている。[29]
FLACやVorbisなどの開発元であるXiph.orgに所属している、クリス・モンゴメリーはオーディオ技術一般によく見られる、ある種のオカルト的効力を掲げた販売手法であると批判している[30]。実際にハイレゾリューションオーディオが標準的なオーディオと違いがあるか確認するために、二重盲検法の一種であるABXテストによる検定も有用である。
また、高いサンプリング周波数では、非可聴域の超音波が相互変調歪みの形で可聴域に影響を及ぼすことにより、元の音源にない音が再現されてしまう場合もあり、高すぎるサンプリング周波数は音質に悪影響を及ぼすこともある[31]。このほか、イヤホンでハイレゾ音源を再生する場合(あくまでも架空の空間での鑑賞で)、スピーカーでハイレゾ音源を再生する場合と異なり、リアルな空間での体験は得られないとされる(ヘッドホンにおいてはそうはいいきれない)[32]。
CD-DAの音質と2chステレオ音源(あるいは同等の性能で取り扱いが楽なデジタル配信)が実現した時点で、これを超える質や量を伴うコンテンツが実現可能でも、「たいていの聴取者がそれを必要としない」という問題は依然として解決できていない。
ビジネス誌、ブルームバーグ ビジネスウィークはハイレゾリューションオーディオに注意を促している。
コンシューマ向けのエレクトロニクス企業は、新しいガジェットを買わせることを良しとしてきた過去があることを考えると、用心が必要です。
There is reason to be wary, given consumer electronics companies’ history of pushing advancements whose main virtue is to require everyone to buy new gadgets.[33]
マスター音源を標準音質とハイレゾリューション音質で作り分け販売する手法があるが、ハイレゾリューション音源であってもダイナミックレンジを無視したマスタリングがされることもある[34]。
録音時にCD品質やDAT品質以下のフォーマットで作成されたマスター音源をアップサンプリングしてハイレゾ化する方法があり、市場でもそういった音源がハイレゾ音源として大々的に売り出されているが、この方法で作成されたハイレゾ音源は倍音成分が欠落しているか、あるいは推測で倍音成分が埋め合わせされているため、偽物のハイレゾという意味で俗に「ニセレゾ」と呼ばれる[35]。下記のような現状から、ハイレゾを巡る現実は厳しいと言える。
上述のような音楽鑑賞におけるハイレゾオーディオへの批判とは対照的に、音楽制作段階におけるハイレゾオーディオは広く普及している。何故なら、制作段階においてはA/D変換やエフェクターなどノイズの発生要因が音楽鑑賞と比べ物にならない程多く、かつそのノイズの多くがハイレゾによって軽減出来るため、高音質を確保しておく意義が大きいからである。録音段階では88.2kHzや96kHz、もしくはそれ以上のサンプリング周波数で録音すると折り返し雑音を軽減出来るため、1万円程度の廉価なオーディオインターフェイスであっても24bit/96kHz以上の録音に対応しているものが多数ある。
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