テクノロジーをテーマにしたタジキスタン の郵便切手 他者によって考案された製品をただユーザとして使うだけでなく、エレクトロニクス の知識を習得し、それを応用して、自分が使うものを自分ひとりだけのために作る、ということも行われている。写真はArduino とブレッドボード を使った試作品 。 テクノロジー (英語 :technology )または科学技術 [ 1] 、科技 [ 2] [ 3] 、技術学 [ 4] [ 5] とは「特定の分野 における知識 の実用化 」[ 6] 、「知識の実用化によって与えられる能力 」[ 7] 、「科学 的知識を個別領域における実際的目的 のために工学 的に応用する方法論 」を指す概念[ 1] 。科学的知識を用いて開発された機械 類や道具 類を指すこともある[ 8] 。また「エンジニアリング や応用科学 を扱う、知識の一部門」ともされる[ 8] 。
テクノロジーやテクニック(技術 )の語源 は古代ギリシア語 「テクネー 」であり[ 4] [ 9] 、これは技術 ・学術 ・芸術 ・知識 (エピステーメー )[ 4] [ 10] や制作 的な理知 (ロゴス )・能力 等をも指す[ 9] 。
テクノロジーは技学 [ 11] [ 12] 、技術 とも和訳されている[ 13] [ 14] [ 15] 。エンジニアリング (工学 )も「技術」と和訳されることがある[ 16] 。
古代ローマ 人は、石材 の切り出し、石材の加工、木製クレーンの製作、アーチ 作り、等々等々、実用的な知識を豊富に持ち、巨大建造物を巧みに建造した。またモルタルやセメント類に関する知識や技術も非常に豊富で、水中硬化性のモルタルすら使いこなし、水を流したまま水路を補修することもでき、ローマ市民 にとって重要な水道を維持しつづけられた。古代ローマ人が開発し用いた 非常に優れたコンクリート類(やモルタル類)は「ローマン・コンクリート 」と呼ばれており、現代の建築家らからも賞賛されている。写真は数ある古代ローマ帝国水道橋 のひとつ、ポン・デュ・ガール 。グーテンベルクによって圧搾機 を応用して印刷機 が発明されたことにより、それまで手で一文字一文字行っていた写本 の書き写しと比べて、短い時間で大量に文字情報を複製することを可能にし、最初は聖書 など神聖で高尚な内容の印刷に用いられたわけだが、印刷機は次第に、文化的な内容だけでなく、あまり文化的とは言えないような 低級な内容を大量に複製し撒き散らすためにも使われるようになっていった。 「technology テクノロジー」という表現は17世紀 初期に登場した表現であり[ 8] 、語源はギリシア語 のtechnología (τεχνολογία ) であり、τέχνη téchnē テクネー(=「わざ」「技巧」)という語と-λογία -logia (=「~論」「~学」)という意味の接尾辞を組み合わせた語である[ 17] 。
technologyの和訳 は「科学技術」[ 1] 、「科技」[ 2] 、「技術学」[ 5] 、「技学」[ 11] [ 12] 、「技術」など[ 13] 。
この節には
複数の問題があります 。
改善 やノートページ での議論にご協力ください。出典 がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源 が必要です。(2022年6月 ) 独自研究 が含まれているおそれがあります。(2022年6月 )
ハイテク /ハイテクノロジーローテク /ローテクノロジーIT /情報技術/インフォメーションテクノロジーナノテク /ナノテクノロジーバイオテック /生物工学/バイオテクノロジーXT /交差科技/クロステック/XTechフィンテック /金融科技/ファイナンシャルテクノロジーエデュテック /教育科技/エデュケーショナルテクノロジーヘルステック /健康科技/ヘルステクノロジー物流テック 不動産テック
テクノロジーの効用と害悪 この節には
複数の問題があります 。
改善 やノートページ での議論にご協力ください。出典 がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源 が必要です。(2022年6月 ) 独自研究 が含まれているおそれがあります。(2022年6月 )
アインシュタインは「科学技術の進歩というのは、病的犯罪者 の手の中にある斧 のようなものだ」[ 18] と述べた[ 19] 。
航空機 は実用化されるとすぐに人殺しのために使われるようになった。すでに
複葉機 の時代から戦争のために利用(悪用)されるようになっていたのである。写真は軍用
ヘリコプター 2機。
1990年代ころから普及が進んだ
インターネット は、国境を越えてネットワーク機器同士を、また人々同士を繋ぐようになり、現代の先進国の人々にとっては欠かせない存在となっている。写真は経路上の情報伝送の量をイメージ化した写真。
2010年代後半のスマートフォンは小さなボディでありながら、数十年前の、1室ほどの大きさで数十億円ほどもしていた
スパコン と同等か、処理内容によってはそれ以上の性能を備えており、人々はそれを気軽にポケットに入れて持ち歩けるようになっている。
Merriam-Webster の辞書には、「特定の分野における知識の実用化」であり「知識の実用化によってもたらされる能力」と定義されている[ 17] 。アーシュラ・フランクリン は1989年の講演 "Real World of Technology" において、テクノロジーの新たな定義として「慣例、我々が物事を行うやり方」としている[ 20] 。
哲学者ベルナール・スティグレール は『技術と時間1:エピメテウスの過ち』の中でテクノロジーを「生物以外の手段による生物の追跡」および「組織化された無生物質」と定義している[ 21] 。
なお「テクノロジー」という表現で指される道具や機械は物質的なものだけとは限らない。コンピュータソフトウェア やビジネス手法 といったものも、この意味でのテクノロジーの一種である[ 22] 。
Oxford Dictionary の説明にあるように「テクノロジー」という用語は、エンジニアリング や応用科学 に関する知識部門も指す[要文献特定詳細情報 ] [要ページ番号 ] 。
テクノロジーは文化 を生み出す活動、あるいは文化を変化させる活動と見ることもできる[ 23] 。
最近の例としては、コミュニケーション テクノロジーの進歩によって人々の間の障壁が弱まり、インターネット とコンピュータ の発展の結果として新たなサブカルチャー であるサイバーカルチャー が生まれた[ 24] 。
『世界大百科事典 』には
という項目があり、「技術」とそれ以外との分類方法をめぐって歴史上多様な議論がされてきたことが書かれている[ 16] 。
『日本大百科全書 』にある「テクノロジー」の項目は、「技術」の項目へと転送されている[ 25] 。同項目によれば「技術」は、「科学技術」とも言うように、「科学 」と並列されることが多くなっている[ 4] 。一方で原義から辿れば、技術および技術学(テクノロジー)は、工学 (エンジニアリング )と異なる[ 4] 。エンジニアリングの語源はラテン語のインゲニウム(ingenium )で、《発明 》・《天才 の所産》を意味する[ 4] 。そうした成立経緯があるため、現代の大学 や学会 で「工学」は《特殊 な職業人 的な教育 と研究 》を意味する[ 4] 。一方で技術および技術学(テクノロジー)の由来は、職業教育 を求めないゲッティンゲン大学 の《一般的教育 》であり、この大学は《自由な教授と学習》を誇っていた[ 4] 。そうした特徴は現代にも及んでいる[ 4] 。
古代ギリシア では、人間の「制作活動一般に伴う知識 や能力 」が尊重されて《技術 テクネー 》と総称されていた[ 9] 。また、技術は学問 (古代科学 )でもあった[ 10] [ 26] 。プラトン の『ゴルギアス 』によると、技術とは《本質 についての理論 的知識(ロゴス )を持つ働き》である[ 9] 。アリストテレス哲学 では、技術は《知識 エピステーメー 》と同義だとされる[ 10] [ 26] 。特にアリストテレスの『ニコマコス倫理学 』によると、技術は単なる知的能力ではなく、《学問 的かつ経験的で普遍的かつ個別 的な真理 認識の能力》だとされる[ 9] 。ここでの「技術」とは《制作による一定の真理解明 》(エントベルゲン Entbergen)だとハイデッガー は言う[ 9] 。
古代 ~中世 にわたって原始的な科学の試行錯誤を行った技術・哲学 ・宗教 思想 ・実利追求 などの固まりは、錬金術 と呼ばれる[ 27] 。16世紀以降、主に「科学革命 」によって神秘 性や思弁 性が消えつつあった錬金術は、近代 的な科学および科学技術へと変化していった[ 27] 。
《技術学》または《テクノロジー》は、啓蒙主義 ・機械論 (機械論的自然観)・民主主義 等の影響下で発生した[ 4] 。かつて18世紀 ドイツのゲッティンゲン大学 では、技術的学問として「技芸史」が存在していた[ 4] 。(ドイツ語ではクンストゲシヒテ(Kunst Geschichte )、英語ではアート ヒストリー(art history )[ 4] 。) そこへ影響したのが、啓蒙主義や機械論だった[ 4] ──すなわちフランシス・ベーコン やディドロ やダランベール 等による、自然哲学的・自然史 的な技術研究が影響した[ 4] 。これにより、技芸史は1772年 に《技術学 テヒノロギー(Technologie )》へと革新された[ 4] 。技術学は英語圏 の「テクノロジー(technology )」に相当し、そしてアメリカ のジャクソン流民主主義 時代から普及していった[ 4] 。
他 Dictionary.comの定義では「科学 」は、「システム 的に整理された事実 または真理 を扱って一般的な法則 の働きを示す、知識 または学問 の一分野」である[ 28] 。テクノロジーが科学研究の成果であるという単純なモデルには反対の立場のアナリストが多い[ 29] [ 30] 。
この節には
複数の問題があります 。
改善 やノートページ での議論にご協力ください。出典 がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源 が必要です。(2022年6月 ) 独自研究 が含まれているおそれがあります。(2022年6月 )
旧石器時代(250万年前から紀元前1万年)[ 編集 ] 原始的な礫器 初期の人類 による道具の使用は、部分的には発見の歴史であり、部分的には進化の歴史である。初期の人類は、既に二足歩行 していた猿人 の一種 から進化したものであり[ 31] 、現代の人間に比べると脳の容量は3分の1だった[ 32] 。初期の人類の長い歴史上、道具の使用にはほとんど変化がなかったが、約5万年前に行動の複雑化と道具の使用が組み合わさり、現代的な意味での言語 が生まれたと考古学者の多くが考えている[ 33] 。
前期旧石器時代 のハンドアックス クローヴィス 尖頭器 。剥片石器 の一種約20万年前のホモ・サピエンス の誕生以前から、人類の祖先は石器などの道具を使っていた[ 34] 。最も古い製法の石器 はオルドワン石器 と呼ばれ、約230万年前に遡ると言われている[ 35] 。そのような石器の痕跡で最も古いものはエチオピア の大地溝帯 で見つかったもので、約250万年前に遡る[ 36] 。このような石器を使用していた時代を旧石器時代 と呼び、農耕 が始まる12,000年前までの長い期間を指している。
石器の製法は、燧石 などの剥げ落ちやすい性質のある硬い石の「石核 」を石鎚で打って作った。これにより剥片にも石核にも鋭い縁ができ、主に礫器 または削器といった形の道具として使用した。当時の人類は狩猟採集 生活を送っており、獲物を屠殺したり、木を切ったり、木の実を割ったり、動物の毛皮を剥いだり、骨や木といったもっと柔らかい素材から道具を作るといった用途に適した石器が作られた[ 37] 。
最初期の石器は非常に素朴なもので、自然に割れた石と大差なかった。約165万年前ごろから石器を特定の形にするようになり、握斧などが生まれた。約30万年前に始まった中期旧石器時代 には、典型的な形状の石核から様々な形状の石器を作る技法が確立し(en )、一つの石核から複数の石刃を短時間のうちに製造できるようになった。約4万年前に始まった後期旧石器時代 には、押圧剥離 という技法が生まれ、木や骨やシカの角を押し当てて微細な石片を形成するようになった[ 38] 。
様々な用途がある単純なエネルギー 源としての火 の発見と利用は、人類のテクノロジーの発展にとってターニングポイントであった[ 39] 。いつ発見したのかは定かではない。「人類のゆりかご 」で動物の骨を焼いた痕跡が見つかっていることから、100万年前より古くから火を日常的に使うようになっていたと言われている[ 40] 。学界では、ホモ・エレクトス が50万年前から40万年前に火を制御できるようになったというのが定説である[ 41] [ 42] 。燃料には木や炭 を使い、食料に熱を通すことで消化をよくし、栄養価を高め、食べられるものの種類も増えた[ 43] 。
その他の旧石器時代のテクノロジーの進歩としては、被服 と住居 がある。どちらも正確な年代は不明だが、人間性の進化にとっては重要である。旧石器時代の進展と共に、住居も徐々に進化していった。38万年前ごろから、ホモサピエンスは一時的な木製の小屋 を建てるようになった[ 44] [ 45] 。被服としては、獲物の動物から剥いだ毛皮 を使うことで、より寒冷な地域にも進出が可能になった。人類は20万年前ごろからアフリカ以外の地域への移住を開始し、ユーラシア大陸 などに広まっていった[ 46] 。
新石器時代から古代(紀元前1万年から紀元300年)[ 編集 ] 腕輪、斧、ノミ、研磨用具などの新石器時代の遺物 人類のテクノロジーは、新石器時代 と呼ばれる時代から急激に進化し始めた。刃の部分を磨いた 石斧の発明により、森林を大規模に切り拓くことができるようになり、農場を作ることができるようになった。農耕 により、より多数の人口を養えるようになり、定住生活が広まっていった。定住していなかったころには子供を運ぶ必要があることから、子供を連続で産むことができなかったが、定住することで子供を同時に育てることが可能になった。さらに、子供は狩猟採集生活をしていたころよりも幼いころから労働が可能となり、収穫高の増加に寄与した[ 47] [ 48] 。
人口の増加と労働力の増加により、仕事の専門化が始まった[ 49] 。メソポタミアのウルク のような都市が発生したきっかけや、シュメール のような文明が生まれたきっかけは定かではない。しかし、社会階層 が増え、仕事が分化していき、隣接する文化との交易や戦争が起き、治水 などの問題に対処するために団結が必要になったなど、様々な要因があると言われている[ 50] 。
テクノロジーの進展により、炉 やふいご が生まれ、天然金属(自然界に純度の高い状態で存在する金属)の精錬 や鍛造 が可能となった[ 51] 。最初に使われたのは金 、銀 、銅 、鉛 である。銅器はそれまでの石や骨 や木 製の道具よりも優れていることは明らかで、銅は新石器時代の当初(紀元前8000年ごろ)から使われ始めた[ 52] 。自然銅 は自然界には少ないが、銅鉱石は多く存在し、その一部は木や炭 で起こした火で熱することで容易に金属を取り出すことができる。そのようにして金属をあつかっているうちに、青銅 や真鍮 などの合金 を発見することになった(紀元前4000年ごろ)。鋼 などの鉄合金が使われるようになるのは紀元前1400年ごろからである。
帆船ドーニー 。大三角帆 は古代から用いられていた帆の形。 同じ頃、人類は新たな形態のエネルギーの利用法を学びつつあった。風 の力はまず舟の帆で利用され始めた。記録に残っている世界初の帆船 は、紀元前3200年ごろのエジプトのものである[要出典 ] 。先史時代からエジプト人は毎年洪水を起こす「ナイル川の力」を利用しており、灌漑水路を築いて溢れた水を盆地に導くことで灌漑用水を確保する方法を学んでいった。同様にメソポタミアのシュメール人もチグリス川とユーフラテス川について同様の利用方法を学んでいった。しかし、水力 や風力 をさらに有効利用するには、もう1つの発明が必要だった。
車輪 は紀元前4000年ごろの発明と言われている。世界最初の飛行機(ライトフライヤー) 考古学者によれば、車輪 の発明は紀元前4000年ごろとされている。車輪はおそらく、メソポタミア で発明されたと言われている。時期は紀元前5500年から3000年まで様々な説があるが、紀元前4000年ごろとする専門家が多い。車輪を使った荷車が描かれた人工物として最も古いものは紀元前3000年ごろのものである。しかし、そのような絵が描かれる千年前から、車輪を使った輸送手段が存在していただろうと言われている。また、同時代にろくろ として車輪を使っていた証拠も残っている。なお、元々のろくろは車輪を使ったものではなく、地面に突き立てた棒の上に真ん中に窪みか穴のある平らな板を載せただけのものだった。近年、スロベニア のリュブリャナ の湿地で世界最古の木製の車輪が発見された[ 53] 。
車輪の発明は、輸送、戦争、陶工(最初の車輪の用途と言われている)といった様々な活動に革命をもたらした。車輪を使った荷車は重い物を運ぶのに使われ、ろくろは陶器 の大量生産を可能にした。さらに、車輪は風車 や水車 といった新たなエネルギー変換手段を生み出し、人力以外の動力の応用という革命をもたらした。
13世紀に作られた機械式時計en:Zytglogge (スイス、ベルン )。 集積回路 (IC)宇宙遊泳 道具には、単純な機械(てこ 、ねじ 、滑車 など)と、より複雑な機械(時計 、エンジン 、発電機 、電動機 、コンピュータ 、宇宙ステーション など)の両方を含む。道具が複雑になると、それをサポートするのに必要な知識も複雑になる。現代の複雑な機械には、継続的に増大し洗練されていく技術マニュアル群が必要であり、設計者、製作者、保守者、利用者には専用の訓練が必要とされることが多い。さらに、そのような道具は非常に複雑であるため、技術的知識に基づくより小さな道具、プロセス、(それ自体が複雑な道具である)プラクティスの包括的基盤がそのような道具をサポートする形で存在している。それは例えば、工学 であり、医療 であり、計算機科学 である。複雑な製造 や建設 の技法と組織は、そのような道具の構築に必要となる。産業 全体が、より複雑な道具を次々に開発しサポートしていくために発展してきた。
テクノロジーと社会は強く相互に依存している。この相乗的関係は人類の黎明期に単純な道具を発明したときに始まり、今日も続いていると言われている。テクノロジーは歴史上、社会の様々な面、すなわち経済、価値観、倫理観、学界、集団、環境、政府などに影響し、影響されてきた。
この節には
複数の問題があります 。
改善 やノートページ での議論にご協力ください。出典 がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源 が必要です。(2022年6月 ) 独自研究 が含まれているおそれがあります。(2022年6月 )
排煙が大気汚染 を引き起こしている。(→公害 、環境破壊 原子爆弾 。写真は長崎原爆 のキノコ雲 1945年8月9日広島原爆の被害者。(1945年10月。日本赤十字病院) チェルノブイリ原子力発電所 事故後、建屋をコンクリートで固めた通称「石棺」テクノロジーは自然破壊 や環境破壊 を引き起こすことがある。第二次世界大戦中に開発された原子爆弾 は、その威力が通常兵器と比べて極端に大きく、人間を無差別かつ大量に殺戮 する大量破壊兵器 である。冷戦時代にも西側・東側の両陣営は大量の核兵器 を保有し、米国 やソ連 の元首の判断次第でボタンひとつを押させ核戦争 が勃発すれば、結果として人類がほぼ全滅する、と専門家らが予想するほどの状態にまでなった。
ウクライナ国立チェルノブイリ博物館に展示されている、事故で拡散した放射性物質の影響で奇形 になった豚の子 原子力発電所 では安全性を確保しきることができず原子力事故 を何度も引き起こした。放射線 により人々の生命を奪ったり、放射性物質 を拡散させてしまい遠方の人々の健康にまで悪影響をもたらすことになった。
technicism (技術主義 あるいは技術崇拝 )とは、“人類はいつの日か全ての問題を解き明かし、テクノロジーを使って未来を制御できるようになる”などとする主張や考え方のことである[ 注釈 1] 。
技術史観 (theory of technological development)とは、歴史 は究極的には技術 の進歩 により発展 する、という見方[ 55] 。技術史観にとって思想 ・文化 ・社会制度 は普遍的でなく盛衰を繰り返すが、技術は普遍的であり進歩・発展し続けている[ 55] 。人間の生活 様式・社会関係・社会構造 ・文化・思想の飛躍的変化は、新技術(の発明 と普及)によって起きるとされる[ 55] 。「農業革命 →産業革命 →エレクトロニクス革命 」という段階的用語は、その例である[ 55] 。
テクノロジーの進歩が社会や人間性にとって有益だという楽観的な仮定をする者として、トランスヒューマニズム や技術的特異点 信奉者がいる。このようなイデオロギー では、テクノロジーの進歩は道徳的にも肯定される。逆に批判的な者はこれらを科学万能主義 やテクノユートピア主義の例とし、彼らが望む人間強化 や技術的特異点 に懸念を表明している。
テクノロジー楽観主義者の例としてカール・マルクス が挙げられることもある[ 56] 。
逆にテクノロジーが進歩した社会には本質的に問題があるという悲観的見方をする者として、ヘルベルト・マルクーゼ やジョン・ザーザン がいる。彼らは、そのような社会が技術的であるために、結果的に自由 や精神的健全さ を犠牲にするだろうと示唆した。
哲学者マルティン・ハイデッガー も、テクノロジーに対して真剣な懸念を持っていた。ハイデッガーは "The Question Concerning Technology" の中で「したがって、我々が単にテクノロジーを生み出し発展させる限り、テクノロジーの本質との関係を我々が経験することはなく、我慢することも回避することもない。我々はあらゆる場所でテクノロジーにつながれ 、自由を奪われている。それは、我々がテクノロジーを熱望するか拒否するかとは無関係である」と書いている[ 57] 。
ハイデガーの技術論としばしば比較されるのが、フランスのプロテスタント思想家、ジャック・エリュール の技術社会論である。技術の「自律性」を主題とするエリュールの技術社会論は、技術決定論 の典型としばしば見なされ、現代社会を抜け道のない「鉄の檻」として誤って描き出したとして批判されてきた。
テクノロジーへの最も痛烈な批判としては、今ではディストピア文学の古典とされているオルダス・ハクスリー の『すばらしい新世界 』、アンソニー・バージェス の『時計じかけのオレンジ 』、ジョージ・オーウェル の『1984年 』などがある。また、ゲーテ の『ファウスト 』ではファウスト博士が悪魔に魂を売って物理世界を超越した力を得るが、これはテクノロジーによる工業化の進展の比喩と解釈されることがある。
1980~90年代の反テクノロジー的論文のひとつとして、セオドア・カジンスキー (ユナボマー )のIndustrial Society and Its Future を挙げることも可能であろう。彼の起こした爆破事件をやめさせるため、この論文が複数の主要な新聞に掲載され、後には本にも収録された。カジンスキーは、エリュールの技術社会批判から少なからぬ影響を受けたと言われている。
核兵器 の開発・保有・使用がもたらす危険性は世界中で危惧されている。現在、核兵器 全般に、包括的核実験禁止条約 、核不拡散条約 などで規制されている。核廃絶 を求める人々は多い。
また、原子力技術の領域では十分な安全性を確保しきれていない状態であるという事実を踏まえて、ヨーロッパではドイツなどで原子力発電 のテクノロジーには反対する人々が多い。ドイツでは原子力発電所の全廃を実施、ベルギーでも議会ですでに全廃法案を可決し、その実施が進んでいる。こうした運動を反原子力運動 とも言う。
最近の議論として、コンピューター・通信・バイオテクノロジーなどの急速な進展とは裏腹に、エネルギーや宇宙開発などの技術は長期間停滞しており、それが経済に影響しているという説もある。
20世紀にはジャック・エリュール らにより、適正技術 (appropriate technology) という考え方が出てきた。これは例えば、文明が及んでいない僻地では修理が困難な最先端のテクノロジーを持ち込むのは不適切だとする考え方である。エコビレッジ の考え方もこれに関連して生まれた。
ゴリラ が木の枝を水深を調べるのに使っている。Credit: Public Library of Science
初歩的なテクノロジーは人類以外の動物でも見られる。例えばチンパンジー などの霊長類やイルカ [ 58] [ 59] 、カラス などである[ 60] [ 61] 。テクノロジーをより広い意味で捉え、能動的に環境を調整し制御しようとする動物の行動も含めると、ビーバー の作るダムやミツバチの巣 なども含まれる。
従来、道具 を作って利用する能力は、ヒト属 に固有のものと考えられていた[ 62] 。しかし、チンパンジーなどの霊長類が道具を作る例が見つかり、テクノロジーは人類固有のものではないことが明らかとなった。例えば、野生のチンパンジーが道具を使って食料を探す様子が研究者によって観察されている[ 63] 。西アフリカのチンパンジー は石をハンマー と金床 のように使って木の実を割っており[ 64] 、ブラジル のオマキザル も同様の行動を見せる[ 65] 。
^ Stephen Monsma などにいたっては、この技術崇拝の考え方を、より高次の道徳的拠り所としての宗教の放棄に結び付けているのだという[ 54] 。 ^a b c 『デジタル大辞泉』「テクノロジー」 ^a b 加藤一彦 , 高阿田勉, 加村亮子, 小原弘道, 松平晏明「D232 PIV のキャビテーション流れへの応用 」『日本流体力学会年会講演論文集』第2002巻、日本流体力学会、2002年、316頁、NAID 110003948108 、NDLJP :10921423 。「加藤 一彦(都科技大 工 ) … Kazuhiko KATO* … *Department of Systems Engineering Science,Tokyo Metropolitan Institute of Technology 」 ^ 吉澤剛「日本におけるテクノロジーアセスメント:概念と歴史の再構築 」『社会技術研究論文集』第6巻、社会技術研究会、2009年、46頁、doi :10.3392/sociotechnica.6.42 、ISSN 1349-0184 、NAID 130000263194 。「科学技術 庁では … 学識経験者から参考意見を求めた.かねてから科学技術の長期計画の策定を意図していた科技 庁が国家規模の広範な技術予測を実施することは意義がある,との意見が出された.」 ^a b c d e f g h i j k l m n o p 山崎 2021 , p. 技術. ^a b 谷川原綾子, 辻真太朗, 福田晋久, 西本尚樹, 小笠原克彦「放射線技術学 に関する用語集の日本語表記と意味記述に関する比較(Comparison of Japanese Notation and Meanings among Three Terminologies in RadiologicalTechnology Domain) 」『日本放射線技術学会雑誌』第72巻第3号、日本放射線技術学会、2016年、203-208頁、doi :10.6009/jjrt.2016_JSRT_72.3.203 、ISSN 0369-4305 、NAID 130005137455 。 ^ 『Merriam-Webster』「technology … 1 a: the practical application of knowledge especially in a particular area」 」^ 『Merriam-Webster』「technology … 1 b: a capability given by the practical application of knowledge」 」^a b c Oxford Dictionaries 「technology」[要文献特定詳細情報 ] [要ページ番号 ] ^a b c d e f 樋笠 2021 , p. テクネー. ^a b c 加藤 2021 , p. ギリシア哲学/用語. ^a b 斎藤秀俊「技術科学大学に入学する高専生, 現在そして未来 」『工学教育』第61巻第1号、日本工学教育協会、2013年、61頁、NAID 10031168641 。 ^a b 吉田喜一「S201046 高専50年の概史 」『年次大会』第2013年次巻、日本機械学会、2013年、3頁(S201046-3頁)、doi :10.1299/jsmemecj.2013._s201046-1 。 ^a b 『コンピューター用語辞典』「technology …技術 ;テクノロジー 」。『JST科学技術用語日英対訳辞書』「technology …テクノロジイ ; 工芸学; 工芸; 科学技術; テクノロジ;技術 」 ^ 山崎貞登「2A1-C4 社会的ニーズに応える近未来の科学教育課程開発の基本コンセプト:技術(Technology) 教育の視点から 」『日本科学教育学会年会論文集』第29巻、一般社団法人 日本科学教育学会、2005年、65頁、doi :10.1527/tjsai.24.541 。 ^ 西山莉紗, 竹内広宜, 渡辺日出雄, 那須川哲哉「新技術が持つ特長に注目した技術調査 支援ツール Technology Survey Assistance Tool Focusing on Their Advantages 」『人工知能学会論文誌』第24巻第6号、一般社団法人 人工知能学会、2009年、541頁、doi :10.1527/tjsai.24.541 。 ^a b 吉岡 2009 , p. 664. ^a b “Definition of technology ”. Merriam-Webster. 2012年4月26日時点のオリジナル よりアーカイブ。2007年2月16日閲覧。 ^ Technological progress is like an axe in the hands of a pathological criminal. ^ http://www.brainyquote.com/quotes/quotes/a/alberteins164554.html ^ Franklin, Ursula. “Real World of Technology ”. House of Anansi Press. 2007年2月13日閲覧。 ^ Stiegler, Bernard (1998). Technics and Time, 1: The Fault of Epimetheus . Stanford University Press. pp. 17, 82. ISBN 0-8047-3041-5 ^ “Industry, Technology and the Global Marketplace: International Patenting Trends in Two New Technology Areas ”. Science and Engineering Indicators 2002 . National Science Foundation . 2015年8月18日時点のオリジナル よりアーカイブ。2007年5月7日閲覧。 ^ Borgmann, Albert (2006). “Technology as a Cultural Force: For Alena and Griffin” (fee required). The Canadian Journal of Sociology 31 (3): 351–360. doi :10.1353/cjs.2006.0050 . http://muse.jhu.edu/login?uri=/journals/canadian_journal_of_sociology/v031/31.3borgmann.html 2007年2月16日閲覧。 . ^ Macek, Jakub. “Defining Cyberculture ”. 2007年5月25日閲覧。 ^ 『日本大百科全書』「テクノロジー」 ^a b 加藤 1994 , p. 106. ^a b 平田 2021 , p. 錬金術. ^ “Science ”. Dictionary.com. 2007年2月17日閲覧。 ^ George Wise, "Science and Technology",Osiris , 2nd Series, 1 (1985): 229-246. ^ David H. Guston,Between politics and science: Assuring the integrity and productivity of research (New York: Cambridge University Press, 2000). ^ “Mother of man – 3.2 million years ago ”. BBC . 2008年5月17日閲覧。 ^ “Human Evolution ”. History channel . 2008年4月23日時点のオリジナル よりアーカイブ。2008年5月17日閲覧。 ^ Wade, Nicholas (2003年7月15日). “Early Voices: The Leap to Language ”. The New York Times . 2008年5月17日閲覧。 ^ “Human Ancestors Hall: Homo sapiens ”. Smithsonian Institution . 2007年12月8日閲覧。 ^ “Ancient 'tool factory' uncovered ”. BBC News (1999年5月6日). 2007年2月18日閲覧。 ^ Heinzelin, Jean de (April 1999). “Environment and Behavior of 2.5-Million-Year-Old Bouri Hominids”. Science 284 (5414): 625–629. doi :10.1126/science.284.5414.625 . PMID 10213682 . ^ Plummer, Thomas (2004). Flaked Stones and Old Bones: Biological and Cultural Evolution at the Dawn of Technology . Yearbook of Physical Anthropology. ^ Haviland, William A. (2004). Cultural Anthropology: The Human Challenge . The Thomson Corporation. p. 77. ISBN 0534624871 ^ Crump, Thomas (2001). A Brief History of Science . Constable & Robinson. p. 9. ISBN 1-84119-235-X ^ “Fossil Hominid Sites of Sterkfontein, Swartkrans, Kromdraai, and Environs ”. UNESCO . 2007年3月10日閲覧。 ^ “History of Stone Age Man ”. History World. 2007年2月13日閲覧。 ^ James, Steven R. (February 1989). “Hominid Use of Fire in the Lower and Middle Pleistocene” (fee required). Current Anthropology 30 (1): 1–26. doi :10.1086/203705 . http://links.jstor.org/sici?sici=0011-3204(198902)30%3A1%3C1%3AHUOFIT%3E2.0.CO%3B2-J . ^ Stahl, Ann B. (1984). “Hominid dietary selection before fire” (fee required). Current Anthropology 25 : 151–168. doi :10.1086/203106 . http://links.jstor.org/sici?sici=0011-3204(198404)25%3A2%3C151%3AHDSBF%3E2.0.CO%3B2-E . ^ O'Neil, Dennis. “Evolution of Modern Humans: Archaic Homo sapiens Culture ”. Palomar College. 2007年3月31日閲覧。 ^ Villa, Paola (1983). Terra Amata and the Middle Pleistocene archaeological record of southern France . Berkeley : University of California Press. p. 303. ISBN 0-520-09662-2 ^ Cordaux, Richard; Stoneking, Mark (2003). “South Asia, the Andamanese and the genetic evidence for an "early" human dispersal out of Africa” (PDF). American Journal of Human Genetics 72 : 1586. doi :10.1086/375407 . http://site.voila.fr/rcordaux/pdfs/04.pdf . ^ “The First Baby Boom: Skeletal Evidence Shows Abrupt Worldwide Increase In Birth Rate During Neolithic Period ”. Science Daily (2006年1月4日). 2008年5月17日閲覧。 ^ Sussman, Robert W.; Hall, Roberta L. (April 1972). “Child Transport, Family Size, and Increase in Human Population During the Neolithic” . Current Anthropology (University of Chicago Press ) 13 (2): 258–267. doi :10.1086/201274 . http://links.jstor.org/sici?sici=0011-3204(197204)13%3A2%3C258%3AACTFSA%3E2.0.CO%3B2-5 2008年5月17日閲覧。 . ^ Ferraro, Gary P. (2006年). “Cultural Anthropology: An Applied Perspective ”. The Thomson Corporation. 2008年5月17日閲覧。 ^ Patterson, Gordon M. (1992年). “The ESSENTIALS of Ancient History ”. Research & Education Association. 2008年5月17日閲覧。 ^ Cramb, Alan W. “A Short History of Metals ”. Carnegie Mellon University . 2007年1月8日時点のオリジナル よりアーカイブ。2007年1月8日閲覧。 ^ Chisholm, Hugh (1910).A Dictionary of Arts, Sciences, Literature and General Information .Encyclopædia Britannica . p. 708. 2008年5月17日閲覧 . ^ “Slovenian Marsh Yields World's Oldest Wheel ”. Ameriška Domovina (2003年3月27日). 2007年2月13日閲覧。 ^ Monsma, Stephen V. (1986). Responsible Technology . Grand Rapids: W.B. Eerdmans Pub. Co ^a b c d 石川晃弘. “日本大百科全書(ニッポニカ) - 技術史観 ”. Kotobank . 小学館・朝日新聞・VOYAGE GROUP. 2018年11月20日閲覧。 ^ Hughes, James (2002). Democratic Transhumanism 2.0 . http://www.changesurfer.com/Acad/DemocraticTranshumanism.htm 2007年1月26日閲覧。 . ^ Lovitt, William (1977). “The Question Concerning Technology”. The Question Concerning Technology and Other Essays . Harper Torchbooks. pp. 3–35 ^ Sagan, Carl; Druyan, Ann; Leakey, Richard. “Chimpanzee Tool Use ”. 2007年2月13日閲覧。 ^ Rincon, Paul (2005年6月7日). “Sponging dolphins learn from mum. ”. BBC News . 2007年2月13日閲覧。 ^ Schmid, Randolph E. (2007年10月4日). “Crows use tools to find food ”. MSNBC . 2008年5月17日閲覧。 ^ Rutz, C.; Bluff, L.A.; Weir, A.A.S.; Kacelnik, A. (2007-10-04). “Video cameras on wild birds”. Science . ^ Oakley, K. P. (1976). Man the Tool-Maker . University of Chicago Press. ISBN 978-0226612706 ^ McGrew, W. C (1992). Chimpanzee Material Culture . Cambridge u.a.: Cambridge University Press. ISBN 978-0521423717 ^ Boesch, Christophe; Boesch, Hedwige (1984). “Mental map in wild chimpanzees: An analysis of hammer transports for nut cracking” (fee required). Primates 25 (25): 160–170. doi :10.1007/BF02382388 . http://www.springerlink.com/content/e7x6620732717288/ . ^ Nut-cracking monkeys find the right tool for the job , New Scientist, 15 January 200920世紀に研究が行われていた人工知能 は、数度の段階を経て進展を見せ、最近では人の音声を理解し、即座に知識を集め、質問に対する答えを音声で提供したり、まるで召使(や執事)のように持ち主の希望に沿うように家電製品のスイッチを操作することもできるようになった。(写真は2010年代末時点でシェアの比較的高いスマートスピーカー 2種 )。人工知能はこのまま性能が上がりつづければ、しばらくするうちにシンギュラリティ(技術的特異点 )をもたらすことになるだろう、と予測する技術哲学者 ・科学哲学者 も多い。 ウィキメディア・コモンズには、
テクノロジー に関連するカテゴリがあります。