インターネット (英 :the Internet )は、TCP/IPプロトコル を用いて接続された世界規模のコンピュータネットワーク である[ 1] 。ネット とも呼ばれる[ 2] 。
TCP/IPプロトコル を用いたネットワーク であり、各コンピュータ に割り振られたIPアドレス を宛先とした通信方式により形成される。世界規模の情報通信網そのものを「インターネット」と呼ぶ。
コンピュータネットワーク の観点からは、MACアドレス 等で通信可能なLAN (ネットワーク)同士をIPで結びつけたWAN (ネットワークのネットワーク)がインターネットである。LAN間の通信交換さえ成立していればIPを用いたネットワーク同士の相互接続が実現する、すなわちインターネットへ接続できる。
インターネットの成立により全世界レベルでのコンピュータ間通信が容易になった。その結果、インターネット上で様々なアプリケーション が展開されている。初期のファイル転送 、電子メール 、ハイパーテキスト 文書 (Web )[ 3] など単純なものから、P2P ファイル共有 、音声通信 、ウェブアプリケーション 、メディアストリーミング などへと高度化していき、その発展は未だ続いている。
英語では「the Internet」と定冠詞 をつけ大文字 で表記するのが正式の(英語の文法ルールに一番合致した)表記である[ 4] 。Internetそれ自体だけを指す場合は定冠詞をつけるが[ 5] 、Internetを他の普通名詞 の前に配置する場合は、Internetという名詞をあくまで形容詞 的に用いている表現なので、定冠詞はつけない[ 5] (たとえばインターネット・アクセスは「Internet access」と定冠詞抜きで表記する[ 5] 。)
「インターネット」の語の起源は、もともとは一般名詞 の「インターネットワーク (internetwork )」で、本来の意味は「ネットワーク 間のネットワーク」や「複数のネットワークを相互接続したネットワーク」であったが、その後、通常は固有名詞 として、ARPANET を前身とし、唯一の世界的規模のネットワークを指すようになった。特に日本語で「インターネット」と呼ぶ場合は、この固有名詞の意味である場合が大半である。現在でも英語圏の教科書 や辞書 では「the Internet」と表記するのが正しい[ 6] 。ただし、英語圏の報道メディアの一部では、2016年あたりから、小文字で始まる「internet」を採用しようとする動きもある[ 7] 。つまり、「the Internet」とするか「internet」とするか、表記揺れが存在する。
インターネットには、教育機関や企業などの組織、あるいは個人が運用する仕様の異なるネットワークが接続している。IETF が、通信技術の仕様を公開することで、多種多様なネットワーク間の通信方式の差異を緩和し、相互接続が可能な状態を維持している。併せて、複数の通信経路をまとめる基幹ネットワークが敷設されている。基幹ネットワークは光ファイバー や、電線 、無線通信 と、それらをまとめる電子機器により構成されている。
このように、インターネットは通信方式と電子機器の総称であるため、実社会でいう「責任主体」は存在しない。そのため、インターネットに供給する情報について、社会的、あるいは法的な義務を負い「責任主体」となるのは、インターネットに接続している教育機関や企業などの組織、あるいは個人である。
インターネット全体の「管理主体」と誤認されやすい団体として、ICANN 、IETF 、W3C などの非営利団体 がある。これらの団体は、世界全体のIPv4 /IPv6 アドレスの維持(ICANN )、通信技術(通信プロトコル など)の研究と発表(IETF )、情報の形式の研究と標準化(W3C )を行っており、インターネットを管理する団体ではない。
しかし、ICANN 、IETF 、W3C のいずれも、運営費を私企業から得ていることから、完全には非営利・中立の団体とは言えない。また、ICANNは、かつて米商務省 と強い関係を有しており、国際的にも中立とは言い難かった。この米商務省との関係は、契約期間の満了に伴い終了している[ 8] 。
インターネットはInternet Protocol (IP) に基づいている。IPは隣接する機器同士を繋ぐリンク層 の上に構築される、ネットワーク通信プロトコルである。IPは下層のプロトコルと独立しているため、物理的な通信形式が導線・光ファイバー ・無線 のいずれかを問わず機能する(参考:インターネット・プロトコル・スイート 、OSI参照モデル )。ゆえに各LAN内の通信方式が異なっていても、その橋渡し機器/プロトコルさえ用意しておけばIPを用いて透過的にインターネットに接続できる。
IPはインターネット以外のネットワークでも利用される。IPを用いたLAN (例: 社内ネットワーク)をイントラネット と呼ぶ。複数のイントラネットを相互接続したものはエクストラネット とも呼ばれる。
IPアドレスとは簡単に説明すると、ネットワーク上の機器を区別するための番号。32桁のビット列(0または一の数字)から成り立っている。[ 9]
IPアドレスを詳しく説明すると、基本的に通信するコンピュータごとに(厳密には機器のインターフェイスごとに)唯一無二の「IPアドレス 」と呼ばれる固有番号を割り当てられることが通信時の前提となっており[ 10] 、IPを採用するインターネットにおいても、接続する各組織に対して固有のIPアドレスの領域(範囲)がそれぞれ割り当てられる。各組織はそれぞれに割り当てられたIPアドレス領域の中の固有の番号を、所有する各コンピュータに割り当てる。
IPアドレスは数字の羅列で人間にはわかり難いというデメリットがあり、一般には英数字を使用した名前(ドメイン名 )をIPアドレスに対応させて用いる[ 11] 。例えば、「ja.wikipedia.org」というドメイン名は「198.35.26.96」というIPアドレスに対応する。インターネットに参加する各組織(研究機関、教育機関、企業、プロバイダ (ISP) 、協会・団体、政府機関その他)に対して、識別子として(広義の)ドメイン名が割り当てられており、各組織は所有する各コンピュータに対してホスト名を割り当てる。ホスト名とドメイン名をドット(.)でつないだものが各コンピュータの固有名(FQDN )となる。
接続先ホストにはIPアドレスを割り当てる必要がある。また、IPアドレスをDNS によって(狭義の)ドメイン名の資源として定義し供給することで、ドメイン名をIPアドレスを代替する記法として用いることもできる。
また、1980年代から使用されているIPアドレス(IPv4 )が、2011年2月3日に枯渇した(IPアドレス枯渇問題 )。これを想定してIPv6 の開発が始まり2011年に実用化された。[ 12] しかし、日本では、各企業が通信機器を交換する費用を用意できなかったことや、IPv6を扱える技術者が少ないことが普及の妨げとなり、2012年以降においても外資系企業のバックボーンでの利用に留まっている。
2016年現在、日本でのIPv6の普及と利用は、日本のITに関する技術力の低さと研究開発に対する投資の少なさにより、欧米諸国に比較して大きく立ち後れている。[ 13]
インターネットへのアクセス(接続)は、一般にはインターネット・プロトコル 技術を搭載したインターネット端末 を使用して、インターネットサービスプロバイダ 経由で接続する。また独自ネットワークやイントラネット から、ゲートウェイ などを経由して接続できる場合もある。初期のインターネットでは、使用言語は英語 、文字コード はASCII 、文字はラテン文字 で、接続デバイスは各種のコンピュータ が大多数であった。
1990年以降のインターネットの世界的な普及により、現在では各種のコンピュータに加えて各種の携帯電話 、ゲーム機 、家電 、産業機器などがインターネット端末機能を持つようになった。接続形態も従来の有線 やダイヤルアップ接続 に加えて各種の無線通信 が一般化した。ユーザインタフェースもグラフィカルユーザインタフェース やマルチメディア 対応を含んだものも普及した。またコンピューティングの利用形態としてSaaS やクラウドコンピューティング などの表現や概念が普及する基盤ともなった。これらと並行して、各種の国際化と地域化 、多言語化 、他のネットワークや技術との相互接続や相互運用性 などが進んだ。
インターネットの成立により全世界レベルでのコンピュータ間通信が容易になった。その結果、インターネット上で様々なアプリケーションが展開されてきた。人が触れるアプリケーションの例としてファイル転送 、電子メール 、ハイパーテキスト 文書 (Web )[ 3] 、P2P ファイル共有 、音声通信 、ウェブアプリケーション 、メディアストリーミング が挙げられる。さらにWeb 上では検索エンジン 、電子商取引 、SNS など膨大な種類のサービスが提供されている。
インターネット成立により、ウェブブラウザ上で閲覧する電子書籍 や電子ジャーナル の利用も進み、電子書籍は1971年に開始されたプロジェクト・グーテンベルク を嚆矢とし、1995年にはオランダで電子ジャーナルの刊行も開始され、1990年代後半からは図書館や博物館、大学などによる資料や論文のインターネット上での公開も広く行われている[ 14] 。また、インターネット上の情報そのものを保存するウェブアーカイブ 事業も始まっている[ 15] 。
様々なアプリケーションで同様に必要とされる処理を共通化するために、Internet Protocol 上で利用される様々なプロトコルも提案されてきた。IP直上にはTCP ・UDP ・QUIC などのトランスポート層 プロトコル、その上にはHTTP ・SMTP などのアプリケーション層 プロトコルが定義される(表参照)。他にもネットニュース (NNTP )、チャット (IRC )などが標準化されている。これらのプロトコルの定義の多くは RFC として公開されている。
インターネットはクローズドな学術機関専用のネットワークからスタートしたため、プロトコルにはセキュリティに関する仕組みが十分に組み込まれていなかった経緯があり、不正アクセス 、サイバー攻撃 などの問題が頻発する結果を生んでしまっている。[1]
個々のサーバーの設定の工夫や、OSメーカによるサーバーのセキュリティ対策、アプリケーションレベルでの対策、ネットワーク機器のセキュリティ対策など様々な試みが続けられているが、犯罪者側のスキルも上がり、巧妙化し、「いたちごっこ」が続くばかりで、また個人によってだけでなく集団レベル国家レベルでもインターネットの場での犯罪は増すばかりである。最近では、現行のインターネットの仕組みを根本から見直し、セキュアなネットワークを目指した新しい仕組みの構築を探る動きもあるが、今のところさほど成果は出ていない。
また、オンライントラッカー やWeb広告に関する問題も指摘される。トラッカーは利用者がインターネットでどのような行動を取っているか(検索履歴、閲覧履歴、入力内容)などを明示的な同意なく収集するプログラムであり、主にビッグ・テック などの巨大企業のビジネスを支えているとされている。これらの企業はトラッカーで得た情報を用いて広告や検索結果をユーザーに合わせてカスタマイズして利用者の利便性を向上させようとしているが、これらをプライバシー の侵害、私生活の監視だと感じる者もおり、このようなトラッカーをブロックするウェブブラウザなどもリリースされている。
Web広告はテレビ やラジオ などと並ぶほど広告費が高くなる[ 16] などの進展を見せているが、近年(2020年代 )のウェブ広告からは広告がウェブページの見栄えを悪くする、利用者を詐欺に誘導する、違法な商品の宣伝に用いられる、マルウェア的な振る舞いをする(アドウェア )、利用者が本来のコンテンツを見るのを妨げるなどの問題点が見られるようになっており、利用者が目障りな広告をブロックするための広告ブロッカー などのソフトウェアも登場した。しかし、それに対して広告を発信する側が対策をし、その対策さえも乗り越えて広告をブロックするソフトウェアが少し経ってから流通するなどまるで"いたちごっこ "のような状態になっている。
また、画像や動画などを含む広告が増大することで無線パケット通信 料金が高額になる、読み込み時間が長くなるなどの弊害も見られる。これらの問題により利用者が広告を嫌がるため広告の効果が薄れ、広告を出す企業は更に広告にかける労力などを増やす。するとまた広告を不快に感じる利用者が増えるという悪循環 が起こっている。
この節には独自研究 が含まれているおそれがあります。 問題箇所を検証 し出典を追加 して、記事の改善にご協力ください。議論はノート を参照してください。(2015年8月 )
1997年から2007年までの、人口100人当りのインターネットユーザーの割合(青は先進国 、赤は開発途上国 、黄色は世界平均。出典:国際電気通信連合 ) 各国の人口に対するインターネット利用人口の割合(2016年)
出典:国際電気通信連合 [ 17] 1960年、インターネットの前身ARPANET に直接影響を及ぼした概念であるJ・C・R・リックライダー のタイムシェアリングシステム が発表される[ 18] 。
1969年10月29日、後のルータ の原型となったIMP を用いてUCLA とスタンフォード研究所 (SRI)間が接続され[ 19] [ 20] 、同年12月5日までにUCサンタバーバラ 、ユタ大学 が接続され4つのノード のインターネットが実現された。これがARPANETであり、インターネットの技術的起源とされる[ 21]
1983年、ARPANETがプロトコルをそれまで利用していたNetwork Control Program からTCP/IP に切り替える[ 注 1] 。
1984年9月、村井純 がテープメディアの物理的な配送の代わりとして電話回線を用いた300bpsの速度の回線で慶應義塾大学 と東京工業大学 を接続した。同年10月に東京大学 が接続され、日本のインターネットの始まりであるJUNET に拡大する。[ 22] これはインターネットの研究をするため、3大学での研究を重ねる意図もあった[ 23] 。
1986年、アメリカの「全国科学財団」による学術研究用のネットワーク基盤NSFNet が作られ、インターネットのバックボーンの役割がARPANETからNSFNetへ移行する[ 24] 。
1988年、アメリカで商用インターネットが始まる。同年、日本でWIDEプロジェクト 開始[ 25] 。
1989年、商用ネットワークとNSFNetとの接続が開始される。
1990年、スイスの素粒子物理学研究所・CERN の研究員であったティム・バーナーズ=リー は、当時上司だったロバート・カイリュー らの協力によりWorld Wide Web システムのための最初のサーバとブラウザを完成させ、世界初のウェブページが公開された。
1992年、米国ではWindows 3.1 for Workgroup の発売もあり(日本語版は発売されていない)、一般にもインターネットが普及する。
1994年 7月、アメリカのタイム誌 で、「インターネットは核攻撃下でのコミュニケーションの生き残りを想定して開発された」[ 26] という記事が掲載される。以降、ARPANETは核戦争時のための軍事ネットであるという俗説が流布するようになる。一方、ARPANET立ち上げ時のIPTO責任者であったロバート・テイラー は、この記事に対して事実とは異なる旨、正式な抗議をタイム誌に対して行った。
1995年、NSFNetは民間へ移管された。
1999年にInternet of Things (IoT)という用語が提唱された。
1999年にはADSL によるインターネットへの接続サービスが開始される。
2000年から2010年に掛けて、インターネットに接続される計算機やセンサーが加速度的に増えるに従って、インターネットを介して膨大な実世界データが収集可能となり、そのような巨大知 のデータを処理する専門の職業まで現れた。(データサイエンティスト )
2001年にはFTTH 、CATV 、無線通信 によるインターネットへの接続サービスが開始される。
2002年から2005年に掛けて、友人紹介型のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS)が提供され始める。
2004年にWeb 2.0 の概念が提唱される。
2005年は、2010年代に一般的な日常生活で使われるようになる様々なサービスが提供開始した時期である。Google マップ のサービス提供開始、iTunes Music Store の日本へのサービス提供開始、2005年末にはYouTube がサービスを提供を開始した。特にWebサービスに関わる重要な出来事が集中している。
1998年末にはドリームキャスト が、2004年末にはニンテンドーDS が、2005年末にXbox 360 が、2006年末にはPlayStation 3 とWii がオンライン機能を標準搭載し発売され、家庭用ゲーム機でもオンライン対戦の一般化が進んだ。
2005年からネットレーベル の音楽業界への台頭が始まる。
2000年代後半には動画サイト やSNSなどが流行し、インターネットにおけるコミュニケーション活動が活発化した。スマートフォン の普及もこれを後押しした[ 27] 。
2020年 、新型コロナウイルスのパンデミック 対策として世界的にテレワーク 化・リモート化が推進された。
WWW が発明された1990年代 からますますインターネットは学術ネットワークから日常生活のインフラへと変革を遂げていった。それに伴い情報の流通量の激増と取得コストの大幅な低下が起き、世界の在り方そのものが大きな変革を遂げ、ユビキタス社会 となった。この変革はIT革命 やデジタルトランスフォーメーション(DX) などと呼ばれてきた。
1990年代からグローバリゼーション の急加速は、インターネットや情報技術の進歩による部分が非常に大きい[ 28] 。
たとえば文化的グローバリゼーションに関しては、2007年より動画共有サービス [ 注 2] 、2010年よりSoundCloud などの音声ファイル共有サービスを用いて、国境を越えて音楽を発信したり発見したりすることが活発化した。一般のリスナーでも音楽関係者でも、国境や文化圏を越えて異ジャンルの音楽に触れることができるようになり、隔たっていた様々な音楽の融合も加速した。政治的グローバリゼーションでは、国境の向こう側の政治的状況もよく伝わり、容易に連絡も取り合えるので、自国の状況も他国と比較しつつ把握できるようになり、グローバル規模での民主化も促進された[ 29] 。2010年から2012年にかけてのアラブの春 において、インターネットによって連絡を取り議論を深めていった市民が独裁政治を倒したのは、ひとつの例である[ 30] 。なおこの政治的グローバリゼーションは民主化の方向にばかり進んだわけではなく、例えばイスラーム圏のイスラーム教徒同士も国境を越えて容易に交流できるようになり、それを利用してISIL(イスラム国) などの原理主義軍事勢力がグローバル規模で戦闘員の募集を行うなどの弊害も起こった。
重度の検閲・監視
かなり厳しい検閲・監視
軽度の検閲・監視
ほとんどまたは全くない
インターネットが急速に普及する一方で、権威主義国家を中心にインターネットへのアクセスの一部制限や検閲 をする国家も目立ってきている。2019年の調査では、世界のインターネットユーザーのうち71%は国家によってインターネットの利用時に拘束されるリスクがあるとされる[ 35] 。こうした検閲で特に知られるのは中華人民共和国 であり、ネット上での言論や発言には強い監視と規制が加えられ、監視カメラ 網やネット利用履歴による社会信用システム を通じて市民に対する介入をさらに強めている[ 36] 。
インターネットの普及は従来の産業にも変化をもたらした。ネット普及により大きな影響を受けた産業の一つとして、マスメディア が挙げられる。新聞 やテレビ といった従来型のマスメディアはネット利用の急増に伴って、相対的位置付けの低下が徐々に進行している。日本を例にとれば、1995年から2010年にかけてインターネットの利用が激増する[ 37] 一方で、テレビ視聴時間は微減[ 38] 、新聞[ 39] ・ラジオ[ 40] ・雑誌[ 41] は減少傾向にある。アメリカやヨーロッパにおいては特に従来の紙による新聞の販売が漸減しており、2009年ごろから新聞社の規模縮小や廃刊が続いている[ 42] 。オンライン中心の社会となった結果、従来のマスメディアもオンラインメディアへと変化しつつある。
一方で、従来型メディアを通さないソーシャルメディア上のニュースは正確性を担保するシステムがないため信頼性が低く、受信者は発信者の信頼性によって正確性を測る傾向がある[ 43] 。また、ソーシャルメディア上ではフェイクニュース が急速に蔓延するようになり、2019年の調査では世界のインターネットユーザーのうちおよそ65%がフェイクニュースを閲覧した経験があるとされている[ 44] 。こうしたフェイクニュースの蔓延を受けて、さまざまな機関でファクトチェック が行われるようになってきている[ 45] 。これに関連し、2019年末からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行 においてはインターネットを介して急速な誤情報・偽情報の拡散が起き、世界保健機関 はこれをインフォデミック と呼んで対策を取るとともに警戒を呼びかけた[ 46] 。
オーストラリアに本部を置き、米国、オランダ、ベルギーに支部を持つ経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)の2023年版「積極的平和報告書要約(Positive Peace 2023 Briefing)」によると、インターネットの普及率は世界平和指数と0.64と強い相関関係がある[ 47] 。
専門家は、1日約2時間のインターネット利用が認知症予防に役立つ可能性がある一方、1日6〜8時間の過度のインターネット利用は認知症予防につながらない、むしろ認知症が進む恐れすらある、と主張している[ 48] 。
普及初期、世界的に常時接続環境が提供されているのは都市部が中心で、先進国でも山間部や離島などでは不十分なものだった。さらに発展途上国 に至っては通信も電力も存在していない地域があり、情報格差 が問題になっていた[ 49] 。その都市部や先進国でも当初、パソコンが高価だったことや操作体系が複雑だったことから、未来学者のアルビン・トフラー は、パソコンスキルの有無や経済力で情報格差が生じると予想していた(後に「誤算があった」として、パソコンの低価格化などにより誰にでも広く普及すると修正した)。
その後、発展途上国でインターネットは急速に普及した。1995年時点でインターネットユーザーの84%はOECD 加盟国住民だったが、2009年にはこれが50%を割り、その後も発展途上国住民のインターネットユーザーに占める割合は高まり続けている。利用率についてはいまだ先進国と発展途上国の間に格差はあるものの、インターネット普及を前提とした途上国におけるベンチャー企業 の勃興も広く見られるようになってきた[ 50] 。
2017年、日本の内閣府 の0歳から満9歳までの子供の保護者を対象とした青少年のインターネット利用環境実態調査によると、全体の39.2%の子供がインターネットを利用していて、0歳児で3.1%、2歳児で28.2%、5歳児で36.8%、9歳児で65.8%、と利用する割合が増えており、平日1日当たりの利用時間は平均で1時間余りとなった[ 51] [ 52] 。
一方で、インターネット普及の割合が増えれば増えるほど、逆に高齢者 の一部などのインターネット未利用者にとっての情報格差は、より一層深刻な状態になっている[ 53] 。インターネットへのより平等なアクセスを持つ国は、より高いスキル能力を持つ国でもある。ドメイン全体での国のスキルの習熟度とインターネットを使用している人口の割合の間には、有意な正の相関関係(65%)がある[ 54] 。
1990年代 後半からは自宅でPC とインターネットを使って仕事を行うSOHO が、2010年代 からは場所を選ばないノマドワーク が流行したが、あくまでも特殊な働き方の1つに過ぎなかった。しかし、2020年 の新型コロナウイルスのパンデミック 以降は直接の対面を避けて働く人が大幅に増え、場所を問わない働き方全てがテレワーク として集約され普及した。今後は全ての分野で急速に遠隔化が進むと予想されている。
^ そのため別冊宝島2611『80年代アイドルcollection』p.93.には、1980年代サブカル・流行一覧にインターネットの誕生が紹介されている。 ^ YouTube やニコニコ動画 など。^ "日本でインターネット、 英語では大文字で始まるThe Internetのほうは、 もっと限定的です。 これはIPという約束に従って接続された、 世界規模のコンピュータネットワークを意味します。" JPNIC.インターネットとは . JPNIC公式HP. 2023-01-03閲覧. ^ 精選版 日本国語大辞典 「ネット」 ^a b 「ウェブ 」。https://kotobank.jp/word/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96 。コトバンク より2021年10月7日閲覧 。 [要文献特定詳細情報 ] ^ WordReference, Internet / the Internet - definite article ^a b c Jakub Marian's, Language learning, science and art. ^ 「メディアリテラシ」(Computer Science Library 15)p68 植田祐子・増永良文著 サイエンス社 2013年8月10日初版発行 ^ “多くの英字メディアが採用するAPスタイルガイド、固有名詞扱いだった「Internet」を一般名詞扱いの「internet」へ ”. スラド (2016年4月7日). 2024年2月4日時点のオリジナル よりアーカイブ。2017年1月15日閲覧。 ^ 岩崎宰守 (2016年10月3日). “米国政府がルートDNSや、IPアドレス管理などの“IANA機能”監督権限を手放す -INTERNET Watch ”. インプレス. 2016年10月18日閲覧。 ^ 『インターネット技術の絵本』(初版)株式会社アンク、2009年8月27日、112頁。 ^ 「インターネット」p59-60 村井純 岩波書店 1995年11月30日第1刷発行 ^ 「メディアリテラシ」(Computer Science Library 15)p80 植田祐子・増永良文著 サイエンス社 2013年8月10日初版発行 ^ World IPv6 Launch ^ State of the Internet IPv6 Adoption Visualization - Akamai ^ 「図書館概論」p191-192 宮沢厚雄 理想社 2011年9月10日第1版第1刷 ^ 「図書館概論」p193 宮沢厚雄 理想社 2011年9月10日第1版第1刷 ^ “2020年 日本の広告費|媒体別広告費 - ナレッジ&データ - 電通 ”. www.dentsu.co.jp . 2021年12月5日閲覧。 ^ "Percentage of Individuals using the Internet 2000-2012" , International Telecommunications Union (Geneva), June 2013, retrieved 22 June 2013^ Man-Computer Symbiosis 「人間とコンピュータの共生」 1960年3月^ インターネットが40周年 最初に送られたメッセージは「LO」 - ITmedia News ^ 40th Anniversary of the Internet / UCLA Spotlight ^ 「図説 日本のメディア」p181 藤竹暁編著 NHK出版 2012年9月30日第1刷発行 ^ インターネット 歴史の一幕:JUNETの誕生 - JPNIC ニュースレターNo.29^ 『インターネットの秘密』24ページ。 ^ 「図説 日本のマスメディア 第二版」p257 藤竹暁編著 NHKブックス 2005年9月30日第1刷発行 ^ 「インターネット」p155-156 村井純 岩波書店 1995年11月30日第1刷発行 ^ "BATTLE FOR THE SOUL OF THE INTERNET ". TIME, 1994年7月25日。 ^ ネット利用、スマホがPCを逆転 総務省調査 ^ 「グローバリゼーションと開発の主要課題」p34 大坪滋(「グローバリゼーションと開発」所収)大坪滋編 勁草書房 2009年2月25日第1刷第1版発行 ^ 「Next教科書シリーズ 政治学」p158-159 山田光矢編 弘文堂 2011年3月15日初版1刷 ^ 「中東・北アフリカの体制崩壊と民主化 MENA市民革命のゆくえ」p242-243 福富満久 岩波書店 2011年10月18日第1刷発行 ^ “Freedom on the Net 2018 ”. Freedom House (2018年11月). 2018年11月1日閲覧。 ^ OpenNet Initiative"Summarized global Internet filtering data spreadsheet" Archived 10 January 2012 at theWayback Machine ., 8 November 2011 and"Country Profiles" Archived 26 August 2011 at theWayback Machine ., the OpenNet Initiative is a collaborative partnership of the Citizen Lab at the Munk School of Global Affairs, University of Toronto; the Berkman Center for Internet & Society at Harvard University; and the SecDev Group, Ottawa ^ "Internet Enemies" ,Enemies of the Internet 2014: Entities at the heart of censorship and surveillance , Reporters Without Borders (Paris), 11 March 2014. Retrieved 24 June 2014.^ Internet Enemies , Reporters Without Borders (Paris), 12 March 2012^ 「デジタル化する新興国」p170-172 伊藤亜聖 中公新書 2020年10月25日発行 ^ 「デジタル化する新興国」p174-179 伊藤亜聖 中公新書 2020年10月25日発行 ^ 「メディアと日本人」p70-71 橋元良明 岩波新書 2011年3月18日第1刷 ^ 「メディアと日本人」p54 橋元良明 岩波新書 2011年3月18日第1刷 ^ 「メディアと日本人」p64 橋元良明 岩波新書 2011年3月18日第1刷 ^ 「メディアと日本人」p79 橋元良明 岩波新書 2011年3月18日第1刷 ^ 「メディアと日本人」p87 橋元良明 岩波新書 2011年3月18日第1刷 ^ 「メディアとジャーナリズムの理論 基礎理論から実践的なジャーナリズム論へ」p210 仲川秀樹・塚越孝著 同友館 2011年8月22日 ^ https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd114120.html 「令和元年版情報通信白書 第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0 第4節 デジタル経済の中でのコミュニケーションとメディア」日本国総務省 2025年1月11閲覧^ 「デジタル化する新興国」p180-182 伊藤亜聖 中公新書 2020年10月25日発行 ^ 「よくわかるメディア法 第2版」p78 鈴木秀美・山田健太編著 ミネルヴァ書房 2019年5月30日第2版第1刷発行 ^ 「デジタル化する新興国」p218 伊藤亜聖 中公新書 2020年10月25日発行 ^ “Positive Peace 2023 Briefing ”. 2023年5月18日閲覧。 ^ Salamon, Maureen (2023年10月1日). “Mastering memory maintenance ” (英語). Harvard Health . 2023年11月20日閲覧。 ^ 「メディア学の現在 新版」p128 山口功二・渡辺武達・岡満男編 世界思想社 2001年4月20日第1刷 ^ 「デジタル化する新興国」p22-25 伊藤亜聖 中公新書 2020年10月25日発行 ^ 低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査 - 内閣府 ^ 0~9歳児の約40%がネット利用 内閣府調査 | NHKニュース [リンク切れ ] ^ 「図説 日本のメディア」p204-205 藤竹暁編著 NHK出版 2012年9月30日第1刷発行 ^ “Announcing the Coursera 2020 Global Skills Index ” (英語). Coursera Blog (2020年7月16日). 2020年11月11日閲覧。 ウィキペディアの
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