アセチレン Acetylene Acetylene Acetylene - space-filling model 物質名 識別情報 ChEBI ChEMBL ChemSpider ECHA InfoCard 100.000.743 KEGG UNII 国連/北米番号 1001 (dissolved)3138 (エチレンとプロピレンとの混合物)InChI=1S/C2H2/c1-2/h1-2H
Key: HSFWRNGVRCDJHI-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/C2H2/c1-2/h1-2H
Key: HSFWRNGVRCDJHI-UHFFFAOYAY
性質 C 2 H 2 モル質量 26.038 g·mol−1 外観 無色の気体 匂い 無臭 密度 1.1772 g/L = 1.1772 kg/m3 (0 °C, 101.3 kPa)[ 2] 融点 −80.8 °C (−113.4 °F; 192.3 K)三重点 1.27 atm −84 °C; −119 °F; 189 K (1 atm) わずかに溶ける 溶解度 アルコールにわずかに溶ける アセトン、ベンゼンに溶ける 蒸気圧 44.2 atm (20 °C)[ 3] 酸解離定数 pK a 25[ 4] 共役酸 エチニウム 磁化率 −20.8× 10−6 cm3 /mol[ 5] 熱伝導率 21.4 mW·m−1 ·K−1 (300 K)[ 5] 構造 直線形 熱化学[ 5] 標準定圧モル比熱 ,C p ⦵ 44.036 J·mol−1 ·K−1 標準モルエントロピー S ⦵ 200.927 J·mol−1 ·K−1 227.400 kJ·mol−1 209.879 kJ·mol−1 1300 kJ·mol−1 危険性 GHS 表示 :Danger H220, H336 P202, P210, P233, P261, P271, P304, P312, P340, P377, P381, P403, P405, P501 NFPA 704 (ファイア・ダイアモンド)300 °C (572 °F; 573 K) 爆発限界 2.5–100% NIOSH (米国の健康曝露限度):none[ 3] C 2500 ppm (2662 mg/m3 )[ 3] N.D.[ 3] 特記無き場合、データは
標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
アセチレン (英 :acetylene )は炭素数が2のアルキン である。IUPAC系統名 はエチン ethyne、分子式 は C2 H2 である。1836年 にイギリス のエドモンド・デービー (英語版 ) によって発見され、水素と炭素の化合物であるとされた。1860年 になってマルセラン・ベルテロ が再発見し、「アセチレン」と命名した。アルキンのうち工業的に最も重要なものである。
酸素 と混合し、完全燃焼 させた場合の炎 の温度 は3,330 ℃にも及ぶため、その燃焼熱を目的として金属加工工場などで多く使われる。高圧ガス保安法 により、常用の温度で圧力が0.2 MPa以上になるもので、現に0.2 MPa以上のもの、または、15 ℃で0.2 MPa以上となるものである場合、褐色 のボンベ に保管することが定められている。
構造式 は HC≡CH で、炭素-炭素間で三重結合 を1個だけ持つ直線型分子。炭素‐炭素間でπ結合 を二つ持ち、sp混成軌道 を取り、結合角は180° である。アルキンのうち最も簡単なものであり、異性体 は存在しない。
常温では水に体積比 1:1 の割合で溶ける。テトラヒドロフラン などの有機溶媒にはより溶けやすい。爆発範囲は 2.5–81 vol%(空気中)である。純粋なものは無臭だが、市販されているものは通常硫黄化合物などの不純物を含むため、特有のにおいを持つ。
アセチレンや一般のアルキンは三重結合を持つ不飽和炭化水素 のため反応性が大きく、さまざまな物質の合成の原料となる。銀 、銅 、水銀 等の金属 や金属化合物と反応し、爆発性のある金属アセチリド を生成する。人体に対して有害性はないが、可燃性である。
アセチレンの三重結合は付加反応 を受けやすい。ニッケル を触媒として水素 を付加させるとエチレン になり、さらに水素を付加させるとエタン になる。
HC ≡ CH + H 2 Ni ⟶ H 2 C = CH 2 {\displaystyle {\ce {HC # CH + H2Ni -> H2C=CH2}}} H 2 C = CH 2 + H 2 Ni ⟶ H 3 C − CH 3 {\displaystyle {\ce {H2C = CH2 + H2 Ni -> H3C - CH3}}} また、アセチレンの三重結合にはハロゲン化水素 などの H−X 型の分子を容易に付加させることができる。 アセチレンに塩化水素 を付加させるとクロロエチレン になり、酢酸 を付加させると酢酸ビニル になる。クロロエチレンや酢酸ビニルは合成高分子 化合物 の原料として用いられる。
HC ≡ CH + H − XLi ⟶ H 2 C = CHX {\displaystyle {\ce {HC{\equiv }CH{}+H-XLi->H2C\ =\ CHX}}} アセチレンに水 を付加させた場合はビニルアルコール となるが、これは容易に異性化し、速やかにアセトアルデヒド に変わる。
アセチレンは付加重合 をすることができる。アセチレン2分子が重合するとモノビニルアセチレン になる。モノビニルアセチレンはブタジエン やクロロプレン の原料として、合成ゴム をつくるときに用いられる。
2 HC ≡ CH ⟶ H 2 C = CH − C ≡ CH {\displaystyle {\ce {2HC # CH -> H2C=CH-C # CH}}} アセチレン3分子が重合するとベンゼン 、ジビニルアセチレン 、アセチレニルジビニル になる。ベンゼン を得る場合、加熱した鉄 管もしくは石英 管にアセチレンガスを通す方法がよく使われる。
3 HC ≡ CH ⟶ C 6 H 6 {\displaystyle {\ce {3HC # CH -> C6H6}}} さらに重合が進んで得られるポリマーがポリアセチレン で、導電性物質として利用される。
アセチレンをはじめとする末端アルキン上の水素は、一般的なアルケンやアルカンのものに比べて酸性が高く、適切な強塩基により引き抜いて金属イオンに置き換えることができる。例えば、アセチレンにn-ブチルリチウム を作用させるとリチウムアセチリドを与える。
HC ≡ CH + n − C 4 H 9 Li ⟶ HC ≡ CLi + n − C 4 H 10 ↑ {\displaystyle {\ce {HC{\equiv }CH{}+n\!-\!C4H9Li->HC{\equiv }CLi{}+n-C4H10\uparrow }}} また、硝酸銀 水溶液にアセチレンを吹き込むと、銀アセチリドの白色沈殿ができる。硫酸銅 に作用させると銅アセチリドの赤色沈殿が発生する。銀アセチリドも、銅アセチリドも乾燥していれば、わずかな衝撃で爆発し、銀 や銅 と炭素 に分解する。
実験室やアセチレンランプ など小規模な用途では、カーバイド法を用いて生成される。これは、カーバイド(炭化カルシウム) に水を作用させる方法である。工業用の大規模なものでは[ 6] 、アセチレンは炭化水素の熱分解による方法(熱分解法)や、カーバイド法を用いて生成される。
CaC 2 + 2 H 2 O ⟶ C 2 H 2 + Ca ( OH ) 2 {\displaystyle {\ce {CaC2 + 2H2O -> C2H2 + Ca(OH)2}}} メタンを使った場合 2 CH 4 ⟶ C 2 H 2 + 3 H 2 {\displaystyle {\ce {2CH4 -> C2 H2 + 3H2}}} メタンの熱分解には1400℃近くの高温が必要で、アルミの電解精錬 に匹敵するほど莫大な熱量を必要とする上、600〜800℃で重合して芳香族炭化水素を多く生じるため急冷して400℃以下に温度を下げねばならず商業的に実現可能なコストではない[ 7] 。
アセチレンガスは他のLPガス 等と同様に圧縮冷却すると液化 できる。しかしアセチレンは3重結合の極めて不安定な物質なため分解爆発を起こす危険性があることから容器内にマスと呼ばれる軽石 様の多孔質物質にアセトン を染み込ませ炭酸水 のようにアセトンへ溶解させて充填させている。なお、この溶解アセチレン(ボンベ製品)の2016年度日本国内生産量は9,766tである[ 8] 。
燃焼速度が極めて速く燃焼範囲も可燃性ガスの中では一番広い(水素 は2番目)ため空気中へ漏洩すると爆発の条件が揃いやすく危険な可燃性ガスでもある。
アセチレンは燃焼 するときに多量の燃焼熱を発生するので、バーナーの燃料として用いられる。アセチレンと酸素 を混合して完全燃焼させた酸素アセチレン炎 (3,330℃) は金属 の溶接 や切断に用いられる。アメリカ合衆国 では、年間生産の8割が化学合成に、残りの2割がアセチレン溶接、切断に使われている。近年でも、鉄の浸炭 に使われる。 かつて石炭化学工業 では中間製品としてアセチレンが作られ、アセチレンを元に塩化ビニル、アクリルニトリル、酢酸ビニルなどの製品が作られていた。
今日の石油化学工業 では代わりにより安価なエチレン が用いられるのが一般的である。[ 9]