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わるいやつら

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
曖昧さ回避この項目では、松本清張の小説について説明しています。韓国映画については「悪いやつら」をご覧ください。
わるいやつら
小説の病院は東京・中野の一等地にある設定となっている(写真は中野区内・桃園川緑道周辺)
小説の病院は東京・中野の一等地にある設定となっている(写真は中野区内・桃園川緑道周辺)
著者松本清張
発行日1961年11月
発行元新潮社
ジャンル小説
日本の旗日本
言語日本語
ページ数507
コードISBN 4101109087
ISBN 978-4101109084(文庫本)
ウィキポータル 文学
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わるいやつら』は、松本清張長編小説[1]。『週刊新潮』に連載(1960年1月11日号 -1961年6月5日号、全73回、連載時の挿絵は御正伸)、加筆訂正の上、1961年11月、新潮社から単行本として刊行された。後に電子書籍版も発売されている。

医者の社会的権威を利用して犯罪に手を染めてゆく医師と、その人間関係を描く、長編ピカレスク・サスペンス。

1980年に松竹で映画化、また4度テレビドラマ化されている。

あらすじ

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戸谷信一はある病院の院長、病院の経営は苦しく、赤字は毎月増えるばかりであったが、妻・慶子との別居中に作った愛人から、金を巻き上げては赤字の穴埋めに充てていた。最近新たにデザイナーの槙村隆子を知った戸谷は、彼女に強い興味を持ち、結婚に持ち込みたいと思うようになった。そのためさらに多額の金が必要になったが、その金も愛人から絞り取ることで乗り切れると戸谷は考えていた。しかし、愛人の一人である横武たつ子の病夫の急死に、思わぬ関わりを持った[2] ことから、戸谷とその周囲の人間の運命は狂い出し…。

出版

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単行本刊行後、1962年に新潮社ポケット・ライブラリ版、1966年に上下巻に分冊した新潮文庫版が刊行された。1970年光文社カッパ・ノベルスから上下巻の分冊版が刊行され、1971年には文藝春秋の『松本清張全集』第14巻に収録された。

登場人物

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以下は原作における設定を記述。

戸谷 信一
東京・中野のとある病院の院長。高名な医者であった亡父・信寛の病院を継ぐが、医療への情熱はとうに失っている。
槙村 隆子
若くして銀座で一流洋装店を経営するデザイナー。美貌と資産を兼ね備えている。
藤島 チセ
銀座の高級洋品店「パウゼ」の経営者。戸谷の3年越しの愛人。
横武 たつ子
大きな家具店の妻女。戸谷の愛人。
藤島 春彦
藤島チセの夫。
横武 常治郎
横武たつ子の夫。
横武 二郎
横武たつ子の義弟。
寺島 トヨ
看護婦長。表には出さないが、蒼い情念を持っている。
下見沢 作雄
弁護士。奇妙に世間のいろいろな事情に通じる男。

エピソード

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  • 本作執筆のきっかけとして、著者の母が1955年に死んだ際、埋葬許可証を発行する区役所の手続きが非常に簡単で、係員が死亡診断書を発行した医者に問い合わせることをせず、診断書の記載がそのまま形式的に通過していくことに驚き、創作のヒントを得たと著者は述べている[3]
  • 本作は連載中から読者の反響が大きく、当時、著者がバーや料亭に行くと、ホステスや女中から、次の展開をよく訊かれたという[4]
  • 雑誌連載時は原稿用紙1460枚であったが、単行本化時には1200枚分に圧縮された。一例として、戸谷が藤島チセと皆生温泉へ行き、チセと関係を持つ場面が描写された連載第4回は、単行本化時にすべて削除されている。また、連載時の物語は冬に始まる設定となっているが、単行本では夏に変更されている[5]

映画版

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わるいやつら
Bad Sorts
監督野村芳太郎
脚本井手雅人
製作野村芳太郎
野村芳樹
出演者松坂慶子
音楽芥川也寸志
山室紘一
撮影川又昻
編集太田和夫
配給松竹
公開日本の旗1980年6月28日
上映時間129分
製作国日本の旗日本
言語日本語
配給収入5億3500万円[6]
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ポータル 映画
プロジェクト 映画
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1980年6月28日松竹系にて公開された。松竹・霧プロダクション第1回提携作品[7]。英語題名『Bad Sorts』。上映時間は129分。槙村隆子のその後に関して、原作にないエピソードがラストに追加されている。現在はDVD化されている。

キャスト

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スタッフ

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エピソード

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  • ファッションデザイナーの森英恵が衣裳を提供したが、原作者自身が出演交渉をして、最後のファッションショーのシーンでは客席に座ることになった[8]
  • 製作発表は1980年5月8日、六本木のディスコ「GIZA(ギゼ)」(現存しない。日本初の「お立ち台」と「すしバー」が設置されたとする説がある)で行われたが、写真家の大竹省二紀伊國屋書店社長の田辺茂一、デザイナーの石津謙介をメンバーに、「わるいやつらの会」を発足させるという変わった趣向のものであった。この時、槙村隆子を演じる松坂慶子と原作者は、マスコミの注文に応じ、ダンスを披露した[9]
映画リスト
あ行
 か行
さ・た行
な - わ行
野村芳太郎監督作品
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代

テレビドラマ

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1985年版

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松本清張スペシャル
わるいやつら
ジャンルテレビドラマ
原作松本清張『わるいやつら』
企画小坂敬(日本テレビ)
山本時雄(日本テレビ)
脚本大野靖子
監督山根成之
出演者古谷一行
名取裕子
エンディング岩崎宏美
製作
プロデューサー嶋村正敏(日本テレビ)
板橋貞夫(松竹)
林悦子(霧企画)
制作日本テレビ
放送
放送国・地域日本の旗日本
放送期間1985年4月2日
放送時間火曜日21:02 - 23:24
放送枠火曜サスペンス劇場
放送分142分
回数1
火曜サスペンス劇場
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松本清張スペシャル・わるいやつら』は、1985年4月2日日本テレビ系列火曜サスペンス劇場」(火曜日21:02 - 23:24)で放送された2時間ドラマである。主演は古谷一行

視聴率は22.7%(関東地区ビデオリサーチ社調べ)。

当初、戸谷信一役は田村正和が演じる予定であったが、クランクイン初日に田村が緊急入院、ドクターストップがかけられた。これを受け、休暇中の古谷一行が急遽戸谷役を演じることになったが、このことが2002年放送の『松本清張スペシャル・事故』まで、同枠の松本清張原作ドラマ計13作に出演する契機となった[10]

キャスト

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スタッフ

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日本テレビ系列火曜サスペンス劇場
前番組番組名次番組
心身症の犬
(原作:佐野洋
(1985.3.26)
松本清張スペシャル
わるいやつら
(1985.4.2)
逆光の中の女
(原作:落合恵子
(1985.4.9)

2001年版

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松本清張特別企画
わるいやつら
ジャンルテレビドラマ
原作松本清張『わるいやつら』
脚本田中晶子
監督松原信吾
出演者豊川悦司
萬田久子
藤真利子
エンディング女と愛とミステリー』と同じ
製作
制作テレビ東京
BSジャパン
放送
放送国・地域日本の旗日本
放送期間2001年4月8日(BSミステリー)
2001年4月18日(女と愛とミステリー)
放送時間日曜日21:00 - 23:24(BSミステリー)
(水曜日20:54 - 23:18)(女と愛とミステリー)
放送枠女と愛とミステリー
放送分114分
回数1
女と愛とミステリー
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松本清張特別企画・わるいやつら』は、2001年4月8日BSジャパン「BSミステリー」(日曜日21:00 - 23:24)で放送されたテレビ東京BSジャパン共同制作の2時間ドラマである。地上波では、2001年4月18日テレビ東京系列女と愛とミステリー」(水曜日20:54 - 23:18)で放送。主演は豊川悦司

制作局でもあるBSジャパン(現:BSテレ東)で繰り返し再放送されたほか最近では、BS122022年9月21日に再放送された[11]

キャスト

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スタッフ

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2007年版

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松本清張・最終章
わるいやつら
ジャンルテレビドラマ
原作松本清張「わるいやつら」
脚本神山由美子
演出松田秀知共同テレビ
藤田明二(テレビ朝日)
出演者米倉涼子
上川隆也
エンディング安良城紅Luna
製作
プロデューサー五十嵐文郎(CP、テレビ朝日)
内山聖子(テレビ朝日)
中川慎子(テレビ朝日)
奈良井正巳(ABC)
制作テレビ朝日ABC
放送
放送国・地域日本の旗日本
放送期間2007年1月19日 -3月9日
放送時間金曜日21:00 - 21:54
放送枠朝日放送・テレビ朝日金曜9時枠の連続ドラマ
放送分54分
回数8
公式サイト

特記事項:
第1話は15分拡大(21:00 - 22:09)。
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松本清張・最終章 わるいやつら』は、2007年1月19日より3月9日まで、ABC・テレビ朝日の共同制作により、テレビ朝日系列で毎週金曜日21:00 - 21:54[12] に放送された連続テレビドラマである。主演は米倉涼子

2004年の『松本清張 黒革の手帖』、2006年の『松本清張 けものみち』に続く3部作の最終章と位置付けられており、本ドラマの主演も米倉が務めた。原作は病院長・戸谷信一を主人公とするが、本作では主人公が米倉演ずる看護師・寺島豊美(寺島トヨ)に変更されている。映像ソフトとしてDVD-BOXが発売されている。

キャスト

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戸谷病院
  • 寺島豊美〈31〉(戸谷病院の中堅看護師) -米倉涼子
  • 戸谷信一〈40〉(戸谷病院院長・口が巧く複数の女性と関係を持っている) -上川隆也
  • 葉山耕太〈28〉(経験の浅い新人医師) -平山広行
  • 沼田看護師長(粕谷と共に先代から仕えてきた看護師長) -朝加真由美
  • 粕谷事務長(先代から仕えている戸谷病院事務長) -伊武雅刀
槇村家
横武家
藤島家
その他

※以下、カッコ内は出演話数[13]

スタッフ

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放送日程

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各話放送日サブタイトル演出視聴率
第1話2007年1月19日医師と看護師の危険な情事松田秀知13.6%
第2話2007年1月26日悪党VS白衣を脱いだ悪女10.1%
第3話2007年2月02日悪女が牙をむく!藤田明二09.1%
第4話2007年2月09日誘惑と愛憎の果て07.2%
第5話2007年2月16日決別…悪女の最期松田秀知06.2%
第6話2007年2月23日大逆転悪女のワナ藤田明二08.7%
第7話2007年3月02日三億円を奪う!!09.8%
最終話2007年3月09日最後に笑う女松田秀知10.1%
平均視聴率 9.35%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

遅れネット局

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朝日放送テレビ朝日共同制作・テレビ朝日系列金曜9時枠の連続ドラマ
前番組番組名次番組
家族
〜妻の不在・夫の存在〜

(2006年10月20日 - 12月8日)
松本清張・最終章
わるいやつら
(2007年1月19日 - 3月9日)
生徒諸君!
(2007年4月20日 - 6月22日)
第1期
(1977年 - 1987年)
1970年代
1977年
1978年
1979年
1980年代
1980年
1981年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
第2期
テレビ朝日との共同制作
(2006年 - 2011年)
2000年代
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年代
2010年
2011年
関連項目
カテゴリ第1期カテゴリ /第2期カテゴリ

2014年版

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松本清張 わるいやつら
ジャンルテレビドラマ
原作松本清張『わるいやつら』
脚本深沢正樹
演出雨宮望
出演者船越英一郎
室井滋
エンディング東方神起「I love you」
放送
放送国・地域日本の旗日本
放送期間2014年3月16日
放送時間日曜日20:00 - 21:54
回数1
公式サイト
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松本清張 わるいやつら』は、2014年3月16日(日曜日20:00 - 21:54)にBS日テレで放送された2時間ドラマである。「BS日テレオリジナルドラマ作品」と銘打ち放送された。

キャスト

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スタッフ

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松本清張原作のテレビドラマ
一覧
 あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま - わ行
関連項目
カテゴリカテゴリ / 一覧(作品映画

関連項目

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脚注

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[脚注の使い方]

注釈

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出典

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  1. ^『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p39
  2. ^新潮文庫版下巻(1966年)の裏表紙(および新潮社ホームページ)では、「(戸谷は)横武たつ子の病夫を殺したあげく」と記述されている(2016年現在)が、小説の内容としては不正確な記述となっている。第一章第4節参照。
  3. ^著者のエッセイ「創作「ヒント帖」から」(『別冊小説新潮』1961年10月号掲載、『小説新潮』2007年8月号に再掲)参照。実際に虚偽の死亡診断書が書かれた例として、法医学者の上野正彦は、1983年の中川一郎自殺事件を挙げている。『週刊 松本清張』第5号(2009年、デアゴスティーニ・ジャパン)15頁参照。
  4. ^福岡隆『人間松本清張 - 専属速記者九年間の記録』(1968年、大光社)56頁参照。
  5. ^『週刊 松本清張』第5号 10-11頁参照。
  6. ^「1980年邦画四社<封切配収ベスト作品>」『キネマ旬報1981年昭和56年)2月下旬号、キネマ旬報社、1981年、118頁。 
  7. ^霧プロダクションは、本作原作者の松本清張と監督の野村芳太郎が中心となり、1979年に設立された映像プロダクション。この後1984年公開の『彩り河』に至るまで、松竹と霧プロダクションの提携は5作続いた。
  8. ^林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版) 20頁参照。
  9. ^『週刊 松本清張』第5号 20-21頁、または林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』20頁参照。
  10. ^林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』 57-60頁参照。
  11. ^わるいやつら | ドラマ「松本清張 傑作選」 | 無料ドラマ・映画 | BS無料放送ならBS12(トゥエルビ)”. BS12トゥエルビ. 2022年9月22日閲覧。
  12. ^第1話は15分拡大(21:00 - 22:09)。
  13. ^松本清張 わるいやつらテレビドラマデータベース 2024年12月2日閲覧。
  14. ^「ほら、君も知ってるだろう。健康保険というものが出来て、いちいち点数制度になったんだ」。第一章第2節参照。

外部リンク

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松本清張の作品
作品リスト
推理小説
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シリーズ
歴史小説
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