漫画原作者(まんがげんさくしゃ)とは、漫画における脚本「原作」を担当する者のこと。考案する「原作」の形式は脚本のほか、小説、ネームなどさまざまである。
漫画原作者は特定の漫画作品を作成するため、そのストーリーや人物・世界観といった設定を考案・執筆する。特定の漫画作品のために書かれたものを漫画原作と呼び、脚本や絵コンテなど、さまざまな形態で作成される。また、漫画原作者は自らの著作として完成された形態で脚本などを執筆するわけではなく、それらの原稿にも著作権を有するため、執筆されたものが書籍などで読者の目に触れて公開されることは、ほとんどない。
漫画原作者は自ら画を描くことはなく作品設定やストーリー、セリフを作成し、漫画家がそれらをベースに作画する。映画でいうところの脚本家に近い位置づけで、演出については漫画家が主導権を持つことが多い。ただし、近年はネーム原作と呼ばれる演出(絵コンテ)まで担当する漫画原作者も増えている。
アメリカン・コミックスにおいては、スクリプト(脚本)を担当する者はライターと呼ばれる。
漫画はその黎明期には、漫画家が作画のすべてとストーリー創作・資料収集のすべてを手がけた。しかし、読者のニーズに合わせて漫画が多様化し、作画やストーリーが複雑化した結果、単独で、しかも限られた期間内において創作の全工程を手がけることが難しくなっていった。このような背景から、漫画創作においても映画やテレビドラマのように分業化が生じた。
最初の分業は作画工程に起きた。友人などを動員して作画を「お手伝い」していた時代から、漫画家が作画のためにアシスタントとして雇うことが増えた。
次に、漫画家のためにストーリーを提供する役割が求められた。発表済みの小説が漫画の原作となることが多くあったが、さらに漫画作品のためのオリジナル・ストーリーが作成される事例が現れる。これが、漫画の「原作」と呼ばれるようになった。
著者に名を連ねず、ストーリー構成について同じような役割を担うスタッフが存在したことから、漫画原作者の存在が認知されるようになった後でも、その役割は明確ではない。漫画作品には漫画家の名のほか、漫画原作者とは違った多種多様なクレジットが存在する。それらは脚本執筆以上の役割や、それ以下の役割であることを暗示するためと考えられるが、個々に厳密な定義は存在しない。
以下、漫画原作者としての代表作を付記する。
ただし、監修、データ協力、もともとの小説の作者、小説の脚色や潤色、といったケースは漫画原作を担ったものではないため、含めない。
2019年、小説家になろうとガンガンONLINEがタイアップして、漫画原作者を対象とするコンテスト「マンガ原作者オーディション」を開催した[3]。