ローマ時代のアフリカのものは、他の地域のアンシャルよりも角ばっている。とくに a の湾曲部が鋭く尖っている。
ビザンチンのアンシャルは特徴的な2種類のものがある。「b-d アンシャル」は b と d の形が半アンシャル(下記)に似ており、4世紀から5世紀にかけて用いられた。「b-r アンシャル」は5世紀から6世紀にかけて用いられ、b は他の字の倍の大きさがあり、r の湾曲部はベースラインの上に載っていて、そこから縦棒がベースラインの下に伸びている。
インシュラー・アンシャル (インシュラー体とは別。混同しないこと) は、一般に単語がはっきりと区切られ、強勢のある音節にはアクセント記号が加えられている。おそらくこれはアイルランドの写本作者がラテン語に由来する言語を話さなかったためであろう。また、他の地域のアンシャル字体には見えないインシュラー独特の略字を使っている。くさび型のフィニアルを使い、すこし下に下った「懸垂 i」を(語末で) m や h とつなげて書いている。動物や点(「Insular dotting」と呼ばれ、しばしば3つまとめてつけられる)で装飾を加えている。
Habeant qui volunt veteres libros, vel in membranis purpureis auro argentoque descriptos, veluncialibus (ut vulgo aiunt) litteris, onera magis exarata quam codices.
半アンシャル (half-uncial またはsemi-uncial) という言葉は、シピオーネ・マッフェイの『Istoria diplomatica』(1727年マントヴァ) が初出である。マッフェイは、ポワティエのヒラリウスによる有名な「Codex Basilicanus」に見える、アンシャル体を切り詰めたように見える書体を区別するためにこの語を用いた。なお「Codex Basilicanus」にはアンシャル体を使った節と半アンシャル体を使った節の両方がある。この語は18世紀なかばのルネ・プロスペル・タッサン(英語版)とシャルル・フランソワ・トゥスタン(英語版)によっても使われた。半アンシャルという語は広く使われ、安定した語ではあるものの、通常のアンシャルから派生したかのような印象を与える点で出来のよくない用語である。実際にはアンシャルと半アンシャルは共通の古代の書体の特徴を継承しているのである。以下を参照: L. E. Boyle, "'Basilicanus' of Hilary Revisited," inIntegral Palaeography, with an introduction by F. Troncarelli, 105-17. Turnhout, 2001。